[活写] 新年の食卓 彩り添えて(日本農業新聞)

 滋賀県日野町にあるJAグリーン近江の日野農産物加工施設で伝統野菜、日野菜の甘酢漬け作りが進んでいる。

 日野菜はカブの一種。細長い根と葉ともに一部が赤紫色で、同町鎌掛(かいがけ)地区で500年以上前に見つかったと伝わる。同施設は材料に、深山口(みやまぐち)日野菜原種組合が採種して、JA日野菜生産部会の農家約40人が育てたものだけを使う。

 同施設ではJA職員ら10人ほどが11月中旬から毎日漬け込む。長さ約50センチの日野菜を約2日間塩漬けした後、6日間ほど塩と甘酢に漬けて歯応えを引き出す。漬け終えると根全体が赤く色付く。

 JAは12月上旬までに日野菜の甘酢漬けとぬか漬けなど合わせて約40トンを出荷する予定。同施設の職員、福井美智子さん(63)は「年末年始の進物に好評。新年の食卓に彩りを添えてほしい」と話す。(木村泰之)

日本農業新聞

【関連記事】

[活写] つーん 献上の味 今も(日本農業新聞)

 東京都奥多摩町で特産のワサビが収穫最盛期を迎えている。水温が下がる10月から3月が旬。山奥の沢沿いに設けた石積みの棚田で、農家が1年半かけて15センチほどに育てたワサビを引き抜いている。

 昨年の生産量は33トンで、町の農業総生産額の46%を占めた。江戸時代には将軍家に献上したと伝わる歴史ある産地だが、近年は高齢化で農家が減っている。これに対し、町は2002年に栽培技術などを伝える「奥多摩わさび塾」を開講。昨年までに66人が修了し、その多くが町内で栽培を始めた。

 同塾で学んだ佐藤勉さん(70)は、6年前に杉並区から移住し、6・6アールで約4000本を育てる。年末までに約500本を地元のJA西東京や都内の料亭などに出荷する予定だ。佐藤さんは「仲間と力を合わせ、産地の維持に取り組みたい」と意欲を燃やす。(木村泰之)

【関連記事】

国有林伐採権を付与 新たな制度林野庁検討 林業 担い手育成(日本農業新聞)

 林野庁は、規模拡大を目指す林業者が国有林を利用し、経営基盤を拡充することができるよう新たな仕組みを構築する。国有林の一定区域を10年単位で伐採できる権利を与え、販売収入を確保し、長期的な経営計画が立てられるようにする。新たな森林管理システムで森林を集積・集約する受け手の確保を狙う。来年の通常国会に法案を提出する。

 同庁は、規模拡大を目指す林業者に森林を集積・集約する新たな森林管理システムを構築。2019年4月に関連法を施行して制度として動きだす。関連法では所有者が管理できない私有林のうち、採算ベースに乗りそうな私有林について、市町村が意欲があると判断した林業者らに管理を委託できる。

 一方、同システムは、森林の管理を担う受け手をどう確保するかが課題となっている。このため同庁は、規模拡大に意欲のある林業者が国有林を伐採して、木材として販売できる制度を新設し、「林業者の経営基盤を拡充し、森林の受け手育成につなげたい」(経営企画課)考えだ。

 具体的には、同システムに位置付けられた林業者らに対し、10年間を基本に上限を50年として数百ヘクタール、年間数千立方メートルの伐採ができる権利を与える。国有林の立木販売では現在、販売先が決まっている場合、最長3年間の契約ができるルールがある。さらに長い期間、伐採できるようにして、長期的な林業経営の見通しを立てられるようにする。

 国有林の伐採量が増えることで木材価格に影響が出ないよう、権利の取得には条件を設ける。住宅以外の建築物での木材利用や、輸出などに取り組む事業者らとの連携が必要となる。投資だけを目的とする場合には、権利付与の対象にはしない。

 伐採後の国有林の再生に向けて、権利を得た林業者に対し、主伐と再造林に一貫して取り組むことを求める。造林経費は国が支出する。林業者は具体的な施業計画を作り、実践する。

【関連記事】

豚枝肉 過去5年で最安値 増体進み、前倒し出荷増(日本農業新聞)

 東京食肉市場の豚枝肉相場が11月に入ってから、過去5年間の最安値で推移している。例年、この時期は需要増で価格が上向くが、今月の上物は前年同期を2、3割下回る。夏場の相場高を受け、スーパーや外食が安価な輸入品にシフトしたため、国産の荷動きが悪い。加えて、気候良好で豚の増体が進み、前倒し出荷が増えた影響で需給が緩んでいる。

 26日の上物相場は1キロ425円だった。連休明けで通常なら上向くが、前営業日より4%(19円)下げた。市場関係者は「仲卸業者が在庫を抱え、引き合いが弱かった」と話す。同日の相場は前年同期を31%下回った。例年、今月から歳暮や鍋物の需要が本格化して相場は上げる展開だが、今年は弱い。今月は1キロ422~455円で推移しており、2013年以降で最安だ。

