有料老人ホーム経営会社としては過去最大の倒産 (株)未来設計が民事再生法を申請(東京商工リサーチ)

創業者に対する一時金の流用が報じられ、問題化していた

 (株)未来設計(TSR企業コード:294993290、法人番号:3010401044708、中央区日本橋箱崎町9-1、設立平成12年2月18日、資本金9000万円、洞寛二社長)は1月22日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は高橋修平弁護士(高橋修平法律事務所、中央区銀座2-2-2、電話03-6903-3210)。
 負債総額は約70億円で、有料老人ホーム経営会社では過去最大。
 
 介護付有料老人ホーム「未来倶楽部」、「未来邸」の運営を主体としていた。神奈川県を中心に、東京都や千葉県など37ヵ所に有料老人ホームを展開し、積極的な施設開設により、平成29年8月期は売上高約100億7000万円をあげていた。30年7月、(株)創生事業団(TSR企業コード:870494953、法人番号:9290001018995、福岡県福岡市)が当社の全株式を取得し、グループ化していた。
 しかし30年12月、顧客から預かった一時金を、創業者に対する報酬に流用していたことなどが報じられるとともに、資金繰りの悪化が露呈していた。
 未来設計では「今後、株主の創生事業団をスポンサーとする再生計画を策定する見込み。現在保有する37ヶ所の施設は今後も運営を継続する」としている。

有料老人ホームの運営会社では過去最大の倒産 (株)未来設計が民事再生法を申請(東京商工リサーチ)

創業者に対する一時金の流用が報じられ、問題化していた

 (株)未来設計(TSR企業コード:294993290、法人番号:3010401044708、中央区日本橋箱崎町9-1、設立平成12年2月、資本金9000万円、洞寛二社長)は1月22日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は高橋修平弁護士(高橋修平法律事務所、中央区銀座2-2-2、電話03-6903-3210)。
 負債総額は約70億円で、有料老人ホーム経営会社では過去最大。
 
 介護付有料老人ホーム「未来倶楽部」、「未来邸」の運営を主体としていた。神奈川県を中心に、東京都や千葉県など37ヵ所に有料老人ホームを展開し、積極的な施設開設により、平成29年8月期は売上高約100億7000万円をあげていた。30年7月、(株)創生事業団(TSR企業コード:870494953、法人番号:9290001018995、福岡市博多区)が当社の全株式を取得し、グループ化していた。
 しかし30年12月、顧客から預かった一時金を、創業者に対する報酬に流用していたことなどが報じられるとともに、資金繰りの悪化が露呈していた。
 未来設計では「今後、株主の創生事業団をスポンサーとする再生計画を策定する見込み。現在保有する37ヵ所の施設は今後も運営を継続する」としている。

カー用品専門メーカー「MIRAREED」を展開する(株)ミラリードが債務整理へ(東京商工リサーチ)

 (株)ミラリード(TSR企業コード:291716261、法人番号:2010401029008、品川区東品川4-12-6、設立昭和54年2月1日、資本金3000万円、東山克基社長)は1月18日、債務整理を小川朗弁護士(東京桜橋法律事務所、中央区八丁堀2-10-9、電話03-3523-3217)ほか1名へ一任した。
 負債総額は約27億5200万円(平成29年9月期決算時点)だが、その後変動している可能性がある。
 
 自動車用ウインドウフィルムやシェード、ランプやドリンクホルダーなど、カーアクセサリー全般を取り扱う専門メーカー。愛知県内に自社工場を持つほか、全国主要都市に営業所を設置し、「MIRAREED」のブランドでカー用品チェーン店やホームセンターなどに販路を持ち、相応の知名度を有していた。最近では車両の急発進防止装置「ペダルの見張り番」などがヒットし、平成29年9月期は売上高34億200万円をあげていた。また、近年は植物由来のバイオマスプラスチック製造事業にも乗り出し、廃プラスチックによる環境汚染が問題となるなかで、マスコミなどでも注目されていた。
 
 しかし、設備投資やバイオマス事業の開発費に伴う金融債務も過大となっていた。一方、30年9月期は回転率の悪い商品の絞り込みを行ったことでカー用品の返品が増加、また天候不順の影響も受けて売上が伸び悩んだ。30年12月以降、取引先への支払遅延や一部従業員の給与の遅配などで資金繰り悪化が露呈し、動向が注目されていた。

