破産開始決定を受けたジャパンライフ、多くの課題が浮き彫りに(東京商工リサーチ)

 債権者から破産を申し立てられていたジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、代表取締役:山口隆祥氏)が3月1日、東京地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は2405億円にのぼり、今後の調査でさらに膨らむ可能性もある。
 破産申し立てに対し、山口代表は「(事業を)継続する」と破産手続きにおける審尋で反論したが、東京地裁は異例のスピードで「破産開始決定」を出した。
 ジャパンライフの浮き彫りになった多くの問題に東京商工リサーチ(TSR)情報部が迫った。

 ジャパンライフは消費者庁から1年間に異例の4度の業務停止命令を受けた。しかし、ジャパンライフは「的外れ」と説明するなど消費者庁の行政処分をあざ笑うかのような対応に終始した。
 その後、ジャパンライフの資金繰りは急速に悪化した。昨年12月中旬には本社不動産を売却し、社長だった山口ひろみ氏も辞任。12月26日、銀行取引停止処分を受けて事実上倒産した。
 すぐに自己破産を申請すると思われたが、ジャパンライフは今年に入り、各地で顧客向けの説明会を開催。同社幹部らは「倒産していない。事業を継続する」などと述べ、高齢者を中心とした顧客を「安心」させるような説明を繰り返した。
 いち早く被害回復に動いていたジャパンライフ中部被害対策弁護団(団長:杉浦英樹弁護士)が山口代表らを刑事告訴した。また、消費者問題に取り組む全国の弁護士が協力して今年1月20日、全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会(団長:石戸谷豊弁護士、以下:被害連絡会)を立ち上げた。そして2月9日、同連絡会に被害相談していた債権者22名が東京地裁に破産を申し立てていた。

◇被害を受けたと名乗り出る高齢者が少ない
 ジャパンライフ問題の特徴は、6500人以上の被害者がいるのにもかかわらず、名乗り出る人が少ないことだ。
 消費生活センターによるとジャパンライフに関する相談者のうち、75%が75歳以上、女性も74%だった。被害連絡会は、「全財産をジャパンライフに提供した」ケースも多いという。
 相談できる家族も少なく、また資産の大半をジャパンライフに預けたことを知られたくない高齢者も多いとみられる。さらに、ジャパンライフは顧客への説明会で「破産した場合、ほとんど(預けたお金が)戻ってこない」と強い口調で述べている。このため、家族や弁護士などに相談できず、ジャパンライフ問題が広がることが遅れた。
 破産管財人は相談等の専用ダイアル(03-3511-8333、受付時間10時から16時(土日祝日を除く)を開設した。また、被害連絡会も各地に相談窓口を設け、「(被害者に)ぜひ利用していただければ」と述べ、被害回復に向けた体制が強化されている。

◇集めた資金の計上方法
 ジャパンライフがTSRに公開した決算書によると2017年3月期の負債総額は134億9381万円だった。一方、消費者庁が指示した公認会計士による監査後の負債総額は2405億円にのぼり、債務超過だったことが明らかとなった。
 ジャパンライフは、磁気治療器の販売代金を売上高に計上する一方で、預託された資金を負債に計上せず、レンタル料として顧客へ払った分のみを売上原価にあげていたようだ。これにより、ジャパンライフが顧客に返済する必要がある「お金」が見えなくなり、2000億円近い顧客から集めた資金の行方がつかめなくなった。
 企業が長期契約や前払い、預け金など多額の資金を消費者から預かる場合、決算での計上方法や監査体制、情報公開の仕組みなど消費者保護の強化について制度拡充が必要だろう。

◇債権者破産の高いハードル
 消費者問題に詳しい全国の弁護士が協力したことで、異例のスピードで債権者破産の申し立てに繋がった。
 一般的に債権者からの破産は、申し立てられる側の企業の協力が得られないことが多い。財務内容や支払不能など破産原因を債権者が証明する必要がある。また、債権者の破産申し立ては、負債額に比例する「予納金」を債権者が立て替えなければならない。2405億円の負債を抱えるジャパンライフの破産手続きにおける予納金は数千万円に達する可能性があった。
 今回、東京地裁と被害連絡会が調整した結果、予納金は「1000万円」となり、さらに全国各地の弁護士の協力で消費者問題などに用いられる資金を借りたことで債権者の負担はなかった。
 破産事由の証明や予納金の問題など、一般消費者が債権者となり破産を申し立てることはハードルが高く、議論の余地がありそうだ。

