4月の「人手不足」関連倒産は「求人難」型が今年最多の8件発生(東京商工リサーチ)

 企業倒産が低水準な推移の一方で、中小企業を中心に人手不足が深刻化している。「人手不足」関連倒産は、「後継者難」型が中心で現状は推移しているが人手不足感が解消されない中で、「求人難」型が今年最多の8件発生して、今後の動向が注目される。
 
◇2018年4月は約4割増の30件
 2018年4月の「人手不足」関連倒産は、30件(前年同月比36.3%増、前年同月22件)だった。
 内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が20件(前年同月18件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が8件(同1件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が2件(同2件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が発生なし(同1件)だった。

◇4月の産業別、サービス業他と卸売業が最多
 4月の産業別では、サービス業他8件(前年同月5件)と卸売業8件(同2件)が最多だった。次いで、製造業5件(同2件)、建設業4件(同5件)、小売業3件(同2件)と続く。

◇4月の地区別、9地区のうち7地区で倒産が発生
 4月の地区別では、全国9地区のうち北陸と四国を除く7地区で倒産が発生した。内訳は関東13件(前年同月11件)を筆頭にして、九州5件(同1件)、中部4件(同2件)、近畿3件(同2件)、北海道2件(同3件)、中国2件(同2件)、東北1件(同ゼロ)の順。
 
◇4月の都道府県別、最多は東京5件
 4月の都道府県別では、東京7件(前年同月3件)、愛知4件(同ゼロ)の順だった。

◇2018年1-4月の要因別、「後継者難」型と「求人難」型が前年同期を上回る
 2018年1-4月の「人手不足」関連倒産は110件(前年同期比1.8%増、前年同期108件)で、前年同期を上回って推移している。
 内訳をみると、「後継者難」型が86件(前年同期比3.6%増、前年同期83件)、「求人難」型が13件(同8.3%増、同12件)、「従業員退職」型が前年同期同数の7件、「人件費高騰」型が4件(前年同期比33.3%減、同6件)になり、「後継者難」型と「求人難」型が増加している。

◇2018年1-4月の産業別、最多はサービス業他で2割増
 2018年1-4月の産業別では、最多がサービス業他の30件(前年同期比20.0%増、前年同期25件)。次いで、卸売業23件、建設業18件、製造業17件、小売業9件の順。
 2018年1-4月の地区別では、全国9地区のうち中部(10→14件)、九州(10→13件)、近畿(12→13件)、東北(5→9件)、四国(2→5件)の5地区で前年同期を上回った。この一方、減少は関東(50→45件)、中国(9→6件)、北海道(9→5件)、北陸(1→ゼロ)の4地区だった。

東京商工リサーチ

2017年度に不動産を売却した上場企業は66社、5年ぶりの70社割れ(東京商工リサーチ)

 2017年度に国内不動産を売却した東証1部、2部上場企業は66社にとどまり、5年ぶりに70社を下回った。工場や支店、事務所など事業に直接影響するコア資産の売却は23社だったのに対し、遊休地や駐車場、賃貸用不動産などの売却は38社と半数を超え、深刻な経営不振を補うための売却は影を潜めた。業種別では、小売業が13社で最も多かった。

※本調査は、東京証券取引所1部、2部上場企業(不動産投資法人を除く)を対象に、2017年度(2017年4月~2018年3月)に国内不動産(固定資産)の売却契約または引渡しを実施した企業を調査した(各譲渡価額、譲渡損益は見込み額を含む)。

※資料は『会社情報に関する適時開示資料』(2018年5月9日公表分まで)に基づく。東証の上場企業に固定資産売却の適時開示が義務付けられているのは、原則として譲渡する固定資産の帳簿価額が純資産額の30%に相当する額以上、または譲渡による損益見込み額が経常利益または当期純利益の30%に相当する額以上のいずれかに該当する場合としている。

◇不動産売却は66社、5年ぶりの70社割れ
 会社情報の適時開示ベースで、2017年度に国内不動産(固定資産)の売却契約または引渡しを実施した東証1部、2部上場企業数は、66社(前年度77社)で、2012年度(60社)以来、5年ぶりに70社を下回った。
 これは、(1)上場企業の業績が軒並み好調なこと、(2)内部留保が潤沢なうえに低金利での資金調達環境が続いていること、(3)資産リストラが一巡していることなどを背景に、所有不動産の売却を急ぐ必要がなかったとみられる。さらに、買主サイドでも、不動産価格の高値警戒感や、投資対象物件の流通が少ない状況が取引を慎重にさせたとみられる。

