伊藤忠が米の部品加工会社に出資(SankeiBiz)

 伊藤忠商事は、デジタル化技術を活用して納期を短縮する部品加工技術を持つ米プレソラ(カリフォルニア州)に出資した。人工知能(AI)などの技術が進歩し、自動車や医療機器、携帯などの通信分野で、短納期による商品開発ニーズが高まっているほか、少量多品種の部品加工にも対応する。

 プレソラのCAD(コンピューター利用設計システム)をネット上でダウンロードして試作部品加工プロセスをデジタル化することで、大幅な納期短縮ができる。同社が持つ材料を使えば、最短でウェブ上の受注から1日で試作することも可能。熟練技能者不足にも対応できる。米国に加え、日本や中国をはじめアジアの顧客向けに受託生産サービスを提案する。

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住友林業、環境配慮型合板を拡販 20年度に昨年度比4.8倍(SankeiBiz)

 住友林業は環境保全対策を強化するため、独自の合板商品「きこりんプライウッド」を拡販する。環境配慮型商品を顕彰するこれまでの「エコプロダクツ大賞」に代わり、新たに制定された「エコプロアワード」の第1回制度で奨励賞を受賞したのを機に攻勢をかける。2017年度には同社が販売する合板製品の10%に当たる約5万立方メートルを販売しているが、20年度には4.8倍の24万立方メートルへと大幅に拡大する計画だ。

 きこりんプライウッドは森林認証材と持続生産可能な植林木を50%以上使用した、JAS規格適合の商品。普通合板や構造用合板、コンクリート型枠用合板などに広く使われている。

 合板の原材料となる東南アジアなどの天然木は減少傾向にある。各国政府は伐採や輸出規制に踏み切るなど、天然林の保全維持を強化。環境配慮や安定供給の両面から、植林木や認証材への転換が必要になっている。 こうした中、きこりんプライウッドは発売以来、売り上げの一部を同社がインドネシアで行う植林費用に充当。その植林面積は東京ドーム22個分の105ヘクタールに達している。植林苗には5~7年で伐採期を迎える早成樹を使用している。

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アジア最大級の起業家支援イベントに内外の100社、2000人が参加(SankeiBiz)

 技術系ニュースサイト運営のテックインアジア(シンガポール)は、アジア最大級の起業家支援イベント「テックインアジア トーキョー2018」を20、21日、東京都内で開いた。日本での開催は今回で5回目。2日間で国内外から約2000人の起業家や投資家が集まった。

 国内外の約40人の起業家や専門家が次々と登壇し、金融とIT(情報技術)とを融合したフィンテック、ヘルスケア、人工知能(AI)、ベンチャー投資動向などをテーマに、起業や新事業創生で必要なことについて、それぞれの立場から意見を交わした。

 主催者であるテックインアジア・ジャパンのデビッド・コービン最高経営責任者(CEO)は冒頭のあいさつで、「東南アジアの中間所得層が世界経済の牽引(けんいん)役だ。日本企業が東南アジアのベンチャー企業へ積極的な投資を行うことにより、経済の好循環に大きな役割を果たしている」と語った。

 会場内には、国内外の約100社のベンチャー企業がブースを構え、起業家が大手企業の新規事業担当者らと名刺交換する光景が見られた。

 また、ベンチャーキャピタルによる資金調達に関する相談コーナーには、多くの起業家が足を運んでいた。

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プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、フリーの多様な働き方支援(SankeiBiz)

 労働人口の減少により、生産性を高めることを目的として政府は「働き方改革」を推進している。それに伴い、フリーランスや企業に属しながら副業に従事するといった多様な働き方が注目されている。半面、フリーランスは収入が不安定であるほか、事業資金の調達に苦労するといった課題にも直面している。プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の平田麻莉代表理事は、主にフリーランスのためのさまざまな支援に取り組んでいる。

