偏心モーターの毛並み振動で移動する毛虫型ロボ、山形大など開発(日刊工業新聞電子版)

≪下水管内部入り込み点検、汚れたら水で丸洗い≫

 山形大学大学院理工学研究科の多田隈理一郎准教授と弘栄設備工業(山形市、船橋吾一社長)は、下水管などに入り込み、内部を点検する毛虫型ロボットを開発した。身体の周囲の毛を振動させて進む。モーターなどの電機部品は身体の内部に密閉されているため、汚水に漬かっても壊れる心配がない。調査後は水で丸洗いできる。3年後をめどに実用化を目指す。

 身体の周囲8方向に5本ずつ樹脂製の丈夫な毛を生やした。偏心モーターで身体を振動させると、毛が曲がっている方向に反力が働いて前進する。

 前進速度は毎秒約5センチメートル。モジュールに分割し、10節を連結させて推進力を高めた。本体の直径は3センチメートルほどで、10節連結時の長さは59センチメートルと細長い。

 さらに毛並みをねじるように配置した。モジュールごとにねじれ方向を右、左と交互に入れ替える。毛の弾性を工夫して、共振周波数によって振動の種類を変える。
高周波数では前進、低周波数では偏心モーターの回転方向によって左折と右折を選ぶことができる。

 動力は偏心モーターだけで、各モジュールの内部に密閉した。防水しているため水洗いできる。また車輪のような機構がなく、下水などの浮遊物が絡まって動けなくなる心配が少ない。

 現在は移動機構の試作機が完成した段階。これからカメラやセンサーを配置して配管内部のマッピング機能を搭載する。下水管など地下の配管は電波では通信できないため自動で管内を移動し、入り口に帰ってくる自律機能を開発する。

 29日から東京・有明の東京ビッグサイトで開催する「2017国際ロボット展」に出展する。

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海外格安パッケージツアー「ARCツアー」を展開 アバンティリゾートクラブ(東京都新宿区)が破産開始(帝国データバンク)

 (株)アバンティリゾートクラブ(TDB企業コード582689389、資本金7200万円、東京都新宿区新宿2-13-10、代表臼井良司氏)は、11月20日に東京地裁へ自己破産を申請し、同日、破産手続き開始決定を受けた。
 
 破産管財人は、武田昌邦弁護士(東京都千代田区神田神保町2-3-1、新千代田総合法律事務所、03-3239‐5360)。

 当社は1997年(平成9年)10月に設立。本社のほか、仙台に営業所を構える第1種旅行業者として,ハワイ、グアム、アジアのリゾート地、韓国を中心とした、自社企画の海外格安ツアーを「ARCツアー」ブランドで展開。このほか、大手旅行業者主催の国内ツアーも販売していた。パッケージ旅行、団体旅行のほか、海外格安航空券、各航空会社正規割引航空券、ホテル、海外ウェディング、海外レンタカーなど扱いは多岐にわたり、店頭での対面販売のほか、自社ホームページ経由で販売し、業績を拡大していた。

 2008年7月には、イエメンを旅行中の日本人女性2名が誘拐され、当社が外務省の危険情報を確認せず、企画旅行の企画・実施者としての責務を怠ったなどとして、国土交通省より業務の一部停止と業務改善を求める行政処分を受ける事態となったが、その後も事業は継続。2009年9月期には年売上高約18億7200万円を計上していた。

 しかし、その後は同業者との競争激化から旅行者が減少、売り上げ低迷が続き2015年9月期の年売上高は約6億4000万円にダウン。そうしたなか、10月11日付で本社事務所に代表者名で張り紙を掲示。「この度、資金繰り・業績の悪化に伴いこれ以上の業務継続が困難な状況となり、営業停止をせざるを得ない事態となりました」として事実上の営業を停止していた。

 負債は債権者509名に対し約4億9700万円。うち一般の旅行者は397口(1128名)で、被害額は6500万円だが、一般社団法人日本旅行業協会(JATA)によると、当社の弁済業務保証金の限度額は7000万円で、一般の旅行者には全額弁済される見込み。

