産地の期待は… 取引拡大契機に 日本農業新聞調べ 業務・加工向け強化 豊洲市場きょう開場(日本農業新聞)

 11日に開場する東京・豊洲市場での青果物取引について、全国のJA全農県本部や経済連などの7割が「販路開拓」を期待していることが、日本農業新聞の調べで分かった。コールドチェーンを生かした鮮度重視の販売や、築地市場が得意とした業務・加工向けの取引の拡大に注目する声が多い。早くも豊洲市場への出荷を増やすとの産地も出ており、専門家は「高機能な施設を追い風に、集荷力が強まりそうだ」とみる。(音道洋範)

 調査は10月上旬、全国の全農県本部や経済連、果実連など49団体を対象に実施。67%の33団体から回答を得た。

 豊洲市場に期待することを複数回答で聞いたところ、「販路開拓」との回答が67%で最も多かった。移転を機に産地は取引を拡大し、手取り確保に生かす構えだ。卸売会社の東京シティ青果も取扱量を3割増やすとの目標を掲げる。

 西日本の全農県本部は「充実した設備による販路拡大を期待したい」と、新たな拠点市場として注視する。北日本の産地は、築地市場が都内の飲食店との結び付きが強いことを踏まえ、「業務・加工向けをはじめ、新たな販路確保を進めたい」と意欲を見せる。

 次いで「鮮度維持」と「物流の効率化」が共に52%となり、関心の高さを示した。豊洲市場に整備される閉鎖型施設によるコールドチェーンに期待している。傷みやすい夏秋野菜や小物野菜の産地から、「青果物の保管条件が大幅に改善される」(近畿の全農)との声もあった。物流の改善では、築地市場と比べて荷さばき場が広くなり、トラックの待機駐車場が整備されたことで、「出荷がしやすくなる」(九州の産地団体)とした。

 取引強化について、9団体が青果物の出荷を増やすと回答した。その一つ、高知県園芸連は移転と同時に東京事務所を豊洲に構え、商談に力を入れる方針だ。一方、「変わらない」は20団体、無回答は4団体だった。

市場流通に詳しい、東京聖栄大学の藤島廣二客員教授の話

 産地は豊洲市場の特徴を的確に評価している。「販路開拓」の声が多いのは、コールドチェーンで鮮度を売りにできることや、市場が小売りに代わって小分け対応できることを有望視しているからだ。これらが強みとなって集荷力が高まれば、大田市場に取引が集中している状況が変わるかもしれない。産地には卸の販売戦略を踏まえた、出荷先の選定が求められる。

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豊洲市場きょう開場 産地の期待は… 取引拡大契機に 業務・加工向け強化 日本農業新聞調べ(日本農業新聞)

 11日に開場する東京・豊洲市場での青果物取引について、全国のJA全農県本部や経済連などの7割が「販路開拓」を期待していることが、日本農業新聞の調べで分かった。コールドチェーンを生かした鮮度重視の販売や、築地市場が得意とした業務・加工向けの取引の拡大に注目する声が多い。早くも豊洲市場への出荷を増やすとの産地も出ており、専門家は「高機能な施設を追い風に、集荷力が強まりそうだ」とみる。(音道洋範)

 調査は10月上旬、全国の全農県本部や経済連、果実連など49団体を対象に実施。67%の33団体から回答を得た。

 豊洲市場に期待することを複数回答で聞いたところ、「販路開拓」との回答が67%で最も多かった。移転を機に産地は取引を拡大し、手取り確保に生かす構えだ。卸売会社の東京シティ青果も取扱量を3割増やすとの目標を掲げる。

 西日本の全農県本部は「充実した設備による販路拡大を期待したい」と、新たな拠点市場として注視する。北日本の産地は、築地市場が都内の飲食店との結び付きが強いことを踏まえ、「業務・加工向けをはじめ、新たな販路確保を進めたい」と意欲を見せる。