 ◆きめ細かな制度

 フリーランスにとって大きな不安の一つに、業務中に発生した事故などにより損害賠償責任を負ってしまうことだろう。例えばパソコンがウイルス感染し、発注者の個人情報が漏洩(ろうえい)した。納品したシステムの欠陥により発注者に営業損害が生じたなど。体一つで仕事をしているため、それに伴う責任も一人で背負わなければならないからだ。

 同協会では支援策の目玉として、損保ジャパン日本興亜を幹事社に大手損保4社による、日本初のフリーランスを対象に業務上の賠償責任を補償する「ベネフィットプラン」を有料会員(年会費1万円)に付けている。このほかにも、けがや病気で働けなくなったときの最長1年間の所得補償制度や、税務申告などに使用する会計ソフトやコワーキングオフィスの利用料割引など、組織の後ろ盾のないフリーランスをきめ細かく手助けする。

 ◆自らの経験を基に

 同協会はフリーランスや副業など、働き方の多様化を背景に2016年10月に経済産業省が「雇用関係によらない働き方に関する研究会」を立ち上げたことに触発された平田さんが、知人らに呼びかけて誕生した。

 平田さんはフリーランスの企業広報として仕事をしながら2人の子供を育てる中で、保育園探しの「保活」などで苦労した経験からフリーランスのための独自組織の必要性を感じていた。

 翌17年1月には日本政策金融公庫、ヤフーなど23社の協力を得て任意団体として発足し、4月には一般社団法人となった。今では賛助・協力企業は90社を超え、有料・無料合わせて1万人の会員を擁している。

 これからの働き方について「日本企業の平均寿命は三十数年なので、個人の就労期間の方が長くなる。終身雇用ではなく、いろいろな組織で働くことが当たり前になるだろう」と予測する。

 今年中に企業によるフリーランスの活用を促すため、有料会員のデータベースを公開する。自己PRのほか、カメラマンであれば写真、デザイナーであれば作品の画像を掲載する。

 求人側の企業は、仕事をするエリアや職種などの条件を入力して検索する。ほかにも事業資金の融資が得られやすくなるよう、仕事の実績、人脈など信用力を評価する新しい与信の仕組み作りにも取り組んでいる。

 周囲からは「NPO法人8つ分のことをやっているね」と言われる。「いろいろな人が“プロボノ”(専門知識やスキルを生かすボランティア)として、自らのスキルを提供して無償で協力してくれている。意欲のある人が自由にプロジェクトを立ち上げ、活躍できる場にしたい」と多様な働き方をしやすい環境を整えている。

ウーバーが狙う「空飛ぶタクシー」構想 “第2の革命”へ準備、23年にも事業化(SankeiBiz)

 新宿から横浜に、10分で到着-。ライドシェア(相乗り)サービスで世界の移動の在り方を大きく変えた米配車大手ウーバー・テクノロジーズは、2023年にも“第2の革命”を起こそうと準備をしている。スマートフォンで手続きをして、気軽に主要都市間を飛行する「空飛ぶタクシー」構想だ。課題は多いが、そのインパクトは大きく、実現に向けた取り組みが注目される。

 ◆現状の交通に限界

 「2次元のトランスポーテーション(交通)には限界がある。3次元に踏み出し革命的に変えたい。空に、迅速で安全な交通網が構築できる」

 8月末、ウーバーは同社が計画する空飛ぶタクシー「ウーバーエア」について説明するシンポジウムを東京都内で開催。バーニー・ハーフォード最高執行責任者(COO)は、その将来性の大きさを強調した。

 構想では、乗客は同社のライドシェアと同じようにスマホで“乗車”予約し、ビルの屋上などに設置する離着陸地点「スカイポート」に移動。複数の電動プロペラで飛ぶ「eVTOL(電動垂直離着陸車両)」で他の都市のスカイポートまで飛ぶ-というものだ。ここで例えに出したのが、新宿駅(東京都新宿区)上空から横浜スタジアム(横浜市)を結ぶルートだった。

