ティム・クックも称賛 「82歳アプリ開発者」の初書籍が売れている(日経トレンディネット)

 81歳でシニア向けのゲームアプリを開発した“ITおばあちゃん”若宮正子氏が書いた本『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』が2017年12月7日、ぴあから出版された。初版6000部だが反応がよく、発売前に重版が決定したという。

【関連画像】2017年12月上旬に発売された「明日のために、心にたくさん木を育てましょう」(若宮正子著、ぴあ刊、税抜1100円)

 若宮正子さんは1935年生まれ。東京教育大学(現在の筑波大学)附属高校を卒業し、大手都市銀行に62歳まで勤めた。その後、在宅で母親の介護をしながらオンラインチャットを始めたことからパソコンの魅力に開眼し、やがてシニアのためのゲームアプリがないことに不満を抱くようになった。「それなら自分で作ってしまおう」と考え、81歳でアプリ「hinadan」を開発したところ注目され、米アップル社が年1回開催する世界開発者会議WWDC(Worldwide Developers Conference)に招聘(しょうへい)されて、ティム・クックCEOから称賛されたという。ティム・クックCEOが若宮氏に会いたがった理由について、「10歳の坊やがプログラマーだってことは知れわたってるのに、じいさんばあさんのプログラマーってそもそもダイバーシティーの中に入ってなかった。スマホの世界も飽和状態の中でシニア世代の開拓が必要ということに気づいたんじゃないかしら」と若宮氏は推測する。

 本を出すきっかけは、ぴあの編集者がウェブニュースでこうした経緯を知り、興味を持ったこと。「リサーチすればするほど旺盛な好奇心、チャレンジ精神、自由な発想に驚かされた。きっと彼女の言葉は、人生や仕事に迷っている人やシニア目前で先行きに不安を抱えている人を勇気づけるのではないかと考えた」(編集を担当した宮内宏子氏)。制作を進めるなかで担当編集者が驚かされたのは、さまざまな依頼に対するレスポンスの速さと的確さ。たとえば表紙はイメージを伝えたその日の夜に、エクセルアートの木がメールで届き、デザイナーともども驚がくしたという。「取材中、ハッとする言葉をたくさんいただいた。自分に置き換えて考えられる言葉がたくさんあり、きっと多くの人に勇気を与えることができる本だと思う」(宮内氏)。

(文/桑原 恵美子)

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「新Firefox」はChrome並みに軽快になった スマホ版には不満も(日経トレンディネット)

 Mozilla(モジラ)が公開したWebブラウザー「Firefox」の最新バージョン「Firefox Quantum(Firefox 57)」。公開から1カ月あまりが経過した今、そのパフォーマンスや使い勝手はどうなのか検証してみた。Webブラウザーのシェアでトップを独走するグーグル「Chrome」に代わる選択肢となり得るのか?

【関連画像】Net Applicationsが調査した2017年11月のデスクトップパソコンとノートパソコンのブラウザーシェア(主要製品だけをグラフ化)。Chromeが60.61%と、圧倒的なシェアを誇っている

●ユーザーからの評価は上々

 「Firefox Quantum」は、1年以上の開発期間を経て公開された。特に起動時間の短さやWebページの表示速度といったパフォーマンスは、前バージョンから大きく向上し、公開時にはブラウザーのシェアで大きな差がつけられているグーグル「Chrome」と比較し、「メモリーの使用量を最適化し、効率では30%以上を上回った」と自信を見せたほどだ。

 Firefox Quantumは、公開以降、国内外のメディアやユーザーの評価でも好意的な意見を見聞きする。日本ではユーザーのパソコン環境により、起動の遅さを指摘する声もあったが、公開後も細かいバージョンアップを重ねることでより質の良いブラウザーに仕上がりつつあるようだ(※執筆時点ではバージョンは57.0.2となっている)。

