「孤独の向こう側」の境地、悟りたいなら井上陽水 80年代歌謡曲は悩めるオヤジの処方箋(日経トレンディネット)

BS12 トゥエルビで放送中の『ザ・カセットテープ・ミュージック』で、80年代歌謡曲の優れた論評をくり広げるマキタスポーツ氏とスージー鈴木氏が、同世代のビジネスパーソンに「歌う処方箋」を紹介するこの企画。前回(オヤジたち、孤独の向こうの“新たな世界”に旅立とう参照)、どうせ誰もが孤独なのだから、しっかり引き受けて、新たな世界に挑戦しよう! とエールを送ったマキタ氏に対して、スージー氏は、井上陽水の名曲から得られる“悟りの境地”によって、孤独の向こう側へと誘う。

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●他人の孤独を知り、己れの孤独を癒す

――スージーさんの「孤独に負けないための歌」は何でしょうか。

スージー鈴木(以下:スージー):私はシンプルなストラテジーで、孤独になったら、もっと孤独な歌を聴いて「自分はまだましや」と慰めようということで、井上陽水さんの曲を紹介したいと思います。

――おぉっ!

スージー:しかも、2曲あります。

一同:おぉ!

スージー:この連載の1回目で「定年退職で傷付いた心を癒せる処方箋」として『傘がない』(歌・作詞・作曲:井上陽水)を紹介しましたが、今回も井上陽水で、曲は『心もよう』(歌・作詞・作曲:井上陽水)です。

マキタスポーツ(以下:マキタ):いいねぇ。

スージー:この歌の一番孤独なパラグラフはここです。

〽 あなたの笑い顔を不思議なことに

 今日は覚えていました

 19才になったお祝いに

 作った歌も忘れたのに

マキタ:うん。

スージー:『心もよう』を聴けば、自分より孤独な人がいるんだなって思えて、十分慰められるんですが、さらに僕が提唱したいのは、その先にある「孤独というものに慣れ親しんでいくと、新たな境地に立てるんじゃないか」ということです。

マキタ:ほぉ。

スージー:その境地の曲とはですね、1973年にリリースされた井上陽水のアルバム『氷の世界』に収録されて、1974年には小椋佳がシングルとしてリリースした『白い一日』(作詞:小椋佳、作曲:井上陽水)です。

マキタ:『白い一日』か。

スージー:ここまでくると、人間は孤独も喜びも何もないんじゃないかっていう(笑)。アラフィフが到達すべき、ある一つの仏教的な境地なんです。

マキタ:あっはっは!

「クリエイティブとは何か?」黒澤明と大島渚の金言 佐々木健一「TVクリエイターのミカタ!」(日経トレンディネット)

10/19(金) 12:00配信

日経トレンディネット

 IT技術の進歩に伴い、あらゆる分野で機械化や自動化が進み、エンターテインメント業界に限らず、さまざまなビジネスにおいても“クリエイティブ”な発想や仕事が求められる時代になった。

 だが、この「クリエイティブ」という言葉……、あちこちで耳にするものの、いまいちピンと来ない人も多いのではないだろうか。直訳すれば、「創造的な」とか「独創的な」という意味だが、果たして、クリエイティブな仕事とはどういうものなのか?

 なんとなく横文字で表記されると、「常人にはできない仕事=クリエイティブ(創造的)なもの」のように思えるが、かつて映画監督・黒澤明は、「創造とは何か?」についてこう明言していた。

 「創造とは、“記憶”である」

 この言葉について、映画監督・大島渚と対談した貴重な映像の中で、黒澤は以下のように語っている。

 「今の人たち(筆者注:若い映画監督ら)は基本的に本を読んでない。純文学なんかをちゃんと読んでる人はいないんじゃないですか。それはやっぱり、ある程度は読んでおかないとね。何もないところから出てこないよ。だから僕はよく『創造というのは、記憶である』というふうに言うんだけど、本当にそう思いますよ。その中から出てくるんで、何もないところに何かが生まれて来やしないって。実生活の中でも、何かいろんな経験があるわけよね。その何かがなきゃ創造は出来ないでしょう」(記録映像『わが映画人生 黒澤明』/日本映画監督協会)

 「クリエイティブ(創造的)」なことといえば、「全く新しいもの」というイメージがあるが、“世界のクロサワ”はむしろ「過去のもの(経験や学びという蓄積)」から生まれてくると断言していた。決して「無から有」が生まれるわけではなく、「有から有」しか生まれないのだと喝破していたのである。