 ハーフォード氏は、世界的に都市部の人口増が加速するとの予測について「経済的なチャンスである一方、交通渋滞という大きな損失も懸念される」と指摘。渋滞を解消できる新しいモビリティー(乗り物)の必要性を訴えた。また、「インドのムンバイやニューデリーでは、何万人もの人が2時間以上かけて通勤している。これを短縮できれば家族と過ごしたり、仕事をしたりすることに時間を使える」と、具体的な事例を出して必要性を説明した。

 同社が標準モデルとしているeVTOLは時速150~200マイル(240~320キロ)。旅客機が高度約1万メートルの上空を飛ぶのに対し、高度300~600メートルを想定している。1回の充電で96キロ飛べるという。

 東京を中心に考えると神奈川、千葉、埼玉3県のほぼ全域をカバー。北関東の主要都市である宇都宮、水戸、高崎(群馬県)などとの間も結べる可能性があり、時速から単純計算すると、これらの各市と東京との間を20分程度で移動できることになる。

 eVTOLは4人乗りで、荷物を載せる広さもある。4つの電動プロペラで飛行し、垂直に離着陸できる。初期はパイロットが操縦するが、将来的には自動運転とする考えだ。

 試験飛行開始は20年の予定。「23年までに3つの都市で飛ばす」(ウーバー関係者)という。米国のロサンゼルスとテキサス州での実施は決まっており、3番目の都市として日本、フランス、オーストラリア、インド、ブラジルの5カ国の中から選ぶ方向で検討している。

 ◆道路整備より割安

 インフラの整備が課題だが、道路を張りめぐらせるよりは割安だというのがウーバーの主張。シンポジウムでは高速道路が建設される過程の動画まで流し、空飛ぶタクシーの方が割安と強調した。ビルの屋上に設置するスカイポートについて同社は、「必要なものだけを少ない面積に配置する」としており、既に最適なデザインや、コストを抑えられる設置手法を研究している。

 eVTOLはドローン(小型無人機)を、人が乗れるように大型化するイメージ。ウーバーは社外から調達する方針だが、ここ数年のドローンの進化をみると、実現可能性は十分ありそうだ。ただ、複数のeVTOLが同時に空を飛べば、ヘリコプターのように騒音の問題が起きる懸念もある。

                  ◇

 ■日本出遅れ…課題は規制改革

 さらに、規制の問題も簡単ではない。旅客機よりは高度が低いとはいえ、空を飛ぶ以上、事故が起きれば重大な結果につながりやすいからだ。

 日本は規制改革が進まないケースも多く、現にウーバーの本業であるライドシェアも解禁されていない。ウーバーに出資するソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が講演で、「こんなばかな国はない」と批判したほどだ。

 シンポジウムでは「(空飛ぶタクシーにより)車に乗ることが経済的ではない、という状況にしたい」と、“過激”な発言も飛び出した。ハーフォード氏は「(空飛ぶタクシーは)既存の交通手段を補完するものだ」としており、スカイポートまでの移動でタクシーなどとの「接続」を重視しているようだが、既存勢力に“脅威”と受け取られ、反対論が強まる可能性もある。

 最大の焦点は「価格」と空域管理だろう。ウーバー関係者は「パートナー企業が機体を大量生産すれば、1時間当たり数十万トリップも可能だ」と鼻息が荒い。運行数が増えればスケールメリットで料金を抑えることができるが、一方で空域の管理は難しくなる。規制の問題とも関連するが、災害救助や救急のヘリコプターなどの飛行の安全にも万全を期す必要がある。ウーバーは米航空宇宙局(NASA)と都市部の航空交通などについての技術研究で連携しているが、この問題を解決できるかは不透明だ。

 日本でも政府が「空飛ぶクルマ」の官民協議会を立ち上げ、20年の実用化を目指すとしたが、出遅れ感は否めない。協力するにしても対抗するにしても、先に具体的な構想という“旗”を掲げたウーバーを強く意識しながら取り組まざるを得ない状況だ。(高橋寛次)

首都圏私鉄、快適車両で沿線価値向上へ 「乗りたい」車両で「住みたい」狙う(SankeiBiz)