 次いで「鮮度維持」と「物流の効率化」が共に52%となり、関心の高さを示した。豊洲市場に整備される閉鎖型施設によるコールドチェーンに期待している。傷みやすい夏秋野菜や小物野菜の産地から、「青果物の保管条件が大幅に改善される」(近畿の全農)との声もあった。物流の改善では、築地市場と比べて荷さばき場が広くなり、トラックの待機駐車場が整備されたことで、「出荷がしやすくなる」(九州の産地団体)とした。

 取引強化について、9団体が青果物の出荷を増やすと回答した。その一つ、高知県園芸連は移転と同時に東京事務所を豊洲に構え、商談に力を入れる方針だ。一方、「変わらない」は20団体、無回答は4団体だった。

市場流通に詳しい、東京聖栄大学の藤島廣二客員教授の話

 産地は豊洲市場の特徴を的確に評価している。「販路開拓」の声が多いのは、コールドチェーンで鮮度を売りにできることや、市場が小売りに代わって小分け対応できることを有望視しているからだ。これらが強みとなって集荷力が高まれば、大田市場に取引が集中している状況が変わるかもしれない。産地には卸の販売戦略を踏まえた、出荷先の選定が求められる。

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岐阜 豚コレラ移動制限解除 検査は継続(日本農業新聞)

 岐阜県は10日午前0時、岐阜市での豚コレラ発生を受けて発生農場から半径3キロ未満に設定していた移動制限区域を解除した。他の養豚場での発生がなく、家畜伝染病予防法に基づく措置は完了。ただ、同市などで野生のイノシシから豚コレラの陽性反応の確認が続いているため、捕獲や検査を続ける。

 豚コレラは9月9日に国内で26年ぶりに発生。11日に殺処分・埋却などの防疫措置を完了。29日午前0時には搬出制限区域(発生農場から3~10キロ)を解除していた。

 野生のイノシシでは、10月9日時点で計19頭の感染を確認。県内で捕獲された個体や死骸の検査は継続する。他県でも死亡したイノシシの検査を続ける。

 県は10日、感染した野生のイノシシが集中している区域からの拡散を防ぐため、防護柵設置や草刈りによる緩衝帯の整備を進めるなどの新たな対策を示した。ワイヤメッシュ柵を畜舎周辺に設置する農場に経費の一部を支援することを決めた。

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「奥会津編み組細工」 農村の技 人呼ぶ宝 今風バッグ 高値&人気 アカデミー開講定住きっかけに 福島県三島町伝統的工芸品(日本農業新聞)

 山ブドウ籠やマタタビざる……。かつて農作業などで日常的に使われていた民具を活用し、移住対策や地域おこしにつなげる取り組みが東北地方で進む。伝統的工芸品「奥会津編み組細工」の産地、福島県三島町では、都市住民らに今風にアレンジしたバッグ作りや農作業を1年間体験してもらい、技術の継承者として高齢化が進む町への定住を狙う。製品を販売する町の祭りには2万人以上が訪れるほど。農山村の技が地域に人を呼び込む宝に変わっている。(塩崎恵)

 30~50代の男女5人が集まり、薄い緑色の縄で黙々とバッグを編んでいく。5人は、三島町が2017年に開講した「生活工芸アカデミー」の2期生。作っているのは、細長い葉の植物「ヒロロ」を使ったヒロロ細工。もともとは、山仕事や農作業に行く際に、道具や弁当を入れる腰籠などが、手提げや斜め掛けバッグといった実用品に形を変えた。ヒロロの他、山ブドウ細工とざるなどのマタタビ細工がある。

 17年、町は編み組細工を人を呼び込む手段として着目。同アカデミーを開講した。5月~翌3月の約1年間、受講生は町が用意した住居で共同生活を送りながら、山ブドウやマタタビなど「編み組細工」の材料採取や編み方などを学ぶ。講師は町の伝統工芸士らが担う。農山村で自活できる知識を身に付けてもらおうと、野菜栽培や田植え、稲刈り体験もする。