◇公表売却土地総面積、55社で61万平方メートル
 2017年度の売却土地総面積は、内容を公表した55社合計で61万4900平方メートルだった。単純比較で前年度(公表69社合計:133万6532平方メートル)より53.9%減らした。
 また、売却土地面積が1万平方メートル以上は16社(前年度17社)で、前年度より大型案件は減少した。

◇公表売却土地面積トップは日東紡績
 公表売却土地面積トップは、ガラス繊維大手、日東紡績の9万6335平方メートル。保有資産の見直しを行い、千葉県の千葉事業センターの遊休部分を売却した。
 次いで、2位は東急不動産が出資する特定目的会社2社に物流施設を売却したアスクルの7万9967平方メートル。3位は、本社工場の移転に伴う遊休地を売却した高級陶磁器食器メーカー、ノリタケカンパニーリミテドの7万1328平方メートル。

◇譲渡価額総額、28社合計で867億円
 譲渡価額の総額は、公表した28社合計で867億9200万円(見込み額を含む)だった。
 トップはアスクルの204億円。次いで、2位がノリタケカンパニーリミテドの150億円。3位が関連のインフラ投資法人に稼働中の発電施設を売却したタカラレーベンの145億1400万円。4位が欧米風邸宅での挙式・披露宴など婚礼事業が主力のツカダ・グローバルホールディングスの68億円と続く。譲渡価額100億円以上は3社(前年度7社)だった。

◇譲渡損益、58社合計で1999億円 
 譲渡損益の総額は、公表した58社合計で1999億5900万円(見込み額を含む)だった。内訳は、譲渡益計上が56社(前年度60社)で合計2001億7000万円(前年度2324億3000万円)。
 譲渡益トップは、かんぽ生命保険の850億3400万円。次いで、不二家190億円、ノリタケカンパニーリミテド130億円、大日本印刷105億円と続く。これに対して譲渡損を公表したのは2社(前年度9社)にとどまり、譲渡損の合計は2億1100万円(前年度116億100万円)だった。

◇業種別、最多は小売業の13社
 業種別では、最多が小売業の13社だった。次いでサービス業が12社、食料品が6社、繊維製品が5社と続く。業種別の売却土地面積では、ガラス・土石製品が16万7664平方メートルでトップ。次いで、小売業が12万3980平方メートル、食料品が7万5311平方メートル、電気機器が4万6093平方メートル、化学が4万3991平方メートルの順だった。

 2018年の公示地価(1月1日現在)では、地方圏の商業地・工業地が26年ぶりに上昇に転じるなど全国的に地価の改善が進んだ。東京五輪を前にして国内観光地に集まる訪日外国人増加が地方の地価上昇に与えた影響が指摘されている。
 2017年度の上場企業の不動産売却は、好業績を背景に5年ぶりに70社を割り込んだが、訪日外国人の増加は、新たな観光・商業施設の開発需要が見込まれることで状況を一変させるかもしれない。上場企業では、既存事業の見直しで工場や店舗、事務所などの集約を進める企業が多く、今後は地価上昇を横目に睨みながら、経営資源の有効活用としての不動産売却が増加する可能性がある。

倒産件数650件、4月としては1990年以来の低水準【2018年4月度の全国企業倒産】(東京商工リサーチ)

 2018年(平成30年)4月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は件数が650件、負債総額は954億6,700万円だった。
 倒産件数は、前年同月比4.4%減(30件減)。2カ月ぶりに前年同月を下回り、4月としては1990年(526件)以来の低水準だった。

 負債総額は、前年同月比8.2%減(85億9,300万円減)で4カ月連続で前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産が12件(前年同月比40.0%減)だったのに対して、負債5千万円未満が373件(同4.4%増)と増加し、全体の約6割(構成比57.3%)を占めるなど小規模な企業倒産を中心に推移した。このため、平均負債が4月としては過去20年間で最少の1億4,600万円(前年同月比4.5%減)にとどまった。

東京商工リサーチ

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「チャイナリスク」関連倒産、4月は5件、3カ月連続で前年同月を下回る(東京商工リサーチ)

 4月の「チャイナリスク」関連倒産は5件(前年同月比37.5%減)で、3カ月連続で前年同月を下回った。負債総額は6億9,700万円(同85.8%減)だった。負債10億円以上の大型倒産が発生せず、負債総額も3カ月連続で前年同月を下回った。
 なお、倒産に集計されない事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は、4月は1件発生した。(前年同月は2件)。