 「おしゃれ」「癒やされる」-。“痛勤”電車と揶揄(やゆ)されてきた東京都心に向かう首都圏の私鉄に、乗って心地よい車内をアピールする新型車両が導入され始めた。東京急行電鉄は背の高い座席と木目調の床で居心地の良い空間を創出、相模鉄道は大手私鉄で初めて朝と夜で色調が変わる照明を導入した。従来の車両メーカーに任せた設計とは違うデザインは好評で、「乗りたい」車両がもたらすイメージアップで路線のブランド価値を高め、沿線に「住みたい」につなげる狙いだ。このブランド戦略に一役買ったのが商業・文化施設など空間づくりのプロ、丹青社だった。

 ◆街や駅と調和

 「混雑が激しいとか、到着が遅いとか、おしかりの声をいただく殺伐とした朝を快適なものに変える」

 東急電鉄の門田吉人・運転車両部車両課長は田園都市線に今年3月登場した新型車両「2020系」のパンフレットを開きながらこう強調した。

 「おしゃれな沿線の街や駅と調和する車両」にするため、コンセプトカラーに車窓からの緑とあう「インキュベーションホワイト(美しい時代へ孵化(ふか)していく色)」を採用、先頭形状は丸みを帯びた柔らかみのあるうりざね顔をイメージした。

 内装にもこだわった。座席は背もたれを高くしたハイバック仕様を採用し快適性を向上。荷棚の位置を低くし荷物の積み下ろしを容易にした。照明は明るすぎず(白色が強い)、暗すぎない(黄色が強い)リラックス感のある色合いを取り入れた。

 門田氏は「親しみやすい、心地よいをテーマに、座席や照明を含め室内全体のカラーコーディネートにこだわった。乗客からは『こんな車両がいいよね』『(木目調の床をみて)木の香りを感じ、落ち着く』など最高の評価をいただいた」と笑う。

 現在は10両編成5本が運行されているが、年末には9本まで増やす。来年度以降も順次導入し、2022年度には全車両が2020系に切り替わる。

 ◆「動く広告塔」

 一方、悲願の都心直通を控える相鉄は今年2月、車両を横浜の海をイメージした濃紺色(ヨコハマネイビーブルー)で塗装し、高級車を思わせるグリルとヘッドランプでインパクトある先頭形状に仕上げた「20000系」を導入した。

 神奈川県を基盤に運行する相鉄が、これまでのイメージを一新するためにデザインした新型車両で、19年度下半期からのJR線に続いて22年度下半期から始まる東急線との相互直通運転に使われる。相鉄ホールディングス経営戦略室の鈴木昭彦課長は「ローカル企業が東京進出という節目を迎える。イメージアップを図る好機ととらえ、車両にデザイン性を持ち込むことにした」と説明する。

 相鉄グループは昨年12月に迎えた創立100周年を機に認知度や好感度の向上を狙って駅、車両、制服などのデザイン刷新を開始。16年には、20000系に先駆けて「9000系」をリニューアル、車両外観に濃紺色を初めて採用した。内装は落ち着きのあるグレーをキーカラーに、「朝は気持ちよくさわやか、夜は安心する優しい光」というように昼と夜で色調を変える調光機能付照明や英国スコットランド製本革を使用したボックスシートを導入。利用者から「イケメン電車が来た」「リラックスできる」と好評だ。

 相鉄グループは都心乗り入れを大きなチャンスととらえる。そのためのデザイン刷新で「車両は沿線外にグループの魅力を発信する“動く広告塔”と位置づけ、認知度を高める」(鈴木氏)戦略だ。「沿線が意外と近く通勤圏内と知ってもらえば、来てもらえるし、住んでもらえるかもしれない」と期待する。

 ◆デザイン重視に転換

 両社とも「デザインはこれまで車両メーカーが考えて提案してきた」(門田氏)という。安全に乗客を運ぶことに主眼を置き、通勤車両は旧態依然とした工業デザインが多かった。しかし「デザインなくして家電が売れない」(鈴木氏)ように、乗客を増やすには機能に加え、デザインが欠かせなくなった。

