「暗闇フィットネス」が日本で成功した3理由(東洋経済オンライン)

 大音量のクラブミュージックにDJ風のコール、天井に回るミラーボールにスポットライト……。ここはクラブ? と見まごうような、“暗闇“ワークアウトスタジオが人気沸騰中。まだ足を踏み入れたことがない人も、一度体験すればきっとハマる”暗闇”の魅力に迫ります。

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■暗闇トレーニングの効果

 「FEELCYCLE」「junp one」をはじめ、暗闇エクササイズのパイオニアとして、エクササイズに新しい文化を切り開いてきた株式会社ベンチャーバンク。ホットヨガ「LAVA」の成功でも知られる、エクササイズ界の革命児だ。

 それにしても、暗闇エクササイズの快進撃たるやすごいものがある。2012年に立ち上げた「FEEL CYCLE」は現在全国に29店舗、2016年~の「JUMP ONE」は都心部を中心に6店舗。新たなブランドとして2017年にエアドラムなどを取り入れた「BURNES STYLE」を、さらにEMSスーツ着用ワークアウトの「EVOLV」を立ち上げている。

 いま若い世代を中心に大人気の暗闇トレーニングについて、ベンチャーバンクの経営企画室PR戦略グループマネージャーの下渡恵子さんに話を聞いてきた。

 「フィットネスカルチャーを変えよう、という考えがもともと弊社社長にあり、常にアンテナを張っていました。そんな折、訪米していた役員が”レディガガが20キロやせたという、バイクエクササイズはどうか? “と提案。

 さらにクラブカルチャーが好きな担当者の発案もあって、バイクエクササイズにクラブ要素を組み合わせた『FEEL CYCLE』を立ち上げたところ、大ヒットとなりました。”暗闇”要素が日本人に好評だったため、第二段としてチェコスロバキア発祥のトランポリンに着眼。日本人向けに開発しました」

■日本人にマッチした3つの理由

 なぜここまで、暗闇トレーニングが日本人にマッチしたのか? それには、3つの理由があると分析。そこに見えてきたのは、ファスト、ファン、コンビニエントなまったく新しい魅力だ。

 ① “羞恥心”を感じさせない空間力

 まさに、日本人特有の”羞恥心“という文化的背景が最大のポイントに。暗闇で人の目に触れないため、「体型に自信がない」「下手だと恥ずかしい」「運動中に人と顔を合わせたくない」という人にも安心。しかも、トランポリン台や自転車の位置をネット予約時に指定できるシステムもあり、自信がないから後方がいい、先生が見えやすい最前列がいい、など好みで選択ができるのも嬉しい限り。

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僕たちは発達障害を言い訳にしてはいけない(東洋経済オンライン)

独自のルールを持っていたりコミュニケーションに問題があったりするASD(自閉スペクトラム症/旧・アスペルガー症候群)、落ち着きがなかったり不注意の多いADHD(注意欠如・多動性障害)、知的な遅れがないのに読み書きや計算が困難なLD(学習障害)、これらを発達障害と呼ぶ。
今までは単なる「ちょっと変わった人」と思われてきた発達障害だが、生まれつきの脳の特性であることが少しずつ認知され始めた。子どもの頃に親が気づいて病院を受診させるケースもあるが、最近では大人になって発達障害であることに気づく人も多い。

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発達障害について10年程前に知り、自身も長い間生きづらさに苦しめられていたため、もしかすると自分も発達障害なのではないかと考える筆者が、そんな発達障害当事者を追うルポ連載。発達障害当事者とそうではない定型発達(健常者)の人、両方の生きづらさの緩和を探る。
第15回目は「発達障害の僕たちが人にあまり言えない本音」(4月20日配信)に続いて、「発達障害BAR The BRATs」(東京・高田馬場)のマスター、光武克さん(33歳)と吉田正弘さん(25歳)、スタッフの山村光さん(仮名・24歳)の座談会後編をお届けする。

■「圧倒的にヒューマンスキルが足りない」

 ――現在、山村さんは就労移行支援施設に通ってらっしゃるそうですが、そこではどんな支援をしてもらえるんですか? 

