経団連の春闘方針 海外リスクで政府との共同歩調に陰り(産経新聞)

 経団連が22日発表した平成31年版経労委報告からは、「安倍総理」という言葉が完全に消えた。春闘交渉にあたっての「経営側の基本スタンス」では、「近年の春季労使交渉を『官製春闘』と批判する向きがある。(中略)最終的には企業経営者が主体的に判断した結果。そもそも賃上げは、政府に要請されて行うものではない」とする文言まで盛り込まれた。

 昨年就任した中西宏明会長の下で初めてまとまった報告は、「官製春闘」への決別宣言ともとれるが、会見した工藤泰三副会長は、安倍晋三首相の6年連続の賃上げ要請について、「経済の好循環を一緒につくっていこうという、応援メッセージ」と説明した。

 ただ、「デフレ脱却へ賃上げは不可欠」という共通認識で、「阿吽(あうん)の呼吸」を保ってきた中西経団連と政府の関係に、わずかに陰りが見え始めた。

 背景には、海外経済のリスクがある。新春の経済3団体の新年祝賀パーティーでも、経営トップの多くが、景気の先行き不安を口にした。収益基盤の弱い中小企業が賃上げについていけない実態も、産業構造上問題だ。

 工藤氏は「言われた通り賃上げして会社が立ち行かなくなっても、政府が面倒を見てくれることはあり得ない」とも語った。31年春闘は30年度の業績が基になるが、景気の不透明感が、来冬の賞与など年収べースでの賃上げの先行きに影を落としている。(大塚昌吾)

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欧州経済の減速懸念、日本株買い入れ期待しぼむ(産経新聞)

 英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる先行き不安で、日本の株式市場に対する悲観的な見方が浮上してきた。日本株の記録的な売り越しが続き、買い入れに転じるとの期待が高まっていた外国人投資家のうち、欧州勢がリスクを取りにくいという事情が出てきたためだ。

 メイ英首相は21日、3月29日に予定されているEU離脱の延期に否定的な考えを示した。英下院は今月15日に協定案を大差で否決し、メイ首相が示す代替策に注目が集まっていた。ところが「『プランB』の実体は『プランA』のまま」(SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリスト)というのが多くの市場関係者の評価だ。

 22日の東京株式市場で、日経平均株価は3日ぶりに反落。終値は前日比96円42銭安の2万622円91銭だった。薄商いの中、世界経済の減速懸念を嫌った売り注文が優勢となった。

 東京証券取引所によると、昨年は外国人投資家が2年ぶりに売り越した。売越額は5兆7448億円で、米国株が大暴落した「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」が起きた昭和62年以来の大きさとなった。この傾向は今年に入っても続き、先週までに9週連続で売り越している。

 年始に日経平均が2万円割れするショックに見舞われた東京市場では「そろそろ外国人投資家が買ってくる」との期待感が高まっていた。特に日本株の売買比率の高い欧州勢に期待がかかっていた。

 ところが、これに水を差すように、英EU離脱をめぐる情勢が混乱。欧州経済を牽引(けんいん)してきたドイツやフランスの経済も低調だ。バークレイズ証券の山川哲史調査部長は「売越額は徐々に縮小するだろうが、欧州市場が厳しく欧州の機関投資家が動きづらい状況は続くだろう」と話している。

(米沢文)

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金地金の販売量4割増 米中貿易摩擦の不安高まり投資マネー流入 (産経新聞)

 田中貴金属工業が22日発表した平成30年の資産用金地金の販売量は前年比35・7%増の2万4403キロ、買い取り量は20・7%減の1万7757キロだった。米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱といったリスクに備える意識が強まり、「安全資産」とされる金に個人投資家の投資資金が流入した。

 金価格はドルと反比例する傾向があり、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の動きが反映されやすい。同社によると、昨年は米国の好調な景況感や金利上昇によりドル高が加速し、夏にかけて金の国際価格が下落。これに伴い、国内価格は8月16日に1グラム=4207円と、28年1月以来の安値をつけた。割安感から8月の月間販売量は約4千キロに迫る結果となった。

 秋以降は、米中摩擦の激化や欧州経済の先行き不透明感が強まったことから、資金をドルから金に移す動きが広がり、金価格は上昇に転じた。

 今年の金価格について、エコノミストの豊島逸夫氏は「米中の経済が共倒れするなど世界経済が減速・後退すれば、FRBの利上げ断念や利下げが意識され、株から金へと投資資金がシフトする流れが強まるだろう」と予測している。