 以前のコラム(「企画は思いつくもの? いや“組み合わせ”で生まれる」)の中で、「どうしたら、新しいアイデアが思いつくのか?」という問いに対して、私は以下の言葉を紹介した。

 「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(『アイデアのつくり方』ジェームス・W・ヤング著/阪急コミュニケーションズ)

 アイデアの元となる材料は、すでに世の中に存在している。重要なのは、それらを新たに組み合わせること。そうした組み合わせの新たなパターンを見つけるには、まずは何より多くの材料を知らなければならない。つまり、さまざまな経験や先人の仕事を知る・学ぶという蓄積がなければ、クリエイティブな仕事は始まらないのだ。

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シュワちゃん人気は“恐竜”に食われた? 実は黄金期は5年だけ(日経トレンディネット)

 アーノルド・シュワルツェネッガーの知られざる魅力をひもといた話題の書籍『シュワルツェネッガー主義』著者のてらさわホーク氏に、シュワルツェネッガーの魅力を改めて聞いたインタビューの後編。
 ※<前編>は記事下の【関連記事】からお読みいただけます

【関連画像】「シュワルツェネッガー主義」(てらさわホーク著、洋泉社刊)

 ここでは転機となった『ラスト・アクション・ヒーロー』をきっかけに、黄金期を過ぎてシュワルツェネッガーが失速していく背景を探っていく。

●転機となった『ラスト・アクション・ヒーロー』

――意外だったのは『ラスト・アクション・ヒーロー』(日本公開は1993年)のことを著書の中で相当辛辣に書かれていたことです。映画好きの少年がシュワルツェネッガー映画の中に入り込んでしまうというコメディアクション映画ですが。

てらさわ: 冷静になってもう1回映画を見てみたら、「これはちょっと」という部分が相当目につきました。やりたいことは分かるんだけど、「でもさ」という。そこはちゃんと書いておかないと、シュワルツェネッガーについての本であると同時に、やっぱり映画についての本なので。

――個人的には好きな映画ですか?

てらさわ: 好きか嫌いかと言われたら「好きだよ」と言うんだけど、映画を見た帰りにラーメン店とかで、「何だったんだろう」と考え込んでしまう、自分の中でどう位置付けるか悩むみたいな。そういう作品ですよね。

――10月19日に『ラスト・アクション・ヒーロー』が新文芸坐で1回だけの特別興行として上映されます。感動したのは、シュワルツェネッガーの作品の中で劇場版の配給権がクリアできるのが、たまたまこの作品しかなかったということです。すごく奇跡的じゃないですか。よりにもよってという言い方も失礼ですけど、これだけが残っていたという。

てらさわ: そうなんですよ。ただ意外なのは、僕が「『ラスト・アクション・ヒーロー』なんてさ」と、あちこちで文句言っていたら怒る人もいて。「いや、何言っているんですか、いい映画じゃないですか」と。いや、いい映画ですよ。よく分かりますけど。でも何かすみませんでしたみたいな。ちょっと考えを改めましたね。

――ファンが多い作品なんですね。

てらさわ: ファンが多いんでしょうね。あとやっぱりいろいろな方がそれぞれご覧になった時期とかがあると思うし。あとそのときの気分、体調とかも。僕もやっぱりたまに見て、何カ所かホロっときたりするし。

――ホロッときますよね。

てらさわ: そうでしょう。何かそういう、意外と一言で駄作とか、あれはクソ映画だとかいう気には間違いなくならないです。

――ただ『ラスト・アクション・ヒーロー』は興行的に大失敗したのは事実で、以降、シュワルツェネッガーのスターとしての勢いは失速していった感が否めません。

てらさわ: 今回全作品を見直してみて改めて思ったんですけど、映画俳優としての黄金時代は思いのほか短いんです。1つには彼だけではない、肉弾アクションスター路線というのが、急速に下火なったのもあるんですが。

――確かに90年代はスタローンも失速しましたね。

てらさわ: スタローンもそうですし、彼らの後も結局続かなかった。ジャン・クロード・ヴァン・ダムもドルフ・ラングレンも。何か1回どこかで飽きられたのかな。そもそもシュワルツェネッガーがメインのフィールドにしていた中年オジサン向けのR指定のアクション映画ってそんなに大きなビジネスじゃなかったと思うんですよ。

