破産手続きの「取消」、10年間で12件(東京商工リサーチ)

 2017年度の企業倒産8367件のうち85.5%(7159件)を破産が占めている。一方、破産手続開始を受けながら、何らかの理由で「破産取消」となるケースもある。「破産取消」となった法人は、10年間(2009年4月~2018年4月)で12社あった。直近5年間の6社をみると、2社は破産前の役員が引き続き役員として事業を継続、1社は全役員を入れ替えて事業を継続している。だが、残り半数の3社は法人を清算、または事業を停止している。破産が取り消されても事業再建は難しいようだ。

 東京商工リサーチ(TSR)が官報や関係者へ取材をしたところ、直近10年の「破産取消」は12社が判明した。このうち、直近5年間で6社の破産開始決定が取消されていた。業種は不動産管理やシステム開発、墓地管理などだった。
 法人破産は、会社の代表者が申し立てる自己破産のほか、代表者が不在で取締役決議が得られない場合に行う準自己破産、取引先等の債権者が申し立てる第三者破産があり、「破産取消」の6社のうち、自己破産は2社、債権者による申立が4社と半数以上を債権者からの申し立てが占めた。こうした企業の関係者に取材すると、破産取消の背景には代表者の自社資産への理解力の欠如や、債権者への情報開示をめぐる問題、親族間での経営方針の相違などが浮かび上がってくる。
 
◇秘密の借金で親族が対立
 都内に本社を置く不動産投資・管理業務を手掛けるA社は、2013年11月に破産手続開始決定を受けた。そして、1年後の2014年11月に取消となった。A社は、2012年1月まで代表取締役を務めていた女性社長と娘2人の3名が取締役に名を連ねていた。
 A社の関係者が内情を語った。「破産手続開始に至った経緯は、社長が誰にも相談せず会社名義の不動産を抵当に入れ、会社の運営と関係のない目的で知人から数千万円程度の融資を受けていたこと。しかし、返済メドが立たなくなり、債権者の知人が破産を申し立てた。会社で所有する不動産の担保設定の正当性をめぐり娘と代表者、債権者が三竦みで対立し、裁判で争われた。その後、会社名義の物件を知人の債権者に売却する形で落着き、破産手続が取消となった」。
 2018年4月24日現在の商業登記簿では、娘2人はすでに2015年10月に取締役を辞任。女性代表も2016年4月に代表取締役を辞任し、別の男性が代表取締役に記載されている。
 前出の関係者は、「娘たちは取締役を辞任した時点で、母親は建物の管理業務から離れた時点で、それぞれ会社と関係が切れた」と語る。さらに「会社は今、休眠状態。母親が向こう見ずに多額の融資を受けなければ、こんなにゴタゴタすることはなかったのに」と当時を振り返り、小さく溜息をついた。

◇資産売却で破産手続を取消
 東日本で漁船を所有し、親族で漁業を営んでいたB社。2012年4月に株主総会で解散を
決議し、2年後の2014年5月に清算人が破産を申し立てた。破産管財人に選任された弁護士によると、一旦は破産手続開始となったが、残った漁業設備等の資産を売却したところ資産超過で申立から3カ月後に手続開始が取り消された。破産管財人は「債務が比較的少額で漁船などの売却額が想定を上回ったため、(破産手続)取消となった。こんなケースは初めて」と話す。

◇債権者が破産申立
 ずさんな資産管理が露呈し、債権者が財産隠匿を疑い破産を申し立てたケースもある。
 西日本にある墓地の管理・開発、墓石や仏具販売を行っていたC社。2017年7月、売掛金を回収できなかった債権者が社長と連絡がつかなかったため破産を申請した。破産管財人によると、「(破産手続きの中で)C社には債務を弁済できる資産が残っていることが判明、取消になった」と説明する。C社は今も新規の墓地開発費用や墓地運営コストが経営を圧迫するなど経営に余裕はなく、「C社の意向もあり事業を継続したが経営状況は厳しい。債権者に誠実に返済しないと、また同じことが起きかねない」と指摘する。  
 関東のD社も買掛金の支払いに応じず、社長が失踪した。郷を煮やした取引先が破産を申し立て、2015年12月破産手続きが開始された。だが、2016年4月に取消決定を受けた。D社がなぜ「破産取消」になったのか。詳細を知る人は見当たらない。