 ジャパンライフは、「新規で購入した顧客の代金が、そのまま先に購入した顧客のレンタル料として配当に回される自転車操業」だったと被害連絡会は指摘している。これだけ負債が拡大した主な原因だ。
 消費者庁も法律に則り、異例の4度の行政処分など消費者保護に努めていた。それでも、これだけの被害を止めることはできなかった。
 被害者にとって破産開始決定は被害回復の一歩目に過ぎない。これから破産管財人の手でジャパンライフの財産調査が行われる。さらに被害連絡会は破産管財人に協力しながら、独自に刑事告訴などを検討しており、刑事事件となる可能性も出てきている。
 6500人以上の被害者を出したジャパンライフの破産だが、多くの課題を浮き彫りにした事件でもある。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年3月5日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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温泉保養施設「農民の家」を運営、宮城県農民の家農業(協)(宮城)が破産(東京商工リサーチ)

 宮城県農民の家農業(協)(TSR企業コード:140202129、法人番号:6370205001016、大崎市鳴子温泉字河原湯5-6、設立昭和24年5月、出資総額12億7260万1000円、代表理事:菅原章夫氏)は2月28日に仙台地裁古川支部へ破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。破産管財人には小高雄悦弁護士(小高法律事務所、同市古川駅南3-13-2、電話0229-23-5336)が選任された。
 負債総額は約1億4100万円。

 昭和24年5月に農民の休養を目的に設立され、全国唯一の温泉専門農協として、4つの源泉と9つの浴槽を有する温泉保養施設「農民の家」を運営。平成13年5月期の売上高は9億5485万円をあげていたが、その後は景気低迷などの影響から減収が続いていた。また、過去には年間11万1000人の利用者がいたものの、施設老朽化等で客足が急速に低下した。
 利用客の回復に向けて、ゴルフ大会や演芸などのイベントを開催したほか、新たな組合員の募集を進めた。しかし、改善には至らず、赤字経営が続くなか、組合からの脱退者に対する出資払戻金の負担も資金繰りを圧迫。29年5月期には年間利用者が6万3000人まで減少し、売上高は3億円を下回っていた。さらに、8000万円を超える事業損失を計上した。30年5月期に入っても業績改善が進まず、税金や公共料金などの未払債務が増大するなかで事業継続を断念した。

東京商工リサーチ

【速報】ジャパンライフ(株)が破産開始決定を受ける 負債総額2405億円(東京商工リサーチ)

 2月9日、債権者22名から東京地裁に破産を申し立てられ同日、保全管理命令を受けたジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、法人番号:3010001070195、千代田区西神田2-8-5、設立昭和50年3月28日、資本金4億7640万円、代表取締役:山口隆祥氏)は3月1日、同地裁から破産開始決定を受けた。
 破産管財人には保全管理人の高松薫弁護士(隼あすか法律事務所、千代田区霞が関3-2-5)が選任された。
 負債総額は2405億円(平成29年3月末時点)。ジャパンライフによると平成29年7月末の預託者数(会員)は6855名。
 
 磁気治療器や化粧品などの販売を手掛け、昭和60年2月期には売上高1509億円をあげたが、同時期に豊田商事(株)(TSR企業コード:570305349、大阪府)の「マルチまがい商法」が社会問題化し、事業を縮小。平成13年4月には、東京国税局から所有不動産の差押を受けていた(平成18年1月抹消)。その後、再び事業を拡大し、平成28年3月期は売上高248億5360万円をあげていた。
 しかし、28年12月、29年3月と立て続けに消費者庁から預託法や特商法違反で行政処分を受け、29年3月期の売上高235億725万円へ減少。さらに、同年11月に3度目、同年12月にも異例の4度目の行政処分を消費者庁から受けていた。これと前後して12月12日に本社不動産を売却し、12月15日には山口ひろみ社長が代表取締役を辞任した。
 
