神戸製鋼所、2018年3月期は最終赤字の可能性も(東京商工リサーチ)

 データ偽装の(株)神戸製鋼所(TSR企業コード:660018152、兵庫県、東証1部)は10月30日、2018年3月期第2四半期決算を発表した。
 東京オリンピックに向け鉄鋼部門が好調だったことに加え、自動車の軽量化ニーズからアルミ・銅部門も伸張し、連結売上高(2017年4-9月累計)は9070億円(前年同期比11.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は393億円(同857.6%増)だった。

◇2017年4-9月連結業績は堅調
 30日15時半から、梅原尚人・代表取締役副社長らが都内で会見した。
 主要扱い品の状況は、2017年4-9月累計の粗鋼生産(単体)は394万トン(前年同期比2.6%増)、販売数量は304万トン(同4.1%増)だった。販売単価は、81.5千円/トン(同13.5%増)で、造船向けは苦戦したが、建設ラッシュで国内向けが好調だった。
 アルミ・銅は、アルミ圧延品(単体)の販売数量が19万3千トン(同3.5%増)、銅板条(単体)が3万トン(同13.5%増)に対し、銅管(連結)は4万2千トン(同8.0%減)と苦戦。自動車や半導体向けは好調をキープした。

2017年度通期の最終損益「見通せない」

 2017年度通期の連結業績は、売上高1兆8800億円(前期実績比10.9%増)、経常利益500億円(前期は191億円の赤字)との見込みを公表した。今回のデータ偽装に伴い、品質管理の適正化に伴う不良率増加のコストアップ、不適合品の処分費用などで約100億円の経常利益の押し下げを織りこんでいる。ただ、再発防止へのシステム改修や人員配置の変更など、抜本的な対策費は織り込んでおらず、費用が明らかになった段階で反映させる方針という。
 また、偽装製品の納入先からの費用負担の請求額などは見通せず、最終損益(親会社株主に帰属する純利益)は公表を見送った。
 梅原副社長は、最終損益が赤字に転落する可能性について問われると「特別損失がどれだけ出るか予想が出来ないと申し上げるしかない」と答えるにとどめ、赤字転落の可能性を明確に否定しなかった。

◇300億円の社債
 神戸製鋼所は2017年度中に300億円の社債償還を予定し、すでに200億円は10月27日に償還を終えた。残り100億円は2018年1月に償還を予定している。今後の資金繰りは「問題ない」と繰り返したが、金融機関とのやりとりや資金計画は明らかにしなかった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年11月1日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

東京商工リサーチ

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(株)ステークスの決算書を読む(東京商工リサーチ)

 10月2日に東京地裁から破産開始決定を受けたステーキチェーン運営の(株)ステークス(TSR企業コード:295376414、東京都)。
 破産直前の2016年12月期の売上高は14億1417万円(前期比12.1%減)と減収だったが、最終利益は3787万円(前期は4440万円の赤字)の黒字だった。黒字転換は減価償却の見送りで捻出されたものだ。ステークスの財務内容を独自に入手し、分析してみた。

アンバランスな資産内容

 ステークスの貸借対照表で目につくのが、「現預金」の少なさだ。2015年12月期の1億766万円が、2016年12月期は5448万円に半減。飲食店という事業特性から、大半は即金回収だ。仕入代金も短期決済が多く、過剰なキャッシュ保持はあり得ない。だが、それにしても現金の減少は異常な水準だ。売掛金等も加味した当座比率は、2015年12月期が210.5%に対し、2016年12月期は54.4%。100%が一つの目安だが、手元資金の困窮ぶりがうかがえる。
 また、多額の「建物附属設備」も気になる。2015年12月期の6億1252万円が、2016年12月期は7億1125万円に増え、総資産の半分以上を占めている。「土地」や「建物」であれば、担保設定で資金調達にも結びつくが、「付属設備」では資金調達のハードルは高い。また、店舗閉鎖で原状回復を求められた場合、大幅な除却を迫られる可能性もある。「建物附属設備」は資産計上されていても、将来に渡る資産価値が未知数で、膨らみも検証が必要だろう。

