嘉永3(1850)年創業の老舗(有)栗山三仏堂 破産開始決定(東京商工リサーチ)

(有)栗山三仏堂(TSR企業コード:028774221、法人番号:8130002016197、京都市中京区壬生馬場町14、設立昭和57年5月、資本金300万円、栗山貴詞社長)は7月24日、京都地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には大谷俊介弁護士(西村法律事務所、京都市中京区烏丸通三条下ル、電話075-253-2035)が選任された。
 負債総額は約3400万円。
嘉永3(1850)年創業。大本山御用達京佛匠として、荘厳品や仏像、仏具、位牌などの寺院用佛具、在家用佛具の製作・修復を手掛けていた。平成17年には「京の老舗表彰」を受賞するなど実績を重ねていた。しかし、仏壇仏具市場の縮小から営業環境は厳しさが増し、先行き見通し難から事業継続を断念し、今回の措置となった。

完熟アップルパイで知られる菓子工房「ガトーマスダ」が資金ショート(東京商工リサーチ)

 (株)ガトーマスダ(TSR企業コード:294369414、法人番号:5011401007396、板橋区高島平7-14-21、設立平成12年9月20日、資本金9980万円、増田嘉嗣社長)は再度の資金ショートを起こし8月8日、行き詰まりを表面化した。また、関連会社の(株)三啓商事(TSR企業コード:291555160、法人番号: 9011401002427、同所、設立昭和52年4月15日、資本金9000万円、同社長)も再度の資金ショートを起こし8月7日、行き詰まりを表面化した。現在、2社ともに事業は停止状態で今後については流動的。
 負債は2社合計で推定6億円。

 ガトーマスダは、菓子工房「ガトーマスダ」を経営していた。製造工程や素材にこだわったケーキ、焼き菓子の販売で人気を博し、完熟アップルパイは「板橋のいっぴん」にも選ばれていた。テレビ番組や雑誌などメディアでも名店として頻繁に取り上げられたことで有名になり業容を拡大。20年5月に販売したシュークリームとケーキに粉砂糖と誤って粉末洗剤を使用した不祥事が発生したこともあったが、以降も積極的な出店攻勢でピーク時には首都圏を中心に8店舗を展開し、平成25年7月期は売上高約3億1000万円をあげていた。
 
 三啓商事は製造部門の位置付けで、本社近隣に複数の製造拠点を設置していた。ガトーマスダ向けのほか、有名百貨店やホテルなどへ贈答用の洋菓子の製造販売なども手掛け、平成30年1月期は売上高約3億円をあげていた。
 しかし、急拡大による出店費用やテナント料、設備投資にかかる負担が重く、金融債務が膨らんでいた。また、競合激化から売上も伸び悩み近年は店舗閉鎖を進め、小売店舗は高島平本店を含む2店舗にとどまっていた。経営悪化が深刻化するなか、税金滞納により国税からの差し押さえを受ける事態も発生し今回の事態となった。

2018年に入って「回転寿司店」の倒産件数が急増(東京商工リサーチ)

2018年1-7月「すし店」の倒産状況

 子供からお年寄りまで幅広い年齢層に好まれる「回転寿司」。日本生まれのファストフードで、手軽な価格設定が人を吸い寄せているが、業界の競争は年々激しさを増している。
 2018年1-7月の「回転寿司店」を経営する会社の倒産件数は6件発生した。このペースで推移すると、過去10年間で年間最多だった2016年(7件)を上回る可能性が高くなった。
 百円均一寿司などが受け、「デフレの勝ち組」の代表格として拡大をたどった「回転寿司店」だが、漁獲量の減少による魚価高騰、人手不足、消費者の実質賃金の伸び悩みなどが重なり、地方を中心に経営環境は厳しさを増している。

◇「回転寿司」が押し上げ、2018年1-7月の「すし店」倒産が12.5%増 
 2018年1-7月の「すし店」の倒産は、18件(前年同期比12.5%増、前年同期16件)と、全体の倒産が低水準で推移するなか、前年同期を上回って推移している。
 この要因には、多店舗展開の失敗などによる「回転寿司店」の倒産件数の押し上げがある。2018年1-7月の「回転寿司店」を経営する会社の倒産が6件(前年同期1件)と急増しているからだ。

