仕事を「爆速で終える人」は何をしているのか(東洋経済オンライン)

今年度も残すところ1カ月半。そろそろ、4月から新しく管理職になる内示を受けた人もいるかもしれません。ですが、「管理職1年目」には失敗がつきものです。特に、プレイングマネジャーの場合、部下を管理しながら自らの成果も求められるため、仕事量が急激に増えるケースがほとんどです。
日米両企業での豊富なマネジメント経験を基に『管理職1年目の教科書』を上梓した櫻田毅氏が、高速で仕事を処理し、かつ確実に成果を出す外資系マネジャーの仕事術を紹介します。

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 管理職の皆さんの中には、マネジメントと実務の両方を行う「プレイングマネジャー」として期待される方も多いかと思います。特に管理職就任直後などは、通常の仕事にマネジメント業務が加わり、急に忙しさが増します。

 このようなとき、管理職として絶対にやってはならないことは、自分がボトルネックとなってチームの仕事を止めてしまうことです。部下への権限委譲により判断機能を分散するなど解決策はいくつかありますが、ちょっとした習慣によって仕事のスピードを上げることも選択肢のひとつです。

 たとえば、複数の仕事を大量に抱えているにもかかわらず、新しい仕事が容赦なく飛んできたとします。「いまの仕事のメドがついてからでいいから」と言われたのを幸いに、新しい仕事をいったん横に置き、いまやっている仕事をとにかく片づけてしまおうと考えがちですが、これ、実はNGです。生産性の高い人、すなわち単位時間当たりのアウトプットの高い人は、違うやり方をします。

■ぶっちぎりの高速ランナーは「ちょっとだけやってみる」

 30年以上にわたる日米両企業でのビジネス経験の中で、仕事が速い人、それも圧倒的なスピードで仕事をするスーパービジネスパーソンを何人か見てきました。

 米国系企業で資産運用のコンサルタントをしていたときの同僚・伊東さん(仮名・40代)もその1人です。仕事の速さにかけてはウサイン・ボルトかフローレンス・ジョイナーかという、私が知っている中でも、ぶっちぎりの高速ランナーです。

 私が、担当する法人クライアントへの業務をこなすだけでいっぱいいっぱいのときでも、伊東さんは担当業務だけでなく複数の調査や分析を引き受けて、質の高いアウトプットを次々と出しているのです。そうかといって遅くまで仕事をしているわけではなく、適当な時間に涼しい顔をしてさっさと帰っていきます。そこである日、伊東さんに頼み込んで、とっておきの仕事の仕方を伝授してもらいました。

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45歳「酔うと化け物になる父」描いた女の稼業(東洋経済オンライン)

これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介が神髄を紡ぐ連載の第25回。
 小沢カオルさん(45歳)は、さまざまな体験をしてその様子をルポ漫画にするのがなりわいだ。

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 たとえば、

 「孤独死の現場の特殊清掃を手伝う」

 「樹海を歩いて白骨死体を見つける」

 「多摩川の河川敷でホームレスのいなくなった空きテント小屋に泊まる」

 などなどだ。女だてらに身体を張った取材をしていて人気がある。

 昨年は本名の菊池真理子名義で『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店)という単行本を出版した。アルコール依存症の父親との生活を描いたドキュメント漫画だ。

 この漫画はウェブ上で連載のときから、大きな話題になった。

 小沢さんはどのような経緯で体験ルポ漫画家になったのか。そして、なぜ自身の過去を題材にしたドキュメント漫画を描こうと思ったのか。お話を伺った。

■母親の宗教問題

 「父親はサラリーマン、母親は専業主婦の家庭でした。3歳のとき、私が喘息になり、空気の良い場所に引っ越そうということになって、埼玉県春日部市に引っ越してきました。その頃から物心がついて、記憶が始まります」

 小沢さんの母親はある宗教の熱心な信者だった。父親は入信しておらず、母親が信者であることに反対していた。

 「結婚前は、結婚したら父も入信すると言っていたらしいのですが、いざ結婚したら入信しませんでした。

 父親は自分以外の家族が宗教信者だという家庭生活にストレスを感じていたのかもしれません。月曜日から金曜日までは一滴も飲まないのですが、土日は意識を失うまでお酒を飲んでいました。もともとアルコールに弱い人で無理して飲んでいるんですよね。2~3杯でもう立てなくなるくらい酔っ払うんです」