利益率の低下

 損益計算書では、2015年12月期62.7%だった総利益率が、2016年12月期は58.0%に下落した。安売りの直撃だろう。「地代家賃」は2015年12月期1億7794万円、2016年12月期1億6185万円と、さほど削減できていない。支払利息は1561万円で、借入金は7億7426万円。単純金利は2.0%程度だが、キャッシュアウトが資金繰りの負担になっていた。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年10月31日号掲載「Weekly Topics」を再編集)

東京商工リサーチ

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若き匠の祭典に栃木沸く、技能五輪全国大会まで1カ月(日刊工業新聞電子版)

■メダルに大谷石、意識根付かせる

 「第55回技能五輪全国大会・第37回全国アビリンピック」の開催まで1カ月を切った。技能五輪は11月24日、アビリンピックは17日に栃木県で開幕する。県は2015年4月に「技能五輪・アビリンピック推進室」を設置して以来、大会開催の周知活動を進めてきた。今回は15万人程度の来場者と約25億円の経済波及効果を見込む。“とちぎ発”若き匠(たくみ)による技能の祭典までの動きを追った。

 「多くの県民に技能の素晴らしさや大切さを伝えてほしい」―。栃木県は大会本番に向け一体となって強化策に取り組んできた。15年から出場を目指す企業らに高度熟練技能者や全国大会出場者などを派遣して育成強化を図り、17年は12事業所に延べ10人を派遣した。県主催の公開練習会は16年7月のベルモール(宇都宮市)を皮切りに県内各地で約10回開き、「大会周知に限らず選手らの精神面強化にもつながった」(荒井浩己技能五輪・アビリンピック推進室長)。そのほか栃木県管工事業協同組合連合会などは、訓練資材などを提供した。

 16年の山形大会の栃木県からの出場者は68人で銀賞1人、銅賞3人のほか、敢闘賞4人と入賞者は8人だった。今回の県選手団は両大会合わせて170人と過去最多を記録。荒井室長は「金賞はもちろん、過去最高の入賞数を目指している」と意気込む。中でも山形大会では銅賞だったものの、15年の大会まで連覇していた「タイル張り職種」で金賞返り咲きを狙う。

 大会後も技能向上や継承意識を根付かせるため、会期中に小学生と高校生を対象に大会見学バスツアーを実施する。県内9校の高校生約250人と、4校の小学生100人程度が会場を巡り各競技を見学する。若手技能者を間近で見ることで興味を持たせ、次代につなげていく。約170校の中学生5万5000人程度に、職種紹介などを分かりやすく解説する「ものづくり図鑑」も配布した。最終ページにスタンプスペースをつくり、押印数に応じ記念品を提供する。

 開催県がデザインする表彰メダルの図案にも“若者らしさ”をにじませる。本職のデザイナーには依頼せず、「より身近な世代に考えてもらいたい」(荒井室長)との意向から、技能五輪のメダルは宇都宮工業高校の山井優香さん、アビリンピックは国分寺特別支援学校の白石大成さんがそれぞれデザインした。また、両メダルともに大谷石など県産材を使い栃木県カラーを前面にアピールした格好だ。

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(波聞風問)続くアベノミクス 円は本当に「安全通貨」か 原真人(朝日新聞デジタル)

 総選挙で与党が大勝したことで、金融政策と財政をエンジン全開でふかすアベノミクスは続行される。安倍政権と日本銀行は危機対応のごときこの異例の経済政策をすでに4年半続けている。いったいいつまで続ける気なのか。
 企業はいま業績好調、雇用環境もよく、株価は歴史的な連騰を記録した。そのうえで日銀が国債や株を買い支え続ける意味は何なのか。
 やめられないのは、巨大な借金を抱える政府の問題先送りに都合がいいからだろう。こんな無理を永久に続けられはしない。
 過日インタビューした翁邦雄・元日銀金融研究所長によると、この政策の果てに何が起きるのか専門家でも十分にわかっていないという。……本文:2,216文字
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朝日新聞社

「破綻の構図」(株)ステークス ~ ステーキ店「KENNEDY」展開、値引き戦略が裏目(東京商工リサーチ)

 10月2日、都内を中心にステーキ&カフェ「KENNEDY(ケネディ)」などを展開していた(株)ステークス(TSR企業コード:295376414、品川区、中路優理社長)が東京地裁に破産を申請、同日、破産開始決定を受けた。関連会社1社を含む負債総額は14億3700万円だった。
 「カフェ感覚で気軽にステーキ」をモットーに、カジュアルなステーキ店として一時は人気を博した。だが、同業との競合で顧客を奪われ、安易に値引き頼りの戦略が自らの首を絞めた。夏場から取引先への支払遅延が相次ぎ、信用不安が広がりを見せるなかで経営は限界に達した。