◇代表が組合を私物化
 東日本で外国人実習生を受け入れていたE協同組合。2007年の設立から約10年、外国人実習生を受け入れ、近郊で実習機会を設けていた。だが、事業は続けていたが、総会を開かず組合運営に関して理事間で情報を共有する機会がなかった。そうした中、2017年2月に理事長による使途不明金の疑惑と総会に未承認で得ていた役員報酬の存在が発覚した。理事らが予算の健全な執行を求め、同年4月、理事長に総会開催を要請したが、理事長は総会招集を拒み続け、総会成立を逃れるため組合の破産を申し立てた。これを不服とした理事らが即時抗告した。2カ月後の同年6月、破産手続開始は退けられたが、以後は組合活動を中止し、現在は休眠状態にある。

◇多岐に渡る“破産手続取消”ケース
 ある企業の管財人を務め、後に「破産取消」を経験した弁護士によると、1件の支払への不誠実な対応から、債権者が債務者に不信を抱き、第三者破産を申し立てるケースは「十分あり得る」と指摘する。
 「破産取消」となった企業に共通するのは、代表者がステークホルダーとの情報共有に何らかの問題を抱えていた点だ。
 大企業に比べ、小・零細企業は「債務者の資産を債権者側が把握することは難しい面もある」(前出の弁護士)。株式を公開していない企業でも、取引の円滑化には債務者が債権者に資産や経営状況を積極的に開示するなど、コミュニケーションが欠かせない。
 債権者も日頃から取引先の動向をチェックし、必要があれば情報の開示を求める姿勢も必要だろう。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月28日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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2018年3月期決算の上場企業、9社が決算発表を延期(東京商工リサーチ)

 2018年3月期決算の上場企業2,347社のうち、9社が決算短信の発表を延期した。
 東京証券取引所は、決算短信の開示時期を「遅くとも決算期末後45日以内に内容のとりまとめを行い、その開示を行うことが適当」(決算短信等の開示に関する要請事項)としている。いわゆる、「45日ルール」だ。決算後50日を超える場合、その理由や開示時期の見込みを発表する必要がある。
 有価証券報告書の法定提出期限(本決算は期末後3カ月以内)の経過後、1カ月以内に提出できない場合、原則上場廃止となる。

◇「発表日未定」、「不適切行為」が各4社
 9社のうち、「決定次第、公表」などとして具体的な期日を公表していない企業は光村印刷(株)(TSR企業コード:291022413、東証1部)など4社あった(5月22日現在)。
 延期の理由に「不適切行為」をあげたのは4社だった。(株)省電舎ホールディングス(TSR企業コード:293052298、東証2部)は不適切な会計処理が発覚し、2018年3月に第三者委員会を設置した。GMB(株)(TSR企業コード:570149460、東証1部)は、製造品の一部に販売先の事前承認を得ない中国製部品を使用した不適切行為が発覚。対象製品の連結売上高に占める割合は1.3%程度と公表している。このほか、五洋インテックス(株)(TSR企業コード:490039510、東証JASDAQ)は、架空取引による売上計上の過年度決算の訂正。石原産業(株)(TSR企業コード:570234816、東証2部)は、持分法適用関連会社の不適切な会計処理の精査に時間を要している。