東京都、世界のベンチャー都市に名乗り 見えてきた開業率10%台(日刊工業新聞電子版)

■起業家掘り起こし、今年度エントリー1360件

 東京都は2024年までに英国・米国並みの開業率10%台実現に向け、さまざまな創業支援、起業家の育成支援を展開している。社会的課題を解決するためのソーシャルビジネスや事業分野を組み合わせた新しいサービスの創出など、さまざまなアイデアを持つ起業家たちの活躍が期待されている。東京都が特に力を入れる創業支援の事業内容について紹介する。

 創業・起業支援メニューは、起業家の掘り起こし、掘り起こしから事業化、起業後の成長促進、海外展開支援といった、それぞれの段階に応じたものを展開している。

 次世代アントレプレナー育成プログラム事業「TOKYO STARTUP GATEWAY」は、14年度に開始した起業家の掘り起こしが狙いの支援事業だ。エントリー数の推移をみると、初年度448件だったが、17年度は1360件と大幅に増加。3年間で17件が法人登記に至っており、60人以上の若者が起業・事業化した。

 18日に開かれた決勝大会では、ファイナリスト10人が質疑応答合わせ8分間ずつプレゼンテーションを行い、事業プランを競った。最優秀賞は小幡重人さんが選ばれた。小さな島々に、ヘリコプターを含む小型機を交通インフラとして普及させ、誰でも小型機とパイロットをシェアできるプラットフォームを目指すもの。

 iPadアプリ「フライトプランニングツール」として日本と東南アジアでの展開を考えている。小幡さんは、「新規インフラコストがほぼかからない。情報を一番持っている会社になりたい」と、実現に意欲を語る。

■成長へのアクセル、金融機関に直接プレゼン

 16年度に東京・丸の内で開業した「TOKYO創業ステーション」は、初期の希望段階から創業までをワンストップで支援する。1階のスタートハブ東京には気軽に起業相談に訪れてもらい、キッズルームを併設するなど女性起業家への支援も厚くしている。2階には東京都中小企業振興公社があり、都と提携する東京TYフィナンシャルグループ、東京信用保証協会、日本政策金融公庫が専門家相談員を置き、融資相談を受け付けている。

 他の自治体と共催するイベントや民間事業者によるセミナーの実施回数も含めるとオープンした1月からの10カ月間で300回以上にのぼる。開設以来、10月末時点での会員登録は1万38人(うち、女性3641人)、来場者はイベント参加者含め、のべ3万2397人。

 「当初目標の2万人をすでに超えており、手応えを感じている」(都産業労働局商工部創業支援課)。創業を目指す仲間と発想から事業化まで体験できる少人数制3カ月間プログラム「トーキョードカン」も無料で提供しており、現時点で2件が法人として起業済みだ。

 一方、起業後の成長の促進という観点からの支援も活発化してきた。5カ月間の短期集中型育成プログラムを無料で提供するアクセラレーションプログラムの青山創業促進センター(ASAC、東京都渋谷区)では5期目がスタート。年間2回の各期10チーム程度の募集に対し、100を超える応募があるほど人気が高いプログラムで、「TOKYO STARTUP GATEWAY」のファイナリストやセミファイナリストで有望と見込まれた起業家の卵たちも送り込んでいる。

 一番の特徴は、投資や共同事業の実施を訴求する「デモデイ」を卒業式で開催する点だ。地域金融機関の担当者らの前でプレゼンテーションを行い、早めに夢の実現、成功に一歩近づける。資金調達などを通じて過去4期で計39社が卒業し、活躍している。

 17年度からはプログラム修了生を対象としたブース入居(全13社分)も始まり、今月から3社が入居している。プログラム受講生に対し、先輩起業家として相談に乗るなどの条件で、都心の好立地に格安で入居できるようになり、ますますの活躍が期待される。

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女性の起業で注目された水産ベンチャー 西日本冷食(福岡)が破産(帝国データバンク)