 銀行取引停止処分後は、顧客や代理店を集めて説明会を開催。ジャパンライフの幹部は、「事業を継続する。倒産していない」と事業再開に意欲を示し、新たに販売会社を設立し、3年間で280億円の返済を目標にするなどと説明していた。
 そうしたなか30年1月20日、ジャパンライフ問題の相談を受け付けていた全国の弁護士が名古屋市で「全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会」(代表:石戸谷豊弁護士)を立ち上げ、元顧客22名(申立債権額4億5157万円)が2月9日、東京地裁に破産を申し立てた。

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“震災から7年”「東日本大震災」関連倒産は累計1857件、84カ月連続で発生(東京商工リサーチ)

2月28日現在

 3月11日で「東日本大震災」から丸7年を迎える。「東日本大震災」関連倒産件数は、2011年3月から2018年2月まで84カ月連続で発生し、累計は1857件(2月28日現在)に達した。
 倒産企業の従業員被害者数は2万8597人にのぼり、1995年の「阪神・淡路大震災」時の約6.5倍に膨らんだ。また、全国では島根県を除く46都道府県で関連倒産が発生し、都道府県別の企業倒産に占める「東日本大震災」関連倒産の件数構成比では、震災で甚大な被害を受けた東北3県(宮城、岩手、福島)が高率で揃って上位に並び、影響の大きさを浮き彫りにした。

◇「震災」関連倒産は累計1857件、2017年は月平均で5.9件
 「東日本大震災」関連倒産(以下、「震災」関連倒産)は、2018年2月28日現在で累計1857件に達した。年別(1-12月)では、2011年が544件、12年490件(前年比9.9%減)、13年333件(同32.0%減)、14年175件(同47.4%減)、15年141件(同19.4%減)、16年97件(同31.2%減)、17年71件(同26.8%減)と推移してきた。
 2017年は収束傾向が一層強まり、震災時2011年の7分の1以下に減少したが、月平均では5.9件ペースで推移し、震災の影響をいまだに払拭できない企業がみられる。

◇「間接被害型」が9割を占める
 被害パターン別では、取引先・仕入先の被災による販路縮小や受注キャンセルなどが影響した「間接型」が1681件(構成比90.5%)に対し、事務所や工場などの施設・設備等が直接損壊を受けた「直接型」は176件(同9.4%)だった。「間接型」がほとんどを占めたのは、倒産企業はもともと経営体力が脆弱だったところが多く、震災が業績不振に追い打ちをかけたことによる。
 一方、「直接型」は事業を再建、再開することが難しく、倒産に至らなくても休廃業に追い込まれた企業が相当数あったことも影響したと推察される。 

◇倒産企業の従業員被害者数は2万8597人、「阪神・淡路大震災」時の約6.5倍に
 「震災」関連の倒産企業の従業員被害者数は、2018年2月28日現在で2万8597人に達した。 
 1995年の「阪神・淡路大震災」時は4403人(3年間で集計終了)で、単純比較で約6.5倍に膨らんだ。都道府県別では、東京都が9167人(構成比32.0%)で全体の約3分の1を占めた。次いで、宮城県2233人(同7.8%)、北海道1426人(同4.9%)、大阪府1265人(同4.4%)、栃木県1216人、神奈川県1081人、福岡県1003人と7都道府県で1000人を超えた。
 また、震災で甚大な被害を受けた岩手県、宮城県、福島県の被災3県の合計は3907人(構成比13.6%)にのぼった。なお、倒産企業の従業員数は正社員のみで、パート・アルバイトなどを含んでいないため、倒産企業の実際上の従業員数はさらに膨らんでいるとみられる。

◇都道府県別の倒産発生率、宮城県が最高の27.1%
 都道府県別では、島根県を除く46都道府県で関連倒産が発生した。1995年の「阪神・淡路大震災」時では23都府県だったのと比べて2倍に広がった。津波の被害が東北沿岸部から太平洋側の広範囲に及んだため、被害の甚大さも重なって影響が全国規模に拡大した。
 都道府県別の倒産件数のうち「震災」関連倒産の占める構成比(2018年1月までの累計)では、宮城県が27.1%で最も高かった。次いで、岩手県22.8%、福島県18.6%、山形県11.7%、青森県が9.2%と、直接被災した東北地区が上位を占めている。
 全国合計の年別構成比では、2011年が5.0%、12年4.0%、13年3.0%、14年1.8%、15年1.6%、16年1.1%、17年0.8%と低下を続け、収束傾向をみせている。地区別のうち、東北は2011年に23.5%と約4社に1社を占めたが、12年21.5%、13年21.5%、14年14.1%、15年12.8%、16年9.7%、17年9.2%と推移してきた。ただし、2018年1月までの累計の構成比は16.2%を占め、全国構成比(2.6%)を大きく上回り、東北地区では震災の影響が甚大だったことを裏打ちした。