◇3社が組織変更を理由に延期
 (株)NEW ART(TSR企業コード:294103538、東証JASDAQ)は、2017年10月に持株会社制へ移行したが、連結子会社の増加で「決算数値の確定に時間を要する見込み」で決算短信の発表を5月28日に延期した。クレアホールディングス(株)(TSR企業コード:570487650、東証2部)は、5月25日に短信発表を延期した。同社は「子会社との会計基準統一化の作業やその精査で時間がかかり、発表に向けて鋭意作業中」と話す。 
 このほか、オンキヨー(株)(TSR企業コード:576419524、東証JASDAQ)は、決算手続の煩雑化などを理由に決算発表を延期した。
今回、決算発表を延期した9社の市場別は、東証1部が4社、東証2部が2社、新興市場の東証JASDAQが3社だった。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月25日号に「決算短信が未発表の3月期決算企業(5月22日現在)」の一覧を掲載予定)

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シェアハウス販売のゴールデンゲインが破産、スルガ銀行の融資額は・・・(東京商工リサーチ)

 5月15日に破産開始決定を受けた(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672、中央区)と並んで注目を集めていたもう一つのシェアハウス販売会社、ゴールデンゲイン(株)(TSR企業コード:014435802、港区)が債権者から破産を申し立てられ5月22日、破産開始決定を受けた。
 
 ゴールデンゲインは昨年後半以降、シェアハウスオーナー(投資家)や取引業者への未払いが発生し、同年12月には代表を除く全役員が退任するなど異例の事態に陥り、一部オーナーから仮差押も申し立てられていた。
 今年3月には本社を置いていた東京都港区の高層ビルからも退去。事務所前に掲示されていた連絡先の携帯電話に連絡すると、日向社長は「事務所は引き払ったが新しいところを探している。事業は継続中だ」と話していたが、最近は電話をしても誰も出ない状態が続いていた。

 東京商工リサーチ(TSR)は、ゴールデンゲインが2017年12月にシェアハウスのオーナー向けに送った通知文を入手した。それには、「相当数の物件について当初計画の甘さからシェアハウス居住者が支払う賃料がオーナーに支払う賃料を下回っていることに加え、業界環境の激変で当初からオーナーに対して約束の賃料を支払う事が極めて困難となった」(一部抜粋)と書いてある。また、当月以降は居住者からの実際の入金に基づいた賃料を支払う旨、支払いについてはシェアハウスを実際に管理・運営しているA社が支払うとしている。さらに「(オーナーへの融資を行っていた)スルガ銀行との交渉を必要とする場合は当社が責任をもって対応する」と記されている。
 スマートデイズがサブリース賃料の支払いを停止したのが今年1月。これとほぼ同時期に当社も資金不足に陥っていた。昨年後半以降、オーナーへの資金供給元となっていたスルガ銀行が融資姿勢を転換し、融資を絞ったことが背景にある。ゴールデンゲインが通知文で表現した「業界環境の激変」は、これに起因しているのだろう。

◇スルガ銀行による融資額は150億円程度か
 ゴールデンゲインが手掛けたシェアハウスは都内を中心に約100棟。1棟あたりの部屋数は最少8部屋から最大23部屋で、平均すると14部屋だという。関係者によると、「オーナーへの融資の大半はスルガ銀行渋谷支店が手掛けていた」という。
 5月23日午後、TSRの取材に対しスルガ銀行の担当者は、ゴールデンゲインのシェアハウス向け融資総額について、「個別の案件については回答を差し控える」と述べた。ただ、1棟あたりの融資額を1億5,000万円と仮定すると、100棟で合計150億円規模と推測される。

 スルガ銀行が融資していたシェアハウススキームの崩壊は他のシェアハウス業者でも起こっている。なかにはサブリース賃料未払いの末、連絡すらつかなくなった業者も存在する。第3、第4のスマートデイズが今後も出てくる可能性は否めない。

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慶応大発の医療介護機器ベンチャー、旧(株)イデアクエストが破産(東京商工リサーチ)