 山村 光(以下、山村):まだ通いはじめて間もないのですが、精神障害を患っている人が一般企業で働くために訓練を積む場所です。自分はコミュニケーション能力が低いんです。昔、働いていた職場で「君は仕事のスキルが足りないんじゃなくて、圧倒的にヒューマンスキルが足りない。その中で特に際立ってコミュニケーション能力に欠けている。だから、仕事を教えればきちんと結果を出せるけど、会社で働くというのはそこじゃないんだよ」と言われたんです。

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「使える英語」を学ぶと英語力は伸びない(東洋経済オンライン)

日本では年間270万人が受験する国際コミュニケーション英語能力テスト、TOEIC。受験者の3分の2は進学や昇級で高スコアを求められる人たちだという。かくして英語力を測るグローバルスタンダードのごとく教育界・ビジネス界を席巻するTOEIC。だが、そこに大きな落とし穴がある、と著者は訴える。『TOEIC亡国論』を書いた、ポリグロット外国語研究所主宰の猪浦道夫氏に聞いた。

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■学校で学ぶべき英語とTOEICは全然別物

 ――題名に亡国論とありますが、必ずしもTOEICを全面否定するものではない? 

 ええ、もちろん。英語の運用力の基礎となる知識はある程度測れる。ただ、学校の入学試験や単位認定、企業の採用選考でTOEICを利用するのがピント外れだと言いたいんです。特に学校教育における近年の浸透・蔓延ぶりは由々しき問題。大学、大学院、下手すると最近は高校受験にまでTOEICのスコアを導入しようとしている。学校で学ぶべき英語とTOEICは全然別物です。

 ――TOEICに欠ける点とは? 

 「聞く」「話す」「読む」「書く」の4分野の能力はさらにそれぞれ3段階、ごく日常会話レベルの「略式」、最初に習得すべき標準的な「正式」、ビジネスや学問で求められる高度な「専門」レベルと、計12のゾーンに区分できます。TOEICで測れる能力はその中の「聞く」「読む」の「正式」ゾーンの2つだけ。しかも文章をキッチリ分析して読む力ではなく、瞬発力が勝負。複雑な思考は要求されず、日本語への翻訳能力は必要ないから、英語のままフワフワッと何となくわかればいい。「話す」「書く」の英語による発信力が測れないのも致命的です。

 ビジネスの場で求められる英語力は、先ほどのゾーンでいえば「専門」レベルの契約書を作成したり交渉したりする力でしょ。TOEICの内容はたわいない日常会話なので、ビジネス英語力は評価できない。それを能力査定に使うのは完全にズレている。そもそも企業が社員に一律にTOEICを課すことが非合理的。部署単位でどのレベルの英語力が必要か否か、きめ細かく分けて対応すべきです。

 ――2020年度からは大学入試に英検やTOEICなど民間の試験が利用できるようになります。

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スタインウェイ80年ぶり「新型ピアノ」の魅力(東洋経済オンライン)

ピアノの名門スタインウェイから80年ぶりの新型ピアノ「SPIRIO/スピリオ」が発表された。1853年の設立以来今に至るスタインウェイ165年の歴史の中での久々の新型ピアノとはいったいどんな製品なのだろうか。 

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 新製品への興味と同時に、80年間も新製品を出さずに成り立つスタインウェイ社のゆったりとした時の流れと、すでに完成の極みにあるピアノという楽器のすごさをあらためて感じずにはいられない。

 その注目の新型ピアノ「SPIRIO」の最大の特徴は“自動演奏”だ。クルマ業界における近年の大きな話題が“自動運転”であるように、音楽業界にも自動演奏ブームがやってくるのだろうか。今回は「SPIRIO」を中心とした自動演奏ピアノの魅力に迫ってみたい。

■100年前にはピアノロールが大活躍

 自動演奏ピアノの歴史は意外に古く、まず頭に思い浮かぶのが19世紀末に開発された「ピアノロール」だ。記録紙であるロールペーパーに、演奏に基づいた穴を開け、空気圧によってピアノのハンマーを作動させるピアノロールは、黎明期のレコード録音技術よりもずっとリアルに演奏を再現できたことから、多くのピアニストたちがこぞって録音を残している。

 中でも名高い『コンドン・コレクション』には、20世紀初頭の名だたる作曲家やピアニストの演奏が記録されている。作曲家では、サン=サーンス、ドビュッシー、ガーシュウィン、ストラヴィンスキー、ラヴェル、ファリャ、グラナドス、プロコフィエフにスクリャービンなど。ピアニストでは、ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、コルトー、ホフマン、パデレフスキーなどなど、まさに当時のクラシック界を代表する夢のようなラインナップだ。

 このピアノロールで再生されたピアノの音をCD化したアルバムが『コンドン・コレクション』として発売されているのだが、聴いてみてもどうもピンとこない。正直な話、生きた人間が弾いた演奏に聴こえないのだ。

