スクウェア・エニックスはデジタル販売強化で収益拡大 キーパーソン激白! 進化するゲーム・ビジネス2018(日経トレンディネット)

スクウェア・エニックスは、2017年7月に投入した『ドラゴンクエストXI』や『ファイナルファンタジーXII The ZODIAC AGE』などの大型タイトルの販売、オンライン系タイトルやスマホアプリなどが健闘し、取材時点(2018年1月)で昨年度(2017年3月期)とほぼ同等の収益を維持している。グループ全体のウェブサイトを見直し、情報の提供からコンテンツ販売までの道筋をシームレスにつなげて、デジタル販売力の強化を図る。2018年は海外スタジオ製タイトルが続々と発表される予定だ。松田洋祐社長に2018年の方針を聞いた。(聞き手/渡辺一正、写真/稲垣純也)

【関連画像】『ニーア オートマタ(NieR:Automata)』 (C) 2017 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved

世界的に日本発のゲームが存在感を示した2017年

――2017年を振り返って、どのような1年でしたか。

松田洋祐社長(以下、松田氏): 2016年末からのことですが、2017年全体を通して日本のゲームタイトルが世界的に見て、非常に盛り上がった年だったと思います。

 2016年9月に発売されたRPG『ペルソナ5』(アトラス)を皮切りに、弊社のRPG『ファイナルファンタジーXV』(2016年11月)が発売。2017年は任天堂のRPG『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(2017年3月)などのNintendo Switch(以下Switch)向けのタイトルや、弊社のアクションRPG『ニーア オートマタ(NieR:Automata)』(2017年2月)、RPG『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(2017年7月)など、ヒット作が続いています。

 家庭用ゲーム機本体も、PlayStation4(PS4)は着実に販売台数を伸ばしていますし、Xbox Oneシリーズは好調なホリデーシーズンを迎えました。Switchの販売台数が1000万台を超えたという発表もあります。家庭用ゲーム業界で、日本企業の存在感が非常に高まった1年だったと思います。

 弊社が発売した主要タイトルの売り上げ自体は、おおむね計画通りです。『ドラゴンクエストXI』は久しぶりの本編でしたが、おかげさまで非常にクオリティが高いとお客様からご評価いただきました。数字面でも発売初週で300万本以上が積み上がり、その後も好評です。今回はPS4とニンテンドー3DSの2つのプラットフォームでリリースするという、ある意味すごい挑戦だったのですが、両方とも評価が高かったので、ありがたいですね。

――プラットフォーム別に見た場合、各事業の評価はいかがでしたか。

松田氏: 家庭用ゲーム機からPC、スマートフォンなど全般的に当初の予定よりも良かった年でした。アーケード事業の一部ではちょっと苦戦しましたが。

 ただ、アーケード市場全体はなかなか難しい時代になっていますが、各店舗の売り上げはそう悪くありません。逆に、最近では売り上げを伸ばす追い風が吹きそうです。というのも、近年はリアル店舗を撤退する業種が増えています。立地条件の良い銀行や小売業などの店舗が撤退し、これまでは手が出なかった物件でも入居できるようになってきました。出店施策としては、チャンスが増えてきたと捉えています。

 また、グループ会社タイトーの『スペースインベーダー』も40周年になりますから、いくつか周年事業を展開していきます。最近では、六本木ヒルズでのイベントを実施しており、スクウェア・エニックスからもコンテンツの企画・開発で協力しました。

 家庭用ゲーム事業では、HD(ハイ・ディフィニション)ゲームを中心に、デジタル販売に力を入れていて、それが非常に売り上げを伸ばしています。ゲームタイトルのライフタイムもどんどん長くなっています。

 2017年末のクリスマス商戦では、2016年10月にPS4版をリリースした『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』(2015年)、『ジャストコーズ3』(2015年)といった過去作品を、デジタル販売で猛プッシュしたんですよ。その結果、ものすごく売り上げが伸びました。これらのタイトルは既に開発費の償却が済んでいる作品で、売れたらそれがほぼそのまま利益となるわけです。このインパクトは非常に大きいと思っています。

『グランツーリスモ』に名門ザガートのコンセプトカー登場(日経トレンディネット)

イタリアの名門ブランド「ザガート」のコンセプトカーを誰もが運転できるようになるかもしれない。ただし、PlayStation 4向けのゲーム『グランツーリスモSPORT』の中で――。東京モーターショー2017のソニー・インタラクティブエンタテインメントのブースでは、ザガートがコンセプトカーを初披露。同時に、ゲーム内ではそのクルマで走行できるようにしていた。