◇産業別件数、最多が「サービス業他」で全体の4分の1を占める
 産業別では、宿泊業、飲食店などを含む「サービス業他」が492件(構成比26.4)で最多。
 次いで「製造業」が422件(同22.7%)、「卸売業」が342件(同18.4%)、「建設業」が222件(同11.9%)、「小売業」が174件(同9.3%)と続く。「サービス業他」が多かったのは、被害の規模が大きく、広範囲な業種に影響が及んだことを反映した。
 各年別でみると、震災直後の2011年と2012年は、サプライチェーンの寸断、工場の被災などを背景に「製造業」が最も多かったが、2013年以降は、飲食業や宿泊業などを含む「サービス業他」の全体の割合が高くなった。また、従来の顧客先の喪失や縮小を強いられた「卸売業」も構成比を広げた。こうしたなか2017年は、食料品製造業を中心に製造業の増加が目立った。

◇業種別最多は、ホテル・旅館などの「宿泊業」
 また、より細分化した業種別でみると、ホテル・旅館などの「宿泊業」が112件で最も多かった。次いで、「飲食料品卸売業」と「食料品製造業」が各105件、「飲食店」93件、「総合工事業」92件と続く。
 「宿泊業」は、経営不振企業が多かったところに、東日本大震災で、旅行や行楽の自粛で客数の落ち込みに拍車がかかり経営を支えきれなくなったケースが頻発したことが要因に挙げられる。さらに、震災による施設の被災などをきっかけに事業継続を断念するケースもみられた。
 また、「飲食料品卸売業」や「食料品製造業」などでは、原発事故の「風評」被害が倒産の引き金になった事例もあった。
 「飲食店」は震災直後の「自粛」ムード、「総合工事」は建築資材不足による工事遅延や中止から経営体力を弱める企業が多かった。いずれにしても業績が震災前に回復することができなかった企業の破綻が目立つ。

◇形態別では破産が最多、事業「消滅型」が9割を占める
 倒産形態別では、最も多かったのが破産の1,356件(構成比73.0%)だった。また、民事再生法が136件(同7.3%)、特別清算が36件、会社更生法が12件で、法的倒産が1,540件(同82.9%)と8割を占めた。一方、私的倒産では取引停止処分が238件(同12.8%)、内整理が79件(同4.2%)だった。
 法的倒産の推移では、震災時2011年の消滅型(破産と特別清算)の構成比が86.3%(341件)だったのに対し、再建型(会社更生法と民事再生法)の構成比は13.6%(54件)だった。
 消滅型の構成比は、2012年が86.8%、13年94.1%、14年93.7%、15年95.4%、16年94.7%、17年95.5%と拡大しているが、再建型は13年以降は10%台を割り込み、震災の影響を受けた企業では事業の再建が容易ではないことを浮き彫りにした。

まとめ
 まもなく「東日本大震災」から丸7年を迎える。政府は、復興期間を10年間と定め、前期5年間の「集中復興期間」を経て、現在は2016年度から2020年度までの5年間を「復興・創生期間」と位置付けて復興に取り組んでいる。
 これまでの「住まいとまちの復興」では、宅地や災害公営住宅の完成戸数の増加や、鉄道・道路などのインフラが概ね復旧した。また、「産業・生業の再生」では、営農再開可能面積の拡大や水産加工業での施設再開などが進むほか、商店街の本格復旧支援等も行われている。さらに、観光復興の推進として2020年までに東北6県の外国人延べ宿泊者数150万人泊を目指している。
 しかし、この一方で全国の避難者数は、いまだ約7万3000人(復興庁発表、2018年2月13日現在)にのぼり、震災から丸7年を迎えようとしながらも傷あとは深く残されたままだ。
 「震災」関連倒産は収束傾向をたどっているが、2017年も月平均では5.9件ペースで発生し、震災の影響から脱却できない企業が依然として多いのが現状だ。
 復興の進展に伴い、地域や個人、企業からのニーズは 一層多様化している。このため、よりきめ細かな支援が今まで以上に必要になっている。