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パナソニック、新会社でリスク軽減 車載電池拡販へ(産経新聞)

 これまで米電気自動車(EV)メーカーのテスラと協業を進めてきたパナソニックは、新たにトヨタ自動車とも新会社を設立することで、電池事業への巨額投資のリスクを軽減し、成長軌道を確実にする考えだ。ライバルの中国電池メーカーが政府の後押しもあって急成長する中、パナソニックはトヨタを軸に幅広いメーカーとタッグを組んで世界の電池競争に挑む。

 「(新会社とテスラ向けの)両方の電池を発展させていく」

 22日の記者会見でパナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズの人見健事業開発部長はこう強調した。電池の供給先ではテスラが円筒型電池を使うのに対し、それ以外はすべて角型を採用。パナソニックは両方を生産する体制を整える。

 いち早く提携したテスラとは2017年に米ネバダ州で、パナソニックも数千億円を投じて大規模な電池工場を稼働させた。しかしテスラの車両生産が遅れたうえ、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が唐突に株式非公開化の意向を示したことが問題化。パナソニックではテスラを取引先として疑問視する声もあった。トヨタ自動車との協業により、1企業の動向に左右される「テスラリスク」は軽減される。

 一方、中韓の電池メーカーは価格と規模の両面で攻勢をかける。とくに世界のEV市場をリードしたい中国では、補助金の給付や技術者への好待遇を柱とする「千人計画」が関連企業の成長を後押ししてきた。この結果、創業から10年に満たない寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)が車載電池の世界シェアをパナソニックと争うまでに成長している。

 人見氏はパナソニックの技術力を強調し、「いたずらに規模を追わない」とするが、競争環境は厳しさを増している。(中山玲子)

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「つながる車」向けサイバー防御技術 三菱電機が開発(産経新聞)

 三菱電機は22日、インターネットとの通信機能を持つ車「コネクテッドカー」の普及をにらみ、制御を乗っ取るなどのサイバー攻撃に対する多層防御技術を開発したと発表した。攻撃の入り口となるカーナビなど車載情報機器のセキュリティー機能を強化し、不正なソフトウエアを高速検知する。今後の新車開発向けに自動車メーカーへ提案する。

 ウイルスは日々100万種類生まれているとされ、すべてを検索するには時間がかかる。そこで同社は、攻撃の手口が認証データの改竄(かいざん)など約50パターンに絞られることに着目し、パターンを検知する手法によって処理を高速化した。

 さらに、防御システムの起動時に、主要プログラムから優先的に検査する新技術も搭載することで、運転を素早く始められるようにした。開発担当者は、「車載機器のデータ処理能力は限られるため、効率的な防御技術が重要だ」と売り込みに自信を示す。

 また、カーナビや電子ドアミラーの機能を人工知能(AI)で改良する新開発の“気が利く通知技術”も発表。電子ドアミラーは、運転席のカメラでドライバーの視線方向を検知し、逆方向に歩行者や車がいる場合はミラーに強調表示したり、警告音を鳴らしたりして知らせる。カーナビは、走行中の車内から経路に関するドライバーの発話のみを特定し、会話のような感覚で道案内を行う。

 同社情報技術総合研究所の中川路哲男所長は「車載分野の新技術はニーズが高まっており、開発に注力したい」と話す。

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ブリヂストン、オランダ企業の事業を1100億円で買収(産経新聞)

 ブリヂストンは22日、オランダの地図サービス大手トムトムから、車両管理サービス事業を買収すると発表した。買収額は9億1千万ユーロ(約1138億円)で、欧州子会社がトムトム子会社で車両管理サービスを手掛けるトムトムテレマティクスを買収する。手続きは2019年4~6月期中に完了する見込み。

 トムトムテレマティクスは、運送業者など向けに車両管理に必要な端末を提供している。ブリヂストンは、同事業で得られる車両の位置やスピード、周辺の交通状況などに関するデータを、新たな商品やサービスの開発に役立てたい考え。19年12月期の連結業績に与える影響は軽微としている。

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32年末までにEV電池新会社 トヨタとパナ正式発表(産経新聞)