 第1期生4人のうち2人が町に残った。神奈川県出身の井口恵さん(34)は、物作りに興味があり受講。「編み組細工はその人らしさが出るのが面白い。もっと習いたかった」と、習得を目指しながら、町の臨時職員として技術継承へ作り方を文章にまとめる業務を担う。今年5月からの2期生、兵庫県出身の西山明代さん(36)も「山ブドウの籠は使うほど艶が出て、親子3代で使えるのが魅力。絶対に作りたい。畑作業も面白く移住を考えている」と前向きだ。

 同町は県西部の山間に位置し、人口は1656人(4月1日現在)。高齢化率は52・36%(同)で、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると60年には、町の人口は315人まで減少することが予測されている。町は「技術や町で暮らすために必要な知識を得てもらい、移住につなげたい」(地域政策課)と意気込む。

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種子条例制定へ素案 小豆など対象拡大 北海道(日本農業新聞)

 北海道は9日、主要農作物種子法(種子法)が廃止されたことを受け、制定を進める条例の素案を明らかにした。種子法が対象としていた稲や麦、大豆の主要農作物の他に、小豆やインゲンマメ、エンドウマメ、ソバを対象にする方針。いずれも北海道の主力作物で、品目拡大で優良な種子を安定生産する体制を強化する。

 種子法は、都道府県に、稲、麦、大豆の種子の生産・普及を義務付けていたが、今年4月1日に廃止。廃止に伴い、道では、独自の条例制定に向けて議論を進めている。

 新たな条例では当初、対象となる品目を稲、麦、大豆の主要農作物だけと想定していた。ただ、小豆などは畑作の輪作体系に組み込まれる重要な作物。JAグループ北海道などから、輪作体系を維持するためには育種や種子の安定供給に道の関与が欠かせないという意見があり、範囲を広げた。

 同法廃止を受け、埼玉や新潟、兵庫の各県が条例を制定済みだが「主要農作物以外を対象としたのは初めて」(道農政部)。

 主要農作物は現在、道が原種・原原種の生産を担うが、小豆やインゲンマメ、エンドウマメ、ソバはホクレンなどが生産している。素案では道に加え、種子生産者やJAグループ北海道などの責務を明記。関係者の連携で、幅広い品目の種子生産を担保する。

 主要農作物の優良品種は約50種あり、これに今回追加した小豆などを含めると80種以上になる。

 その他、一部地域でしか栽培していないが、実需者から一定のニーズがある品種は、道ではなくJAなどの民間事業者が生産する仕組みを整える。政府が同法廃止の根拠とした、民間の力を最大限活用する狙いだ。品種の選定は、今後議論し決定する。

 道は今後、パブリックコメントなどで意見を募り、年内にも条例案をまとめたい考えだ。

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キャベツダイコン 年末から品薄懸念 2年連続で塩害 台風24号影響(日本農業新聞)

 台風24号の影響で、太平洋側の野菜産地で塩害が発生し、キャベツやダイコンといった露地野菜が年末・年始に品薄となる恐れが出てきた。植えたばかりの作物の一部が枯れ、収量が落ち込む見通しが強まったためだ。産地は種まきや定植のやり直しを進めるが、出荷量の回復には時間がかかる。卸売会社は「今後も天候不順が続いて不作となれば、2年連続で冬の相場が高騰する可能性がある」とみる。

 台風24号は先月末から今月1日にかけて日本列島を縦断した。海水を含んだ強風が各地で吹き荒れ、太平洋側の野菜産地で塩害を引き起こした。

 関東では広範囲に被害が出ており、JA全農ちばによると、生育初期のダイコンや定植したばかりのキャベツなどが枯れる被害が出た。担当者は「種のまき直しや苗の植え直しが必要で、年末から年明け分の出荷が少なくなりそうだ」と話す。神奈川県の三浦市農協でも、海沿いの畑を中心に塩害が見られ、「生育が遅れてしまう。年末年始の出荷は少なくなりそうだ」と見通す。

 冬春野菜の出荷が盛んな愛知県でも、塩害が発生。JAあいち経済連は「キャベツは年末から出荷量が平年より少なくなりそう。2、3月まで影響が続く」と見込む。ブロッコリーも同様の被害があり、施設栽培の大葉も被災したという。