 前提から今ひとつうまくいっていない家庭だった、と小沢さんは語る。

 母親の宗教問題が原因でいざこざが多い家庭だったが、小沢さんが初めて漫画を描いたキッカケもその宗教だった。

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 「孤独死の現場の特殊清掃を手伝う」

 「樹海を歩いて白骨死体を見つける」

 「多摩川の河川敷でホームレスのいなくなった空きテント小屋に泊まる」

 などなどだ。女だてらに身体を張った取材をしていて人気がある。

 昨年は本名の菊池真理子名義で『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店)という単行本を出版した。アルコール依存症の父親との生活を描いたドキュメント漫画だ。

 この漫画はウェブ上で連載のときから、大きな話題になった。

 小沢さんはどのような経緯で体験ルポ漫画家になったのか。そして、なぜ自身の過去を題材にしたドキュメント漫画を描こうと思ったのか。お話を伺った。

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 「父親はサラリーマン、母親は専業主婦の家庭でした。3歳のとき、私が喘息になり、空気の良い場所に引っ越そうということになって、埼玉県春日部市に引っ越してきました。その頃から物心がついて、記憶が始まります」

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 父親は自分以外の家族が宗教信者だという家庭生活にストレスを感じていたのかもしれません。月曜日から金曜日までは一滴も飲まないのですが、土日は意識を失うまでお酒を飲んでいました。もともとアルコールに弱い人で無理して飲んでいるんですよね。2~3杯でもう立てなくなるくらい酔っ払うんです」

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50歳以上でも「つみたてNISA」が良い理由(東洋経済オンライン)

 2018年1月、つみたてNISA(少額投資非課税制度)が始まりました。毎年40万円まで非課税で20年間運用ができるという制度です。一方で、NISAには2014年に始まった一般NISAがすでにあります(年間120万円、最大5年まで非課税で運用)。つみたてNISAと一般NISAの両方に入ることはできません。最近よく「どっちに入ったらいいの?」と聞かれるので、今回はこのお話について、読者のみなさんと考えてみたいと思います。

■一般NISAの7割は50代以上、実際の稼働率は6割? 

 つみたてNISAは、一般NISAに比べて「地味な幕開け」でした。先にスタートした一般NISAは、当初は年間100万円までの非課税枠(2016年から120万円に拡大)、投資対象についても個別株でも投資信託などでも、と選択肢も豊富で、金融機関にとっては売り上げアップの好機でした。そのため、多くの金融機関で口座獲得キャンペーンが行われました。NISA口座を開設すると、数千円のキャッシュがもらえたりしていたので、覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか? 

 日本証券業協会によると、2017年9月末における全金融機関での一般NISAの口座開設数は1102万口座。そのうち50歳以上が占める割合が約7割です。ただし実際にNISA口座で金融商品を購入した、いわゆる「稼働率」はおよそ6割にとどまっているという調査もあります。キャンペーン目当ての口座開設が多く、金融庁が掲げている「貯蓄から資産形成へ」の目論見とはやや外れた結果になっています。

 金融庁の狙い通りにいかなかった点は、稼働率だけではありません。そもそもNISA創設の目的は、国民が適切な投資行動を行うことによって、預金だけに偏らず、経済成長の恩恵を受けて資産を成長させていけるようにしたいと願ったからです。そのため、運用益にかかる税金をゼロとしたNISAを創設したのですが、金融機関の販売行動は、全体としては残念ながら、金融庁の思惑とは違ったものだったのです。

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相次ぐ談合疑惑、問題はゼネコンだけなのか(東洋経済オンライン)

 「色々とお騒がせして、どうもすみません」――。

 今年に入り、複数のゼネコン関係者からこうした言葉を耳にした。特に注目を集めたのが談合疑惑だ。昨年はNEXCO東日本・中日本が東京外かく環状道路(外環道)工事の入札を中止。年末にはリニア中央新幹線の建設工事をめぐる入札談合の疑いが浮上。東京地検特捜部や公正取引委員会が大手ゼネコン各社を家宅捜索し、トップニュースをさらった。

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2月13日発売の『週刊東洋経済』は「ゼネコン 絶頂の裏側」を特集。相次ぎ浮上した談合疑惑の深層に切り込んでいる。

■受注前の情報交換が問題に

 「あれを『談合』と言われたら厳しいな」。リニアの話題を振ると、ある中堅ゼネコン幹部はこうこぼした。「われわれだけではリニアは建設できない。やっぱりスーパーゼネコンがいないと」。