◇魚価高騰と人手不足が回転寿司店の経営を直撃
 「回転寿司店」の倒産増加の要因は、以下のことが挙げられる。
(1)他の飲食業に比べ、ベルトコンベヤーや注文用タッチパネルなど、多額の初期投資が必要な先行投資型産業で、顧客の回転率を高めに維持しなければならない。だが、大手チェーンを含めて出店が相次ぎ、同業他社との競争が激しくなっている。
(2)飲食業の中でも原価率が高いとされるビジネスモデルのため、最近の漁獲量減少による魚価高騰が響いてる。さらに、アルバイトを含めた賃金も上昇しているが、コストアップを吸収する価格改定が難しい。
(3)食材は輸入品も多く、為替の影響を受けやすい。最近の円安基調がボディーブローのように企業体力を消耗させている。

 外食産業全体の業績が伸び悩む中で、「回転寿司」業界は右肩上がりの成長を続けてきた。
市場拡大を牽引したのは大手チェーン店の出店攻勢で、大手の寡占化も拡大している。関係者は、「業界再編がさらに進む可能性がある」と指摘しているが、魚価高騰や人手不足などの経営課題の解消メドが立たず、地方や中小の回転寿司店の今後の動向には目が離せない。

【2018年 主な「回転寿司店」経営会社の倒産事例】

(1)エコー商事(株)(神奈川県)
 (TSR企業コード:350439559、横浜市、資本金3000万円、従業員100名)は4月2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は15億3000万円。
 同社は、「ジャンボおしどり寿司」の店名で、神奈川県内を中心にピーク時には20店舗を展開していた。一皿120円~760円の寿司を提供するグルメ系回転寿司として、100円均一の回転寿司店とは一線を画し、ピーク時の売上高は30億5800万円を計上した。しかし、最近は大手同業チェーンの台頭により競争が激化して減収傾向が続いていた。このため、スクラップ&ビルドにより、ここ数年は12店舗での営業だった。消費者の低価格志向の高まりや積極的な出店展開による金融債務が重く支えきれなくなった。

(2)(株)プリーズ(福井県)
 (TSR企業コード:602025990、福井市、資本金1000万円)は4月25日、福井地裁に破産を申請した。負債総額は3億200万円。
 同社は、店名「まつりずし」の回転寿司店を福井県内を中心に多店舗展開し、その後は大手に対抗するためタッチパネルを利用したオーダー形式の「ファミリー寿司割烹まる」を出店するなどで、ピーク時の売上高は10億円を計上した。しかし、同業他社との競争が厳しく、既存店のリニューアルや、不採算店舗の閉鎖を進めたものの業績悪化に歯止めがかからず、債務超過状態から行き詰まった。

(3)(有)エスワイケイ(富山県)
 (TSR企業コード:590223011、高岡市、資本金5000万円、従業員20名)は2月5日、富山地裁高岡支部に破産を申請した。負債総額は2億3900万円。
 同社は、当初は焼鳥店だったが、地場の回転寿司のFC店に加盟した。県内に支店展開し、ピーク時には約5億円の売上を計上した。しかし同業他社との競合激化で採算が悪化、業績の立て直しが図られないことから、今年1月末で店舗を閉鎖した。

(4)ビックマウス(株)(北海道)
 (TSR企業コード:040058891、釧路市、資本金3375万円)は7月6日、釧路地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は1億9500万円。
 同社は、1989年10月に釧路市では先駆けとなる回転寿司店「ビックマウス芦野店」をオープンした。次々に支店展開を進めてピーク時には4億5100万円の売上を計上した。しかし、同業他社との競争激化から店舗閉鎖を余儀なくされた。最近は新たな店舗形式の「鮨茶寮四季彩」を運営するほか、百貨店が開催する北海道物産展にも出店していたが、売上減少に歯止めがかからず事業継続を断念した。