 露地野菜の塩害は昨年から2年連続で発生した。昨年は10月後半に台風が2回、日本列島に接近した影響で、関東産のキャベツやダイコンが不作となった。今春にかけて国産相場が高騰し、日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)はダイコンが1月に1キロ162円、キャベツが2月に1キロ215円と、それぞれ過去5年間の最高値を記録。その影響で輸入も急増していた。卸売会社は「キャベツやダイコンは価格水準を見通せないが、年末に値上がりする可能性が高い」と分析。市場関係者は「2年連続で不作となれば、輸入物が定着しかねない」と警戒する。

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 台風24号は先月末から今月1日にかけて日本列島を縦断した。海水を含んだ強風が各地で吹き荒れ、太平洋側の野菜産地で塩害を引き起こした。

 関東では広範囲に被害が出ており、JA全農ちばによると、生育初期のダイコンや定植したばかりのキャベツなどが枯れる被害が出た。担当者は「種のまき直しや苗の植え直しが必要で、年末から年明け分の出荷が少なくなりそうだ」と話す。神奈川県の三浦市農協でも、海沿いの畑を中心に塩害が見られ、「生育が遅れてしまう。年末年始の出荷は少なくなりそうだ」と見通す。

 冬春野菜の出荷が盛んな愛知県でも、塩害が発生。JAあいち経済連は「キャベツは年末から出荷量が平年より少なくなりそう。2、3月まで影響が続く」と見込む。ブロッコリーも同様の被害があり、施設栽培の大葉も被災したという。

 露地野菜の塩害は昨年から2年連続で発生した。昨年は10月後半に台風が2回、日本列島に接近した影響で、関東産のキャベツやダイコンが不作となった。今春にかけて国産相場が高騰し、日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)はダイコンが1月に1キロ162円、キャベツが2月に1キロ215円と、それぞれ過去5年間の最高値を記録。その影響で輸入も急増していた。卸売会社は「キャベツやダイコンは価格水準を見通せないが、年末に値上がりする可能性が高い」と分析。市場関係者は「2年連続で不作となれば、輸入物が定着しかねない」と警戒する。

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さよなら、築地 掛け声と拍手と… 「最後のせり」沸く(日本農業新聞)

 水産物の取扱高日本一で、世界中からの観光客でにぎわってきた東京都中央卸売市場築地市場(中央区)が、6日正午に営業を終え83年の歴史に幕を下ろした。青果部でも多くの関係者が築地市場への別れを惜しんだ。11日からは豊洲市場(江東区)で、新たなスタートを迎える。

 青果部の卸売会社・東京シティ青果の鈴木敏行社長は「83年間、目利きでつくり上げてきた築地の閉場に寂しさはある。豊洲市場でブランドをつくってきたい」とあいさつ。仲卸「遠安」3代目社長の山田安良さん(63)は「働き慣れた地を離れてしまうのは寂しいが、前を向かないといけない」と思い出をかみ締めるように語った。

 午前6時30分からのせりでは、威勢の良い掛け声と共に野菜や果物が次々とせり落とされた。ワサビは静岡産1ケース(2キロ・高値)が8万6400円と異例の高値が付き、拍手で沸いた。青果物の入荷量は移転を控え、先週土曜日より1割減の812トンだった。

 午後からは豊洲への引っ越しを開始。卸売会社や仲卸業者は荷物を次々とトラックに積み、新市場へと向かった。

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おやつは野菜・果実 健康づくり消費を拡大 小学校に提供へ 韓国(日本農業新聞)

 韓国は2019年度から、全ての小学校の補食として生鮮果実や野菜の提供に乗り出す。学校給食の支援を規定する「食生活教育支援法」を改正。「(果実や野菜を)補食として支援できる」との条項を追加した。幼い頃から健全な食習慣を身に付け、健康な成長を促す。国産農産物の消費拡大にもつなげる。同国の小学校は17年時点で6040校、児童は267万人。