――客をものすごく絞っていますもんね。

てらさわ: それこそ僕、小中学生ぐらいのとき、おやじがよくテレビで映画見てたんですけど「またチャック・ノリスか」みたいな。そういうオジサン向けの狭いマーケットの中で、もしかしたらスタローンとシュワルツェネッガーは特殊な事例だったのかもしれないと思います。若い人たちや家族連れ相手にバッと観客層を広げたんだけど、実はその広げた観客たちは、後になると、やっぱり恐竜が出てくる映画とか、海賊が出てくる映画のほうがいいとかいうことに気付いてしまって。

――だから『ラスト・アクション・ヒーロー』が同時期に公開された『ジュラシック・パーク』に食われた、とお書きになっていて、すごく象徴的だなと思いました。90年代半ばに映画はCGの時代に突入した。そんななか、肉体を売りにしていたスターが凋落していくという。

てらさわ: そうなんですよね。ただ、そのことについてはちょっとつらい話があって。確かに『ジュラシック・パーク』に大敗を喫したんですけど、よくよく考えたら、『ジュラシック・パーク』の特殊効果を作っていた人たちって、その前に『ターミネーター』もやっていたし、『トータル・リコール』だって、CGの時代の直前に、あんなすごいSFXを駆使していました。そういった先鞭はシュッワルツェネッガーの映画がつけていたのに、彼だけを置いてけぼりにしていくのか! みたいには思いましたね。

「シュワルツェネッガー」ブーム始まる? 驚きエピソードの数々(日経トレンディネット)

 今、アーノルド・シュワルツェネッガー再評価の機運がひそかに高まっている。『ターミネーター』の新作の撮影開始がアナウンスされ、今週末には立て続けに『コマンドー』『ラスト・アクション・ヒーロー』という彼の代表作が新文芸坐(東京・豊島)で限定再上映。チケットは完売する勢いだ。
 ※<後編>は記事下の【関連記事】からお読みいただけます

【関連画像】「コマンドー」吹替版特別上映は10月20日、東京・池袋の新文芸坐で開催。主催:フィールドワークス/TCエンタテインメント、協力:日本俳優連合/ふきカエル大作戦、企画・運営: V8japan絶叫上映企画チーム

 そんな機運を大きく盛り上げたのが今年8月に刊行された「シュワルツェネッガー主義」。同書はシュワルツェネッガーの生い立ちから、全盛期の80年代、政界への進出と波乱に富んだ彼の人生を、出演作の裏に隠された驚きのエピソードと共に描き出す。著者、てらさわホーク氏は80年代からシュワルツェネッガーの映画は必ず公開日に鑑賞してきたという生粋の「主義者」。そんな彼が、今見直しておかないと損をする! というシュワルツェネッガーの知られざる魅力を語った(聞き手はTVディレクターの稲垣哲也氏)。

――「シュワルツェネッガー主義」、本当に面白く読ませていただきました。

てらさわ: ありがとうございます。

――タイトルから、どういう本なのか想像がつきませんでしたが、1本の映画を見るような感じで読めて、てらさわさんのシュワ愛を感じました。

てらさわ: わりとニュートラルな立場で書こうと思っていたんですが、やっぱりそうなっちゃうものですね(笑)。

――しかし、なぜ今シュワルツェネッガーについて書かれようと?

てらさわ: 雑誌『映画秘宝』でかれこれ18年ぐらいずっとお仕事をさせてもらっていたんですけど、まとまった仕事は実はしていなくて、田野辺さん(※注:元映画秘宝編集長。現在はさまざまな映画関連書籍を企画)から、「もういい年なんだから本を出そう」というお話をいただいて。そのとき、パッとひらめいて、「シュワルツェネッガーでどうですか?」と言ったら、一瞬、沈黙があって。「まずい」と思ったんですけど、「今までシュワルツェネッガーについてまとめたものを誰も書いてないんじゃないですか」と。

――そうですね。

てらさわ: 確実に一時代を築いて、あれだけ稼いで、人気者になった人が、今では割と語られなくなっている。語られることがあったとしても、「80年代にこんな人がいた」という面白ネタみたいな域を出ない。だけど、よくよくその作品について考えてみると、意外と語りシロはあるぞと。誰かがこれをまとめないといけないと思うんですよ、という話をしたら、「何かよく分からないけどやってみろ」というふうに大英断をもらいました。