 早速、開発陣が自信を見せたパフォーマンスをChrome(※執筆時点ではバージョンは63.0.3239.84だ)と比較してみたい。

●パフォーマンスはChromeと変わらない

 Windows 10で、パソコン版のFirefox QuantumとChromeを、「ブラウザーの起動時のパフォーマンス」と「ベンチマークサイトの総スコア」で比較した。

 「ブラウザーの起動時のパフォーマンス」は、インターネットにつながっていない状態で起動し、新規タブを10個開くまでのCPUの使用率とメモリー使用量の変化をWindows 10の「タスク マネージャー」で比較した。一方、「ベンチマークサイトの総スコア」は「Octane2」「JetStream」「Speedometer2.0」の3つのサイトで行った。ベンチマークの検証は各5回ずつ行い、その都度パソコンの再起動をしている。

 検証に用いたノートパソコンのスペックは、CPUが「Core i7-3517U」(1.90GHz、最大2.40GHz)、メモリー容量が8GBだ。

 「ブラウザー起動時のパフォーマンス」では、タスクマネージャーの「CPU」「メモリ」のグラフの動きにほとんど差は見られなかった。体感的にもWebサイトを表示するのにパフォーマンスの差は感じない。

 このことは「ベンチマークサイトの総スコア」の結果からも明らかで、両者で明確な差は現れなかった。ベンチマークによっては、Firefox Quantumのスコアが高くなることもあり、パフォーマンスはChromeにほぼ追いついたと考えていいだろう。

■Octane2 ベンチマーク

<Firefox Quantum>平均スコア:21693.4

<Google Chrome>平均スコア:22038.4

■JetStream ベンチマーク

<Firefox Quantum>平均スコア:118.1

<Google Chrome>平均スコア:117.5

■Speedometer2.0(r221659) ベンチマーク

<Firefox Quantum>平均スコア:38.27

<Google Chrome>平均スコア:47.83

PC用マウス、Razerなどのゲーミングモデルに人気集中(日経トレンディネット)

 前回の「キーボードはゲーミングが人気、Razerが首位も大混戦」に引き続き、今回はパソコンショップ アークにマウスの売れ筋を取材した。ゲーミングに強い同店の特性上、マウスも売れ筋の中心となっているのはゲーミングモデルだ。フロアマネージャーの渋谷義寛氏は「ゲームをプレーする際にもっとも利用するのはマウスになります。微妙なフィット感の違いが操作の機微に直結するので、ユーザーの選び方はキーボードよりもシビアかもしれません」という。

【関連画像】ワイヤレス系で指名買いの多い「Naga Epic Chroma」(左)と「Lancehead」(右)

 そのなかで支持を集めているのは以下のラインアップとなる。キーボードと同じく、ランキングの順位はブランド単位とした。ピックアップしているモデルは、そのなかの売れ筋という位置づけだ。

 売れ筋ランキングは、上位すべてがゲーム向けとなっていた。渋谷氏は安定した人気を得ているブランドとして、3社を挙げた。「RaserとZOWIE(BenQ)、ロジクールですね。ただ、ロジクールは他店でも取り扱いが多いこともあり、当店のランキングだと割って入るブランドも出てきます」とのことだ。それぞれのブランドの人気の理由は次のページから追っていこう。

※掲載している価格は、2017年12月15日15:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見ていただきたい。

ワイヤレスの評価も高いRazer、きめ細かなZOWIEも定番

 人気トップブランドのひとつとして挙げたのは、キーボードでも総合トップとなっていたRazerだ。ブランド内でも王道的な人気があるという有線光学マウス「DeathAdder Elite」(税込み7080円)のほか、19ボタン搭載の「Naga Epic Chroma」(税込み1万4753円)のような有線無線両対応モデル、左右対称のゲーミングマウス「Lancehead」(税込み1万6329円)のようなワイヤレス専用モデルなど、接続スタイルの異なるラインアップの評価が高いとのことだ。

「ひと昔前のゲーミングマウスは、ワイヤレスという時点で性能がワンランク落ちると見られる部分もありましたが、最近はテクノロジーが相当進化していて、取り回しの快適さもあってファンが増えています。その最前線にいる主要メーカーのひとつということで、ゲーミングモデルもさまざまなニーズをきちんと満たしている感がありますね」