 (株)福老(旧:(株)イデアクエスト、TSR企業コード:294582827、法人番号:2011001072901、大田区東糀谷6-4-17、設立平成24年3月14日、資本金6億7560万円、坂本光広社長)は5月16日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には大澤加奈子弁護士(梶谷綜合法律事務所、千代田区大手町1-7-2、電話03-5542-1453)が選任された。
 負債総額は債権者約50名に対し約4億7000万円。

 平成24年3月、慶應義塾大学工学部開発の画像センシング技術を活用した医療福祉機器開発を目的に(株)イデアクエストの商号で坂本社長が設立した。高齢者や新生児を対象とした医療、介護システム機器の開発を行っていた。厚生労働省から認定を受けた介護見守り装置「OWLSIGHT(アウルサイト)」を28年に商品化した。
 しかし、以後は目立った商品投下、量産は行われず、さらに代理店等販売網の整備に時間を要し、28年3月期売上高は2697万円にとどまった。翌29年3月期に売上高は1億711万円をあげたものの開発費用がかさんだことから、4億1943万円の赤字となり、1億991万円の債務超過に陥っていた。30年3月に商号を福老に変更し、体制変更の協議を進めたが、協議は進展せず事業継続が困難となり、今回の措置となった。

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シェアハウス販売のゴールデンゲイン(株)破産開始決定を受ける(東京商工リサーチ)

都内中心にシェアハウス「ゴールデンゲイン」シリーズを展開 債権者から破産を申し立てられていた

 ゴールデンゲイン(株)(TSR企業コード:014435802、法人番号:9011001104722、港区愛宕2-5-1、設立平成27年3月26日、資本金1億円、日向司社長)は5月22日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には堂野達之弁護士(堂野法律事務所、中央区銀座1-5-8、電話03-5524-7727)が選任された。
 負債総額は13億6900万円(平成28年10月期決算時点)だが、今後の調査により変動する可能性がある。
 
 投資家向けシェアハウスの企画、建築、販売を手掛けていた。シェアハウス用地の販売実績を有するほか、足立区、葛飾区、板橋区、練馬区など都内の住宅地域を中心に自社ブランド「ゴールデンゲイン」シリーズのシェアハウス運営事業を展開し、平成29年には月間約10物件のシェアハウスをオープンさせていた。投資用不動産として新築、土地の仕入れから建築(外注)、販売のほか管理・運営までをグループで一貫して手掛け、サブリース方式で投資家向けに販売。シェアハウスへの社会的な注目を背景に取扱い物件は急拡大し、業歴は浅いながらも設立2期目となる28年10月期には約43億1100万円の売上高をあげていた。
 
 しかし、業容拡大の一方で入居率の低下やシェアハウスサブリース業に対する一部金融機関の融資姿勢の変化などから業況が悪化。29年12月には代表を除く全役員が退任する一方、サブリースオーナーへの家賃支払いの停止や外注費の未払いなどの支払いトラブルが表面化していた。
 日向社長によると「3月1日付けで事務所を引き払ったが新しいところを探している。事業は継続中」としていたが、債権者より破産を申し立てられ今回の措置となった。

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2017年の新設法人は、調査開始以来、初の13万社超え(東京商工リサーチ)

2017年「全国新設法人動向」調査

 2017年(1-12月)に全国で新しく設立された法人(以下、新設法人)は13万1981社(前年比3.1%増)で、1年間に新設された法人数では、調査開始以来、初めて13万社を突破した。
 東北と北陸を除いた7地区で前年を上回り、ほぼ全国的に法人数が増加したことがわかった。減少した東北は、東日本大震災を受けて急増した2013年との比較では全国で唯一減少し、震災の復興事業の一服、人口減の影響が表れた格好となった。一方、東京や大阪など人口が増加している地域では新設法人も増加傾向が顕著だった。人口が増加し観光関連も活況が続く沖縄県は普通法人に占める新設法人の比率が全国トップ(8.7%)で、政府の目指す「欧米並みの開業率10%」に一番近いこともわかった。
※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象333万社)から、2017年(1-12月)に新しく設立された法人を抽出し、分析した。

