放棄地解消へ 東北から九州まで オリーブ適役 観光農園に加工品 街路樹レンタルも(日本農業新聞)

 乾燥に強く、実が軽く収穫しやすいオリーブが、耕作放棄地での栽培品目として全国に広がっている。夏の猛暑で有名な群馬県館林市では、農商連携で放棄地1ヘクタールでの苗栽培に着手した。街路樹にして、緑化で夏の暑さを和らげる試みだ。静岡県沼津市でも、収穫体験ができる観光農園にする計画。北は東北、南は九州まで栽培されているとみられ、地域再生の鍵として、農家や市民の期待が高い。
 
 夏の暑さで知られる群馬県館林市で、1ヘクタールの耕作放棄地でのオリーブ苗の育成が始まった。今春植えた苗木5000本は現在50センチにまで伸びた。栽培するのは、昨年創業した農業生産・加工会社ジャングルデリバリーだ。地元文具店経営者の三田英彦さん(54)が代表を務める。

 三田さんは近隣の稲作農家2人と共に同社を立ち上げた。市内の街路樹を鉢植えにして道路に埋め込む形にし、定期的に交換して季節ごとに多品種を楽しめるようにするレンタル事業に着手した。オリーブは事業の主力商品になる予定で、街路樹を管理する自治体などを対象に取引する。

 「街路樹を増やせば、猛暑時の気温を3度下げることが可能」と三田さん。市内数カ所で同時刻の気温を測ったところ、緑が多い所は市街地に比べて1~3度低いことを確認したという。

 5000本の苗を栽培するために、8戸の高齢農家から放棄地を借りた。同社のオリーブ栽培の話を聞きつけて「うちの土地も使ってほしい」という農家が続々と現れ、今後の予定地も1・5ヘクタール分確保している。栽培を主導するのは同県板倉町の稲作農家、小林信哉さん(61)だ。小林さんは「放棄地は放っておくと植物が伸びて林になってしまう。オリーブへの利用は得策」と評価する。

 同社は、造園業者や住宅メーカーに垣根の材料や庭の樹木として提供することも計画する。三田さんは「数年後に実が収穫できれば、搾油して地元メーカーとの連携で化粧品を開発する。面積も広げ、地域の雇用創出や農福連携の推進にも結び付けたい」と多角的なビジネスを構想する。

 静岡県沼津市では、茶農家3人と地元企業が連携し、耕作放棄地でオリーブを作る。茶葉の価格下落で経営難に陥った生産者が次々と離農し、放棄地が増えるのを見かねた茶農家の栗田恵市さん(61)が、地区の特産品を作ろうとオリーブに着眼。県内でオリーブ生産・加工事業を手掛けるクレアファームなどとの共同出資で17年9月に「クレアファーム駿河湾沼津」を設立した。

 16年5月から浮島地区を中心に市内10カ所全2ヘクタールの放棄地に800本以上のオリーブを植えた。果実はクレアファームのオリーブ製品などに使う。来年からは収穫体験ができる観光農園として、全国の観光客を迎え入れる予定だ。

 栗田さんは「オリーブ収穫と地元農家の作る野菜の収穫体験などを組み合わせて、地域振興につなげる」と意気込む。

全国産地が小豆島結集

 オリーブの主産地、香川県小豆島町は、初の全国オリーブサミットを来年2月に開く予定だ。オリーブ栽培とオイル生産などを振興する1府12県の25自治体が集まり、普及に向けた取り組みや課題を共有する。同町役場オリーブ課は「育てやすく、常緑なので放棄地の景観を再形成する植物としても優れている。把握している限りでは、東北から九州まで栽培が広がっている」と話す。

日本農業新聞

【関連記事】

[活写] 食べたくなる?好みの一鉢いかが(日本農業新聞)

 クリスマス商戦で、熊本県山鹿市のチブサン洋花園が独自に改良した白とピンクのまだら模様のポインセチアが「かわいい」と人気だ。商品名は「いちごケーキ」。現在、スタッフ10人がラッピング作業などに追われている。