 もうひとつのトップに挙げたのは、BenQのゲーミングブランド・ZOWIEだ。キーボード部門でもランキング上位に顔を出すようになったが、マウス部門では数年前からゲーミングの定番という地位を築いている。

 ラインアップには、左右非対称の「EC1/2-A」や左右対称の「FK1」などがあり、いずれも指名買いされることが多いという。

「ゲーミングマウスは比較的大ぶりなモデルが多く、欧米人に比べて手が小さいことの多いアジア系の人には扱いづらい場合がありますが、ZOWIEはサイズ違いの『EC1-A』と『EC2-A』を出すなどして、ちょうどいいサイズのものが選べるのが喜ばれています。光学センサーのチューニングもきめ細かくて愛用者を増やしている印象です」

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今年のデジタル製品ベスト5 あの「折り畳み式スマホ」がスゴかった(日経トレンディネット)

 2017年も、おかげさまで日経トレンディネットで2つの連載を続けることができた。今年もいろいろな製品を取り上げてきたが、その中でも特に印象に残っているものをベスト5形式で紹介していこう。

【関連画像】【5位】高性能マウス「MX Master 2S」。手前が旧モデルのMX MASTERだが、実は形状は変わっていない。それだけ完成されているということだ

 年初に東芝の2in1モバイルノート「dynabook V」やファーウェイのSIMフリースマホ「Mate 9」を紹介したのが、もうずいぶん前のように感じる。それからおよそ1年の間に話題のモデルが次々と登場し、僕としても良い点、いまいちな点をチェックしてきた。ここで取り上げるベスト5のうち、発売前の1つを除いて4つは既にそこそこ使い込んでいる。5位から順に紹介していこう。

●複数のパソコンを使うならぜひ欲しい

【5位】高性能マウス「MX Master 2S」(1万2880円)

 ロジクールがマウスのトップブランドというのは間違いない。その中でも最上位モデルが「MX Master 2S」だ。本体は高さ85.7×幅126.0×奥行き48.4mmとかなり大きいが、親指をのせるスペースが確保されているのがポイントで、使っていて疲れないのだ。もちろん、手の大きさには個人差があるが、僕にとっては程よいサイズだと感じている。

 マウス本体が使いやすいのは言うまでもないが、注目すべきは専用アプリの「Logicool Flow」だ。このアプリを複数のパソコンにインストールしておくと、1台のマウスを使って複数のパソコンでシームレスに作業できるようになる。一方のパソコンでディスプレーの端までマウスポインターを動かすと、マウスポインターが隣のパソコンのディスプレーに移動するのだ。マルチディスプレーのような感覚で複数のパソコンを操作できる。

 しかも、それぞれのパソコン間でファイルのコピー&ペーストも可能。Macでコピーした画像をWindowsに貼り付けることまでできてしまうのだから画期的だ。「パソコンでできたらいいなあ」と僕が夢に見てきた機能を、なんとマウスが解決してしまった。

 MX Master 2Sは、マウスとしては飛び抜けて高価なのだが、その価値は十分にある。複数のパソコンで作業する人は、良いマウスとキーボードをそろえて長く使うのが、結果として一番お得になる。僕も愛用中で、もう手放せない相棒になっている。

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ドコモが開始した「カーシェア」の中身は? レンタカーもOK 、dアカウント活用(日経トレンディネット)

 近年、レンタカーに加え、より短時間、低料金からクルマを借りられるカーシェアリングサービスが台頭している。企業が個人にクルマを貸すカーシェアリングの代表格はタイムズ24が運営する「タイムズカープラス」で、2017年7月末時点の会員数は約85万人、クルマを設置しているステーション数は9700カ所。利用者同士が個人のクルマを貸し借りする個人間カーシェアリングでは、DeNAの「Anyca」が、2015年9月のサービス開始から2年で会員登録数約9万人、登録車数約3500台を獲得し、先陣を切る(関連記事:カーシェアが伸びる理由は安い、無人、15分から、ネットでクルマを貸し借り 個人間カーシェアは進むか)。