 2018年1-4月にチャイナリスク関連で倒産した14件を要因別でみると、最多は安価製品の日本国内への流入などによる「価格競争」の7件(前年同期比133.3%増)だった。家電や衣料品を取り扱う企業で、他社との明確な差別化を打ち出せない企業が「価格競争」で脱落するケースが目立つ。
 また、廃プラスチックの輸出を手掛けていた(株)栄盛(TSR企業コード:882219065、福岡県、負債4,200万円、要因:その他)は、2017年に主要輸出先だった中国が廃プラスチックなど廃棄物の輸入を禁止したため経営が悪化。韓国や台湾などへの輸出を模索したが奏功せず、2018年3月15日に福岡地裁飯塚支部より破産開始決定を受けた。
 このように中国当局の規制に伴い業績が悪化するケースも発生している。売上高の大半を中国に依存する企業は、中国当局の規制の動きに機敏に対応できる体制を構築すると同時に、中国以外の国にも輸出先を広げるなど、根本的なリスク分散を図る必要がある。

東京商工リサーチ

「東日本大震災」関連倒産、4月は4件、震災から86カ月連続で発生(東京商工リサーチ)

 2018年4月の「東日本大震災」関連倒産は4件。このうち3件が震災で施設などが被災した「直接型」だったのが目を引いた。
 震災から86カ月連続で関連倒産が発生し、累計件数は東日本大震災から7年を経過して1863件(4月30日現在)に達した。
 
◇2018年4月の倒産事例
 鮮魚卸の(株)カネモ末永商店(TSR企業コード:141042532、法人番号:7370301000341、宮城県)は、東日本大震災で本社兼工場が津波で全壊し、事業を中断した。その後に中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業などの補助金の活用により工場を再建し巻き返しを図ったが、計画通りに業績が伸びないまま破産を申請した。
 また、鮮魚卸の丸竹水産(株)(TSR企業コード:170071693、法人番号:1402701000212、岩手県)は、ホタテ加工を手掛けていたが、震災で本社が全壊する被害を受けた。その後、本社と加工場を新築し経営再建を図っていたが、低収益な経営が続いたことで先行きの見通し難から破産手続きに踏み切った。

 累計件数1863件の都道府県別で最も多かったのは、東京の557件だった。次いで、宮城160件、北海道85件、神奈川78件、岩手75件、茨城と千葉が各74件、福岡70件、福島65件、群馬61件、栃木60件、静岡50件、山形48件、埼玉46件、大阪45件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は403件(構成比21.6%)だった。
 産業別では、最多が宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の496件(構成比26.6%)。次に、製造業422件(同22.6%)、卸売業344件(同18.4%)、建設業222件(同11.9%)、小売業174件(同9.3%)、運輸業78件、情報通信業63件と続く。
 被害型で分類すると、「間接型」1682件(構成比90.2%)に対して、「直接型」が181件(同9.7%)だった。

東京商工リサーチ

「中小企業金融円滑化法」利用後の倒産、4月は2件・1-4月の件数が約6割減(東京商工リサーチ)

 2018年4月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産は2件(前年同月3件)だった。金融機関が中小企業のリスケ要請に柔軟に応じるなどの金融支援や、大手企業に牽引される形での緩やかな景気回復も影響して、企業倒産は低水準で推移している。

◇4月の負債総額、2カ月連続で前年同月を下回る
 2018年4月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産での負債総額は、11億円(前年同月比66.2%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。

◇1-4月の累計件数、前年同期と比べて約6割減
 2018年1-4月の累計は8件(前年同期比57.8%減、前年同期19件)で、前年同期より約6割減になった。負債総額は39億500万円(同88.3%減、同335億700万円)と大幅に前年同期を下回った。
 2018年1-4月の負債額別では、10億円以上の大型倒産が1件(前年同期5件)で、最多は5億円以上10億円未満の3件(同1件)だった。
 
 1-4月の産業別では、建設業2件(同3件)、製造業2件(同8件)、情報通信業2件(同ゼロ)、卸売業1件(同3件)、不動産業1件(同1件)だった。
 原因別では、既往のシワ寄せ(赤字累積)が4件(同4件)が最も多く、次いで販売不振3件(同10件)、放漫経営1件(同ゼロ)と続く。