◇2017年は前年比3.1%増、8年連続増加
 2017年(1-12月)の新設法人は13万1981社(前年12万7974社)で、2007年に調査を開始して以来、初めて13万社を突破した。2010年以降、新設法人数は8年連続で前年を上回り、2017年の増加率(3.1%増)は前年の2.2%増を0.9ポイント上回った。リーマン・ショック後では最高を記録した2014年(8.6%増)から2年続いた増加率下落の推移に歯止めを掛けた。
 2017年の全国企業倒産は27年ぶりの低水準(8405件)だったが、休廃業・解散(2万8142件)との合算件数は3万6547件で、この3.6倍(前年3.3倍)の法人が新たに設立されている。 

◇資本金別、5百万円未満の小規模法人が増加
 資本金別では、「1百万円未満」が2万9080社(前年比10.0%増)、「1百万円以上5百万円未満」が5万8481社(同2.7%増)と、それぞれ増加した。
 一方、「5千万円以上1億円未満」は581社(同13.9%減)、「1億円以上」は485社(同8.0%減)、「1千万円以上5千万円未満」は5596社(同1.9%減)、「5百万円以上1千万円未満」は2万5436社(同0.6%減)と前年を下回った。
 2016年も資本金1千万円未満の小規模な法人に「増加」が偏っていたが、2017年はその傾向が強まり、資本金5百万円未満に「増加」が集中した。
 最低資本金制度の廃止が浸透し、1千万円未満の小規模な資本金の法人が12万5319社(構成比94.9%、前年94.6%)で、構成比は前年比0.3ポイント上昇した。

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スルガ銀行のサブリース関連融資、社内調査の3支店以外でも(下)(東京商工リサーチ)

建築を請け負った業者は「債権調査」を送付

 建築を請け負ったA社は、「B社」に商号を変更したのち、2017年6月にさらに「C社」に商号を変えている。
 C社は2018年5月、取引先に「債権調査に関するお願い」と題した書面を代表者名で送付した。東京商工リサーチ(TSR)が入手した書面には「食品事業部で生じましたトラブルにより、資金繰りに苦慮するところとなった」とした上で、「(債権)調査終了までの間は(中略)お支払いのご猶予を頂きたく存じ上げます」と記載されている。文書の最後には、依頼を受けた法律事務所と弁護士名が記載されている。
 C社の代表は5月21日午前、TSRの取材に応じ、書面の送付を認めた上で「食品事業部は、2017年10月頃に開始したが債務が正しいかどうか疑問が生じた。取引先は大手から中小の食品メーカーだ」と語った。その上で、「ガヤルドのミニアパートの建築が止まったことと、食品事業部でのトラブルは別の話。ガヤルドから建築を請け負った案件があるが、ガヤルドからの入金がなく数千万円の焦付が発生した」と建築がストップした理由を述べた。
 21日午後、TSRの取材に応じたC社の代理人弁護士事務所の担当者は、「債権と債務の状況を調べ、会社再建の可能性を調べる。事後についての受任を前提としていると理解してもらって構わない」とコメントした。