 「いちごケーキ」は、通常のポインセチアの中から、葉がまだら模様になるものを3、4年かけ、地道に選抜した。2000株の限定商品。同園はこれまでに葉が硬貨のように円い形をした「コインセチア」などの品種も生み出している。

 今シーズンは12月20日ごろまでに、定番の赤色や鮮やかなピンクのものなど13種類、合わせて約2万株を九州や関西、関東などに出荷する予定。同社代表の坂本倫太郎さん(31)は「好みのポインセチアを見つけ、特別なクリスマスを過ごしてほしい」と話す。(木村泰之)

【関連記事】

空飛ぶミカン!? モノレール代替「索道」再び脚光 豪雨禍の愛媛県宇和島市(日本農業新聞)

 西日本豪雨で被災した愛媛県宇和島市吉田町で、ミカンを運ぶ「索道」が活躍している。

 同町白井谷のかんきつ農家・赤松耕治さん(68)の園地35アールでは、「南柑20号」の収穫が本格化する中、モノレールの復旧が遅れ、クローラー(小型運搬車)や人力による運搬も困難な状況だ。農家やJA、県などが協議し、最終手段として索道の利用に乗り出した。被災園地で初の取り組みだ。

 索道は、モノレールが開発される以前の昭和30、40年代に主力だった運搬法。装置はエンジンで稼働し、リモコンで搬器を上下させる。一度に6キャリー(90キロ)の積載が可能。高さ100メートル、距離200メートルで、園地の最上段から片道約4分間で地上に届く。

 12月初旬に同県砥部町の(株)ニシイチが設置した。20日間のレンタルで費用は83万円。補助金(負担割合は、国が2分1、県と市が5分の1ずつ)を利用し、農家は1割を負担する。赤松さんは「ミカンを運び出せるようになり助かっている。関係機関に感謝」と収穫に励んでいた。

 県農林水産部農業振興局農産園芸課の奈尾雅浩主幹は「設置場所は限定されるが、可能な限り協力したい」と意欲的だ。

日本農業新聞

【関連記事】

「ジャンボおしどり寿司」経営のエコー商事、民事再生計画認可を受ける(帝国データバンク)

スポンサー企業の資金支援と出資を仰ぐことを骨子とした再生計画案が可決された

 エコー商事(株)(TDB企業コード:200714823、資本金3000万円、神奈川県横浜市港南区日野8-4、登記面=神奈川県横浜市港南区大久保2-20-24、代表柏木克彦氏)は、11月28日に東京地裁より再生計画認可決定を受けた。同日開催された債権者集会においてスポンサー企業の資金支援と出資を仰ぐことを骨子とした再生計画案が可決されている。

 当社は、1982年(昭和57年)1月に設立。神奈川県内でファミリーレストランタイプの回転寿司チェーン「ジャンボおしどり寿司」の運営を手がけ、駐車場を完備した街道沿いのロードサイド店やショッピングモール内に出店。2007年12月期には年売上高約30億5800万円を計上していた。

 しかし2009年以降は売り上げ減少が続き、経営改善に取り組んだものの、多額の金融債務が負担となり、収益を圧迫。2015年からは神奈川県中小企業再生支援協議会に取引行を交えて再建策を協議していたが、今年4月2日に樋口收弁護士(東京都港区赤坂2-11-7、敬和綜合法律事務所、電話03-3560-5051)を申請代理人として東京地裁へ民事再生法の適用を申請、4月6日に再生手続き開始決定を受けていた。

 今後は(株)ペスカリッチ(東京都中央区、生鮮水産物卸業、代表安達哲夫氏)の出資と代表取締役の兼任、資金支援を得て、債権者への弁済は一定額の免除を受けたうえで2019年前半までに一括弁済し、再生手続きを終了する予定。