 スーパーゼネコンとは、日本の建設業界でトップに君臨する大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店の5社を指す。今回浮上したリニアの談合疑惑では、トンネルなどの土木事業を手掛けていない竹中を除いた4社が家宅捜索を受けた。

 焦点になっているのは、受注前に工事に関する情報交換をしていたことだ。大林組は公正取引委員会に独占禁止法の課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づいて談合(受注調整)を申告した。清水建設も「この情報交換が談合だといわれると、認めざるをえない」と言う。一方で、鹿島と大成建設は「必要な情報交換であり、談合ではない」と否認している。

 スーパーゼネコン各社は2005年末に「談合決別宣言」を出した。当時、談合事件が続発し、独占禁止法の罰則が強化された。それにもかかわらず、なぜリニア工事で疑惑が浮上したのか。

 品川―名古屋間約286キロメートルの大半がトンネルで、中でも山梨、静岡、長野にまたがる南アルプストンネルや品川駅地下、名古屋駅地下は超難関の工事とされている。大手4社抜きにしてリニアは建設できないというのは、業界関係者であれば誰もが認めるところだ。

 「リニアについては利益を確保しながらきちんと工事を行うためには受注調整が必要だという発想が、ゼネコンだけでなくJR東海にもあったのだろう。現場に行けば行くほど、工事をきちんと行うことに意識が向き、発注者や他社と協力しようという発想につながる。受注前のこうしたやりとりも談合に当たると認識しないかぎり、談合は今後もなくならない」と独占禁止法が専門である上智大学法科大学院の楠茂樹教授は指摘する。

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中国富裕層に「美容体験ツアー」が人気なワケ(東洋経済オンライン)

 街でとにかく中国人を見掛ける――。そう思った方も多いのではないだろうか。2月16日は中国の春節(旧正月)。休暇を利用して多くの中国人が大移動することで知られ、日本にも毎年多くの中国人が訪れる。今年の春節シーズンは15~21日で、日本観光振興協会によると、訪日客のピークは17日になる見通しだという。

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 昨年、中国からの訪日客は過去最高の735万人に及んだ。今年もさらに伸びていく見通しだが、これまでの団体客中心から「個人旅行化が急速に進んでいる」(日本政府観光局)。その中で、中国人の日本での楽しみ方も変わってきている。

 いま注目されているのが、モノではなく「コト」消費だ。「コト」、すなわち体験型ツアーのことだが、消費する金額も大きい。「コト」需要そのものは多岐にわたり、”忍者体験ツアー”、”着物着付けツアー”などがあるが、その1つとして利用者が増えているのが、中国人旅行客の「美容体験ツアー」だ。

■月20~30組が参加

 中国人が日本の美容技術に持っている評価は、あこがれに近いほど高いとされている。そのため、単に日本の化粧品を買うだけでなく、美容を組み込んだツアーを体験することが新しいトレンドとなっているのだ。

 この動きにいち早く対応しているのが、日本のヘアサロン、ネイルサロン、エステサロンなどを検索できる中国人旅行客向けの美容ポータルサイト「ビューティパークチャイナ」(玩美花园)を運営しているオーエス(東京都豊島区)である。

 「ビューティパークチャイナ」は、2017年4月に中国人旅行客向けにスタートし、月平均のページビュー(PV)は133万といった状況。問い合わせはスマートフォン(ウイチャット)などを通じて月平均で30~40件あり、月20~30組が美容ツアーに参加している。「組」というのは、友人、親子、夫婦、カップルなど2人以上で美容を組み込んだツアーを体験するのが一般的なケースとなっているためである。

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明治「R-1」新妻さおりんCMが支持されたワケ(東洋経済オンライン)

あなたのお気に入りCMは、何位にランクインしているだろうか? 
CM総合研究所が毎月2回実施しているCM好感度調査は、東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象として、関東在住の男女モニターが、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに思い出して回答するものだ。
最新の2018年1月後期(2018年1月5日~ 2018年1月19日)調査結果から、作品別CM好感度ランキングTOP30を発表。その中から、CM総研が注目するCMをピックアップして、ヒットの理由に迫る。

■“三太郎シリーズ”がTOP3を独占! 2018年も絶好調

 【1位~10位】

 調査期間中、東京キー5局からオンエアされた3175作品のうち、作品別CM好感度TOP3をKDDI『au』の「三太郎」シリーズが独占した。桃太郎、浦島太郎、金太郎に加え、鬼、かぐや姫、乙姫、織姫など個性あふれるキャラクターが次々に登場し、2015年の開始から、依然その人気は高い。