 1-4月の形態別では、事業消滅型の破産が3件(同12件)、特別清算が3件(同1件)、取引停止処分が2件(同3件)だった。この一方、再建型の民事再生法は発生なし(同3件)で、業績不振からの事業再生が難しいことを窺わせた。
 従業員数別では、5人以上10人未満が4件(同9件)、5人未満が3件(同3件)だった。この結果、従業員数10人未満は7件(構成比87.5%、前年同期12件)で、小規模企業が全体の約9割を占めた。

東京商工リサーチ

「障害者就労継続支援事業等」の2017年倒産が2倍増で過去最多(東京商工リサーチ)

 2017年(1-12月)の「障害者就労継続支援事業等」倒産は、過去最多の23件に急増した。給付金や助成金を支えに新規参入が目立つ障害者就労継続支援事業だが、ここにきて経営に行き詰まるケースが相次いでいる。また、雇用契約を結んで賃金が支払われる「就労継続支援A型事業所」では、倒産による障害者の大量解雇も起こり、行政を含めた支援対策が問われている。

※本調査は、TSR業種コードのうち「その他の障害者福祉事業」の企業倒産を集計・分析した。

◇障害者の働く場としての「就労継続支援事業」
 障害者就労継続支援とは、一般企業への就職が困難とされる障害者を対象に就労の場を提供するもので、就労継続支援には「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」の2種類がある(※下記参照)。また、障害者雇用を促進するため、事業所は国や自治体から障害者の継続雇用に向けた給付金や助成金を受け取ることができる。
※A型(雇用型)は、18歳から65歳までの障害者が対象で、事業所と障害者が雇用契約を結び、行った仕事に対して給料が支払われ、社会保険の加入が義務付けられている。
※B型(非雇用型)は、主にA型の仕事が困難な障害者(年齢制限なし)が対象で、雇用契約は結ばず仕事も負担の少ない短時間になっている。給料は支払われないが、それに代わり作業した分の工賃(手間賃)が支払われる。

◇2017年の倒産、前年比2倍増の23件
 2017年(1-12月)の「障害者就労継続支援事業等」の倒産件数は23件(前年比109.0%増)になり、これまで過去最多だった2016年(11件)の2倍増に達し、最多件数を更新した。
 また、2017年に倒産以外の「休廃業・解散」などで事業活動を停止した事業所は39件(同2.6%増)にのぼる。これは倒産件数の1.7倍に達する水準で、「障害者就労継続支援事業等」を取り巻く経営環境の厳しさを浮き彫りにした。

◇負債額別 1億円未満が8割
 負債合計は20億2400万円(前年比583.7%増、前年2億9600万円)で、前年の6.8倍増と大幅に膨らんだ。このうち負債1億円未満が19件(同90.0%増、同10件)と大幅に増加し、負債全体の8割(構成比82.6%)を占めた。
 形態別では、破産が21件(前年比90.9%増、前年11件)と、全体の9割(構成比91.3%)を占めた。一方、再建型の民事再生法は2件(前年ゼロ)にとどまり、業績不振に陥った事業所の再建が極めて難しい状況を反映している。

◇原因別 「事業上の失敗」が2.2倍増
 原因別では、最多が「事業上の失敗」の9件(前年比125.0%増、前年4件)で、前年の2.2倍増と増勢が目立った。次いで、「販売不振」が前年同数の6件、「運転資金の欠乏」が4件(前年1件)だった。事業普及のため、自治体等は受け入れる障害者数に応じて給付金や助成金を支給している。これは事業収益が不安定でも業界参入が可能な構造ともいえ、事業計画の甘い事業者が自立できる業績を上げられず経営に行き詰まるケースもあるようだ。

◇地区別件数、全国9地区のうち7地区で倒産発生
 地区別では、全国9地区のうち、7地区で倒産が発生した。最多は近畿の6件(前年1件)で、次いで中部4件(同2件)、関東4件(同3件)、九州4件(同2件)、中国3件(同1件)、東北1件(同ゼロ)、四国1件(同ゼロ)の順。北海道(同2件)と北陸(同ゼロ)の2地区は発生なし。
 