 申請時の負債は債権者約70名に対し約15億3000万円。

2017年度の玩具市場、売上高トップは任天堂(帝国データバンク)

 12月に入りクリスマスに向けて、子供たちへのプレゼント用をはじめ、各種おもちゃの購買意欲が高まる。また、近年では大人でも楽しめるハイテク玩具なども増えるなか、消費者の年齢の枠も広がっており、購買層にも変化がみられている。そうしたなか、2017年9月には米・トイザらスが経営破綻、今年6月までにアメリカ国内の全店舗を閉鎖し、大きな話題となった。

 帝国データバンクでは、企業概要データベースCOSMOS2(147万社収録)から、2014年度~2017年度まで4期連続で決算業績が判明している国内玩具関連企業2515社を抽出し、その実態を調査。
玩具(各種おもちゃ・娯楽用品、テレビゲーム機、人形など)の製造、卸、小売を主業とする企業を「玩具関連企業」として定義し、売上高規模別、地域別、業歴別、増収・減収動向について分析した。

 なお、同様の調査は2015年7月30日以来2回目となる。

 ※構成比や前年度比は小数点第2位を四捨五入している

玩具製造の売上高合計は前年度比113.4%増

 玩具の製造、卸および小売を主業とする企業(2014年度から2017年度まで4期連続で業績が判明しているもの)は、全国に2515社判明。うち、製造は474社、卸は1147社、小売は894社となっている。

 2017年度の売上高合計は4兆2008億円で前年度比23.9%の増加。製造・卸・小売それぞれを見ると、製造は1兆1409億円で、前年度比113.4%増と大幅に上回った。卸は2兆5509億円(前年度比8.7%増)、小売は5089億円(同0.3%増)と製造・卸・小売の全てで前年度を上回った。

 製造業では任天堂(株)が、2017年3月に発売した「Nintendo Switch」の好調から売上高が9784億9600万円で前年度比169.3%の大幅増加、製造業全体を牽引し大きく前年度を上回った。しかし、任天堂を除く玩具製造業者473社の売上高合計を見ると、1624億8800万円(構成比14.2%)で前年度比5.2%減となっている。卸に関しても任天堂の関連会社が好調のため卸全体を底上げした。小売は小幅な増加にとどまっているものの、唯一の3年連続の前年度比増加となった。

【関連記事】

猛暑 少雨 寡照 夏場の天候不順 師走にしわ寄せ(日本農業新聞)

 猛暑、少雨の7、8月、日照不足の9月。この夏の天候が、年末年始に需要のピークを迎える農産物や加工品に影を落としている。新潟県長岡市では、水不足によってもち米の収量が減少。正月を祝う切り餅の生産量確保に苦慮している。小豆やカブ、ユズなどにも生育不良による収量低下や日焼けといった影響が出ている。

原料米減で餅ピンチ 新潟県長岡市

 11月下旬、新潟県長岡市の農業生産法人杜々で正月用切り餅の製造が始まった。しかし、今年は水不足の影響で、原料となるもち米が年間必要量の7割しか確保できず、年明け後の製造を諦めざるを得なくなった。

 法人設立と同時に餅加工を始め、12年目。原料米が不足するのは初めてで、対応に苦慮している。栃尾地域の名水「杜々の森」の湧水を水源に、標高300メートルに位置する棚田で水稲15ヘクタールを社員3人で栽培する。原料米の「こがねもち」は約2ヘクタールで栽培。通常なら120俵(1俵60キロ)の収穫を見込むが、今年は3割以上減収し、80俵ほどにとどまった。

 製造過程でも、水不足の影響が原料の品質に表れている。吸水に時間がかかり、歩留まりも低下傾向だという。正月用の顧客300件分を何とか確保しようと、きねつき餅つき機1台で1日90キロを目標に必死で作業を進める。年内分は12月28日まで製造に集中する。