2018年「休廃業・解散企業」動向調査、高齢代表者の休廃業・解散が増加、60代以上が8割を超える(東京商工リサーチ)

 2018年に全国で休廃業・解散した企業は4万6724件(前年比14.2%増)だった。企業数が増加したのは2016年以来、2年ぶり。2018年の企業倒産は8235件(同2.0%減)と、10年連続で前年を下回ったが、休廃業・解散は大幅に増加した。休廃業・解散と倒産した企業数の合計は、判明分で年間約5万5000件に達し、全企業358万9000者の1.5%を占めた。
 休廃業・解散した企業の代表者の年齢は、60代以上が8割(構成比83.7%)を超え、高齢化による事業承継が難しい課題がより鮮明になってきた。
 産業別は、サービス業他が全体の約3割(同29.3%)を占めた。2017年の新設法人13万1981社(前年比3.1%増)のうち、サービス業他は39.9%(5万2774社)と約4割を占め、起業しやすい反面、退出も多い構図がうかがえる。

※東京商工リサーチが保有する企業データベースから、「休廃業・解散」が判明した企業を抽出。「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で事業活動を停止した企業と定義した。
※2017年新設法人数は、2018年5月23日発表「2017年『全国新設法人動向』調査」(東京商工リサーチ)に基づく。
※全企業(大企業と中小企業・小規模事業者)数は、中小企業庁2018年11月30日発表に基づく(2016年6月時点)。

◇休廃業・解散企業の従業員 13万3815人
 2018年に休廃業・解散した企業の従業員数(判明分)は、合計13万5815人(前年比24.1%増)で、2年ぶりに増加した。事業譲渡に伴う休廃業・解散もあり、すべての従業員が失業したわけではないが、休廃業・解散で13万人超が勤務先の変更や離職を余儀なくされたことになる。
 法人格別では、最多は「株式会社」の1万9684件(前年比16.2%増)。2019年度より事業承継税制が拡大される見込みの「個人企業」は8001件(同12.5%減)で3位だった。2位の「有限会社」は1万5898社(同30.7%増)。有限会社は2006年5月の会社法改正後、新設されていない。

◇産業別 10産業のうち9産業で前年より増加
 産業別では、最多は飲食業や宿泊業、非営利的団体などを含むサービス業他の1万3698件(構成比29.3%)。次いで、建設業の9084件(同19.4%)、小売業の6508件(同13.9%)と続く。 
 参入障壁が低い産業は新規参入が多いが、その分競合も激しく退出が進む新陳代謝が目立つ。

【関連記事】

はれのひ(株)問題による風評も影響し、着付け教室運営の悦文(株)(東京)が破産申請(東京商工リサーチ)

 悦文(株)(TSR企業コード:872116964、法人番号:6290001026407、中央区日本橋人形町2-20-9、設立平成18年6月、資本金500万円、新岡淳社長)は1月11日、福岡地裁に破産を申請した。申請代理人は上村武弁護士(那の津法律事務所、福岡市中央区赤坂1-7-23、電話092-739-4200)が選任された。
 負債総額は債権者約70名に対して約1億3000万円。
 東京のほか、福岡、大阪、名古屋に事業所を開設し、和装の着付け教室を全国の貸しホール等で展開していた。また、着付け教室に参加した生徒を対象に呉服を販売していた。
 教室参加者の拡大を目的に、近年は自社主催でイベントやパーティーも開催していたものの、想定を下回る集客で余裕のない経営が続いていた。
 また、関係筋によると「はれのひ(株)(TSR企業コード:872372723、横浜市、30年1月破産)問題によるイメージの低下や、天候不順による着付け教室の開催数の減少が影響し売上が激減した」という。30年12月末の支払いが不能となったことから事業を停止し、今回の措置となった。

新潟県などで「ごちそう回転寿し栄助」を展開する(株)創栄が事業を停止、事後処理を弁護士一任(東京商工リサーチ)