 そこで声をかけられたのが空間デザイナーの丹青社だった。商業施設などの空間づくりでかかわってきたからで、東急のコンペを勝ち抜いたデザインセンターの上垣内泰輔プリンシパルクリエイティブディレクターは「車両のことは知らなくてもいいので、インテリアデザイナーとして参加してほしいと打診を受けた」と打ち明ける。

 東急らしい親近感と先進性から田園都市線の沿線住民のライフスタイルを調べ、ベースカラーを選定し先頭の顔を決めた。「車両を移動のための道具ととらえず、沿線に住む人のリビングルームを動かすという提案を行った」(上垣内氏)という。

 「安全・安心・エレガント」という相鉄のデザインコンセプトから膝詰めで議論してきたのは洪恒夫エグゼクティブクリエイティブディレクター。「通勤電車は日常使いの住民の足。住んでもいいなと思える沿線価値向上を狙いに車両をデザインした」と説明、20000系には高齢者や子育て世代に配慮し、立ち座りが容易なユニバーサルデザインシートとベビーカーなどのフリースペースを設けた。デザイン車両が「選ばれる沿線」の実現を後押しする。

 洪氏は「われわれは目に見えるところをスタイリッシュにするのが仕事。デザインがビジネスにかかわることに企業が気づくようになった」と指摘する。誰にも愛される空間づくりを手がけられるプロの活躍の場が広がりそうだ。(松岡健夫)

スピルリナ、将来のタンパク不足救世主に 食品開発のタベルモ、ブルネイで量産化(SankeiBiz)

 藻の一種の「スピルリナ」を使った食品開発のタベルモ(川崎市高津区)は、来夏にもブルネイでスピルリナの量産工場を稼働、年間生産量を現在の10倍となる、1000万トンに引き上げる。スピルリナは、新興国の経済発展や人口増加を背景としたタンパク質不足の救世主として期待されており、同社は味の向上と社会課題解決に挑む。

 同社は5月に三菱商事や産業革新機構から17億円の資金を調達し、7月には、ブルネイに現地法人「タベルモバイオファーム」を設立した。現在は静岡県掛川市の培養工場で年間約100万トンを生産している。

 ◆豊富な栄養素含む

 スピルリナはタンパク質含有量が圧倒的に高く、抗酸化物質やビタミン、ミネラルなど豊富な栄養素を含むのが特徴。粉末や錠剤を中心に世界で約3000億円の市場規模がある。

 バイオベンチャーであるちとせグループ傘下のタベルモは、まだ知名度が高くない。佐々木俊弥社長は「食材としてのおいしさを追求し、まず日本で知名度を上げていきたい」と話す。フローズンヨーグルトや飲料、パンなどに練り込むペーストなどを販売している。

 量産化を機に、提携する三菱商事グループのローソンなどと協力の可能性を探るほか、米国や中国など海外市場も開拓したい考えだ。

 ビジョンは「食品や培養の開発を通じて将来の食糧問題という社会課題の解決」にある。

 2050年の世界人口は90億人を突破すると予想されている。新興国の経済成長を背景に、「世界のタンパク質需要は05年に比べ2倍の供給量が必要となるが、30年頃には需給が逼迫(ひっぱく)し、不足が顕在化するとの予想もある」。米国で肉の代替としてエンドウ豆など植物由来の人工肉も相次ぎ登場しているが、タベルモは、日本発の生スピルリナ生産技術でタンパク質不足の課題解決に貢献する。

 これまで一般的に販売されてきた乾燥粉末や錠剤は、えぐみや苦みといった味がネックとなって普及が進んでいない。

 ◆透明フィルムで保護

 農業生産法人と藻を生産するプロジェクトに参加したところ、農家の人が偶然生で食べてみるとえぐみがないと気づき、佐々木氏も試したところ無味無臭だった。殺菌工程で熱を加えるときに、細胞が変化することによって、えぐみや苦みが加わることが分かった。