(5)(株)仁々(三重県)
 (TSR企業コード:522164196、鈴鹿市、資本金300万円)は7月4日、津地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は3100万円。
 同社は、回転寿司店「かいおう三重鈴鹿店」を経営していた。しかし、2016年8月にFC本部だった(株)海王コーポレーション(富山県)が破産するアクシデントに巻き込まれた。その後は「回転寿司みえ丸」に店名を変えて営業を続けていたが、集客が落ち込み経営が悪化。先行きの見通しが立たないことから6月27日に閉店して事業継続を断念した。

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「東日本大震災」関連倒産 ~ 7月は2件、震災から89カ月連続で発生 ~(東京商工リサーチ)

 2018年7月の「東日本大震災」関連倒産は、施設などが被害を受けた直接型が2件だった。2カ月連続で前年同月を下回ったが、震災から89カ月連続で関連倒産が発生している。累計件数は東日本大震災から7年を経過して1880件(7月31日現在)に達した。
  
◇2018年7月の倒産事例
 水産物加工販売の太洋産業(株)(TSR企業コード:291081398、東京都)は、北海道や岩手県に加工工場を持ち、ピーク時の売上高は330億円を計上した。「タイサン」ブランドとして知られていたが、東日本大震災の津波で主力の大船渡工場(岩手県)が全壊したことで業績が落ち込んだ。経常利益ベースでは連続赤字に歯止めがかからず、ここにきて自力再建を断念して民事再生法の適用を申請した。
 清酒製造の醉富銘醸(株)(TSR企業コード:280059558、茨城県)は、大正6年(1917年)創業の老舗企業で、清酒「醉富」は地元で知名度が高かった。しかし、東日本大震災で醸造設備が被災してからは売上低迷が続き、2016年8月には工場閉鎖に追い込まれた。最近は不動産賃貸を営んでいたが、破産手続きに踏み切った。

◇2018年7月の地区別は、関東2件(東京と茨城)だった。
 累計件数1880件の都道府県別で、最も多かったのは東京の563件。次いで、宮城164件、北海道85件、神奈川78件、岩手77件、千葉と茨城が各75件、福岡70件、福島68件、群馬61件、栃木60件、静岡50件、山形48件、埼玉46件、大阪45件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は411件(構成比21.8%)だった。
 産業別では、最多が宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の500件(構成比26.5%)。次に、製造業430件(同22.8%)、卸売業347件(同18.4%)、建設業222件(同11.8%)、小売業175件(同9.3%)、運輸業78件、情報通信業63件と続く。
 被害型で分類すると、「間接型」1689件(構成比89.8%)に対して、「直接型」が191件(同10.1%)だった。

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倒産件数702件、「人手不足」関連倒産が今年最多の41件【2018年7月度の全国企業倒産】(東京商工リサーチ)

 2018年(平成30年)7月度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は件数が702件、負債総額は1127億1100万円だった。
 倒産件数は、前年同月比1.6%減(12件減)で、4カ月連続で前年同月を下回った。依然として低水準な推移が続き、7月としては1989年以降の過去30年間で1990年(482件)、1989年(551件)に次いで3番目に少ない件数にとどまった。
 ただし、地区別では全国9地区のうち、前年同月比増加が5地区(中部・北陸・中国・四国・九州)、都道府県別では、前年同月比増加が25府県、減少が19都道府県、同数3件になるなど、地域によって「まだら模様」の様相をみせ、今後の推移が注目される。

 これに対して、負債総額は前年同月比2.5%増(28億2600万円増)で7カ月ぶりに前年同月を上回った。ただし、負債10億円以上の大型倒産は17件(前年同月比19.0%減)にとどまり、負債100億円以上が4月以来の発生なしだった。全体では、負債1億円未満が524件(構成比74.6%)と全体の7割を占め、依然として小規模企業の倒産が大半であることに変わりがない。

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「為替」関連倒産 ~ 7月は「円安」関連が2件、「円高」関連は発生なし ~(東京商工リサーチ)