 トヨタ自動車とパナソニックは22日、電気自動車(EV)向けなどの車載用電池を開発、生産する合弁会社を平成32年末までに設立すると正式発表した。大容量・高性能の車載電池を安定供給できる態勢を整え、需要拡大が見込まれるEVの競争力を強化する。他の自動車メーカーにも広く採用を呼びかけ、生産量を増やしてコストを低減。車載電池の分野で急成長する中国勢などに対抗する。

 両社は22日午後、名古屋市内で会見を開き、パナソニック側の担当部長、人見健氏は「両社の経営資源を結集し、業界ナンバーワンの製造力を実現する」と強調した。新会社にはトヨタが51%、パナソニックが49%を出資。パナソニックの中国・大連の工場など、両社の電池に関わる設備や人員を移管する。対象人員は約3500人。大容量で安全性の高い「全固体電池」の開発も行う。

 生産した電池は、パナソニックを通じて、他の自動車メーカーへも販売する計画。トヨタ子会社のダイハツ工業や、EVの基幹技術の開発で協力するマツダ、SUBARU(スバル)にも供給する方向。「スケールメリットを生かしたコスト削減」(人見氏)により、価格競争力の強化も目指す。

 トヨタとパナソニックは、ハイブリッド車(HV)向け電池を生産する会社に共同出資するなど協力関係を築いてきた。29年12月には、EV向けを含む車載電池分野での提携強化を打ち出していた。

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「関係者の処分含め再発防止」 菅義偉官房長官、勤労統計不正調査問題で(産経新聞)

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は22日の記者会見で、厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題で、外部有識者による特別監察委員会の調査結果の公表について「調査結果を踏まえ、関係者の処分を含め再発防止にしっかり取り組むとともに、国民に不利益を生じることがないよう必要な対応に万全を期す」と述べた。

【表で見る】勤労統計不正をめぐる主な経緯

 不正調査問題については「統計の信頼性を損なう事態が生じたことは甚だ遺憾だ」と重ねて強調し、特別監察委は「第三者の視点から厳正に調査を行った」と説明した。

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経団連が春闘方針 脱「官製」、首相の賃上げ要請に触れず(産経新聞)

 経団連は22日、平成31年春闘の指針「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」を発表した。報告は「社会的な期待を考慮」した賃上げを引き続き求めたものの、6年連続の安倍晋三首相の賃上げ要請には触れず、脱「官製春闘」を印象付けた。

 昨年の経労委報告は、安倍首相の「3%の賃上げ」要請を受け、異例ともいえる賃上げ水準に言及した。今年は年収ベースの「賃上げ」と合わせ、柔軟な働き方など「総合的な処遇改善」を「車の両輪」と位置付け、「社員の働きがい」を重視したのが特徴だ。人手不足の下で女性、高齢者の活躍推進と外国人材受け入れの必要性も指摘した。

 同日会見した経団連の工藤泰三副会長(日本郵船会長)は賃上げをめぐる経営環境について、10月の消費税率10%への引き上げは「社会保障制度に対する国民の将来不安が大きく実施は必須」とする一方、米中貿易摩擦など海外経済リスク要因について「冬のボーナスに影響がある可能性がある」と警戒感を示した。

 27日には、連合の神津里季生会長も出席し、経団連主催の「労使フォーラム」が開かれ、31年春闘が事実上スタートする。

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三菱地所がAI清掃ロボットの実証実験を公開(産経新聞)

 三菱地所は22日、東京・大手町の同社本社で、人工知能(AI)を搭載した自動清掃ロボットの実証実験を公開した。ソフトバンクロボティクスが開発した「Whiz(ウィズ)」で、三菱地所では今年4月から同機100台を自社グループ物件で順次展開し、清掃業務の省人化を進めていく計画だ。

 ウィズはバキューム式で、オフィス用のさまざまな床材に対応する。清掃担当者が最初にウィズを手押しして、清掃エリアの地図データを作成、記憶させるだけで、後はそのデータをもとにして自律して清掃走行をしていく。清掃ルート上に人や障害物が出現すると、接触することのないように自動停止し、その後、人を回避して走行を続けることが可能だ。

 三菱地所では、今回の実験を通じて、清掃担当者との連携のあり方や、実際の運用面の問題点を洗い出し、4月から本社が入居する大手町パークビルの他、運営する下地島空港(沖縄県宮古島市)の旅客ターミナルなどに、ウィズを導入する計画だ。

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