 今回1位に輝いた「鬼の親子」篇には、菅田将暉演じる鬼ちゃんの長男・赤鬼役として新たに鈴木福が登場した。8人兄弟の長男として家計を心配し、進学を諦めて父の仕事を手伝うと話す息子に、本音を察した父は「学んだことは誰にも奪われないから」と進学を促す。モニターからは「言葉がすごくいい」「感心した」「泣かせるセリフ」など鬼ちゃんのセリフへの感想が寄せられた。学ぶことの意味を改めて考えさせられる言葉と、菅田と鈴木の演じる親子愛に胸を打たれた視聴者も多かったようだ。

 かたや30秒バージョンでは、学費を稼ぐために「もう1個副業増やすか!」と明るく話す父に、息子が「お父さん、本業…何?」と問いかけるというユーモラスなオチがつく。

 続く2位は年始恒例となった長尺のCMだ。今年は「笑おう」をテーマに登場人物たちが失敗を乗り越えて笑顔を見せるストーリー。ラストシーンでは初めて同じアングルの中に主要キャラ全員が集合して記念撮影をしようとするもの。

 3位の「半額屋」篇では、鬼ちゃんがただの板を「板Phoneっす! 今、半額っす!」と熱心に販売する。対象のスマホ購入と加入で機種代金が最大半額となるサービスをアピールするものだが、実はCMに登場するこの“板Phone”、Web上には「世界初、すべての機能をそぎ落とした最新のスマートフォン誕生」「基本料0、通信料0、充電不要」「近くにいる人と話せる」など、いかにも実際の製品であるかのような紹介動画も公開されている。また、前述の登場人物が全員集合する場面でも、記念撮影のために桃太郎が手にしているのは“板Phone”であった。

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上野動物園も! プロ溺愛「すごい長靴」の世界(東洋経済オンライン)

 東京も大雪やゲリラ豪雨に見舞われる昨今。革靴がぬれてヨレヨレになり、「ちゃんとした長靴を常備しておくべき?」なんて思う人も多いかもしれない。

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 そこで、自然の脅威にも備えられそうな実績ある長靴をリサーチしたところ、弘進ゴム(宮城県仙台市)の「シーラックスライト」というゴム長靴にたどり着いた。雪寒地にお住まいの人々を中心に10年近く愛され続けているという。

 「1月の大雪の際は、北関東のホームセンターからも全体で1万足ほどのオーダーが入りました」と、同社シューズウェア統括本部・副本部長の近内章人さん。普段需要の低い関東地方でも、いざというときの頼れる存在になっている商品のようだ。

■上野動物園の飼育員たちが履いていた! 

 同社は、ゴム・ビニール製品を製造販売している会社。身近なところでいうと、車のパワーステアリングホースや大手コンビニのコーヒーメーカーマシーンの中の管などを作っているのだが、中でも1935年(昭和10年)の創業以来、主力商品となっているのが長靴だ。

 同社は、国内の専門業種向けの長靴(ゴム製・ビニール製)市場で35%とトップシェアを持つ。水産、農業、食品、土木建設などの現場で定評があり、指名買いが多いようだ。

 たとえば、雪や氷の上でも滑りにくいゴム長靴「マッキンリー」。上野動物園職員の指定品だという。魚の脂で滑りやすい築地市場では、働く人の9割が耐油性のビニール長靴「ザクタス」を履いているそうだ。そのほか、スーパーのバックヤードで使われる白い衛生長靴「ゾナ」シリーズや、ハードな現場向けとしてつま先に鋼製の先芯を施した安全長靴なども売れ筋だという。

 そんな現場のプロたちに選ばれる同社の「一般作業用」の長靴として売られているのが、「シーラックスライト」シリーズ(冒頭の写真中央)だ。2008年に発売を開始して以来、土木現場などで作業をする人や、雪かきが必要な北国に住む人たちから人気を得ている。値段は5400円(税込)。作業用長靴は探せば1000円代でも買えることを考えると安価とは言えないが、「一度履くとほかのものはもう履けない」と繰り返し買うリピーターが多いそうだ。

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優先席の劣悪マナーは看過できないレベルだ(東洋経済オンライン)