【関連画像】dカーシェアなら、レンタカー、カーシェア、個人間カーシェアを横断検索し、指定した範囲で借りられるクルマを表示する

 そんな中、また大手企業がカーシェアリングビジネスに参入。NTTドコモだ。ドコモは2017年10月から、新事業として「dカーシェア」を開始した。特徴は、従来からあるレンタカー、カーシェアリング、個人間カーシェアリングの3種類のサービスを、1つのアプリ上で検索、予約、支払いをできるようにしたことだ。

 レンタカーはトヨタレンタカー、オリックスレンタカー、ニッポンレンタカー、日産レンタカーなど7社と、カーシェアリングはオリックスカーシェアと提携(2017年12月時点)。個人間カーシェアリングは独自にクルマを貸したいオーナー、借りたいユーザーを集めて新規に立ち上げる。これらをdカーシェアのアプリから、ドコモが発行するID「dアカウント」(ドコモユーザー以外も取得できる)で利用できるようにした。

 ドコモは、dカーシェアを「日本初の総合カーシェアリングプラットフォーム」として、サービス拡大に意気込む。2019年には会員数50万人が目標だ。

 今回、レンタカーでは大手各社と提携したdカーシェアだが、カーシェアリングでは提携先はオリックスカーシェアのみ、個人間カーシェアリングはゼロから自前でサービスを構築しなければならない。

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2017年「買って良かったデジタル機器」3選(日経トレンディネット)

 2017年、購入したりレビューして良かったデジタル機器を、専門家に3つ選んでもらった。ライターのジャイアン鈴木氏が選んだおすすめ製品は……。

【関連画像】左奥がGoogle Home、手前がeRemote mini。Clova WAVEは仕事部屋に設置している。しばらくAmazon EchoとGoogle Homeを併用して、最終的に使用頻度が低いほうを寝室に設置する予定だ

●買わなきゃ人生損するVRゴーグル

 筆者は今年、スマホ「Galaxy S8+」と「Galaxy Note8」を購入した。そのどちらでも入手したのがGalaxyシリーズをスタンドアローンVRデバイス化する純正アクセサリー「Galaxy Gear VR with Controller」(1万5500円、以下Gear VR)だ。

 Gear VRはGalaxyシリーズのスクリーンをディスプレーとして使い、VR体験を可能にする「VRゴーグル」。Galaxyシリーズのために専用設計されているので、視野角が101度と広めだ。Galaxyシリーズには有機ELディスプレーが使われているので映像も美しく、銃を撃つ、剣で斬るといった操作が可能なモーションコントローラーも付属している。汎用VRゴーグルと比べると群を抜いた完成度と言えよう。

 同じくスマホと組み合わせてスタンドアローンVRを可能にするアクセサリーとしては、Galaxyシリーズ以外のハイスペックスマホでも広く利用できる「Google Daydream」があるが、VRコンテンツはGear VRのほうが質・量ともに上だ。グラフィックのクオリティ、ゲームの作り込みともに大きな差がある。

 筆者の一番のオススメVRコンテンツは「Drop Dead」。襲い掛かるゾンビを多彩な銃器で撃退するガンシューティングゲームだが、複数ステージが用意されており、シナリオも練り込まれている。実際、最後には泣ける。ゲームシステムだけではなく音声メッセージもしっかりと日本語化されているのも嬉しいところ。990円の有料タイトルだが、1~2時間はたっぷり遊べ、何度でも楽しめるので、GalaxyシリーズとGear VRを入手したら真っ先に購入してほしい作品だ。

 もちろんVRの体験としては、PC接続型の「Oculus Rift」や「HTC Vive」のほうがリッチだ。またGear VRでは、頭や手の方向は認識されるが、位置は取得されていないので、たとえばジャンプやしゃがんだり、移動といった動作は行えない。それでもGear VRではどこででもプレイできるというメリットがあるし、なによりGalaxyシリーズを持っていれば追加出費は1万6000円前後とVRデバイスとしては格安。Galaxyシリーズを持っているなら、買わなきゃ人生損すると断言できるほどの必須アイテムだ。