 (株)西日本冷食(TDB企業コード967649094、資本金8750万円、福岡市東区香椎照葉3-2-1、代表井口浩一氏)は、11月22日に福岡地裁より破産手続き開始決定を受けていたことが判明した。

 当社は2009年(平成21年)9月に前社長の日野美貴氏が設立した冷凍魚介類卸売業者。酸化防止剤などの食品添加物不使用を標ぼうし、中国の現地工場に生産委託するボイルシャコをはじめ、ズワイガニ、タイラギ(貝柱)、イタヤ貝(小柱)などの魚介類を輸入。国内の魚市場、食品・水産商社、回転すしチェーンなどの外食産業、スーパーストア向けに販売していた。

 ボイルシャコに関しては50%超の国内シェアを獲得していたとされ、2013年1月には、九州内の地銀が出資し地場投資会社が運営するファンドをはじめとする複数のベンチャーキャピタルから投資を受けるほか、同年6月には日本政策投資銀行が主催する「第3回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」で社長が優秀賞を獲得するなど、水産ベンチャーとして注目を集めていた。同年10月には子会社の西日本水産(株)を設立し、ボイルシャコ生産過程で生じる残渣を活用した飼料を使ったブランド鰻の養殖事業にも乗り出すなど事業を拡大し、2016年8月期は年売上高約9億9000万円を計上した。

 しかし、冷凍水産品の売り上げが頭打ちとなるなか、事業拡大にともなう設備投資を重ねたことで有利子負債が膨らみ、その返済負担から資金繰りが急速に悪化していた。積極的に取り組んだ養鰻事業も軌道に乗らず、取引先などへの支払いに支障を来たすなか、9月には前代表が辞任。金融機関との調整も不調に終わり、債権者から破産を申し立てられていた。

 負債は10億円を超える可能性がある。

相次ぐ 名だたる企業の不正、揺らぐ日本のモノづくり(日刊工業新聞電子版)

■国際競争力激化、現場力建て直し急務に

 日本のモノづくりに対する信頼が、大きく揺らいでいる。神戸製鋼所に続き、三菱マテリアルの子会社でも製品の品質を裏付ける検査データの改ざんが発覚。日産自動車やSUBARU(スバル)でも無資格者による完成車両の検査が判明するなど、名だたる企業の不正が次々と明るみに出た。

 品質や安全性で世界にその名をとどろかせた日本ブランドの優位性が根底から覆りかねない。日本のモノづくりを支えてきた現場力の再生は急務だ。

 日本の製造業ではここ数年、試験・検査データの改ざんなど品質や性能にかかわる不正が頻発している。中でも裾野が広い素材産業の不正は、世界に大きな衝撃を与えた。
神鋼のデータ改ざん問題では欧州航空安全局(EASA)が域内の航空機関連企業に、代替品を手当てできる場合は神鋼製品の安全性が確認されるまで、調達先を切り替えるよう勧告した。米ボーイングや大手自動車各社も調査を進めている。

 神鋼は過去1年間に出荷した不適合品の調査で、延べ525社に上る顧客のうち484社では、当面の安全性に問題がないことを24日までに確認した。だが、信頼の回復は容易でない。傘下の事業所では日本工業規格(JIS)や、品質管理体制に関する国際規格「ISO9001」の認証取り消しまたは一時停止が相次いでいる。顧客がこれを理由に、神鋼グループとの取引を見直す懸念がある。

■「日本のメーカーは要求に応えてくれる」、高まる現場への重圧

 素材産業を取り巻く環境は、厳しさを増しつつある。人口減少に伴う国内市場の縮小が進む一方で、自動車関連業界をはじめとする大口需要家から、値下げや納期短縮などの厳しい要求を突き付けられている。神鋼の梅原尚人副社長は「納期を守り、生産目標を達成しなければならないという重圧が、現場にあった」と分析する。

 素材産業を含む日本の製造業はこれまでも、2度の石油ショックなど数々の試練に直面しては、その度に乗り越えてきた。推進力となったのは「顧客本位」の姿勢と「カイゼン」に象徴される現場の知恵や創意工夫だ。