「フリーローンはセット」

 ガヤルドと連絡が取れず、建築会社も債務不履行に陥っている。オーナーはスルガ銀行からの借入金の返済原資にする予定だったガヤルドからのサブリース賃料が入らない。シェアハウスとミニアパートの違いはあるが、ともにサブリース案件向け融資で、スルガ銀行が貸し手である点はスマートデイズのシェアハウス「かぼちゃの馬車」と同じ構図だ。
 スルガ銀行が5月15日に米山明広社長名で公表したリリースには、「横浜東口支店では、営業担当者とチャネルが一体となりフリーローンを『融資の条件』とするセット販売が行われていた」と記載されている。
 ガヤルドのミニアパート向け融資を巡っては、オーナーの一人は「取得のための融資とフリーローンはセットであるとスルガ銀行川崎支店の担当者から言われ、年利7%程度のフリーローンも契約した」と語る。フリーローンの契約書には、ミニアパートの取得や運営とは全く関係のない使途や日付などが印字されており、オーナーが署名・押印する前に、すべての段取りが整っていたと感じさせる内容だ。
 15日に結果を公表した社内調査では、横浜東口支店、渋谷支店、二子多摩川支店を対象としていたが、これ以外の支店でもサブリース向け融資でフリーローンの「セット営業」が行われていた可能性をうかがわせる証言だ。
 さらに、TSRはスルガ銀行川崎支店で実行された融資で申し込み関連書類が改ざんされた可能性を示す書類も入手した。
 スマートデイズが手掛けていたシェアハウスでは、スルガ銀行に提出された融資申し込み関連書類の改ざんが明らかになったが、この点も類似している。
スルガ銀行は5月15日付で第三者員会を設置した。社内調査で対象としていなかったミニアパート向けや、川崎支店を含む他の支店の融資にもフォーカスが必要になりそうだ。
 スルガ銀行・スマートデイズ被害弁護団の副団長を務める紀藤正樹弁護士(リンク総合法律事務所)はTSRの取材に、「スルガ銀行のサブリース物件向け融資はスマートデイズ以外にも確認されている。被害弁護団はスルガ・スマートデイズのみならず、これらが絡んでいれば、他のサブリース業者による被害も相談に応じている」と話す。

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破産手続き中の「上毛森林カントリー倶楽部」が別会社に譲渡、旧会員のプレー権などの扱いが決定(東京商工リサーチ)

 2月14日に東京地裁より破産開始決定を受けた上毛森林都市(株)(TSR企業コード:292111703、法人番号:1010001047385、中央区八重洲1-8-12、設立昭和47年12月、資本金1億円、伊藤恭道社長、以下上毛社)は5月14日、債権者に債権届出期間および債権調査期日を通知した。債権届出期間は平成30年6月29日まで、債権調査期日は7月9日午後1時30分より。
 破産管財人は曽我幸男弁護士(河野・川村・曽我法律事務所、港区虎ノ門4-3-1)。
 負債総額は債権者1077名(うち、預託金債権者1020名)に対して26億9415万円。
 上毛社は破産開始決定当初、債権者への配当ができない可能性が高いとして債権届出期間と債権調査期日を定めていなかった。破産手続の中で管財人は、上毛社が運営する「上毛森林カントリー倶楽部」(群馬県吾妻郡高山村、6792ヤード、18ホール・パー72、以下ゴルフ場)を引き続き運営してもらえる譲渡先を募集。入札を実施した結果、(株)ノザワワールド(TSR企業コード:280359047、法人番号7050001007000、ひたちなか市)の関連会社に譲渡することが決定、4月13日、ゴルフ場の譲渡が実行された。
 この譲渡代金の入金により、債権者に対し若干の配当ができる可能性が高まり、管財人は5月14日、債権者向けに債権届出に関する通知を送付した。
 譲渡後のゴルフ場は、「上毛カントリー倶楽部」に改組。30年5月31日までは仮オープンで、6月1日、正式オープンの予定。上毛カントリー倶楽部によると、「旧会員の継承条件については4月下旬に書面で通知している。旧会員のプレー権については、指定期限内に所定の書面手続を行い追加会費を支払った場合、会員の権利を維持し、特別優待券を発行して対応する」としている。
 上毛社はバブル期には約20億円の年間売上高をあげていたが、その後は、ゴルフ人口の減少などもあって売上高は落ち込み赤字を散発。資金繰りも逼迫し30年2月、破産開始決定を受けていた。

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上場企業 2018年3月期決算 「継続企業に関する重要事象」の初記載は、サノヤスHD・幸楽苑HDなど8社(東京商工リサーチ)