 ステークスは1998年1月に現社長の父、兄らが中心となってステーキレストランを開業した。いわば家族経営の「街のレストラン」だった。アメリカンスタイルで気軽にステーキを楽しめるケネディはすぐに顧客の心を掴んだ。矢継ぎ早に2号店、3号店を出店し、2005年に現社長が就任して以降はそのペースを加速させ、業容を拡大していった。
 1号店の開業から約10年で都内中心に店舗数は約40店舗にまで伸びた。当時、ある業界紙インタビューで、社長は「首都圏で100店のチェーン展開を目指す」と表明していた。テレビやグルメ誌などに取り上げられる機会も増え、ステーキ専門店として確固たる地位を築いていった。

「肉ブーム」に乗れず経営暗転

 しかし、同社の成長曲線は2014年12月期を境に急速に下降していく。
 世間では「肉ブーム」が巻き起こっていた。立ち食いスタイルでステーキ業界を席巻する「いきなりステーキ」は2013年12月に銀座に1号店を開店し、店舗を拡大させた。このほか、1人や女性だけでもステーキや焼肉が楽しめる店が増え、裾野は広がった。ところが、このブームを牽引したのは趣向を凝らし続々とオープンした新興勢で、ケネディが恩恵にあずかることはなかった。
 新興勢に顧客を奪われ、深刻な来店客の減少に見舞われたステークスに、過去のステーキレストランとして人気を博した当初の面影はなくなっていた。

◇値引きキャンペーンありき
 劣勢を強いられ、顧客呼び戻し策として同社がとった戦略が値引きキャンペーンだった。2割、3割引は当たり前。時には半額キャンペーンを打つこともあった。また、店舗の近隣地でドリンク無料などクーポン付きのチラシを配布したほか、クーポンサイトにも積極的に掲載し、値引きを全面的に押し出して集客を図った。
 ところが、繰り返し打ち出したキャンペーンは麻薬だった。値引きで一時的に客足が回復しても、止めれば元に戻り、値引き自体が利益率の低下にも繋がった。

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中小の決済業務を劇的に効率化、企業庁がEDIシステム実証へ(日刊工業新聞電子版)

■注文書・請求書不要、消込作業も自動化

 経済産業省・中小企業庁は2018年度に、中小企業の受注から入金までの決済業務を効率化するため、電子交換(EDI)システムの実証実験に乗り出す。決済情報と商流情報を連携させる仕組みを構築。手作業に頼ることが多い決済業務のIT化を推進し、中小企業の生産性底上げにつなげる。複数グループを選定して効果を検証し、19年にシステムの本格稼働を目指す。

 新システムは、企業間でやりとりする商流情報のデータと金融機関が提供する決済情報を連携させて、通信回線を通じてやりとりする仕組み。受発注から入金までのシステム間のデータ連携を実現することで、パソコンなどの画面上で商取引情報が一元管理できる。注文書や請求書が不要になるほか、特に請求と支払い金額をひも付ける「消込作業」の自動化で、業務の大幅な効率化が見込まれる。

 実証実験では、18年度にモデルとなる実証グループを選定する。中小企業の請求や支払い業務は複数案件をまとめて処理している企業が多く、手作業が中心の消込作業は業務の負担だった。実証グループは3―5組程度を想定し、19年の本格稼働に向けて中小企業が使いやすいシステムの検討などEDI導入による効果を検証する。

 中小企業庁は18年早々に、まず中小企業の受発注業務を効率化するため商流情報システムを稼働する予定。全国銀行協会が、18年12月に金融機関の送金情報に商流情報を追加可能な金融システムの運用を始めることから、先行して稼働する商流システムとこの金融システムを連携させる。

 中小企業庁は、こうした環境整備を通じて、コストの軽減や業務の効率化といった明確な利点を示すことで中小企業への普及が進むと見ている。業界団体や中小企業団体を巻き込んだ普及活動を進めるほか補助金制度なども視野に入れ、中小企業のIT活用の普及を後押し、生産性を向上させる。