 生産現場は業務改善や生産性向上への取り組みを重ね、品質や性能、数量、納期、費用などの点で顧客の要求に柔軟に対応してきた。結果、「日本のメーカーはどんな難しい要求にも応えてくれる」と評価が高まった。

 こうして築いた信頼が、不正行為で失墜しかねない状況にある。一連のデータ偽装問題は顧客満足度の向上に貢献し、競争力の源泉となっていた現場の足腰が、急速に弱まっている実態を示したと言える。経営学が専門の米倉誠一郎法政大学教授は、不正に走れば「これまで築いてきた資産と、これから戦っていくための武器を自ら損なう」と警鐘を鳴らす。不正の原因究明と併せ、現場がなぜここまで深刻な状況に陥ったのかも、徹底的に検証する必要がある。

 今後、素材や車産業では韓国や中国などの新興国を交えた国際競争が一段と激しさを増す。特に中国は低価格で大量に供給する薄利多売から、高付加価値産業への転換を促す「サプライサイドの構造改革」を着々と進めている。

 日本の地位が低下すれば、海外勢に付け入る隙を与えかねない。信頼回復に向け、現場力の立て直しを急ぐ必要がある。

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タカタの民事再生法申請から5カ月、取引先の連鎖倒産は依然発生せず(帝国データバンク)

 民事再生手続き中のタカタは11月21日、キー・セイフティー・システムズ(KSS)との間における事業譲渡に係る最終合意を発表。24日には、再生計画案の提出期限を当初予定の11月27日から来年2月28日への延期を公表した。再生債権認否書ベースでの負債総額は約1兆800億円が見込まれており、パナソニックプラズマディスプレイ(負債5000億円、2016年11月特別清算、大阪)を上回り、戦後最大の製造業倒産となるのは確実となっている

 こうしたなか、帝国データバンク調べによれば、6月26日の再生法申請から5カ月となる11月25日までに、取引先の連鎖倒産は依然として1件も発生していないことが分かった

 主な要因は、地元自治体や自動車メーカーによる資金繰り支援のほか、部品供給等に関わる重要な取引先に対して、タカタが従前通りの条件で全額弁済を実施したことなどが寄与した

 これらの資金繰り支援策が下支えとなり、取引先の短期的な連鎖倒産リスクは抑えられた。しかし中長期的に見れば、スポンサーのKSSや発注元の自動車メーカーの動向次第では、タカタの主な生産拠点のある滋賀県や佐賀県を中心に一定の影響が及ぶリスクは残っている

※本調査は2017年9月26日に続き4回目

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再生エネ後進国・日本、一発大逆転の新技術(日刊工業新聞電子版)

■電力融通、東大のデジタルグリッド

 再生可能エネルギーの大量導入を支える新しい技術が登場してきた。さいたま市では、家庭の太陽光パネルの電気を離れた商業施設へ送る電力融通の実用化が間近に迫る。福島県では、仮想通貨で注目されるブロックチェーン技術を用いた大規模実証が予定されている。再生エネの導入で諸外国に後れを取る日本は、技術革新で巻き返す。

 立山科学工業(富山市、水口昭一郎社長)を代表とするグループが、さいたま市浦和美園地区の建設中の住宅街で電力融通を実証する。環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」を受託した。電力融通が始まるのは住宅が完成する19年度。住民が実際に暮らす5戸を舞台に、近隣のイオンモール、イオングループのスーパー、コンビニエンスストアの計6店舗も加わる本番さながらの実証だ。

 融通には、東京大学の阿部力也特任教授が開発した「デジタルグリッド技術」を使う。情報を振り分けるルーターと似た機能を持ち、電気のやりとりを仕切る。専用装置を設置した家庭やビル、工場をネットワーク化し、家庭で余った太陽光パネルの電気を工場へ送ったり、安い電気を探して自宅の電気自動車(EV)に充電できたりする。

 現状では家庭やビルなど需要家同士で電気を融通できない。また、どの発電所の電気を購入したのか特定は難しく、再生エネの購入手段も限られる。だがデジタルグリッド技術なら個人間の融通が可能。「だれから、どれだけ買った」といった履歴も分かり、再生エネを優先購入できる。