 資料としての価値はそれなりに高いのだろうけれど、ワクワクしながら鑑賞する素材としては物足りない。それが演奏の信憑性を含めた「ピアノロール」の限界であり、現在までの評価なのだろう。

■現在望みうる最高の自動演奏がここに

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「相撲は国技」の看板を信じてはいけない理由(東洋経済オンライン)

 暴行事件や賭博事件など数年前から、大相撲の世界でさまざまな不祥事が世間を騒がせている。つい先日も、土俵上は女人禁制という「伝統」をめぐって複数の事件がおきた。

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 それぞれの問題については、各個人の考えがあるだろう。だが批判派も擁護派も、多くの方が「日本の国技なのに……」「国技だから……」という発言をする。

 いや、ちょっと待ってほしい。そもそも相撲は日本の国技なのか?  まず断っておくが、日本には法令で「国技」と定められた競技はない。なのになぜ、相撲は日本の国技とされ、みんながそれを受け入れているのか? 

■いつ「国技」に? 

 1909(明治42)年、両国に初の相撲の常設館ができた。相撲はそれまで寺社境内で催される小屋掛け興行だったから、「屋根のある専用の建物」ができるのは画期的なことだ。当初の名前はたんに「常設館」。ほかに「尚武館」「相撲館」などの名前も候補だった。

 開館に先立って、当時の文士・江見水蔭(えみ・すいいん)があいさつ文を起草した。その文中に「角力は日本の国技」という表現があったのだ。当時の角界幹部である尾車文五郎(おぐるま・ぶんごろう)が、それをえらく気に入り、「国技館」という名前を提案した。これが旧両国国技館だ。

 はじめに建物ありき。国技だから国技館でやっているのではなく、国技館でやっているからたぶん国技なんだろう……というモヤっとした認識で「相撲は国技」が始まり、約110年になる。

 さて、「相撲」はいつからあるのか?  日本最古の相撲と言われる、当麻蹶速(たいまのけはや)と野見宿禰(のみのすくね)の戦いは、垂仁天皇7年(在位99年、140歳で崩御とされる天皇の時代)のこと。勝った野見宿禰が、相撲の始祖とされている。

 ちなみに、469年(雄略天皇13年)には「采女(女官)の着物を脱がせて、相撲をとらせた」とある。女相撲だ。まあ、これは余興のようだが(というか、現代の感覚ならセクハラである)。それを記述した『日本書紀』(720年)が「相撲」という言葉の初出だ。

 その後、五穀豊穣や一年の吉兆を占う「神事相撲」となって、何度も開かれるようになる。

 これがやがて平安期、宮中行事の「節会(せちえ)相撲」になる。しかし、まだ土俵も行司もない。だから当然、土俵上の“禁忌”もない。

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「枕選び」のポイントは、意外なところにある(東洋経済オンライン)

 暖かくなってきました。中には寝具を新しくしたいと思っている方もいらっしゃるでしょう。

 実は季節に限らず、寝具を見直したほうがいい方がいます。たとえば寝ると肩や腰が痛くなるという方。これは明らかに体と寝具が合っていません。ふとんに入ってもリラックスできない、心地よさが感じられないというときは、寝具そのものが劣化している可能性も。ストレスになる環境の中で、気持ちよく眠れるはずがありません。

 このほかにも結婚したときにそろえた寝具を「高かったから」という理由で、10年以上使い続けているという方がいらっしゃいます。気になるところがいくつかあっても値段を思い出すと処分できないのですよね。

 実は寝具にはちゃんと存在理由があり、体重や体型の変化に合わせて変えたほうがいいのです。この機会に、寝具の選び方のコツをマスターして、快適な眠りを引き寄せませんか。

■そもそも寝具の目的とは? 

 冬、部屋が寒くてもふとんの中が快適なら眠れるように、寝具には温度、湿度、気流といった寝室環境の変化に対して、寝床内気候(寝具の中)を安定に保って、眠れる環境を維持するという目的があります。

 寝返りを打ちやすくし、体の重みがかかる部分の血液循環が悪くならないようにする、寝た状態の姿勢を正しく保って、日中の活動でひずんだ背骨を矯正するとも言われています。

 このため、季節や寝室環境に合わない素材は睡眠を阻害しますし、体に合わない寝具を使い続けることは体の負担になります。たとえば柔らかすぎるマットレスなら腰痛の原因になりますし、逆に硬すぎるマットレスなら筋肉の緊張の原因になります。いくらフワフワで触り心地が気持ちいい枕でも、頭部を正しく支えられる高さにならなければ、首や肩の凝りの原因になります。