 2018年7月の外国為替市況は、18日の東京外国為替市場の円相場が1月上旬以来、約半年ぶりに一時1ドル=113円台を付けるなど円安が進んだ。米国連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに前向きな姿勢を維持するなかで、市場の関心は日米金利差に着目した動きになり、低金利の円が売られやすい状況になった。さらに、日本企業の海外展開に伴う対外投資拡大から、実需面でもドル買い・円売り需要が大きいことも影響した。その後の円相場は、月末にかけて1ドル=111円台付近で推移した。
 こうしたなか、企業倒産は依然として沈静化が続き、7月の「円安」関連倒産は2件(前年同月2件)、「円高」関連倒産は2カ月ぶりに発生なし(同3件)だった。
 ただし、関係者からは「短期的な円相場の動向は波乱含み」との声も聞かれることから、引き続き今後の為替相場の動きには注意を怠れない。

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「特別清算」企業の約3分の1が第二会社で事業を承継、事業継続の新たな活用手法に(東京商工リサーチ)

「特別清算」企業の追跡調査

 2018年上半期(1-6月)の企業倒産は4148件(前年同期比2.7%減)と9年連続で減少した。倒産が沈静化をたどるが、「特別清算」は166件(同8.4%増)と増加が際立った。特別清算を申請した166件のうち、60件(構成比36.1%)は開始決定を受ける2年以内に商号を変更し、26件(同15.6%)は登記上本店を別の都府県に移転していたことがわかった。
 特別清算は、破産など他の法的手続に比べ予納金が少額ですみ、裁判所が選任する「破産管財人」の支配下に置かれない。このため、債権者への配当の自由度が比較的高く、債権者数が少ない企業や親会社が債権を持つ100%子会社などで利用されるケースが多い。
 また、通常、裁判所に申請する前に債権者と事前調整が必要になるが、第二会社方式での事業再生スキームに活用する動きも広まっている。2018年上半期(1-6月)に特別清算を申請した166件では、判明する限り52件(構成比31.3%)が第二会社で事業を承継している。申請した企業は老舗の旅館やゴルフ場、スーパー経営、食品製造など、多岐にわたっている。

※東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースから、2018年上半期(1-6月)に特別清算開始決定を受けた166社を抽出し、分析した。商号や登記上本店の変更履歴はTSRデータベースなどを活用した。

◇特別清算とは
 東京商工リサーチ(TSR)は1952年に全国倒産集計を開始して以降、倒産を「私的倒産」と「法的倒産」に区分している。「私的倒産」は、銀行取引停止(振出手形の2回の不渡り)や債権者と債務者が協議して事業清算する内整理などがある。「法的倒産」は、会社更生や民事再生の再建型と、破産や特別清算の消滅型に分けられる。
 特別清算は、申請前に株主総会で解散を決議(特別決議)することが必要で、株主総会の前に株主の調整を行うことが多い。

◇特別清算の推移
 特別清算は2013年を底に増加をたどり、2017年は7年ぶりに300件を超えた。2018年は上半期ですでに166件を数え、過去5年間で最もハイペースに推移、年間では2017年を上回る可能性が出てきた。
 2018年上半期に特別清算を申請した166件を業種別にみると、不動産業が12件でトップ。次いで、学術研究、専門・技術サービス(11件)、建設(10件)と続く。
 負債別では、1億円以上5億円未満が59件で最多。次いで、5千万以上1億円未満(32件)、1千万以上5千万円未満(31件)と小規模が多いが、100億円以上も2件あった。
 所在地別では、東京が最多の46件、大阪14件と二大都市圏に集中。次いで、新潟8件、三重7件、埼玉、京都、兵庫、福岡が各6件だった。


アニメーション制作業者は「増益企業」と「減益企業」が拮抗(東京商工リサーチ)

アニメーション制作業88社の業績動向調査

 アニメーション業界は、2016年に『君の名は。』、『聲の形』、『この世界の片隅に』などのアニメ映画が大ヒットし、2017年もその勢いを維持し活況をみせている。業界団体の一般社団法人日本動画協会によればアニメ産業の市場規模は2兆円を突破したという。
 東京商工リサーチの企業データベースからアニメーション制作業88社の業績を分析すると、2017年決算は増収増益と好調だった。ただ、売上高別では上位5社が総売上高の6割を占める寡占化が進み、利益は「増益企業」と「減益企業」が拮抗し二極化が加速していることがわかった。
※ 調査対象の「アニメーション制作業」は、総務省「日本標準産業分類」に準拠した「TSR業種コード」に基づき、決算非公開企業を除く。