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着眼点はいいのに惜しい! 元アップル副社長が選ぶ今年の家電(日経トレンディネット)

ソニーやウォルト・ディズニーなど、先進的な製品やサービスを世に送り出す企業を渡り歩き、アップルではアップル米国本社マーケティング担当バイス・プレジデント(副社長)を務めた前刀禎明氏。最近はチャレンジングで魅力的な製品も多いが、ヒット商品になるには、ある視点が足りないという。今年発売された商品で、前刀氏が「着眼点はいいのに惜しい!」という製品を3つピックアップ。ものづくりに必要な要素とは何かを語る。

【関連画像】ソニーの「ICD-TX800」は、幅・高さともに約38mm、奥行き約13.7mm、重さ約22gという超ミニサイズ。正方形という形も新鮮だ。録音が始まると最上部の小さなランプが赤く点灯する

 2017年もまもなく終わり。この1年を振り返る意味で、2017年に発売されたデジタル製品や家電のうち、「惜しかった」と僕が思う製品を3つ紹介します。「惜しかった」と感じるのは、その製品の魅力は発信できているからこそ、「この視点が欠けている」「ここがもう少しこうだったら」と要望したくなるからです。注目に値する製品を生んだメーカー各社に敬意を表しつつ、僕なりにどこが良いと思ったか、どこが足りないと感じたかを具体的に語ってみましょう。

●ソニーの小型レコーダーには感動したが

 まずはソニーが発売した「新形状」をうたうICレコーダー「ICD-TX800」。ICレコーダーには珍しく、リモコンを採用し、本体を大幅に小さくした製品です。本体は従来機種の半分ほどの大きさになった感覚で、ちょっとした感動があります。会議や講演、取材の場では話者の近くに本体を置いておき、リモコンで操作できます。小さいので、さりげなく録音を始められて、話者に威圧感を与えないのがいいですね(関連記事:ソニーのICレコーダー 極小ボディーに高機能で胸熱)。

 本体内部の設計見直しなどで一回り小型化するといったレベルにとどまらず、新しい形状を採用して劇的な小型化を実現した点はとてもいい。しかしこの製品、まだ少し、詰めが甘いようにも感じるのです。

 例えば、ディスプレーが本体に付いていますが、これはどうでしょう。ICD-TX800の利用シーンを考えてみると、本体は必ずしもユーザーのすぐそばにはありません。会議ならテーブルの中央に置くかもしれないし、取材や講演なら話者のそばに置くでしょう。ディスプレーは、録音状態であることや、録音開始からの時間経過を表示するためのものです。そうした情報は手元のリモコンで見られるほうがいいんじゃないでしょうか。

 リモコンで録音開始/停止の操作をしたときも、ちゃんと録音が始まっていることを手元で確認できれば安心です。リモコン側にはそのような表示機能はなく、あくまでも本体のランプやディスプレーで確認するようになっているのですが、本体がユーザーのそばになければ、残念ながらよく見えません。

 せっかく本体とリモコンに分けた「新形状」を考案したのに、開発者にはどこかで「従来のICレコーダーを小型化したのがこの本体だ」という意識があったのだと思います。だから、本体にはディスプレーが必要だ、と思い込んでしまう。従来の製品の延長線上で設計を考えてしまったのではないでしょうか。

 本体やリモコンのボタンに「STOP」や「REC」など文字で説明が付いているのもデザインとしていまひとつ。赤い丸が録音ボタンで、白い四角が停止ボタンというのは、ICレコーダーだけでなく、音楽プレーヤーなどのオーディオ機器でもずいぶん前から一般的ですから、ほとんどの人には察しがつくはず。せっかくすっきりしたデザインになっているのですから、要らないものを思い切って排する判断をしてほしかったですね。

 もっと言えば、僕はこのケースが本体でもよかったと思います。実際のICD-TX800より大きくはなっても、インタビューの席に小さな四角い箱がポンと置いてあったら、何だろうと思うし、ICレコーダーとあまり意識しないんじゃないでしょうか。この中にリモコンを収納できるようにして、収納中はリモコンに充電できるバッテリーも内蔵するとかどうでしょう?