東京商工リサーチ

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「かぼちゃの馬車」のスマートデイズ、「提携交渉は当初予定から遅れている」(東京商工リサーチ)

 サブリース賃料の支払いが滞っている(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672)が、「かぼちゃの馬車」などシェアハウスの管理移行手続きを進めている。

 スマートデイズは2018年1月現在、「かぼちゃの馬車」や「ステップクラウド」などのシェアハウスのサブリース(マスターリース)契約を約700名のオーナーと結んでいる。
 スマートデイズによると、管理棟数は845棟で1万1259部屋に上る。しかし、2017年10月以降、資金難で契約通りのサブリース賃料をオーナーに支払うことができなくなっていた。このため、スマートデイズは、2018年1月31日に「サブリース事業の再建計画について、提携候補先との協議を進めており再建計画の具体的な内容を決定次第、速やかに公表する」とリリース。公表の時期は「2月中旬頃を予定」としていた。

 スマートデイズは、2月中旬からオーナーに対して説明会などを通じ(株)スプリングボード(TSR企業コード:026676028)への管理移行を進めている。スプリングボードは2018年1月12日設立で、設立時の本店登記地はスマートデイズ本社と同所の中央区銀座1-7-10だった。その後、2月13日に港区西麻布3-22-10に登記地を変更した。同所はスマートデイズの親会社である(株)オーシャナイズ(TSR企業コード:296564656)の本社と同所だ。
 管理物件の移行作業に着手はしたものの、提携候補先に関するアナウンスはなされていない。2月28日、スマートデイズの担当者は東京商工リサーチの取材に対し「2月中旬としていた当初予定から遅れているのは事実」と述べたうえで、相手先については、「水面下で交渉しているが公表できる段階ではない」とコメントした。
 また、スプリングボードへの管理移行状況は、「回答出来る段階にない」という。スプリングボードの株主についても尋ねたが、回答は得られなかった。スプリングボードのホームページは2月中旬に開設されているが、代表電話も「現在、公開に向けて準備している」(スマートデイズの担当者)状況だ。

 スマートデイズとサブリース契約を結んだオーナーの多くは、スルガ銀行(本店・沼津市)から融資を受けている。2月27日、スルガ銀行から融資を受けたオーナーら76名が同行に対して、3月からの返済停止を通知した。「スマートデイズ被害者の会」(松村研司会長)によると、返済停止の通知に対してスルガ銀行は、返済停止の期間中はブラックリストに登録せず、差押えなどの法的手段もとらない意向を示したという。
 3月2日、被害対策弁護団は都内で、スマートデイズを含めシェアハウスに投資したがサブリース賃料が未払いになっているオーナー向けの説明会を開く予定だ。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年3月2日号掲載予定「取材の周辺」を転載)

東京商工リサーチ

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突然の社長交代で注目される老舗出版社のベストセラーズ(東京商工リサーチ)

 老舗出版社の(株)ベストセラーズ(TSR企業コード:292255152、豊島区)が注目を集めている。1月31日付で、オーナー社長の栗原武夫氏の辞任と同時に、取締役7名が辞任した。新社長に就任したのは経営コンサルタントで公認会計士の塚原浩和氏で、栗原前社長らオーナー家が持つベストセラーズの株式は新社長側へ売却された。社長と同時に税理士1名も役員に就任し、役員2名体制での経営がスタートして1カ月が経過した。