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農水省、「完全無人」農業ロボ開発急ぐ 準天頂衛星「みちびき」投入へ(日刊工業新聞電子版)

■水田から隣の水田に自動移動

 農林水産省は、無人自動走行できる農業ロボットの開発を急ぐ。現在、実証実験を行っているトラクターに加えて田植え機やコンバイン(収穫機)、除草ロボットなども対象に入れ、2018年度にも実験を始める考え。機械のレパートリーを増やすことで省人化や省力化効果を高め、スマート農業の普及を目指す。数センチメートル単位の高精度測位が可能な準天頂衛星「みちびき」の活用を視野に入れつつ、民間企業と共同で開発を進める。

 自動走行トラクターの実証実験は、クボタなどの農機大手と共同で北海道で始めており、「技術的な課題はほぼクリアし、農機メーカーがモニター販売を始めた段階」(同省技術政策室)。実証実験は有人トラクターが前方を走る無人トラクターを監視するスタイルだが、18年度以降は水田内で完全無人走行を目指すとともに、水田から隣の水田に移動して作業が続けられるよう改良する。

 機械の対象も田植え機やコンバインなどへ広げる考え。トラクターに比べ、田植え機は、より高い作業精度が求められる。また、コンバインは成長した稲に隠れて地面などの様子は分からないため「安全対策も含め、独自の改良や工夫が必要になる」(同)とみる。除草ロボットも刃物の人身安全対策に加え、誤って作物を刈ってしまわない工夫が必要になるとみている。

 走行台数も2台ではなく、より多い台数を念頭に置く。田植えや収穫作業は天候や気温変化があるため、同一日に集中するからだ。2台より3台走らせる方が作業速度を上げられ複数の田での同時作業も可能になる。「中山間地の多い日本の農業ではこのやり方の方が実用性が高い」(同)。同じ田でも大型機械1台より小型機械を複数使う方が土地へのダメージを減らせる。所得が少ない農業者の購入でも、小型機の方がハードルが低い。

 多数台無人走行や精密農業のカギとなるのが、準天頂衛星の利用だ。「これまでの衛星とは2ケタ以上、精度が違うのでメリットは大きい」(同)。精度向上により、従来は適用が難しかった農作業分野にも自動化や無人化の可能性が広がるとみている。

 日本不動産研究所は30日、全国の田畑価格や賃借料の調査結果を発表した。2017年3月時点の1000平方メートル当たりの全国平均での田価格は、前年比2・0%下落の72万4839円、畑価格は同1・2%下落の43万9618円。それぞれ25年連続、26年連続の下落となった。ただ、落ち込み幅は前年より縮小した。

 価格水準で見ると田畑ともほぼ1977年の価格に近く、最高値からはそれぞれ約4割下落している。下落理由として、後継者不足や農家の高齢化に加え、18年産コメからコメを一定価格で買い上げる減反政策が廃止予定で、米価先行きに不透明感があるのも背景としている。賃借料も田畑とも前年より下落した。

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フリマアプリ続々と スマホで農産物売買 手軽さ魅力、交流も 消費者と“直結”(日本農業新聞)

 スマートフォン(スマホ)を使いフリーマーケットのようにインターネット上で物品を個人売買する「フリマアプリ」で、農産物に特化したアプリを使う農家が増えている。まとまった量でなくても好きなタイミングで出荷ができ、会話が苦手でも、写真を投稿するだけで自分の農産物をPRできる。近年は複数企業が相次いで参入、今後は農業体験などの商品化も視野に入れる。農家と消費者の距離を近づけるツールとして広がりそうだ。

 茨城県土浦市でレンコンを生産する栗又孝行さん(41)は9月、農水産物のフリマアプリ「ポケットマルシェ」に規格外品「訳ありレンコン」を出品した。出品したのは市場出荷量の1割以下だが、「有効に茨城産のPRができる」との思いだった。スマホで好きな量をどこからでも出品できる手軽さが後押しした。

 商品には、首都圏や愛知、沖縄などの10人以上から購入申し込みがあった。交流ページには「生で食べられますか」などの質問も寄せられた。栗又さんは「感想に励まされる」と畑や作物の写真を投稿し、購入者と小まめにやり取りする。