 林喜一代表は「餅は腰が強く、よくのびるのが特長。滑らかな舌触りの変わらぬ味でお客さんに届けたい」と力を込める。

 同市の中山間地域の作柄不振は深刻で、6月以降の少雨と8月下旬の日照不足によって、「作況指数以上に減収している」という声が上がっている。

小豆、ユズ、長ネギ、赤カブ… 需要期に痛い不作

 年末年始に需要期を迎える小豆は、主産地の北海道で生産量が厳しい状況だ。道内屈指の産地、JAおとふけでは6月中旬からの日照不足と低温で根が傷み、7月からの猛暑も打撃となった。多くの圃場(ほじょう)で初期生育が不良だった。影響は長引き、生育量が確保できず今年は平年に比べ3割収量が少なくなった。JAは「出荷量が減っただけでなく、粒も小さい小豆が多かった」(農産課)と明かす。

 JAあさひかわも「小豆は相当厳しかった。6月や7月の天候でかなり枯れて、豆が消えてしまったような圃場もあった」(米穀農産課)と深刻な状況を説明する。

 冬至に向けて需要が高まるユズ。JA徳島市によると、7月の西日本豪雨の後に日照りが続き、日焼け果の発生や、乾燥によって果実肥大が進まなかったという。猛暑に加えて、「秋からの高温による腐敗果の発生が心配だ」(南部営農経済センター)という。高知県のJA土佐香美でも日焼け果が発生し、生果用の一部を加工用に回すなどの対応を余儀なくされた。

 山形県鶴岡市では、7月に20日間降雨がなく、その後に断続的に豪雨が発生したことが長ネギの生育に影響した。JA鶴岡園芸特産課によると、現在出荷終盤を迎えている露地栽培の長ネギはシーズンを通し、平年比1割減の出荷量となる見込みだ。同課は「7月の日照りと8月の豪雨で土壌湿度が高くなり、軟腐病も発生した」と話す。

 8月の豪雨は、山焼き農法で作る庄内地区特産の赤カブ「田川焼畑赤かぶ」にも影響を与えた。「地元を中心とした県内の漬物加工業者へ材料として販売しているが、今年は、昨年の半分くらいしか出荷できない」(同課)と頭を悩ませる。

台風、豪雨も影響大

 今夏は記録的な高温となった。気象庁によると、6~8月の天候は東日本で平年に比べ1・7度高く、1946年の統計開始以来最も高かった。沖縄・奄美地方以外の全国各地で猛暑となり、農作業中、熱中症になり救急搬送される農家も続出した。

 雨の降り方も特徴的だった。6月は西日本の日本海側や東日本は曇りや雨の日が少なかった。一方、北海道は低気圧や前線の影響を受け、長雨が続いた。7月は西日本豪雨など各地で局所的な集中豪雨による被害が発生した。

 9月には広い範囲で秋雨前線が停滞した。相次ぐ台風の影響も大きく、関東から九州で降水量は多く、日照時間はかなり少なかった。

【関連記事】

野菜輸入 6年ぶり90万トン超へ 天候不順で国産不安定 中国産長期契約も 生産基盤維持が不可欠(日本農業新聞)

 2018年の生鮮野菜の輸入量が、6年ぶりに90万トンを超えることが確定的となった。財務省の貿易統計によると、10月までの輸入実績は80万4863トンと月平均8万トン以上で、あと2カ月での突破は確実。この10年は、国産が不作となり輸入が急増した12年(91万トン)を除けば、年間80万トン前後で推移している。18年は10月までで1年分を輸入した格好。天候不順や産地の高齢化により、国産の出回りが不安定になったことを受け、輸入生鮮野菜を手当てする動きが強まっている。

 18年の月別輸入量は、5、6月を除いて前年を上回った。年明けから春までは、前年秋の天候不順が尾を引き、国産価格の高騰が長期化したことで輸入物への切り替えが進んだ。3月は、年度末で需要が高まり、単月として13年ぶりの高水準となる13万トンを記録した。7月以降は、北日本の長雨と関東以西の干ばつで夏秋野菜が不作となり、輸入物の引き合いが根強い。「飲食店や加工業者が安価な輸入物の仕入れを強めている」(卸売会社)。