――僕はてらさわさんと同世代ですが、80年代後半に中高生だった僕たちにとってシュワルツェネッガーは特別な存在で、本1冊かけて彼を掘り下げるというのはとても斬新な企画だと思いました。

てらさわ: 例えば、僕らの5歳から10歳上の先輩だと、もうちょっと立派な映画体験がある。彼らはスタローンの『ロッキー』シリーズでも、映画館で最初に見たのは第1作の『ロッキー』(日本での公開は1977年)。でも俺たち世代は『ロッキー3』(1982年)からです!という。

――そうですね。僕、『ロッキー4/炎の友情』(1986年)かもしれないです。

てらさわ: 『ロッキー3』とか『ロッキー4』は、もちろんいい映画です。いい映画だけど種類が違うよね、という。『ロッキー』第1作の話を半笑いでする人っていないと思うんですね。だけど『ロッキー3』とか『ロッキー4』とかってみんな半笑いというか、全笑いじゃんという。それでいいのかと思うし、そこに関してまじめに何か作品として話をしている人っていなくない?と思ったんです。

――確かに。

てらさわ: 筋肉スターが出てきて、何かざっくりしたことをやっていたという。それで終わってしまってもいいのかと。まあ、恥ずかしい言い方をすると、そういう映画こそ自分を作ってきたものじゃないですか。だから真面目にやろうと思って。

「ウルトラQ」人気怪獣がよみがえる 「ULTRAMAN ARCHIVES」始動(日経トレンディネット)

10/17(水) 8:00配信

日経トレンディネット

 円谷プロダクションは2018年10月15日、同社の新プロジェクト「ULTRAMAN ARCHIVES」を発表した。ULTRAMAN ARCHIVESは「ウルトラQ」をはじめとする同社の歴代作品を、幅広い世代にアピールするべく始めるプロジェクト。新たな切り口でのビデオソフト化、作品上映イベント「Premium Theater」の開催、特別商品の販売などを計画している。

【関連画像】同内容のBlu-rayとDVDが同梱されるビデオグラム。HDデジタルリマスター版のほか、「総天然色ウルトラQ」の映像も収録

●厳選したエピソードを掘り下げた企画を展開

 ULTRAMAN ARCHIVESでは、まず「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」の4シリーズからエピソードを厳選し、個々の作品を多面的に紹介していく。作品の内容だけでなく、当時のスタッフたちがどのような思いで作っていたかといった当時のエピソードや、その作品に影響を受けた識者の評論なども取り入れる。

 その第1弾となる「Premium Theater」では、「ウルトラQ」からケムール人が登場した人気エピソード、第19話「2020年の挑戦」を11月17日にイオンシネマ板橋で上映する。加えて、ウルトラマンシリーズの初期作で監督を務めた飯島敏宏氏と、「ウルトラQ」「ウルトラマン」の初回放送当時6歳で見ていたという漫画家・浦沢直樹氏のスペシャルトークショーも開催。この模様を全国14の劇場で見られるライブビューイングも実施する。

 続いて、「2020年の挑戦」のDVD/Blu-ray、関連書籍を展開する。DVD/Blu-rayは「ULTRAMAN ARCHIVES Blu-ray&DVDセット」として2019年2月に発売予定(予定販売価格4800円)。本編映像はHDリマスターモノクロ版に加え、2011年のカラーライズバージョン「総天然色ウルトラQ」を収録。制作スタッフやキャストによる証言や記録、識者の評論も収める。

 書籍は「ULTRAMAN ARCHIVES VISUAL BOOK 2020年の挑戦」として、Premium Theater会場で先行発売。追って2019年に一般販売する。「ウルトラQ」はモノクロのテレビシリーズでありながら劇場映画と同じ35mmフィルムで撮影されていたため、その35mmオリジナルネガから新規に高解像度で素材をスキャン。放映時や映像を見ただけでは分からないキャラクターやセットの質感、特撮技術の粋が分かるカットを収録するとのこと。判型はA4横型、全36ページで、予定販売価格は1019円。

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<マキタスポーツ、スージー鈴木>オヤジたち、孤独の向こうの“新たな世界”に旅立とう 80年代歌謡曲は悩めるオヤジの処方箋(日経トレンディネット)

BS12 トゥエルビで放送中の『ザ・カセットテープ・ミュージック』で、80年代歌謡曲の優れた論評をくり広げるマキタスポーツ氏とスージー鈴木氏が、同世代のビジネスパーソンに「歌う処方箋」を紹介するこの企画。今回のテーマは「孤独に負けない歌」。部下との世代間格差で、日々、寂しさをかみしめるアラフィフには、迫り来る定年の向こう側で新たな「孤独」が待ち受けている……そんな過酷な今を生きるオヤジたちに、マキタ氏とスージー氏が「孤独の克服法」を伝授する!