 他社は屋外プール方式で鳥の侵入や雨水の混入もあるため、熱処理による殺菌工程が必要だが「工夫次第では加熱工程がいらなくなる」と発想を変えた。

 そこで培養システムとして、透明フィルムでカバーした閉鎖式のフォトバイオリアクター(PBR)を独自開発した。藻は光合成だけで増殖するため日照量は必要だが、「夏場は光が当たりすぎても藻は弱りかねない。フィルムで保護すれば異物の混入を防ぎ、強すぎる光を分散できる」と利点を強調する。

 今年5月の増資で、第2の創業にかじを切った。藻生産には豊富な太陽光が必要で、赤道直下に近いブルネイは有望だった。三菱商事は1970年代からブルネイの液化天然ガス(LNG)開発事業に参画。産業多角化と雇用創出を目指すブルネイ政府のニーズに応え、藻から食品添加物などの原料になる「アスタキサンチン」の生産事業にも参画してきた。スピルリナの新工場は、既存施設の有効活用にもつながることから、ブルネイに建設が決まった。今年度中の着工を目指す。

猛暑に備えを、各社が省エネ商品投入 井戸水やミストで住宅環境に対策(SankeiBiz)

 今夏の記録的な猛暑や北海道地震などの自然災害を踏まえ、住宅会社や住宅設備機器メーカーなどは、省エネ型の暑さ対策機能を備えた商品を相次いで投入している。

 木造注文住宅を手掛けるアキュラホーム(東京都新宿区)は今月30日までの期間限定で、井戸掘り付き住宅「井戸のある家」を販売している。

 井戸水は外気の影響を受けにくいことから年間を通して15度程度を維持しており、夏は水道水に比べて冷たく感じ、冬は凍結することなく温かい水として使用できる点が売り物だ。

 とくに夏の暑い日は有効。打ち水でまかれた水は蒸発する際に地面の熱が奪われるため、周辺が約2度下がるといわれ、水道水の節約にもつながるからだ。

 アキュラは猛暑や大規模な自然災害が発生した年に「井戸のある家」を限定で販売しており、今回が3回目となる。今年は7月に発生した西日本豪雨と9月の北海道胆振東部地震で、断水の問題が深刻化した。災害時の避難生活で最もストレスを感じるのはトイレの断水といわれ、井戸水は災害時の非常用水としても活用できることから、こうした観点からの導入の提唱に力を入れている。

 井戸のある家は、同社のベース商品である「住みごこちのいい家」に井戸をセットにして販売。施工・設置までを組み入れたプランのほかに、顧客が自ら手掘りで施工できる2プランを用意している。延べ床面積が97.7平方メートルの場合、本体価格は1610万円から。

 一方、大和ハウス工業グループの大和リース(大阪市中央区)とLIXILは、暑さ対策の一環として真夏の野外イベントに適したミストシステム搭載型のトイレ「(仮称)新型ユニットWC」を共同で開発した。2019年4月から大和リースを通じて販売・リースを行う。

 システムではパナソニックの「シルキーファインミスト」技術を採用。圧縮空気と水を混合し噴出する2流体ノズル方式で平均粒径が10マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)という極微細ミストを生成する。発汗と同じ原理で速やかに身体を冷やし蒸発性も高く、少量の水で熱中症の予防効果を発揮するという。

 また、建設リースの大手である大和リースのノウハウと、LIXILのトイレに関する技術や知見などを融合。温水洗浄便座を標準装備したり、LED(発光ダイオード)ダウンライト照明を配置したユニット型としたり、「汚い、暗い、臭い」といった諸問題を抱えている野外短期イベント用仮設トイレの改善につなげていく。

三菱ケミカル、TOTO、東大など人工光合成でプラスチックやゴム製造(SankeiBiz)