 2018年3月14日に厚生労働省が公表した「就労継続支援A型事業所」の調査結果によると、実態を把握できた3036事業所の71%にあたる2157事業所が、経営不振のため経営改善計画書の提出が必要とされた。また、この2157事業所の約半数(49.7%)を設立5年未満の営利法人が占め、資金調達力や社内体制が未整備な新規事業者の多い実態が浮かび上がった。
 就労継続支援A型事業所は、2017年4月に指定基準が改正された。事業収入から生産活動に必要な費用を控除した額が利用者の総賃金以上にならない場合は、経営改善計画書を都道府県などの指定権者に提出する必要がある。こうした支給要件の厳格化で、障害者の賃金を事業収入で賄えない事業所が倒産に至っているとの指摘もある。
 給付金や助成金に頼り、事業収益では障害者の賃金を賄えない実質赤字の事業所も多く、関係者からは「生産性の高い仕事を確保できない限り、20人以内の障害者数でなければ事業を続けるのは難しい」との声も聞かれる。新規参入の急増が目立つ障害者就労継続支援事業だが、ここにきて倒産の増加で問題点が浮き彫りになっており、今後の支援策と併せた展開が注目される。

◇主な倒産事例、倒産による障害者の解雇が増加
 1.一般社団法人あじさいの輪(TSR企業コード:712230360、岡山県、負債8憶6200万円、民事再生法)は、就労継続支援A型事業所を経営していたが、事業不振で2017年7月末に事業所を閉鎖。9月に民事再生法の適用を申請し、障害者約220人を解雇した。

 2.一般社団法人しあわせの庭(TSR企業コード013289632、広島県、同2億8000万円、破産)は、福山市と府中市でパンやポップコーン製造販売、食品包装材加工などの就労継続支援A型事業所を経営していたが、事業不振で破産を申請。障害者112人を解雇した。

 3.(株)障がい者支援機構(TSR企業コード:403131391、愛知県、同3400万円、破産)は、就労継続支援A型事業所を名古屋市、さいたま市、千葉県船橋市などで展開していたが、事業拡大に資金繰りが伴わず事業所を閉鎖して破産を申請。障害者154人を解雇した。

東京商工リサーチ

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「歯科医院」の倒産が急増、2017年度は23年ぶりの20件(東京商工リサーチ)

 2017年度(4月-3月)の「歯科医院」の倒産は20件で、前年度からほぼ2倍増(前年度比81.8%増)と大幅に増加した。年度では1994年度(20件)以来、23年ぶりに20件台となった。
 負債総額は11億500万円(同36.2%増)で、件数増で膨らんだ格好。年度では5年ぶりに増加したが、負債1億円未満が18件(構成比90.0%)と大半を占め、小規模な歯科医院の倒産が多い。
 歯科医院は開業時の設備投資はリース充当などで自己資本を多く必要としていないため参入のハードルが低く、繁華街や中心部など人の集まる地域で開設が相次ぎ、競合が激化している。一方、人口減による患者減少や歯科衛生士などの人件費上昇も深刻で、小規模な歯科医院が苦境に立たされる厳しい実態を浮き彫りにしている。
※ 本調査は、「日本標準産業分類 小分類」における「歯科診療所」の倒産を集計、分析した。

◇「歯科医院」倒産は20件
 2017年度の「歯科医院」倒産は20件(前年度比81.8%増)で、2年連続で前年度を上回り、前年度の11件からほぼ2倍増と急増した。年度では2015年度が7件、2016年度が11件と落ち着いていたが、1994年度の20件以来、23年ぶりに20件台に乗せた。

◇負債総額は5年ぶりに増加
 負債総額は11億500万円(前年度比36.2%増)で、年度では5年ぶりに前年度を上回った。ただ、負債5億円以上の大型倒産は2年連続で発生がなく、同1億円未満が18件(同125.0%増)と前年度8件から2.2倍増となった。同1億円未満の構成比は90.0%で、小規模倒産が大半を占めた。

◇原因別、販売不振(業績不振)が6割
 原因別では、最多は「販売不振」の12件(前年度比33.3%増、前年度9件)で、全体の6割(構成比60.0%)を占めた。次いで、「既往のシワ寄せ」が4件(同300.0%増、同1件)。
 形態別では、事業消滅型の破産が19件(同90.0%増、同10件)と全体の9割(構成比95.0%)を占めた。いったん顧客離れが進んだ歯科医院の再建は容易でないことを示している。再建型の民事再生法は1件(前年度同数)だった。

◇従業員数別、5人未満が9割
 従業員数別では、5人未満が18件(前年度比80.0%増、構成比90.0%)と、小規模医院が全体の9割を占めた。このほか、10人以上20人未満が1件(前年度ゼロ)、20人以上50人未満が1件(同ゼロ)と続く。