 品目別では、結球野菜の増加が目立つ。国産が露地栽培中心で、天候不順の影響を受けやすいことが背景にある。10月までの累計の輸入量は、ハクサイが前年同期の8・3倍となる1万5412トン、キャベツが2・7倍の8万3834トン、結球レタスが2倍近い1万4447トンと大幅に増えた。

 輸入業者は「これまでは国産が不足したときだけ輸入するスポット契約が主流だったが、今年は中国の業者が長期契約を求め、輸入量が増えた」と明かす。特にレタスは、国産の秋冬物の不作が複数年続いたことで、今年は国産の作柄に関係なく輸入物を仕入れる動きが強まっているという。

 市場関係者は「キャベツでも、輸入物の調達を増やす動きが見られる。国産の出回りが少しでも減ると、輸入にシフトする動きが定着し、さらに強まっている。国産の生産基盤の維持、強化が欠かせない」と分析する。

【関連記事】

岐阜 豚コレラ3例目 銘柄種豚も殺処分 美濃加茂市県研究施設(日本農業新聞)

 農水省は5日、岐阜県美濃加茂市の県畜産研究所養豚・養鶏研究部で、県内3例目の豚コレラが発生したと発表した。同県は、研究所が飼養する豚503頭の殺処分を始めた。県が育成したブランド豚の種豚が含まれ、今後の影響が懸念される。指導的立場にある県研究施設での発生に、関係者らの落胆は大きい。

 3例目は、12月3日に豚4頭が食欲不振などを示したため、中濃家畜保健衛生所が立ち入り検査。4日に農研機構動物衛生研究部門で遺伝子検査した。ウイルスのタイプはこれまで県で見つかっているものと同じだった。古田肇知事は同日の県の対策会議で「万全なはずの県の研究施設で発生してしまい、誠に申し訳ない」と謝罪した。

 同県内では、豚コレラに感染した野生のイノシシの発見が東側に拡大している。豚での発生も1、2例目の岐阜市から、3例目は東の美濃加茂市へと広がった形だ。

 同研究部は、県産ブランド豚「ボーノポークぎふ」の父となるデュロック種「ボーノブラウン」の種豚や精液を供給する。畜産関係者によると「農家も種豚を飼っているため、当面は供給に問題はない」という。ただ、純粋種の維持は困難なため、県は存続に向けて検討するという。

 同研究部から半径3キロ未満に設定した移動制限区域では、豚やイノシシは飼っていない。半径3~10キロの搬出制限区域には、5戸が飼養する。農水省は同日、この5戸と、同研究部と共通のと畜場を利用する2戸の監視を徹底する対応方針を追加した。

 殺処分や消毒などの防疫措置が終了した17日後に搬出、28日後に移動の各制限が解除される。

【関連記事】

世界経由農山村 青年海外協力隊→地域おこし協力隊 100人超が活躍(日本農業新聞)

 青年海外協力隊を経て帰国後、地域おこし協力隊に転身した若者が、各地で活躍している。国際協力機構(JICA)の調べでは、全国で100人以上に上る。海外で新たな価値観や語学、経験を培った若者が、日本の農山村に魅力を感じ、地域の課題解決に励む。

 青年海外協力隊は、アジアやアフリカなど開発途上国に原則2年間派遣し、派遣先で国造りに貢献できる人材を育てるボランティア制度。53年の歴史を持ち、隊員数は5万人を超す。地域おこし協力隊は、地方へ移住し農業など地域活性化に取り組む人に自治体が委嘱する総務省事業で、10年前に始まった。2017年度の隊員は985市町村で4830人に上る。