 (株)創栄(TSR企業コード:200187368、法人番号:2110001012717、新発田市中央町3-5-19、設立昭和55年7月、資本金5000万円、遠藤一成社長)は1月15日、事業を停止し、事後処理を中村崇弁護士ほか2名(弁護士法人ユナイテッド法律事務所、新潟市中央区花町2069、電話025-211-4777)に一任した。
 負債総額は約8億円。
 「ごちそう回転寿し栄助」の店名で、地元の新鮮な素材を生かした回転寿司店を経営。新潟県をはじめ山形県ほか近隣県において、ピーク時の平成14年10月期には35店を出店し、約43億9000万円の売上高を計上していた。しかし、各地に大手回転寿司チェーンの出店が相次ぐなか、やや高めの価格設定であったこともあり競争は激しさを増し、業績は下降線をたどっていた。
 不採算店の閉鎖を実施しながら改善を進めていたものの、業績回復はなかなか進まず、近年では店舗数を14店舗にまで減少し、売上も縮小。これまでの業績低迷から財務内容も悪化し、金融機関から返済猶予等の支援を受けていたが、これらも限界に達し今回の措置となった。

ギネス認定の世界最古の温泉旅館(株)湯島(旧:(株)西山温泉慶雲館)が特別清算開始決定(東京商工リサーチ)

事業は新会社で継続

 (株)湯島(旧:(株)西山温泉慶雲館、TSR企業コード:340107081、法人番号:5090002015009、山梨県南巨摩郡早川町湯島825、登記上:東京都中央区八重洲2-8-7、設立昭和26年1月、資本金1000万円、代表清算人:深沢雄二氏)は1月8日、東京地裁から特別清算開始決定を受けた。
 負債は現在調査中。
 
 ギネスブックに世界最古の宿と認定されている飛鳥時代の慶雲2年(西暦705年)創業の山梨県西山温泉の「慶雲館」の元運営会社。甲斐国主の武田信玄や日本統一のさなかに徳川家康も二度にわたり入湯したと伝えられ、705年の開湯から源泉は一度も枯れていないとされる。高級温泉旅館としての地盤を固め、平成12年3月期の売上高は約9億9600万円をあげていた。
 平成17年には全室掛け流しの露天風呂を設置したが、ここ数年は消費低迷や価格競争などで売上が伸び悩み、過去の投資負担が利益を圧迫。28年3月期の売上高は5億9600万円にとどまり、赤字に転落していた。
 このため29年6月1日、会社分割で新設した(株)西山温泉慶雲館(TSR企業コード:023826657、法人番号:4090001015027、山梨県南巨摩郡)に旅館事業を譲渡。当社は、29年12月7日、東京都に本社登記を移転し同月7日、(株)西山温泉慶雲館から現商号に変更。30年6月30日、株主総会の決議により解散した。
 なお、世界最古の宿「慶雲館」は譲り受けた西山温泉慶雲館が事業を継続。第53代目の当主、川野健治郎社長は「世の中の動向にまどわされず、温泉一本で経営を続けていくという教えを守り、歴史を継承していきたい」とコメントした。

(株)シベールが民事再生法を申請、上場倒産は山形県では18年4カ月ぶり(東京商工リサーチ)

 (株)シベール(TSR企業コード:210031050、法人番号:5390001000864、山形市蔵王松ケ丘2-1-3、設立昭和45年10月14日、資本金4億8835万5000円、黒木誠司社長)は1月17日、山形地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は粟澤方智弁護士(奥野総合法律事務所・外国法共同事業、中央区京橋1-2-5、電話03-3274-3805)。監督委員には田中暁弁護士(弁護士法人あかつき佐藤欣哉法律事務所、山形市相生町5-25、電話023-632-2070)が選任された。
 負債総額は19億6298万円(平成30年8月31日現在)。
 
 山形県での上場会社の倒産は、平成12年9月に民事再生法の適用を申請した東証2部上場で、配電盤・制御盤製造の川崎電気(株)(現:(株)かわでん、TSR企業コード:210008016、法人番号:4390001010708、南陽市、負債253億1000万円)以来18年4カ月ぶり。