 ポケットマルシェは、東日本大震災で被災した農・漁業者を応援する活動をするNPO法人が立ち上げた企業が、2016年9月に設立。登録出品者は331人で9割が農家、1割が漁師。本間勇輝取締役は「消費者は生産者直送の食材を購入でき、生産者はこだわりを説明して自分で値付けできる」と利点を説明する。

 販売価格の15%はポケットマルシェの手数料、85%が生産者の取り分となる。同社は宅配大手のヤマト運輸と提携。送料は消費者負担だが、通常料金より安く設定されている。ネット上でクレジットカードで決済する。

 本間取締役は「インスタグラムなど写真投稿サイトが人気で、会話が下手な生産者でも、スマホで農産物や畑の写真を撮って掲載するだけで消費者と交流できる時代」と話す。同社は21年までに出品者を4000人以上に増やし、将来は農業体験も商品として導入する予定だ。大手のメルカリも、ポケットマルシェに投資する予定だ。

 こうした農産品に特化したアプリは増えている。ファブリックが今年1月に開設したファーマーズマーケットには、同社が選んだ生産者約100人が出品し、商品は完売。有線ラジオ放送大手のUSENも、7月から飲食店向けに農産物の仲介アプリを立ち上げた。

日本農業新聞

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公開が遅れている映画「一茶」の制作会社、(株)オフィスティーエムが破産(東京商工リサーチ)

 (株)オフィスティーエム(TSR企業コード:297257005、法人番号:6010701019902、品川区西五反田4-30-10、設立平成19年11月2日、資本金100万円、今井貢社長)は10月18日、東京地裁に破産を申請し10月25日、破産開始決定を受けた。破産管財人には古田茂弁護士(本間合同法律事務所、中央区築地1-12-22、電話03-5550-1820)が選任された。
 負債総額は債権者152名に対して約4億1000万円。
 
 設立当初はコマーシャル制作や芸能プロダクションを主体と、近年は映画制作に注力していた。平成22年夏に公開された映画「さよなら夏休み」(監督:小林要、主演:緒形直人)の制作に携わり、所属アーティストの出演料などを背景に年商は約1億円をあげていた。しかし、28年11月頃から制作を開始し29年10月公開予定の映画「一茶」(主演:リリー・フランキー)が、約3億円の制作資金などを出資する予定だった法人から資金を得られないトラブルが発生。このため、公開が遅れ資金繰りが限界に達したことで、事業継続が困難となった。
 なお、関係筋によると、「一茶」は利害関係者が多いため破産手続きのなかで公開できるか調整していく意向。

東京商工リサーチ

10月公開予定だった映画「一茶」の製作会社、破産手続き開始決定受ける(帝国データバンク)

 (株)オフィスティーエム(TDB企業コード:989793773、資本金100万円、品川区西五反田4-30-10、代表今井貢氏)は、10月18日に東京地裁へ自己破産を申請し、25日に破産手続き開始決定を受けた。

 申請代理人は矢作和彦弁護士(中央区築地2-4-3、矢作・市村法律事務所、電話03-6226-1940)。破産管財人は古田茂弁護士(中央区築地1-12-22、本間合同法律事務所、電話03-5550-1820)。債権届け出期間は11月22日までで、財産状況報告集会期日は2018年2月1日午後2時30分。

 当社は、2007年(平成19年)11月に芸能プロダクションの経営とDVD等の制作を目的として設立。代表の今井貢氏は、松田貢として活動し、2009年には劇場映画「さよなら夏休み」(主演:緒形直人)を製作するほか、2012年、2014年には代表と交流のある俳優を主演とした任侠映画を企画するなどして、近年の年収入高は2015年10月期(約1億5000万円)、2016年10月期(約9600万円)で推移していた。
 
 そうしたなか、当社が製作会社となり、今年10月に公開予定だった小林一茶の生きざまを描いた映画「一茶」(キャスト:リリー・フランキー、佐々木希、中村玉緒ほか)の製作資金について、都内のスポンサー候補より総額3億円の投資を受ける予定となっていたが、実行されない事態に発展。代表者による製作資金の立て替えなどが行われてきたが、事業継続が困難となった。

 負債は債権者約152名に対し約4億1000万円。

 なお、申請代理人の矢作弁護士は「『一茶』の撮影は2月にクランクアップしており、破産手続きの中で公開に向けて各関係者と協議していきたい」と話している。