◇業績動向、全体では増収傾向が続く
 アニメーション制作業88社の2017年(2017年1月期-2017年12月期)の売上高合計は1428億7000万円(前年比7.1%増)で2015年から2年連続で増収を維持している。
 当期利益の合計は125億6000万円(同26.2%増)で、全体では増収増益になった。
 増収増益の要因は、アニメーション制作本数の増加が寄与しているとみられる。

◇売上高別、上位5社で売上の6割を占める
 アニメーション制作業88社の売上高別では、1億円以上5億円未満が31社(構成比35.2%)で最多だった。次いで、1億円未満が27社(同30.6%)、10億円以上50億円未満が17社(同19.3%)の順だった。
 5億円未満の構成比が65.9%(58社)を占める一方で、社数の構成比では5.6%しかない100億円以上の5社が、売上高の6割(構成比64.4%)を占めている。大手と中小、元請けと下請けとの格差が拡大している。

◇増収企業が約5割
 88社の最新期の増減収別は、「増収企業」が43社(構成比48.8%)だった。一方、「減収企業」は29社(同32.9%)、横ばいが16社(同18.1%)。
 増収企業の構成比は、前期と比べて4.5ポイント上昇し、好調な受注状況を反映した。


銀行の「総資金利ざや」調査、「逆ざや」が調査開始以来で2番目に多い16行(東京商工リサーチ)

銀行112行「2018年3月期決算 総資金利ざや」調査

 銀行112行の2018年3月期決算は、日銀のマイナス金利政策の影響を受け、軒並み厳しい収益状況だったことがわかった。112行の「総資金利ざや」は、資金調達が運用よりも金利が高くなる「逆ざや」が調査を開始以来、2番目に多い16行(前年同期20行)と高水準だった。
 「総資金利ざや」の中央値は0.15%で、前年同期(0.13%)を0.02ポイント上回り、一服した。だが、これは主に有価証券の受取利息や配当金の増加で上昇した「有価証券利回り」が寄与したもので、金利収入の中心である「貸出金利回り」の低下は続いている。
 銀行は安定的な経常収益である貸出金利息の上昇が難しい。このため、投信などの手数料収入やコンサルタント業務など、非金利収入を新たな収益源に育てることが急務になっている。

※本調査は、銀行112行を対象に、2018年3月期決算で国内業務部門ベースでの「総資金利ざや」を調査した。総資金利ざやは、「資金運用利回」-「資金調達原価」で算出した。基礎資料は、有価証券報告書や決算短信、ディスクロージャー情報の利ざや(国内業務部門・単体)の項目から抽出した。
※三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行の信託銀行3行は調査対象から除外している。
※文中の▲は、マイナスを表す。

◇銀行の収益状況を示す「総資金利ざや」
 銀行の「総資金利ざや」とは、貸出金や有価証券で稼ぐ資金運用利回りから、預金や債券、コールマネー、借用金などの資金調達コストを差し引いた数値で、銀行収益を示す指標の一つ。数値のプラスは資金運用で収益を上げ、マイナスは「逆ざや」で貸出や運用で利益が出ていないことを示している。

◇「総資金利ざや」の中央値は0.15%、減少傾向が一服
 銀行112行の2018年3月期決算で、「総資金利ざや」の中央値(全データを昇順または降順に並べ、真ん中に位置する値)は0.15%だった。調査を開始した2009年以来、最も低率だった前年同期(0.13%)より0.02ポイント上昇し、落ち込みは一服した。
 3月期決算の過去比較では、調査を開始した2009年は0.28%だった。その後、年々低下を続け、15年(0.17%)に初めて0.20%を割り込んだ。16年は投資信託の配当増、保有投信の解約益などが寄与して横這いだったが、マイナス金利実施後の17年は、総資金利ざやの落ち込みが目立った。こうした中で、18年は調査を開始以来、初めて前年同期を上回った。