◇主な倒産事例
 (医)泉川歯科医院(TSR企業コード:282175393、茨城県)は、地域に根差した歯科医療機関として知られていた。2014年3月期の売上高は5376万円を計上したが、競合や過疎化で患者数が伸びず、2017年3月期の売上高は4746万円まで低迷。さらに東日本大震災の被害に伴う新診療所の開設が負担となり債務超過が拡大し、事業継続を断念。2018年3月、水戸地裁より破産開始決定を受けた。負債総額は8700万円。

 歯科医師国家試験の合格者は2017年が1983名で、ここ10年間では2010年の2408名をピークに毎年2000名前後で推移している。一方、日本の人口は2008年をピークに減少をたどり2017年10月1日時点では1億2670万人と前年比0.18%減で減少率は広がっている。国立社会保障・人口問題研究所によると、将来人口(中位推計)は2055年に1億人を割り込む見込みで、経営環境の改善は難しいのが実情だ。
 患者数が着実に減少をたどる中、厚生労働省が2018年3月に公表した「医療施設動態調査(平成30年1月末概数)」によると、歯科医院の施設数は6万8791カ所と10年前の2008年1月末の6万7840カ所から951カ所増えている。歯科医院は医療機器のリース導入で初期投資を抑えて比較的容易に開設できる。このため、患者数が見込める人口の多い首都圏や利便性の高い駅前などに歯科医院の開設が相次ぐ要因になっている。
 歯科医院間の患者争奪戦は激しく、保険診療だけの経営維持は難しくなっている。生き残りをかけて自由診療のインプラントやホワイトニング、美容歯科など、独自色を出した集客競争が繰り広げられている。さらに、ここにきて歯科衛生士、事務スタッフなどの人手確保へのコスト上昇も大きな課題に浮かび上がっている。
 テナント代や設備投資に加え、詰め物金属など歯材コストも上昇し、歯科医院の経営は年々難しさを増している。こうした環境を反映して2018年4月も2件の倒産が発生しており、歯科医院の倒産は小規模医院を中心に増加をたどる可能性が高い。

東京商工リサーチ

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ユースケ・サンタマリアさんが一時所属していた芸能プロダクション(株)テイクイット・エージェンシーが破産(東京商工リサーチ)

 (株)テイクイット・エージェンシー(TSR企業コード:294239189、法人番号:1010401018366、港区東麻布1-10-11、設立平成8年4月26日、資本金1000万円、関根廣史社長)は4月25日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には栗原正晴弁護士(八重洲総合法律事務所、千代田区有楽町1-7-1、電話03-5221-8881)が選任された。
 負債は現在調査中。

 大手芸能プロダクションのグループ会社として、芸能プロダクションを経営していた。タレントや歌手、俳優のマネジメントを手掛け、タレントのユースケ・サンタマリアさんや篠原ともえさんなどが一時、所属していた。しかし、数年前に同グループの傘下から外れる際、所属タレントの移籍も重なり、事業を縮小していた。

東京商工リサーチ

PSP向けゲーム「初音ミク -Project DIVA-」など開発の(株)ディンゴほか1社が破産(東京商工リサーチ)

 平成29年3月21日、破産手続きを弁護士に一任していた(株)ディンゴ(TSR企業コード:295769319、法人番号:4011001041870、渋谷区本町1-17-12、設立平成10年8月14日、資本金1000万円、庄司竜也社長)は4月25日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には櫻井和子弁護士(港さくらい法律事務所、港区新橋3-1-12、電話03-5510-5300)が選任された。
 負債総額は約3億4000万円。

 コンシューマーやアーケード、PCゲーム、スマートフォン向けのゲーム開発を手掛けていた。PC版「ONLINE STRIKER」やPlayStation Portableの「初音ミク -Project DIVA-」、スマートフォン向け「オカルトメイデン」の企画開発を行うなど実績を重ねていた。しかし、近年は同業との競争激化から受注不振に陥り、資金繰りも悪化。資金調達も限界に達し、破産手続を弁護士に一任していた。
 また、関連会社の(株)クリエイティブネットワークス(TSR企業コード:294645012、法人番号:7011001073746、同所、設立平成24年5月28日、資本金300万円、同社長)も同日、東京地裁より破産開始決定を受けた。ゲームソフトの企画開発などを手掛けていたが、ディンゴに連鎖した。

東京商工リサーチ