 KKベストセラーズで知られる同社は1967年の創業。江本孟紀氏の「プロ野球を10倍楽しく見る方法」(1982年)やワニ文庫、最近では細木数子氏の「六星占術シリーズ」、「本当は恐ろしいグリム童話」、長友佑都氏の「体幹トレーニング20」などジャンルにとらわれないヒット作を生んだ。
 100名以上の従業員を抱え、総合出版社として知名度も高い。だが、最近は東京商工リサーチ(TSR)の調査取材に業績を開示しない状況だった。1999年10月期は約135億円だった売上高も、出版不況の影響で最近は100億円を割り込んでいたようだ。ただ、豊島区の本社不動産は現在も無担保で温存され、同社の信用背景になってきた。
 1月31日まで社長を務めた栗原武夫氏は2013年に社長に就任し経営を引き継いだ。その後も父親で先代の栗原幹夫氏は会長、社長の実兄の栗原慎典氏も常務として経営に携わり栗原家によるオーナー経営が続いてきた。
 誰もが今後もオーナー経営が続くと思っていたところに、1月31日をもって新社長への株式譲渡が実行された。同社社員で組織される労働組合は、一連の役員交代・株主変更が突如発表され、「全従業員にとって青天の霹靂」と驚きをブログで綴っていた。
 塚原新社長は公認会計士の資格を持ち、2017年4月に経営代行、廃業支援、M&A仲介などを目的としたクロサポ・ハンズオン・コンサルティング合同会社(TSR企業コード:024442925、新宿区)を設立した。
 1月11日には同所には塚原新社長を代表とする持株会社、(株)ベストセラーズ・ホールディングス(TSR企業コード: 026958600)を設立したことも明らかになっている。

◇事業譲渡か清算か 再建の行方は?
 ベストセラーズに一連の経緯や今後の展開の取材を求めると、「(その件には)一切、応じていない」と拒んだ。しかし、「通常通りの営業、出版事業は続けている。今後の方策は検討中で、アナウンスはない。新社長は毎日出社し、社員と適宜コミュニケーションをとっている」(総務担当者)とコメントした。
 一方、塚原新社長は今後について、新スポンサーへの事業譲渡を前提に再建を模索していると言われる。関係先では、「ベストセラーズは4期連続の赤字を計上するなど経営悪化が深刻で、旧オーナーの方から塚原新社長に買収を打診した。今後、スポンサーが現れれば事業譲渡か、難しければ将来的には廃業も視野に入れる意向」との見方を示した。
 取引先への未払いはなく、資金繰り上の懸念も少ない。だが、会社の存続を新スポンサーに委ねるベストセラーズ。資産売却による清算も取り沙汰されるが、新社長がどのような方向性を打ち出すか、目が離せない。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年3月2日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

東京商工リサーチ

破産を申し立てられたジャパンライフ、山口代表が審尋に出席(東京商工リサーチ)

 昨年末、銀行取引停止処分を受けて事実上倒産したジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898、千代田区)。2月9日には、債権者から東京地裁に破産を申し立てられ同日、保全管理命令を受けている。東京地裁が当事者から意見や主張を聞き、破産の可否を検討する注目の「審尋」が2月21日に行われ、ジャパンライフ側は「(破産原因に)誤解がある」と述べたようだ。

 関係者によると、審尋にはジャパンライフ側から山口隆祥代表と弁護士が出席。ジャパンライフ側は、「破産しなくてよい」などを話し、審尋は数分で終了したという。ジャパンライフ側の担当弁護士は、(審尋の)前日に受任したとされ準備不足のため、裁判所から反論の書面提出を一週間の猶予で求められた。担当弁護士は東京商工リサーチの取材に対し、「書面の準備を進めている。2月28日に提出する予定」と話した。
 21日の審尋後、東京地裁前で報道陣の取材に応じた山口代表らは、「(事業を)継続する」と語った。
 ジャパンライフは昨年12月26日、銀行取引停止処分を受け事実上倒産した。その後も、会員への説明会を各地で開き、新会社を設立して事業を継続すると説明している。しかし、取引先への未払いや所有不動産に税金等の差押登記が確認されている。審尋の直前に受任した弁護士が短期間で反論書面を準備できるのか。東京地裁は破産についてどう判断するのか。全国の会員やマスコミが注目するジャパンライフの命運は近日中に決定する。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年2月28日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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記録的な不漁で資金繰り悪化、北海道の(株)丸浜一水産が破産(東京商工リサーチ)