 山形県や宮城県が地盤の洋菓子メーカー。ラスクは高い知名度を誇り、贈答用ラスクはとくに有名で、ラスクブームも形成していた。平成17年7月、ジャスダックに上場。店頭販売のほか、通信販売、百貨店などの卸売りを手がけ、平成20年8月期は売上高44億5389万円をあげていた。
 しかし、贈答品の売上が減少するなど経営環境が悪化。30年8月期は売上高26億7092万円と減収に歯止めがかからず、3期連続の営業赤字を余儀なくされ、継続企業の前提に関する重要事象を記していた。キャッシュフローも悪化し、資金繰りが限界に達し31年1月18日に支払い期限が到来する債務の弁済が困難となり、今回の措置となった。
 今後、スポンサーに対して事業を譲渡する計画。また、1月17日付けで東京証券取引所より整理銘柄に指定され、その後に上場廃止となる見通し。
 なお、債権者説明会を1月21日、午後2時より大手門パルズ(山形市)で開催する予定。

(株)シベールが民事再生法を申請、山形県では上場倒産は18年4カ月ぶり(東京商工リサーチ)

 (株)シベール(TSR企業コード:210031050、法人番号:5390001000864、山形市蔵王松ケ丘2-1-3、設立昭和45年10月14日、資本金4億8835万5000円、黒木誠司社長)は1月17日、山形地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。申請代理人は粟澤方智弁護士(奥野総合法律事務所・外国法共同事業、中央区京橋1-2-5、電話03-3274-3805)。監督委員には田中暁弁護士(弁護士法人あかつき佐藤欣哉法律事務所、山形市相生町5-25、電話023-632-2070)が選任された。
 負債総額は19億6298万円(平成30年8月31日現在)。
 
 山形県での上場会社の倒産は、平成12年9月に民事再生法の適用を申請した東証2部上場で、配電盤・制御盤製造の川崎電気(株)(現:(株)かわでん、TSR企業コード:210008016、法人番号:4390001010708、南陽市、負債253億1000万円)以来18年4カ月ぶり。

 山形県や宮城県が地盤の洋菓子メーカー。ラスクは高い知名度を誇り、贈答用ラスクはとくに有名で、ラスクブームも形成していた。平成17年7月、ジャスダックに上場。店頭販売のほか、通信販売、百貨店などの卸売りを手がけ、平成20年8月期は売上高44億5389万円をあげていた。
 しかし、贈答品の売上が減少するなど経営環境が悪化。30年8月期は売上高26億7092万円と減収に歯止めがかからず、3期連続の営業赤字を余儀なくされ、継続企業の前提に関する重要事象を記していた。キャッシュフローも悪化し、資金繰りが限界に達し31年1月18日に支払い期限が到来する債務の弁済が困難となり、今回の措置となった。
 今後、スポンサーに対して事業を譲渡する計画。また、1月17日付けで東京証券取引所より整理銘柄に指定され、その後に上場廃止となる見通し。
 なお、債権者説明会を1月21日、午後2時より大手門パルズ(山形市)で開催する予定。

過疎地のローソン店頭に「相談窓口」開設も検討 ローソン銀行・山下雅史社長 独占インタビュー(後編)(東京商工リサーチ)

-地方で銀行の支店撤退が相次いでいる
 金融機関が撤退すると、そのマチの経済力はガクンと落ちてしまう。影響は小売販売にも波及し、マチの経済は負のスパイラルに陥る。地域そのものにとって非常に不幸なことだ。どこかで食い止めなければいけない。マチから金融機関が消え“金融難民”を出さないためには、地銀をはじめ地域金融機関だけでは支えきれない部分を、ローソンの実店舗を出店する私たちが協働する。ローソンの店舗網を活用し、地域金融機関と一緒になって顧客利便性を維持していく。

-具体的には
 地域金融機関の支店が撤退する地域のローソンの店舗の一角に、一時的な出張所を設置することなどが考えられる。例えば、「月曜と水曜の午前中だけ」など日時を指定し、相談窓口を設ける。窓口を開くことで「支店はなくなるけど、銀行との結びつきは続いている」という地域のお客様の安心感や信頼が顧客離れの食い止めにつながる。すでにいくつかの地域金融機関と具体的な話を進めている。

-地域金融機関と連携するうえでの課題は
 地域金融機関としての喫緊の悩みは40年、50年もずっと付き合ってきたお客様のお子様達が東京へ進学や働きに出た際に、彼らが東京の銀行に口座を作り、その口座をメーンとして使用するケースが後を絶たないことだ。これは金融機関にとって大変深刻。ある調査では、地方に住む親御さんが亡くなり、相続の必要性ができた時、親御さんと同じ地銀さんをメーンに利用するお子様の場合だと、親御さんの預金分の6割超はそのまま地銀さんにとどまる。だが、お子様が他の地域の銀行をメーンにする場合だと預金の7割は外に出て行ってしまうという。