 JICAの小路克雄・相談カウンセラーは「現場で住民と関わるため、両協力隊は親和性がある」と分析。インバウンド(訪日外国人)の増加もあり、農山村でも外国語で会話できる人材が求められる。小路氏は「国際協力をしてきたからこそ感じられる農山村の魅力もある。国際協力と地方創生という二つの視点を持つ若者の存在は、今後の農山村にとって大きな意味を持つ」と指摘する。

グローバルな視点 足元の宝探しに有効 徳島県神山町・川野歩美さん 滝下智佳さん

 徳島県神山町では、青年海外協力隊を経験した2人の女性が地域おこし協力隊員として、スダチや梅の発信を担う。

 千葉県出身の川野歩美さん(30)は得意のデザインで特産をPRするちらしを作成し、地元ケーブルテレビでリポーターと通訳を担う。地域おこし協力隊を卒業する来春以降は、古民家でゲストハウスを始める予定だ。

 20代は、青年海外協力隊員としてバングラデシュで過ごした。農村をオートバイで巡回し農民の声を聞き、コミュニティーづくりを支援。何度も通ううち、家で一番いい果実を食べさせてくれるようになるなど、アジア最貧国とされる同国で、温かい対応を受けたことが忘れられない。「豊かさとは何だろう」と考える日々だったという。

 同国で金銭や数字で測れない価値観を育んだことが、神山町の暮らしにもつながっているという。町の人からは「モジャ」(ベンガル語で、おいしいの意味)の愛称で呼ばれる川野さん。「地域にある“宝”をよそ者目線で発掘するなど、やっていることはバングラデシュにいた時と変わらない。山の恵みを生かした料理や農業ができる、神山の人みたいになりたい」と見据える。

 もう一人の地域おこし協力隊員、滝下智佳さん(38)は、ボリビアで教育関連の仕事に携わってきた。「人と話すことで何かが生まれる。私が現地の人に指導するのではなく、互いの価値観を交換してきた2年間だった」と振り返る。

 帰国後、都会生活を送っていたが、子どもが生まれたのを機に「持続可能な暮らしをしたい」と、出身地の徳島市に近い同町に家族で移住。今は、ワークショップを通じてスダチの料理発信やジャム作りに奮闘する。

 時間をかけて信頼関係を紡いできたボリビア時代の経験が、今に生きているという。「人に伝えることは一方通行じゃない。地域と暮らしと、仕事がつながる神山町の暮らしの良さを、私なりに伝えたい」と話す。

【関連記事】

農相 刑事告発を視野 農水省 再発防止へ注意喚起 和牛精液持ち出し問題(日本農業新聞)

 和牛精液が日本から中国へ違法に持ち込まれそうになった事件を巡り、吉川貴盛農相は4日、持ち出したとされる男性の刑事告発を検討していることを明らかにした。農水省動物検疫所は、この男性を厳重注意後に解放したが、専門家らとの協議を踏まえ、将来的な告発を視野に入れる。同省は再発を防ぐため、航空会社や税関など関係機関への注意を促している。

 吉川農相は、一連の事件について「大変遺憾」とした上で、和牛精液を持ち出した男性に対する今後の措置として「告発の手続きも進めたい」との考えを示した。

 牛の精液や受精卵を海外へ持ち出すには、動物検疫所で手続きすることが法律で義務付けられている。ただ、和牛の場合は、どの国に対しても輸出は認められていない。

 持ち出した男性は、動物検疫所に連絡することなく、冷凍した和牛精液を大量のストローに入れて無断で中国に持ち込もうとした疑いがある。

 同検疫所は事態の把握後、7月に航空や船舶に関連する民間団体や都道府県、税関に対し、同様の事態が発生しないよう注意喚起のための情報を提供。牛の精液や受精卵を保存する容器の写真などを示し、不正持ち出しと思われるケースがあれば、同省への通報を求めている。11月末から再度、同様の注意喚起を促しているという。

 和牛の遺伝資源を巡っては、法規制前にオーストラリアに流出し、オーストラリア産「WAGYU」が日本の和牛と競合し、輸出に影響が出るなどの問題が起きている。

【関連記事】