 心理的な影響もあります。買い替えを先延ばしにして「昔は気持ちいいふとんだったのに……」「このマットレスで寝ると腰が痛くなるんだよな」と思いながらでは、無意識のうちに寝ることがストレスになり、リラックスしにくくなってしまいます。

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スポーツが浮き彫りにする「アメリカ」の正体(東洋経済オンライン)

本書『スポーツ国家アメリカ – 民主主義と巨大ビジネスのはざまで』はアメリカ発祥のスポーツを通して、米国社会の歴史を眺めていく1冊である。

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 焦点が当てられるのは、野球・バスケットボール・アメリカンフットボールだ。これら競技の成り立ちには、その時代のムードが確かに反映されており、後々もアメリカ社会の変化と密にかかわりながら発展を続けてきた。

 上に挙げた3競技がその骨格を整えた時期は、19世紀後半に集中している。野球ならばナショナル・リーグの創立が1876年、アメフトの試合が最初に行われたのは1869年で、バスケは1891年に考案された。南北戦争が終結した1865年というタイミングに産声を上げた競技である。アメリカの産業社会が本格的に拡大していく時代の空気が反映されていないことの方が不自然かもしれない。

■バスケやアメフトに共通しているのは

 具体的な例でいうと、アメフトの章ではテイラーの科学的管理法が引き合いに出される。緻密な計画とリハーサルによってプレーの精度を上げ、偶発的なミスを減らしていく。そんな特徴を持つアメフトの普及は、20世紀初頭のテイラー・システムの登場を予告していたかのようにも見える。

 バスケは宗教組織によって広まった。キリスト教青年会、通称YMCAである。人々をつなぎとめる手段のひとつとして、産業社会へのシフトにともない持ちあがった健康問題に目をつけたのが、そもそものきっかけだそうだ。バレーボールも同様に、YMCA内の人物によって考案された。

 バスケやアメフトに共通しているのは「アンスポーツマンライク」な行為に対する反則があること。そこには、1890年に制定された反トラスト法に見られるような、規制と改革の時代の精神が宿っていると著者は語る。

 そうした近代性だけでなく、前近代的な特徴も含む競技として書かれているのが野球だ。南北戦争時の兵士の娯楽として一気に広まり、国技にまで昇りつめた。南北戦争においては、組織を効率よく運用し、味方の犠牲を最小化しつつ攻撃の成果を最大化しようとする近代戦の特徴と、個人の一騎打ちによって局面を打開しようとする前近代的な戦い方が混在していた。そうした近代と前近代的要素が混じり合う様が、野球のルールからも読み取れるという。

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発達障害の僕たちが人にあまり言えない本音(東洋経済オンライン)

独自のルールを持っていたりコミュニケーションに問題があったりするASD(自閉スペクトラム症/旧・アスペルガー症候群)、落ち着きがなかったり不注意の多いADHD(注意欠如・多動性障害)、知的な遅れがないのに読み書きや計算が困難なLD(学習障害)、これらを発達障害と呼ぶ。
今までは単なる「ちょっと変わった人」と思われてきた発達障害だが、生まれつきの脳の特性であることが少しずつ認知され始めた。子どもの頃に親が気づいて病院を受診させるケースもあるが、最近では大人になって発達障害であることに気づく人も多い。

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発達障害について10年程前に知り、自身も長い間生きづらさに苦しめられていたため、もしかすると自分も発達障害なのではないかと考える筆者が、そんな発達障害当事者を追うルポ連載。発達障害当事者とそうではない定型発達(健常者)の人、両方の生きづらさの緩和を探る。
第14回目は2018年2月に「発達障害BAR The BRATs」を東京・高田馬場にオープンしたマスターの光武克さん(33歳)と吉田正弘さん(25歳)、スタッフの山村光さん(仮名・24歳)による座談会を実施した。

このバーは、“生きづらさを抱えた大人たちがふらっと立ち寄れる場所”がコンセプトとなっている。マスターの光武さんをはじめ、スタッフの多くが発達障害当事者であるBAR The BRATs。当事者として、また多くの当事者とかかわっている3人は発達障害に関してどんな考えを持っているのか、前編・後編にわたってお送りする。

■生産性のある話や言いにくい話題を出せなかった

 ――私も二度、BAR The BRATsにお邪魔させていただいたことがあります。まずは、バーを開いたきっかけを教えてください。

 光武 克(以下、光武):僕の思いつきと言ったら身も蓋もありませんが、そもそも発達障害をテーマにした常設のバーが都内になかったんです。僕自身、ADHDとASDを併発している当事者なので、昔は自助会に参加したこともありました。でも、僕には自助会が合わなかったんです。二度参加し、僕が参加した時だけかもしれませんが、仕事を辞めてしまっている人が異常に多かったんですね。