■需給バランス乱れ、系統に電気溢れず

 浦和美園では、家庭の太陽光パネルが発電しすぎた電気を商業施設へ送電して融通する。日中に電気が余りがちな家庭と、電気を必要とする商業施設の過不足を解消できる。すでに立山科学などは16年度から和倉温泉(石川県七尾市)でデジタルグリッド技術の融通機能を確認済み。冷蔵庫ほどの大きさがあった装置を小型化し、浦和美園の実証で使う。

 装置には決済機能も持たせる。あらかじめ「いくらなら電気を買う、売る」といった注文を出しておくと、自動で売買してくれる。ブロックチェーン技術も使い、浦和美園ではポイント付与で決済機能を試す。実証に協力する日本総合研究所の松井英章マネジャーは「系統への負担を軽減し、再生エネの導入量を増やせる」と期待する。

 再生エネの大量導入の障壁が、電力の需給バランスの乱れだ。再生エネ発電所から需要を上回る電気が系統に流れると、生産設備に誤作動を引き起こしたり、大規模停電を招いたりする。電力融通があれば、使い切れない電気が発生した際、電気が必要な場所に送って消費して需給バランスを保てる。系統に電気があふれず、設備への負荷を抑えられる。

 東北の一部の送電網では再生エネの電気を受け入れる容量がなくなった。設備の増強や蓄電池の設置には費用も時間もかかる。デジタルグリッド技術による電力融通を使えば、社会的負担を抑制して再生エネの導入を増やせる。

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パナソニック、ロボをケーブルレスで動かす 非接触給電ユニット(日刊工業新聞電子版)

 パナソニックはロボットのサーボモーターに非接触で電力や制御信号を送れるユニットを開発した。関節部のケーブルが不要になる。ケーブルのねじれによる断線リスクや可動域の制約がなくなり、無限回転も可能になる。2019年にも産業用ロボットメーカーなどにサンプル出荷を始める。

 構成は送電ユニットと受電ユニットのセット。磁界結合方式を採用した。一つのユニットの大きさは直径110ミリメートル、厚さが23ミリメートル。重さは両ユニット合わせて約800グラム。伝送電力は最大300ワット、伝送速度は最大毎秒10メガビット。独自技術で電力と信号間の干渉を抑圧し、電力伝送とデータ伝送を両立した。

 産業用、サービス系を問わずロボットで活用できる。ロボットのケーブルを減らせるほか、アームの無限回転を可能にする。着脱容易なロボットハンドなどにも利用できる。29日から開催する「2017国際ロボット展」にユニットを参考出品し、市場性などを探る。

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スマートマニュファクチャリング、国際標準化議論が本格化(日刊工業新聞電子版)

 製造業向けのIoTをテーマに、2018年前半に国際電気標準会議(IEC)に「システム委員会(SyC)」が設置される見通しとなった。これにより、スマートマニュファクチャリング(次世代モノづくり)の国際標準化に向けた議論が本格化する。日本は官民組織のロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)が中心となり、標準化につながる将来像や参照モデルなどの国際的な議論を促す構えだ。

 SyC設置に向けたIEC内での投票が、18年1月に完了する予定。日本側の関係者によると、現段階では「反対するところがない」ため、18年3―6月ごろにSyCが始動する公算が大きい。

 実現すれば、スマートマニュファクチャリングが国際標準化のテーマとして正式に認められることになる。機械同士の接続など、個別の製造業向けIoT技術については、既に国際規格が検討されているが、SyC設置によりサプライチェーンや製品ライフサイクル(PLC)の概念も含めた複雑なIoTシステムの標準化が議論の対象になる。

 SyC傘下には、用語定義や将来像(ユースケース)、関連標準の整理、参照モデルといった横断的課題を検討するため複数の作業部会(WG)が設置される見通し。日本は特にIoT化で目指すべき将来像と、システム全体の構造を図式化する参照モデルの領域で、議論が進むよう働きかける。