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●80年代の青春を描くオヤジ世代の胸キュン映画

――今回のテーマは「孤独に負けない歌」ということで、我々アラフィフの孤独感を癒してくれるような、あるいは孤独感に打ち克つのに役に立つような歌をご紹介ください。

マキタスポーツ(以下:マキタ):僕からいかせてもらっていいですか?

スージー鈴木(以下:スージー):どうぞ。

マキタ:僕が今回紹介したいのは、『Drive It Like You Stole it』(作詞・作曲:Gary Clark)です。

一同:(ぽかんとする)

――すみません。この連載で初めて知らない曲が出てきたのですが……。

マキタ:この曲は『シング・ストリート 未来へのうた(原題:Sing Street)』(脚本・制作・監督:ジョン・カーニー)という青春モノの音楽映画の挿入歌なんです。

スージー:うわあーっ! 『シング・ストリート』、大好き!!

マキタ:まあ、一部、すごく熱狂的に支持された映画なんですけど。

スージー:抜群でしたねぇ。

マキタ:2016年に公開されたんですが、その舞台がもう僕らオヤジ世代の青春期そのもの。80年代が舞台で、映画の中で流れる音楽も当時のヒット曲ばかりっていうアイルランド映画なんです。

スージー:そうでしたね。

マキタ:ストーリーとしては、ティーンエイジャーの男の子がいて、お父さんの事業の都合でパブリック・スクールに転校する。で、夫婦仲がよろしくなくて、両親が離婚するとか、そういう状況の中で自分の生活も変わっていく。新しく転校した学校は勝手が違って、すごい体罰を受けたり、イジメに遭ったりする中で、好きな音楽で仲間を集ってバンドを組む。

スージー:はい。

マキタ:そこに気になる女の子が登場して、彼女が年上のいけすかない不良な兄ちゃんと付き合ってる。その女の子も不良なので、主人公の男の子には「自分はいけてない」っていう気持ちがあるんですけど、バンドを始めて、どんどん強くなっていくっていう。

スージー:そうそう。

マキタ:この映画を知ってる人は少ないと思うのですが、こんなにいい映画を知らないまま、がむしゃらに働いているアラフィフは孤独だなぁって、そう思うんですね。

――そうきましたか。

マキタ:日々、新しく、面白いものが発信されているのに、知らないなんてもったいない。とにかく、一度、この映画を観てください。そして、この曲を聴いてください、と。『Drive It Like You Stole it』っていう曲のタイトルは「自分の人生なんだから、自分でハンドルを切って、自分で運転していこうよ!」っていう意味なんですね。

スージー:そうそう。

マキタ:これを僕が好きな長渕剛さん風に言うならば、(長渕剛の口調で)「おまえが舵(かじ)を取れぃ!」ってことです。

――なるほど。

有村架純が禁断の恋に挑戦! テレ朝はなぜシリーズ作品が充実?(日経トレンディネット)

業界ネタ一筋、国内から海外まで取材カバー歴15年の長谷川朋子さんが、いま気になるエンタメコンテンツをお節介にも紹介しながら、そこから見えてくるトレンドも勝手に解説します。今回は走り出した10月スタートの連ドラの傾向からドラマ事情を紹介します。

【関連画像】金曜ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系、毎週金曜22時~)

●法廷ドラマ~米倉涼子、新キャラ確立なるか

 右肩上がりで数字を伸ばした『義母と娘のブルース』(TBS系)が7月クール民放連続ドラマの平均視聴率トップを独走し、夏はホームドラマが久々に盛り上がった。10月クールは刑事、法廷からビジネス、恋愛、ヒューマン、サスペンス、グルメなど、ジャンルの上ではそう偏りなく並んでいる印象を受ける。それでもいつも通りゴールデン、プライムのドラマは法廷、刑事ものが強いのか。

 法廷を舞台にしたドラマは2本。月9でハリウッドの人気ドラマをリメイクした『SUITS』(フジ系)と、主演の米倉涼子が新キャラクターで挑む『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子』(テレ朝系)だ。それぞれ1話完結型の痛快エンタメを売りに、見やすさ重視のドラマが展開していきそうだ。