 (株)丸浜一水産(TSR企業コード:040039269、法人番号:5460401000283、根室市西浜町8-123-5、設立昭和56年2月、資本金1000万円、濱邊一男社長)は2月21日、釧路地裁根室支部に破産を申請した。申請代理人は木名瀬広暁弁護士(根室ひまわり基金法律事務所、同市緑町2-28、電話0153-29-2661)。
 負債総額は約1億6000万円。
 地元近海で水揚げされるサンマ、カレイ、キチジ、カジカなどの鮮魚を主力として、北海道内にある水産物荷受会社を中心に販路を構築していた。平成3年12月期には6億6021万円の売上高を計上していたが、以降は不漁や同業間での競争が激化し、26年12月期には売上高が2億1961万円に低下。さらに、過年の損失処理を実施したことにより、債務超過に転落した。
 以降も記録的な不漁が続いたことで、28年12月期の売上高は1億9128万円まで低下。金融債務の返済のリスケジュールなどで凌いできたものの、29年も地元近海の水揚量が減少したことで資金繰りに行き詰まり、今回の措置となった。

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香川の「こんぴらレイクサイドゴルフ倶楽部」運営の讃岐開発(株)が破産(東京商工リサーチ)

平成13年11月に民事再生を申請していた

 讃岐開発(株)(TSR企業コード:800110625、法人番号:6120901026506、仲多度郡まんのう町七箇4130、設立昭和47年1月、資本金4800万円、東原隆行社長)は2月13日、高松地裁丸亀支部より破産開始決定を受けた。破産管財人には仙頭真希子弁護士(せんとう法律事務所、丸亀市大手町2-4-24、電話0877-85-6070)が選任された。
 負債総額は債権者約170名に対して約14億8000万円。
 ゴルフ場の経営を目的に設立。昭和51年10月にオープンした「こんぴらレイクサイドゴルフ倶楽部」は、全27ホール、パー108、9823ヤード、宿泊ロッジも備えた山岳コースで、県下上位の規模を有していた。また、近くには大型テーマパーク・レオマワールド、国立満濃公園の開園等もあって、バブル期には観光地として注目を集め、ピーク時の平成4年12月期には売上高9億9466万円を計上していた。
 しかし、5年以降はバブル崩壊後の景気低迷や近隣での相次ぐゴルフ場開業もあり来場客数は激減していた。こうしたなか、12年頃からは会員による預託金返還請求が殺到するようになり資金面を圧迫。支えきれなくなり13年11月30日、約52億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した。
 17年9月14日に再生手続が終結したものの、ゴルフ人口の減少や同業他社との競合から客単価が下落し、28年12月期の売上高は約2億8000万円にまで落ち込んでいた。赤字体質から脱却できない状況が続き、先行きの見通しが立たないことから事業継続を断念し、今回の措置となった。

東京商工リサーチ

アパレルショップ「フレッド・シーガル」を以前に運営していたMFSJ(株)が特別清算(東京商工リサーチ)

「フレッド・シーガル」事業は他社へ譲渡して営業継続

 MFSJ(株)(TSR企業コード:012975575、法人番号:5011001102176、渋谷区恵比寿西1-18-7、設立平成26年10月1日、資本金1億円、代表清算人:前山暁子氏)は2月14日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。
 負債は現在調査中。
 
 平成26年10月にカジュアルウェア販売業者から分割する形で設立された。米国のアパレルセレクトショップ「Fred Segal(フレッド・シーガル)」を国内展開し、東京・代官山と横浜、神戸で3店舗を運営していた。Fred Segalはロサンゼルスを拠点とし、アパレル製品や生活雑貨など、最新鋭のファッションやライフスタイルを提案するショップとして知られていた。当社は米国本社との間で、国内でのライセンス契約、独占輸入販売契約を結び、平成27年4月に代官山店を初出店し、29年3月期は売上高4億2000万円をあげていた。
 その後、経営母体の異動に伴い29年9月に事業を(株)フレッドシーガルジャパン(TSR企業コード:024110833、法人番号:6010401130059、東京都港区、藤田浩之社長)に譲渡したことで、当社は29年10月2日に株主総会の決議で解散し、清算を進めていた。
 なお代官山、神戸店は(株)フレッドシーガルジャパンが引き継ぎ、営業継続している。

東京商工リサーチ