 SyC設置を検討してきたIECのシステム評価グループ(SEG)には、日本からRRIメンバーが参加している。この流れで、RRIはSyCの国内審議団体になるべく、関連業界団体と連携して準備を進めている。

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日産、信頼回復うねる道程 完成検査に「制度疲労」(日刊工業新聞電子版)

原因は現場、本社にギャップ 管理の甘さ露呈

 日産自動車が無資格の従業員が国内向け完成車両の検査に携わっていた問題で苦境にあえいでいる。再発防止の徹底や社員の法令順守意識の醸成はもちろん、消費者の信頼回復や工場の操業安定化など課題は山積だ。立て直しが遅れれば、仏ルノー、三菱自動車との3社連合の事業戦略にも打撃を与える可能性もある。一方で今回の問題について完成検査制度の“制度疲労”を指摘する見方もある。

 「私の責任はこの状態の挽回に尽きる」「今の状態からの挽回に力を注ぐ」。西川広人社長は17日に本社で開いた会見で“挽回”という言葉を繰り返し、消費者の信頼回復と事業正常化に全力を挙げる構えだ。

 同日に国土交通省に提出した報告書によると、問題が発生した原因・背景として、完成検査員の不足や完成検査制度に対する本社・工場の管理者層の意識の薄さなどを挙げている。また従業員の中で、内部通報制度で伝えても「是正されないのではないか」と認識されるなど、製造現場と本社管理者層との間に存在する大きな壁が明らかになった。

 西川社長は「(現場へのコスト低減などの)要求と(現場の)仕組みにはギャップがあるのに、なぜ長年の中で誰も問題提起をしなかったかが残念」とするが、日産による完成検査の不正は少なくとも1989年から行われていたことが確認されている。従業員の記憶によれば、不正はさらに10年以上さかのぼるという。30年以上にわたって問題を放置してきた経営の責任は重い。

 西川社長は“挽回”への決意を示す一方、自らの退任については否定。社長と経営会議に所属する役員が月額報酬の一部を10月から半年間自主返納する方針だが、対象者などは明らかにしていない。00年から今年4月に退任するまで17年間社長を務めたカルロス・ゴーン会長の経営責任も否定しており、責任の所在はあいまいなままだ。

■生産、早期回復カギ

 立て直しの焦点の一つとなるのが生産体制の早期回復だ。生産・出荷の一時停止の影響は販売面で既に出ている。軽自動車を含む10月の国内新車販売は前年同月比約4割減に落ち込んだ。顧客からの注文キャンセルも数百台規模に上っている。今後の生産回復の遅れによっては、今期から始動した6カ年中期経営計画も大幅な修正を迫られる可能性がある。

 問題発覚を受けて生産・出荷を停止していた国内工場は11月8日までに再開したものの、生産ラインの速度は通常の4―8割に留まっている。山内康裕チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)は「今後、検査員の習熟度合いや増員と合わせてスピードを上げていく」とし、17年末から18年3月末をめどに正常化を見込む。

 問題の一因となった完成検査の人員不足は、18年3月期中に新たに107人を育成し、退職者などを考慮して85人の純増とする計画だ。ルノー、三菱自と形成する3社連合は、22年に世界販売台数を16年比4割増の1400万台に増やす目標を掲げている。検査問題の影響が長期化すれば、3社連合の拡大路線にも支障を来しかねない。

 また日産との取引が多い部品メーカーへの影響も免れない。主にサスペンションを納めるヨロズは、完成検査問題の影響で10、11月の売上高で従来予想比5億円弱の減少。ヨロズの佐草彰副社長執行役員は「日産の生産スピードがどの程度回復するのか注目している」と話す。

 樹脂外装品などを手がけるファルテックも11月の売上高で同4億円強の減少をそれぞれ見込む。17年10月―18年3月期の影響については「不透明感があり、今のところ何とも言えない」(北原正裕常務執行役員)と、先行きが見通しにくい状況だ。

 部品メーカーへの補償の可能性について、日産の山内CCOは「話しがあれば、一つずつ話を聞いて解決していきたい」との方針を示す。

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