 双方ともに話題性の仕込みにも抜かりない。『SUITS』は織田裕二と鈴木保奈美が『東京ラブストーリー』以来27年ぶりの共演がそのひとつ。また『リーガルV』は米倉涼子がフリーランス医師・大門未知子役から巻き込み系ヒロインへのイメージ転換に関心度が高い。

 『リーガルV』の制作陣は脚本家以外『ドクターX』とほぼ同じメンバー、同じ木曜ドラマ枠ということもあり、数字に対するプレッシャーは必要以上にありそうだ。「米倉涼子さんだけでなく、共演する向井理さんや菜々緒さんらのキャラクター作りも入念に仕掛け、“キャラクターショー”を目指したい」と話していた関係者の言葉からもそれがうかがえる。

●恋愛ドラマ~オリジナル脚本対決に注目

 一方、今クールは恋愛系も充実している。火曜夜10時は有村架純の相手役に新人の岡田健史を起用した禁断×純愛ストーリー『中学聖日記』(TBS系)、水曜夜10時は新垣結衣と松田龍平が今どきの恋愛を描く『獣になれない私たち』(日テレ系)、金曜夜10時は戸田恵梨香とムロツヨシによる純愛劇『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)などがそろう。

 恋愛ものは視聴者層が絞られがちだが、恋愛ドラマ鉄則のカップル2人のしっくり感によって大きく化ける可能性はある。また、『獣になれない私たち』は野木亜紀子、『大恋愛』は大石静が脚本を手掛ける。完全オリジナルの脚本家対決にも注目である。

 10月クールは17シーズン目に入る『相棒』(テレ朝系)、18シーズン目の『科捜研の女』(テレ朝系)、続編が投入される『下町ロケット』(TBS系)もあり、「シリーズ化」作品も目立つ。これら固定ファンがついているドラマはある程度の視聴率が確保できるだろう。2桁台をキープすることすら厳しくなっている今、数字が見込める作品は局にとって貴重な存在だが、シリーズ化されるドラマのジャンルは限られているようにもみえる。

駄菓子屋のオヤジは伝説「ニューロティカ」のボーカル 亜希子の「B面人生」に幸あれ!(日経トレンディネット)

10/8(月) 8:00配信

日経トレンディネット

人生に迷えるライター・大木亜希子が「世の中に潜むちょっと変わった人」をインタビューし、彼らのマインドを掘り下げていくこのコラム。人生の先輩たちへの取材を通し、輝く未来を手に入れるためのヒントは得られるのか? 経験豊かで前向きに“珍人生”を謳歌する、幸せな「B面人生」を手に入れた先駆者たちの素顔に迫る。

【関連画像】今回の主人公、あっちゃんが店主を務める駄菓子屋「藤屋」

 東京・八王子の駄菓子屋「藤屋」。創業60年を超える同店は、地元のお年寄りから子供まで多くの人に愛されている。この店を切り盛りするのは、2代目若旦那のイノウエアツシさん(53歳)。通称・あっちゃん。

 店内は子供に人気の菓子だけでなく、ロングセラーの渋い商品まで並んでおり品ぞろえは豊富。常連の要望に応えるべく、あっちゃんは週の半分以上、朝5時に起きて問屋へ出向く。

 接客の合間に、地元の町内会で配られる菓子の折り詰めを作るのも大事な仕事だ。エプロン姿で黙々と作業する姿は、なんとも平凡。だが、この男がひとたびステージに立つと、日本を代表するロックバンドのボーカルへ変身する。

文化祭の“ノリ”で作ったバンドが…

 1983年、高校の同級生同士で結成したコピーバンド「シャッフル」。文化祭で曲を披露するべく“軽いノリ”で作ったこのバンドが、1年後、新メンバーを加えて「ニューロティカ」というバンドに生まれ変わる。

 ギターもピアノも弾けない、音符も読めないイノウエ少年は、「人と違うことをしたい」という思いからピエロの格好でステージに立つことをひらめいた。

 「当時、学生が自発的に主催するイベントが多くあったんです。市ヶ谷の法政大学講堂では数カ月に一度ライブがあって、新人バンドはそこに立つことがステータスでした。500円や1000円の入場料でお客さんにチケットを売る仕組みは、『学生ビジネス』の走りだったんじゃないかな。ピエロメイクなんかしてライブ出たら不良に脅されると思ったけど逆に大ウケ」