 ■CO2を資源に 循環炭素社会到来

 地球温暖化の元凶として厄介者扱いされている二酸化炭素(CO2)を、資源として活用する取り組みが進められている。三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱ケミカルなどは、人工的に作り出した光合成(人工光合成)を活用して水とCO2から化学品を作る技術を研究しており、2030年ごろに商用化したい考え。化石資源に頼らずにプラスチックやゴムを製造でき、CO2も減らせる夢の技術は、もはや夢ではなくなろうとしている。

 ◆光触媒活用でコスト抑制

 「人工光合成が商用化されれば循環炭素社会が到来する」

 三菱ケミカルの瀬戸山亨執行役員(フェロー)は、同社が参画する「人工光合成プロジェクト」が研究を進める人工光合成の意義をそう説明する。

 プロジェクトは、12年に経済産業省の直轄事業としてスタート。14年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)へ引き継がれた。実際に研究開発を行うのは「人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)」で、三菱ケミカルのほかにTOTOや東大などが参画している。

 植物の光合成では、太陽光エネルギーを使って水を水素と酸素に分けた後、水素と空気中のCO2を反応させて糖(でんぷん)を得る。これに対し、人工光合成は同様に水を酸素と水素に分離した後、水素とCO2を反応させてメタノールを合成。さらにエチレンやプロピレンといったオレフィン類を製造する。光合成と同じではないが、それを模したものといえる。

 水素と酸素は水に浸した光触媒に太陽光を照射して得る。ARPChemが今年1月に試作した大型反応装置は、縦と横が約1メートル、厚さ18ミリの板状をしていて、内部に光触媒のシートが9枚置かれている。

 水の分解には太陽電池で得た電気を利用する方法もあるが、光触媒は「電気が不要なのでコストを抑えられ、日照時間が長い赤道直下に装置を置けばコスト回収のハードルはさらに低くなる」(瀬戸山氏)。一方、太陽光エネルギーからどれだけ水素を作り出せるかを示す変換効率は太陽電池に分があるとされるが、プロジェクト開始当初に0.2%だった変換効率は、直近では3.7%にまで高まっている。これは植物の光合成の10倍以上の水準だ。

 プロジェクトでは、最終年度の21年度に10%を達成したい考え。達成すれば、実証実験が可能になるという。並行して水素と酸素を分離する膜や、オレフィン製造に使う合成触媒も開発中だ。

 ◆温暖化対策に大きな一歩

 日本は光触媒の研究で世界のトップを走っている。もともと光触媒の研究は、1970年代初頭に東大大学院生の藤嶋昭氏と指導教官だった本多健一助教授(ともに当時)が、水に浸した酸化チタンの結晶酸に紫外線を当てると水が分解されて水素と酸素が発生する「本多-藤嶋効果」を発見したことに始まる。「多くの国は諦めて太陽電池に行ってしまった」(瀬戸山氏)だけに、日本にかかる期待は大きい。

 温暖化対策ではこれまで、CO2を排出しないか、排出量を減らすことに重きが置かれてきた。石炭火力発電から再生可能エネルギーへのシフトは代表例だ。しかし、それだけでは年々深刻化する温暖化の対策としては不十分との声も聞かれる。

 これに対し、人工光合成は火力発電所が排出したCO2で化学品を作るといったように、資源として活用できる。温暖化対策が大きく進展すると期待されるだけに、一刻も早い商用化が待たれる。(井田通人)

GSIクレオスがテキサスに拠点開設(SankeiBiz)

 繊維と化学品を中心とした専門商社GSIクレオスは、米国法人で南西部のテキサス地区出張所を10月をめどに開設する。繊維や化学工業製品の米国拠点では、従来ニューヨークとオハイオ州メイソンにあり、これらに続く3カ所目。東海岸と西海岸にアクセスしやすい好立地を生かし、アリゾナ州やコロラド州、カリフォルニア州などの営業力を強化する。

 また、テキサス州は近年日系の自動車関連メーカーなどの集積も進んでいることから、日系企業のニーズにも応えるほか、中南米市場開拓への足掛かりとしても活用したい考え。

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