パナソニック「LUMIX G9 PRO」、写真撮影を極めた1台(日経トレンディネット)

 パナソニックのミラーレス一眼「LUMIX G」シリーズのフラッグシップモデルといえば、プロの映像制作にも使える優れた4K動画撮影機能を備えた「LUMIX DC-GH5」(以下、GH5)が存在する。2018年1月25日、もう1つのフラッグシップモデルとして登場するのが、今回紹介する「LUMIX DC-G9」(以下、G9 PRO)だ。動画重視のGH5とは対照的にスチル機能を強化し、プロフェッショナルフォトグラファーの要求に応える操作性と快適性を備えたマイクロフォーサーズ機に仕上がっていた。

【関連画像】愛用しているLUMIX GM5をノーマルモードとハイレゾモード2種類で撮影(XL、LL)。動かない被写体を三脚使用で撮影することが条件だが、ブツ撮りなどで威力を発揮するだろう

●8枚の写真を合成して8000万画素の写真を生成するハイレゾモードが圧巻

 2017年3月に登場したGH5は、ズバ抜けたムービー機能が目立った機種だが、今回登場するG9 PROのターゲットは、ずばりプロフェッショナルフォトグラファーである。心臓部となる有効2033万画素のLive MOSセンサーこそGH5と同じだが、センサーに反射を防ぐARコートを施すことでフレアを抑制するといった改良が図られた。

 さらに、約8000万画素相当の高解像度の写真が得られる新搭載のハイレゾモードも圧巻だ。ボディー内手ぶれ補正機構を利用し、センサーを細かく動かして合計8回の連続撮影を実行し、2033万画素の4倍となる約8000万画素相当の画像を生成するものだ。これが実にスゴい。ブツ撮りや建築物など、動きがない被写体を記録するのに限った機能だが、この圧倒的な精細感は実に見事である。

 G9 PROの特徴はそれだけではない。動体撮影にも強くなったのだ。センサーの読み出し速度が向上したことで、2033万画素のフル画素のままオートフォーカス追従で約20コマ/秒もの高速連写が可能になった。オートフォーカス固定ならば約60コマ/秒と、驚異的な連写が可能。しかも、パナソニックのお家芸ともいえる「4K PHOTO」を高画素化した「6K PHOTO」も搭載しているので、一瞬のシャッターチャンスにもめっぽう強い。静物にも動体にも対応できるスキのないマイクロフォーサーズ機といった印象だ。

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秀逸な瞳AFを備えた高解像度&高速フルサイズミラーレス一眼

 4240万画素のフルサイズセンサーを採用した、解像度重視のミラーレス一眼「α7R」シリーズの3代目。実売価格は37万円前後ときわめて高価だが、販売開始から入荷待ちの状況が続くほどの人気ぶりを見せる。

 α7R IIIを使って大いに評価できると感じたのが、多くのシーンでプロ向け一眼レフをしのぐ高精度なAF(オートフォーカス)性能を見せてくれること。これだけの高解像度モデルとなると、ピント合わせの精度が優れていなければ真の実力を発揮できないが、α7R IIIは高い精度で確実にピントを合わせてくれる。

 特に個人的に便利に感じたのが瞳AFだ。文字通り、人物の瞳にピントを合わせてくれる機能だが、追従精度が驚くほど高い。他社でも同様の機能を持つカメラは存在するが、それらは「こちらを向いた人物をアップで撮影する場合のみ有効」といった感じだ。しかし、α7R IIIの瞳AFはウエストサイズぐらいにフレーミングした場合でも瞳をしっかり検出してくれる。