 同国内ではこれまで、学童保育の支援事業の一環として、モデル的に実施してきた。今年5、6月には2581校・11万人、9月には学童保育を実施する全4968校・21万人に、生鮮果実や野菜を1人当たり約150グラム提供した。

 韓国の国会では与党の「共に民主党」の議員ら22人が昨年6月に、同法の改正を発議。今年8月に成立した。新法は、9月中旬に施行した。19年度から事業実施する。

 改正前の法律では「国家と自治体は、学校での食育を強化するため、教育教材の開発や施設、装備を支援することができる」としていた。同条項に「(果実や野菜を)補食として支援できる」を追加した。

 日本の農水省に当たる農林畜産食品部は「将来的に全国の全児童に提供したい」と話す。

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豪雨から3カ月-前を向く産地 基盤整備むしろチャンス 作業しやすく就農呼び込み(日本農業新聞)

 西日本豪雨の被災から6日で3カ月がたった。産地では甚大な被害を受け止めながらも、復興に向けた基盤整備に動きだしている。新たな担い手が農業のしやすい農地を引き継げる環境を整えることで、地域農業の将来をつなぐ。「ピンチをチャンスに」。思いを共有し、前を向く。(丸草慶人、柳沼志帆)

広島県呉市

 広島県呉市安浦町の中畑・下垣内地区。谷あいに7ヘクタールほどある水田などのうち、半分が土砂などに埋まった。復興を目指し、住民はほぼ毎週集まる。県の担当者も招き、地区の将来を話し合う。

 「原形復旧の場合は水路はどうなるのか」「農道は広げられるのか」。被災していない農地も含めて整備し、一筆を大きく耕しやすい農地に変える。地権者約50人のほとんどが基盤整備に参加する見込みだが、水路や農道の設置場所など、根気強く話し合う。中畑自治会長の小林一司さん(67)は「農業の中心は60、70代。生産性が良くなれば、新しい人が来るかもしれない」と期待する。

 同町市原地区も、土砂で農地7ヘクタールや生活基盤が被災。復興に向けて、夜遅くまでの会議を重ねる。地権者は約20人。高齢者が多く、後継者は少ない。土地所有者の意向を聞き、耕作ができない高齢者からは土地を買い取る方向だ。農事組合法人の設立も検討中。市原自治会長の中村正美さん(69)は「担い手を養成するためにも、使い勝手の良い田んぼをつくる」と呼び掛ける。

 県は両地区を「復旧・復興のモデル」と位置付け、できる限りの支援を行っていく方針だ。

愛媛県宇和島市

 愛媛県宇和島市吉田町では、かんきつ園地の復興を目指す。全体の2割に当たる70ヘクタールが流亡したJAえひめ南玉津共選。有数のミカン産地としてブランドを確立してきた。豪雨により、谷に沿ってかぎ爪でひっかいたように土砂が崩れ、過去にない被害を受けた。

 「他のことができない土地だから、姿が変わっても園地を残したい」。共選長の山本計夫さん(66)は災害に強く、管理がしやすくなる園地再編に未来を託す。

 県は復旧方法を三つ提示。地域では、平たんに造成して作業負担を少なくし、軽トラックで入れる園内道を整備する方法に注目する。複数の園地がまたがる山の峰に沿って被害が出たため、原形復旧は難しいからだ。

 40アールが被害を受けた深浦地区の御手洗隆徳さん(36)は「人手不足はさらに進む。作業効率が上がる平たん地は憧れだ」と期待する。坂本辰幸さん(58)は「収穫できない悔しさを痛感した。産地を徹底的につくり変えるしかない」と意気込む。

 玉津共選では法人設立を検討。その法人を中心に、被災農家が他園地で収穫作業を手伝うなどのアルバイトで、収入を得る仕組み作りを進める。法人が農地を借り受け、苗を育て、未収益期間を短くする取り組みも構想する。育てた苗は、整備後の園地に植える。

 山本共選長は「基盤整備がうまく進めば、作業効率も上がり、日本一のミカンが作れる。ピンチをチャンスに変えたい」と強調する。

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