 「離職してしまってどうしようもなくなっている」といった愚痴のような話が多く、生産性がないように思えたんです。僕は実際に働いている人と、「働いている中でどんなことでつまずいたか」といった、もう少し生産性のある会話がしたいなと思ったのが、バーをオープンしたきっかけです。

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「イライラと不安」を増幅させる食生活の正体(東洋経済オンライン)

新年度が始まって3週間。進学、就職、転職、転勤……新たなスタートにまだまだ慣れない人も多いだろう。変化の時期は「心の危機」の時期でもあります。特に大きく環境が変わったり、一人暮らしが始まったり、という人は注意が必要だ。
精神科医の奥平智之氏が近著『マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ』から心の危機を回避する食生活を解説する。

■「鉄」欠乏が引き起こす不調

 「食生活の乱れ」というと、朝食を抜くことや、インスタント食品に偏るなどのイメージを持つかもしれない。それももちろん問題だが、朝はトーストとコーヒー、昼はおにぎりとスープ、夜はパスタとワインといった、一見普通に見える食事でも危険だ。

 心の危機を招く原因に、心や体を健全に働かせる栄養素の不足がある。パンやパスタ、ごはんなどの糖質中心の食事になると、肉や魚の動物性タンパク質や、野菜などが不足しがちになり、そこに含まれる栄養素も摂取できなくなる。

 特に注目したいのは、鉄だ。鉄は赤身の肉や魚に豊富に含まれている。不安やうつをやわらげるセロトニンや、ときめきを感じさせるドーパミンなどの脳内の神経伝達物質は、作る過程で鉄が必須となっている。

 また、鉄が欠乏すると、全身の細胞のエネルギー産生工場であるミトコンドリアの機能も低下する。神経をはじめさまざまな細胞や臓器の機能低下につながるため、鉄欠乏の症状は多岐にわたる。イライラ、憂うつ、不安、疲れやすい、冷え、頭痛、髪が抜けやすい、アザができやすい、眠りが浅い、爪が平坦で割れやすいといった症状があらわれる。

 タンパク質やビタミンB群、亜鉛、マグネシウムなどの栄養素も心や体に重要な栄養素だが、過労や寝不足などのストレスがかかるとより多くの量が必要となる。また、ストレス状態が続くと、体内に慢性の炎症が起こりやすくなる。「炎症体質」になると鉄の吸収や利用が低下し、鉄欠乏の状態となる。

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「96敗」のヤクルトが今シーズンに懸ける再起(東洋経済オンライン)

 今シーズンから、5年ぶりに古巣に復帰した宮本慎也ヘッドコーチは開幕前に言った。

 「ペナントレースが143試合あるということは、143敗する可能性もあるんです。就任直後の秋季キャンプで、最初に僕は選手たちにそう伝えました」

 長いプロ野球の歴史において、「シーズン全敗」というチームは今までに一つもない。しかし、宮本ヘッドの言うとおり、1勝もできないままシーズンを終えてしまう可能性は決してゼロではない。一方、今季17年目を迎える大ベテラン・石川雅規は言った。

 「去年96敗して、“さすがにこれ以上どん底に落ちることはないだろう”と言う人もいます。でも、相手もプロである以上、さまざまな対策を練ってくるし、必死に練習をしてくる以上、決して“これ以上のどん底はない”とは言えないんです」

■チームにある強烈な危機感

屈辱の一年となった2017年シーズンを振り返るべく、『96敗――東京ヤクルトスワローズ~それでも見える、希望の光~』を上梓した。このとき宮本ヘッドと石川にインタビューをしたのだが、2人の発言に共通するのは、強烈な危機感だ。

 球団ワーストを更新し、信じられないほど負け続けた2017年シーズン。借金は51、首位広島東洋カープとの差は実に44ゲームもあった。5月から6月にかけては引き分けを挟んで10連敗。一時期は、「交流戦全敗もありうるのではないか?」という声も飛んだ。さらに7月1日から21日までは、同じく引き分けを挟んでまさかの14連敗。「泥沼」としか表現のしようがない状態が続いた。

 まったく希望の光が見えぬまま、2017年シーズンは幕を閉じた。「このままではいけない」という危機感を首脳陣も、そして選手たちも抱いていた。だからこそ、「Swallows RISING 再起」というチームスローガンを掲げて、春季キャンプではこれまでにない過酷な猛練習を課した。そこにあったのは、強烈な危機感だった。

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