-地域経済維持のための取り組みは
 まずは、地域金融機関に口座を持つお客様が地元を離れて東京に行っても、従来通り口座を使うことができるように住所変更の手続きなどを東京のローソン店舗を利用した地域金融機関の出張所でできるようになれば、他行への口座の移行は減っていくとみている。また、ローソンで買い物をすると、提携金融機関のお客様を対象に地域の商店街のクーポンが発行されるような取り組みや、ATMで地方のIC乗車券のチャージも行えるような取り組みも検討していく。

-キャッシュレス化が連日ニュースになっている
 キャッシュレスへの流れは止めようがない。日本が諸外国に比べ(キャッシュレス化が)遅れているといわれるゆえんは“トータルの決済コストが高い”からだろう。商品を購入する側は、現金でもパスモでもクレジットカードでも支払額は同じだが、店側には現金だと500円のところ、カードだと例えば485円しか入らない。この違いは大きい。小売の粗利が低くなっているこの状況で、3%の手数料を抜かれるのは大変なことだ。決済に関しては、払う側も店舗側もどちらも“利用者”。小売を親会社に持つ銀行として、いかに決済手数料を安くできる仕組みを提供できるのか、私たちの大事な役割だと思っている。

-金融業界の課題は
 金融界はマイナス金利の影響を受けて体力を失い、非常に苦労している。その一方で、AmazonやLINE、GMOなどは新しい分野のサービスをどんどん広めている。新しい金融ニーズが次々生まれているなかで、ニーズに応えられる銀行がまだできていないのが現状だ。
 私たちの銀行業営業免許の取得は7年ぶりと言われている。この間、フィンテック企業は数多く誕生したものの、いずれも銀行のライセンスは取っていない。恐らくガバナンスやリスク管理の態勢などの整備が困難であると考えているからだろう。一方で、私たちは「従来の金融機関」との競合は考えていない。違う領域のビジネスを開いていく。今、新しく生まれている金融ニーズに応えていくことが命題だ。

-銀行時代を振り返って思うことは
 私が銀行に入った当時は、まだ日本の金融は“社会の黒子”という風に教えられた時代だった。経済活動があり、それを支える決済、与信の形で金融がある、と。銀行は社会の“機能”であったはずなのに、「銀行が」ローンを提供するとか、「銀行が」投資で収益をあげるとか、いつのまにか銀行が“主語”になってしまった。私が銀行に入って2~3年経った頃、銀行が国債のディーリングを始めた。それまでお客様に2億円を貸し出して、やっと100万円の利ざやを得ていた銀行が、それ以降、国債の金利がちょっと傾いただけで100億、200億という単位で儲けられるようになった。それは確かに金融ではあるが、「本当に銀行の仕事なのかな」と長い間、疑問に感じていた。

-ローソン銀行の目指す姿は
 ローソンは1年間で延べ35億人の来店がある。ATMは延べ2億人が使う。それを聞いた時に「まだ金融としてやるべき仕事があるな」と思った。銀行はいろいろな人の生活を支える機関であって、主語はあくまで「お客様」だ。ローソン銀行は、コンビニの銀行。だから下駄履きで気軽に立ち寄ってもらえる。その意味でも「お客様に合った」ニーズは把握しやすい環境にある。お客様が「こういうサービスならやろうかな」とか、「これなら自分にもできる」と商品を理解し、積極的に向き合ってくれる金融機関を目指していく。

 銀行出身で豊富な金融知識を持つ山下雅史社長。現状の業界、自社の立ち位置について率直に話し、インタビューでは「顧客利便性」を第一前提に、今後予定される自社サービス開始への思いを語ってくれた。認知度では同業のセブン銀行に半歩先を譲っている。
 山下社長は「ローソンにATMがあることを知らない人も多い」と現状をシビアにみるが、1月にはクレジットカードの発行もスタートした。同社の「顧客視点第一」のサービス普及が実現に向けて動きだす。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年1月18日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)