◇過半数の銀行で「利ざや」拡大、「有価証券利回り」改善が下支え
 2018年3月期は、112行のうち過半数の61行(構成比54.4%、前年同期33行)が前年同期より「総資金利ざや」が拡大した。ただ、これは貸出等の本業回復を反映したものではない。   
 112行の中央値比較では低金利が続き、主に「貸出金利回り」(1.23→1.13%)の落ち込みにより「資金運用利回り」(1.13→1.08%)が低下し、同時に「預金等利回り」(0.03→0.02%)の低下もあって「資金調達原価」(0.99→0.96%)も前年同期を下回った。
 このように運用と調達がともに利回りを下げる中で、「資金運用利回り」のうち、有価証券の受取利息や配当金などは増加した。このため、「有価証券利回り」(1.03→1.11%)が前年同期より上昇し、落ち込みを下支えしたことで相対的に「総資金利ざや」が前年より改善したケースが多くなったとみられる。一方、「総資金利ざや」が前年同期より縮小したのは43行(構成比38.3%、前年同期73行)で、前年同期より30行減少した。前年同期と同率は8行(前年同期6行)だった。

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「人手不足」関連倒産 ~ 7月は今年最多の41件、うち「求人難」型が4件発生 ~(東京商工リサーチ)

 企業倒産が低水準な推移の一方で、中小企業を中心に人手不足が深刻度を増している。「人手不足」関連倒産は、「後継者難」型が中心で現状は推移しているが人手不足感が解消されない中で、「求人難」型の今後の動向が注目される。
 
◇7月は今年最多の41件
 2018年7月の「人手不足」関連倒産は、41件(前年同月比70.8%増、前年同月24件)で、5月(38件)を上回り、今年最多になった。内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が倍増の32件(前年同月16件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が4件(同7件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が4件(同ゼロ)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が1件(同1件)。

◇7月の産業別、建設業が最多
 7月の産業別では、最多が建設業の12件(前年同月5件)。次いで、サービス業他9件(同11件)、卸売業5件(同3件)、製造業4件(同1件)、小売業4件(同1件)、情報通信業3件(同ゼロ)、農・林・漁・鉱業と運輸業が各2件と続く。

◇7月の地区別、9地区のうち7地区で倒産が発生
 7月の地区別では、全国9地区のうち北海道と東北を除く7地区で倒産が発生した。内訳は関東20件(前年同月9件)を筆頭にして、中国6件(同2件)、九州5件(同4件)、中部4件(同5件)、四国3件(同1件)、近畿2件(同1件)、北陸1件(同ゼロ)の順。
 
◇7月の都道府県別、最多は東京11件
 7月の都道府県別では、東京11件(前年同月3件)、埼玉・愛知・広島が各4件の順だった。

◇2018年1-7月の要因別、「後継者難」型が約8割
 2018年1-7月の「人手不足」関連倒産は226件(前年同期比20.2%増、前年同期188件)で、前年同期より2割増で推移している。
 内訳をみると、「後継者難」型が178件(前年同期比21.9%増、前年同期146件)、「求人難」型が前年同期同数の23件、「人件費高騰」型が14件(前年同期比40.0%増、前年同期10件)、「従業員退職」型が11件(同22.2%増、同9件)で、「後継者難」型が約8割(構成比78.7%)を占めた。

◇2018年1-7月、卸売業が73.9%増
 2018年1-7月の産業別では、最多がサービス業他の59件(前年同期比15.6%増、前年同期51件)。次いで、建設業44件(同12.8%増、同39件)、卸売業40件(同73.9%増、同23件)、製造業36件、小売業18件の順。
 2018年1-7月の地区別では、全国9地区のうち関東(80→101件)、中部(22→27件)、九州(22→23件)、東北(9→15件)、中国(12→15件)、四国(5→11件)、北陸(1→3件)の7地区で前年同期を上回った。一方、減少は近畿(24→20件)と北海道(13→11件)の2地区。

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