 文化祭の延長気分を引きずりながら2年がたち、気がつけば二十歳になっていた。最初は自主レーベルを作り、自らの手でレコード店へCDを置いてもらうよう営業をかけていた。

 「まさかこれで飯が食えると思ってなかったし、25歳くらいで解散して結婚でもすると思っていました」

 ところが、追い風がやってきた。時代はバンドブームに突入し、バブル絶頂。同バンドに目をつけたレーベルの人間からフグをごちそうになり、タクシーチケットをたんまりともらった。「月5万円やるから今後のスケジュールを組ませろ」と大人から給料の人参をぶら下げられると、「バイト代にプラス5万円もらえれば、年齢の割りにはもうかるな」とふんだ。契約を決めると、瞬く間に忙しい日々が始まった。

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森美術館に新アートスペース 東京カルチャー発信の「平成展」(日経トレンディネット)

10/6(土) 8:00配信

日経トレンディネット

 森ビルは2018年8月31日、六本木ヒルズ展望台 東京シティビューに新たなアートスペース「東京カルチャーリサーチ」をオープンした。変化し続ける東京のカルチャーシーンを発見・研究し、紹介することを目的に同社が新設した。時代に注目した展示をとおして、「ジャパニーズポップ」の魅力を発信するのが狙いだ。

【関連画像】演出、美術を担うアーティスト・たかくらかずきによるVR作品は自由に体験できる。体験者の見ている景色が会場スクリーンに映し出される仕組み

 初となる展示は、平成元年である1989年から1999年の平成初期10年を切り取る「平成展 1989-1999」。会期は2018年10月31日までで、ポップポータルメディア「KAI-YOU.net」を運営するカイユウと共催する。「平成展」を三連展として、平成を10年間ずつ区切り全3回の開催を予定するほか、「東京の文化的特異点」を感じる作品を不定期で展示していく。

 東京カルチャーリサーチは、六本木ヒルズ森タワー52階のカフェ「THE SUN & THE MOON」内の約17平方メートルのコンパクトな空間だ。入場料は無料で、展望台・森美術館の入館料のみで入場できる。特にマンガ、ゲーム、アニメなどを深く掘り下げ、東京シティビューとしての独自リサーチとセレクションに基づき不定期で展示する。カイユウ代表 米村智水氏と森ビル東京シティビュー企画担当の風間美希氏は同世代で、ミレニアル世代ど真ん中。ポップカルチャーに特化したメディアであるKAI-YOU編集部が手がける異色の展示だ。風間氏は「オールジャンルで『ポップ』を追求するカイユウと、商業的な大きな展示とは異なる形で、東京にうずまく“面白いもの”を紹介する場を作りたかった」と説明する。

存在感を放つVR作品

 前述の平成展は、30年間の平成の終わりに、10年という節目ごとのカルチャーを鑑賞者自身の記憶と共に振り返るのがコンセプト。米村氏は「80年代にはサブカルチャーとして語られたアニメや漫画も、平成初期にはポップとして許容されていきます。既存の価値観が失墜する中で育まれたポップカルチャーは、終わろうとする平成の歴史から、今後どのように次世代へ繋がるのか、新たなカルチャーの始まりへのカウントダウンとしたい」と語る。

 第1回となる「平成展 1989-1999」では、平成初期に重要な位置付けとなった流行モノ20点とVR作品を展示。平成初期のポップカルチャーを、「1000年後にも残るもの」という基準で2000以上の候補の中から厳選し、カイユウの独自の視点で、人や作品を恣意的、主観的に並べ、解説する。

 会場内で存在感を放つのは、アーティスト・たかくらかずきによるVR作品だ。最新のVRはリアルに立体を感じられるものが多いが、この作品はあえて仮想の身体を持たず、幽体として漂う「情報」になることを意識して作られた。「スマブラ」を連想させるグラデーションが施された空の背景や、ひぐらしの鳴き声など、平成初期独特の不安感をあおる「エモい」演出と連動させ、VR内に配置された21のオブジェクトに近づくとKAI-YOU.netの編集者たちの解説が聞こえてくる。会場内の博物館的な解説と比較すると、ここで流れる声は批評的で、よりKAI-YOUの主観が含まれた解説となっているそう。