 まだ夕方のラッシュには時間がある、ある日の京王線明大前駅。京王八王子行き準特急はラッシュ前といえほぼ満員の状態、初老の夫婦が優先席のある「おもいやりぞーん」近くのドアから乗り込むも、優先席はスマホに夢中の若者ばかりだ。

【写真】優先席の位置を示すJR東日本のステッカー。かつては「シルバーシート」と呼ばれていた

 夫婦の女性は障害者で杖をついている。夫がドアに一番近いスマホの若者に「すみません、長い時間立っていられない身なのです、譲っていただけませんか?」と申し訳なさそうに言った。するとスマホ男は「オレだって疲れてんだ!」と大声を上げた。周りの乗客が一斉に注目したから、それほどの大声でけんか腰だった。それでもスマホ男はガンとして席を譲ろうとはしない。他の優先席のスマホに夢中の「健常者」もしかりである。

■優先席のモラルはまだまだ低い

 実はこの出来事は、わが家族のことである。妻は脳梗塞の後遺症で左手と腰にマヒが残り、歩けるのだが長時間立っていることはできない。身体障害者手帳も所持している。スマホ男は周りの視線を気にしながら千歳烏山で席を立った。私の家内はその後に座り、黙って下を向いたままだった。冷たい世の中というより、ひどい世の中になったものだと思った。

 以来、私は各鉄道会社の「優先席」というものを取材して、その現状を自分なりに把握した。以下は私の実体験によるもので、すべてがそうであるとは言い切れない。だが、私が見たところ、「優先席」を必要としている「交通弱者」に対しては、またまだ社会的なマナー、モラルが低いと言わざるをえないとの結論に至った。

 私は今年72歳、東京都からシルバーパスを頂戴する年齢になったが、できるだけすいているときは一般席に座るようにしている。優先座席に座った場合でも、私より年長と思われる人や、明らかに障害のある人には必ず席を譲るようにしている。

 ときどき、私の風体を見て席を譲られることもあるが、その時は素直に席に着く。ある若者に聞いた話だが「席を譲ろうとしても“年寄り扱いするな”と言われ、バツが悪かった」経験があると言う。こういうことがあると席を譲りにくいことも確かである。

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59歳「派遣に堕ちた」困窮男性が見続ける夢(東洋経済オンライン)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

52歳大学非常勤講師「年収200万円」の不条理

■職場でモノを言うのはやめた

 大みそか、街はどこも浮かれていた。札幌市内のある商業施設の駐車場入り口。家族連れなどを乗せた車両がにぎやかに行き交うそばで、案内板を掲げた誘導員のヨウジさん(59歳、仮名)は黙々と立ち続ける。気温は昼すぎには氷点下に。黒っぽいコートを重ね着し、分厚い手袋と耳あてで防寒しても、顔の筋肉はこわばり、足先の感覚はない。

 「人手が足りないので、年末は31日まで出勤でした。年始の休みも元日と2日だけ。帰省ラッシュがピークだとか、有休を組み合わせれば9連休になるとか――。シフト制の、時給制で働く契約社員にとっては、どれも無縁のニュースです。休日が少ないと収入は増えますが、体がつらい。かといって、休日が取れると体は楽になりますが、収入が減る。これも非正規労働者の“あるある話”です」

 駐車場管理員として勤続10年。この間、時給は840円から880円に、40円上がっただけだ。年収は200万円に届かない。寒冷地手当もボーナスも住宅手当も家族手当もゼロ。あまりの待遇の悪さに、特に若者が定着しないという。1年間で職場の顔ぶれの半数が入れ替わることも珍しくない。

 最近は募集をしても人が集まらないと言い、人員が足りないため、本来1時間の昼休が30分しか取れない。会社は商業施設を中心に複数の駐車場管理を請け負っており、ある現場では、10日連続の勤務を強いられた同僚もいるという。会社の方針が変わり、ここ数年は有給休暇も取れなくなった。

 いずれも法律や就業規則に違反している可能性が高いが、職場で声を上げる人は誰もいない。かつてヨウジさんは職場環境について愚痴をこぼしたとき、そばで聞いていた年下の正社員から「契約社員が何言ってるんだ。二度とそういうことは許さない」と語気荒く、一蹴されたことがある。以来、職場でモノを言うのはやめた。不満のある者は黙って辞めていき、彼のように再就職口を見つけるのが難しい中高年以上の働き手はとどまる代わりに口をつぐむ――。いつのまにか、そんな「ルール」が出来上がってしまったのだという。

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