 さらに驚かされるのが、フレームから顔がちょっとはみ出したり、向こうを向いて顔が確認できなくなっても、ピント合わせに迷うことがほとんどないこと。多くの場合、瞳AFから顔優先AFにサッと切り替わったりしながら、ベストなピント位置を粘り強く追い続けてくれるのだ。

 高解像度のカメラというと、スタジオ撮影やブツ撮りに使う静物専門のカメラだと感じるかもしれない。だが、先に解説したようなピント合わせの確実さを持っていることに加え、連写性能も秒間10コマと優秀なのだ。動く人物をAF任せで高速連写してみたが、RAW+JPEGという条件でも途中で止まることなく70コマ以上撮影できたことに驚かされた。UHS-IIの高速SDメモリーカードに対応したモデルだが、通常のSDHCカードでも同様の撮影性能が発揮できたのは財布的にもうれしい部分といえる(もちろん、バッファメモリー内の書き込みが終了するまでの時間は長くなるが)。

 高解像度&高速という相反する条件を両立した欲張りなモデルとして、多くの写真ファンに推薦したい秀作だと感じる。

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スマホをパソコンに変えるドック 戦慄するほど実用度高い(日経トレンディネット)

 のっけから恐縮だが、今回の記事は、僕としてはとても複雑だ。サムスン電子のドック「DeX Station」は、テレビやモニターにつなぐと、本体にセットしたGalaxyシリーズ(S8、S8+、Note 8)がパソコンのように動作するという製品。ファーウェイも同様の製品を投入しているので、スマートフォンをパソコン的に使うのがトレンドになりつつあるのだろう。実際に使ってみたところ、これが案外、普通に使えてしまった。となるとパソコンが要らなくなる日も近そうで、パソコンを愛している僕はちょっと悲しい気持ちになるのだ。

【関連画像】モニターと接続したところ。端末は操作不能になる

 さて、個人的な感傷に浸っていても仕方がないので、早速レビューしていこう。DeX Stationの本体は中央が膨らんだ円筒形で、ぱっと見では、端末をセットできるとは思えない。ところが、天板をスライドすると、ドックが現れるという、なかなかしゃれたデザインだ。この形なら持ち歩くのにも邪魔にならないし、見た目も美しい。

マウスとキーボードは必要だ

 DeX Stationは、HDMIケーブルでテレビやモニターに接続し、端末をセットすればいいのだが、HDMIケーブルは付属しないので自分で用意する必要がある。

 また、マウスとキーボードも必須だ。DeX Stationにセットしているときは、端末の画面は真っ黒でタッチ操作もできなくなるからだ。Bluetooth接続のマウスやキーボードが利用できるほか、DeX Station本体のUSBポートに接続してUSBマウス、キーボードも利用できる。

 僕の場合は、手元にあったBluetoothマウスは、最初の接続時になぜかうまく動かなかったのでUSBレシーバーを利用するワイヤレスマウスとBluetoothキーボードを利用した。

まったく迷わずに利用可能だ

 さて、肝心の使い方だが、Windowsパソコンを利用したことがある人なら、まず迷うことはないだろう。左側にはアプリのアイコンを選択するメニューがあり、右側には各種の機能がボタンで並ぶ。画面下には、起動しているアプリなどのリストが表示されるのだが、これもWindowsのタスクバーそっくりだ。

 パソコンとスマートフォンのOSをうまく融合したようなイメージで、操作はとても分かりやすい。驚いたのが動作速度で、特にストレスを感じることなく複数のアプリを使えてしまう。文字入力についても、ストレスを感じるほどの遅延はなかった。これなら十分に使える。

 感心したのは、スマートフォンであるが故の便利さだ。当たり前だが、スマートフォンは既にインターネットにつながっているので、ネット接続を意識する必要がなく、DeX Stationにセットすれば、すぐにメールの送受信もできるし、ブラウザーも利用できる。自宅では特に意味がないかもしれないが、外出先で使う際にはこのメリットは非常に大きい。ホテルなどで無線LANを探す必要もなく、テザリングの手間もかからないのだ。

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