 決算開示を延期している一部企業を除いて、上場企業の2018年3月期決算がほぼ出揃った。
 5月18日までに2018年3月期の決算短信を開示した上場企業のうち、「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイングコンサーン注記、GC注記)を当期決算で初めて記載した企業はゼロだった。
 一方、GC注記に至らないまでも、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」(以下、重要事象)を初めて記載した上場企業は8社あった。

◇サノヤスHD、財務制限条項に抵触
 サノヤスホールディングス(株)(TSR企業コード:576562386、東証1部)は中核の造船事業の採算悪化が響き、金融機関とのシンジケートローン契約上の財務制限条項に抵触した。また、低価格中華料理チェーン「幸楽苑」などを手掛ける(株)幸楽苑ホールディングス(TSR企業コード:152024999、東証1部)も店舗の減損損失がかさみ、多額の当期損失を計上、金融機関と締結した財務制限条項に抵触した。今後は人気ステーキチェーン「いきなり!ステーキ」のFC展開などの多角化で再建を図る。

◇「継続的な赤字計上」を理由が5社
 8社のうち、借入金に関して金融機関からの財務制限条項に抵触したケースが3社あった。いずれも金融機関の了解・合意を取り付けている。また、継続的な赤字計上を理由とするケースが5社だったが、今後の対応策などが取れているとして重要事象にとどまり、GC注記には至らなかった。ただ、いずれも巨額の赤字計上など深刻な業績不振の1年だった事に変わりはなく、業績回復に向けた今期(2019年3月期)の取り組みに注目が集まる。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年5月22日号に「継続企業の前提に関する重要事象」が記載された企業一覧を掲載予定)

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2017年「上場2,681社の平均年間給与」調査~ 平均年間給与は6年連続で上昇 ~(東京商工リサーチ)

 2017年決算の上場2681社の平均年間給与(以下、平均給与)は、599万1000円(中央値586万3000円)で、前年の595万3000円から3万8000円(0.6%)増えた。
 平均給与は2011年に調査を開始以来、6年連続で前年を上回った。ただ、増加率は2年連続で前年を下回り、縮小している。これは2681社のうち、1622社(構成比60.4%)で従業員数が増えており、積極的な人材採用も平均給与の伸び率鈍化につながった一因とみられる。
 
 業種別のトップは、建設業の695万3000円(中央値694万9000円、前年比2.7%増)だった。また、原発事故や電力値上げ等で給与の一部をカットしていた電力各社が復活した電気・ガス業も673万4000円(前年比2.8%増)と増加。一方、小売業は475万円(同0.8%増)で7年連続の最下位で、建設業とは1.4倍の開きがあった。金融・保険業は640万4000円(同1.3%減)で、このうち上場銀行70行では、トップのスルガ銀行(810万6000円)が唯一の800万円台だった。
 10業種のうち、前年を下回ったのは前年トップだった不動産業と、マイナス金利で収益環境が厳しい金融・保険業の2業種。

 平均給与のトップ企業は、M&A助言会社のGCAで1559万円。前年2139万6000円から580万6000円減少したが、4年連続で首位を守った。上位10社内に三菱商事など総合商社が5社と半数を占め、次いで、M&A助言・仲介2社、民間放送、不動産、工作機械が各1社と、総合商社の高額さが際立った。
 国税庁の「平成28年分民間給与実態統計調査結果」によると、2016年の民間企業の平均給与は421万6000円(正規486万9000円、非正規172万1000円)で、2017年の上場企業の平均給与と比べ、正規社員で1.2倍(112万2000円)、非正規では3.4倍(427万円)の格差があった。

※本調査は2017年決算(1月-12月)の全証券取引所の上場企業を対象に有価証券報告書で平均年間給与を抽出した。対象は、2011年から2017年決算まで連続比較が可能な2681社(持株会社、変則決算企業は除く)。

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