 風間氏は「ジャパニーズポップというキーワードをもとに、時代に注目した展示を発信したい」と今後の展開にも意欲的だ。「東京カルチャーリサーチ」は、この「平成展」ありきで新設されたという。

 続く「平成展 2000-2010」は2018年12月1日から2019年1月31日、「平成展 2011-2019」は2019年3月1日から2019年4月30日に開催予定。懐かしさを巡る回顧展ではなく、終わりゆく平成を通して未来のポップカルチャーを探る本展は、広い世代の心に刺さり、それぞれ異なる感想を抱くだろう。新たな森美術館の「視点」から発信されるメッセージは、小スペースながら強い熱量が感じられた。

(文/小西 麗)

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聖曲『リンダ リンダ』はオヤジの目玉を黒くする 80年代歌謡曲は悩めるオヤジの処方箋(日経トレンディネット)

BS12 トゥエルビで放送中の『ザ・カセットテープ・ミュージック』で、80年代歌謡曲の優れた論評をくり広げるマキタスポーツ氏とスージー鈴木氏が、同世代のビジネスパーソンに「歌う処方箋」を紹介するこの企画。

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 我が子や若い部下たちに、辛く厳しい歳月を生き抜いてきた人生の先輩として伝えたい曲について語り合う対談。前回、スージー鈴木氏が選んだ浜田省吾の『I am a father』(作詞・作曲:浜田省吾)をともに絶唱し、雄たけびを上げた後、マキタスポーツ氏が“オヤジの魂の叫び”として選んだのは、誰もが知ってる“あの名曲”だった。

●『リンダ リンダ』は名曲を超えた聖曲だ

――では、かなり白熱したところで、今度はマキタさんのお薦めの曲を教えてください。

マキタスポーツ(以下:マキタ):僕は、1987年発売のTHE BLUE HEARTSの『リンダ リンダ』(作詞・作曲:甲本ヒロト)です。

一同:おぉっ!

――スージーさんが推した浜田省吾の『I am a father』(作詞・作曲:浜田省吾)とは、全然方向が違いますね。

スージー鈴木(以下:スージー):いや、おんなじ話のような気がします。

マキタ:これは今の子どもだけじゃなくて、日本人、いや、人類の子孫にまで代々聴き継がれていく名曲です。僕は「名曲の条件」って、誰もが知ってるのに、その曲の音源を持ってるわけではないことだと思うんです。

――ほぉ。

マキタ:音源を持っていないのに……。

スージー:みんな、知ってる。

マキタ:そう、知ってるってことですよ。そこまでいくと、もう「名曲」じゃなくて、聖(ひじり)の曲と書いて「聖曲(せいきょく)」と言いたいですね。

――なるほど。「名曲」を超えた、さらに上の「聖曲」ですか。

マキタ:パンク・ロックがなかなか市民権を得られないアングラ音楽として扱われていた当時、『リンダ リンダ』は、それを一段高いところに持ち上げた。しかも、別にパンク・ロックがどうのっていう原理主義的なものとか、イデオロギーとか、思想とか、そういうことじゃなくて、広い層の人たちにこの曲の永遠不変性っていうものが伝わった。

スージー:はい。

マキタ:『上を向いて歩こう』(作詞:永六輔、作曲:中村八大、歌:坂本九)に匹敵するくらいの名曲として、ロック界に誕生したのがこの『リンダ リンダ』だと思っています。

――同感です! この曲は我々の世代を代表する歌です。なのに、以前、『ザ・カセットテープ・ミュージック』のなかで、マキタさんが話されてましたよね。「僕とスージーさんがブルーハーツの話で大盛り上がりしていたら、この番組のプロデューサーのT女史に冷めた目で見られた」って。あの放送を聞いて、私も憤慨していました。きっと反省して、改めてブルーハーツを勉強し直されたと思うので、まずはTさんに歌ってもらいましょうよ。

マキタ:Tプロデューサーが歌うの?

スージー:いや、歌えないでしょ。

Tプロデューサー:それは歌えますよ。

――ほんとですか?

Tプロデューサー:あのとき、お二人の「『リンダ リンダ』が素晴らしい」っていう話に反応が薄くなってしまったのは、カラオケで、みんながソファで飛び跳ねてあの曲を歌っているシーンに、もう500万回くらい遭遇しているからで……。

マキタ:はっはっは!

――そうですか。野郎どもがどれだけ『リンダ リンダ』が好きか、いやというほど思い知らされていたんですね。失礼しました。