【関連画像】『グランツーリスモSPORT』は未だ品薄状態が続くPlayStation VRにも対応している。4つの試遊台のうち、ひとつはこのPSVR環境でのプレイが可能だった

 実在のクルマを、リアルな風景の中で走らせる――そんな楽しみをゲームとして本格的に味わわせてくれた『グランツーリスモ』がソニー・コンピュータエンタテインメント(現・ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の初代PlayStation(PS)で発売されたのは、1997年のこと。今からちょうど20年前だ。

 以来、ゲーム機の進化とともに、グラフィックだけでなく、ドライブフィールなどの細部においても『グランツーリスモ』のリアリティーは向上を続け、「ドライビングシミュレーター」として高く評価されるに至っている。シリーズ初のPS4対応作品となった『グランツーリスモSPORT』では、eスポーツ向けの「スポーツモード」を搭載し、国際自動車連盟(FIA)公認で大会も開催されることで大きな話題となった。

 そんな『グランツーリスモ』は、東京モーターショーでも試遊スペースを設けていた。コックピット型のきょう体に乗り込み、ハンドルコントローラーを使った本格的な環境で、このゲームを約5分間試遊できた。

 巨大な画面を前にドライビングシートに座り、ハンドルコントローラーでプレーできるだけでなく、同作で初めて対応したVRシステム「PlayStation VR」を使った試遊台も設置。一段進化したリアリティーを十分に楽しめる内容で、モーターショーに来場したクルマ好きも引きつけていた。

20年目に発表されたコンセプトカーは?

 プレスデー初日の10月25日に同ブースを訪れたときには、ブース内左端に暗幕に覆われたクルマらしきものが設置されていた。疑問に思って質問してみたが、何が隠されているかは同日17時10分からのセレモニーまで絶対に秘密、とスタッフにはぐらかされた。

 暗幕が取り払われたのは、スタッフの言葉通り17時10分。多くのプレス関係者が詰めかけるなか、『グランツーリスモ』シリーズを手がけるポリフォニー・デジタルの山内一典プレジデントと、ザガートのアンドレア・ザガートCEO、同社でデザインを担当するVP Designの副社長・原田則彦氏がブース内ステージに上がった。

 なんと暗幕の中はイタリアの名門ブランド「ザガート」の新たなコンセプトカー「Zagato IsoRivolta Vision Gran Turismo concept(ザガート・イソリボルタ・ヴィジョン・グランツーリズモ・コンセプト)」で、『グランツーリスモSPORT』というゲームのブースで世界初披露したのだ。

 ゲームのタイトルにもなっている「グランツーリスモ」という名称は、1950年代のイタリア・ミラノで生まれたと語るアンドレア・ザガート氏。ミラノを拠点として活動するカロッツェリア、ザガートにとって、『グランツーリスモ』というタイトルはそれだけ特別な意味を持つ。これが『グランツーリスモSPORT』ブースでの披露につながったようだ。

 原田氏は、「古典的な自動車美を残そうとしている」とデザインの意図を語った。実際、Zagato IsoRivolta Vision Gran Turismo conceptは、優美な曲線の中に鋭利さが潜んだロングノーズを持つ、まさに「GTカー」といったたたずまい。最新のコンセプトカーでありながら、フェンダーが前後のボンネットやキャビンから独立したデザインは、ある意味、「オーソドックス」とも表現できるだろう。長いフロントノーズの中にはキャラウェイ製の4.5リッターV8エンジンが搭載され、最高出力は560馬力にもなる予定だという。

 約100年という歴史を誇るカロッツェリアとのコラボレーションに、「(初代『グランツーリスモ』が発売された)20年前には想像もしなかった」と山内氏は感慨深げに語った。ブースに置かれた車体はモックアップで、まだ走ることはできないが、試遊台で遊べる『グランツーリスモSPORT』はZagato IsoRivolta Vision Gran Turismo conceptのお披露目と共にアップデートされ、ゲーム内でこのクルマを選べるようになった。

 独特の造形美を持つボディーを、強烈なV8エンジンでFR駆動する感覚を味わえるのは、「リアルな操縦感」が持ち味の『グランツーリスモ』ならでは。時期は未定だが、今後のアップデートで一般ユーザーも遊べるようになることは確実だ。『グランツーリスモSPORT』ユーザーは刮目してその日を待とうではないか。

(文/稲垣宗彦)

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