 東京都内の仲卸業者は「国産ロースを中心に、輸入品に需要が奪われている」と話す。鍋物向けの荷は動くが、歳暮向けの注文は少ないという。売れ残った部位は凍結して在庫を抱えている状況だ。都内の中堅スーパーは、ちらしに米国産肩ロースを100グラム106円で打ち出し販促する。

 取引頭数が多いことも相場の引き下げ要因だ。今月26日までは前年同期比3%増の1万5132頭。今秋の出荷頭数は産子数が多かったことから増加予想だった。そこに温暖な気候で豚の増体が順調に進み、「前倒し出荷が増えた」(市場関係者)ことが重なった。重量が重すぎる枝肉は「並」と格付けされる。今月は「並」の割合が18%と、前年同期より4ポイント増えている。

 市場関係者は、「年末販売分の仕入れが始まる12月中旬まで軟調な相場展開」と見通す。

【関連記事】

労働力確保へ協議会 手法共有し連携強化 北海道、愛媛、沖縄3JA(日本農業新聞)

 愛媛県JAにしうわと沖縄県JAおきなわ、北海道JAふらのは25日、「農業労働力確保産地間連携協議会(仮)」の設立を決めた。農繁期がずれる3JAの労働力を調整、総括する組織。各JAがこれまで培った人員確保のノウハウを共有し、農繁期の労働力確保に向け連携を強化する。

 同日、3JAの代表者がJAにしうわ本所(愛媛県八幡浜市)に集まった会議で決めた。来年2月中旬に、東京都内で設立総会を開く予定だ。設立総会までに規約の策定や活動内容を精査する。当面は、この3JAで活動する。

 現在、11、12月はJAにしうわでミカンの収穫や選果場での選別作業、12~3月はJAおきなわでサトウキビの収穫や工場での製糖作業、4~10月はJAふらのでメロンやトマトなどの定植や収穫をしてもらっている。

 協議会は、各JAが取り組んできた事業内容を踏襲する。これまでも募集のためのポスターを作って雇用した人の宿舎などで周知、3JAの作業内容を優先的に紹介して誘導してきた。

 新たな取り組みでは、インターネット求人サイトでアカウントを取得し、共同での人員募集を検討している。協議会が周年で求人広告を出すことで掲載料の削減や、長期間の掲載が見込める。また、農業人フェアへの共同参加や募集説明会の開催を計画。共同募集の企画を外部団体へ委託することも検討する。

 3JAの連携は2016年から開始。各JAでの説明会や都市圏で開く募集説明会で、それぞれの人員を確保してきた。3JAを渡り歩いた人には交通費を支給するなどの助成をしている。

 JAにしうわの木下親理事長は「協議会の設立で、3JAの協力がさらに進むだろう」とみる。その上で「安定した労働力を確保することで、各産地の農業振興につなげたい」と強調した。

【関連記事】

切り花の日持ち向上 老化抑制剤で10日超 ブランド化進め消費拡大 静岡県が技術開発(日本農業新聞)

 静岡県農林技術研究所は、約60品目の花きや葉物の切り花で10日以上日持ちを確保する技術を開発した。老化抑制剤をゼリーに含ませ、そこに生ける。菊やバラ、カーネーション、ガーベラなど主要花きに使える。水替えなどの管理は全く必要ない。同研究所は「メンテナンスフリー切り花」としてブランド化し、切り花の消費拡大につなげたい考えだ。

 老化抑制剤は、植物の蒸散を抑える成分や、栄養などを含む。同研究所が改良を重ねて開発した。試験では、カーネーションやガーベラで15日以上、バラで12日以上の日持ちを確認。同研究所は「バラはつぼみから最後まで咲き切った。日持ちしないイメージのあるガーベラでも、効果が明らかだ」と説明する。

 他に、キンギョソウ、ケイトウ、スイートピー、スターチス、トルコギキョウ、ナデシコ、ヒマワリ、ユリ、リンドウなどの花物、アイビーやカラテア、ススキなどの葉物、ヒペリカムのような枝物でも10日以上日持ちした。病院内の30カ所以上に展示し、日持ちを確認した。

 同研究所は、消費者が花瓶に移し替える手間がないよう、ゼリー入りの容器に挿した状態で販売することを想定。市場と協議会をつくって流通段階での加工法などを探り、県産切り花のブランド化につなげていく。

 同研究所は「売り込み先として、水替えなどの手間がかけられない病院の見舞い用が有望。流通関係者などと連携し、仕組みを整えたい」と説明する。

日本農業新聞

【関連記事】

コンビニで受け取り 首都圏で横浜丸中HD 「市場直送」売りに 湘南野菜(日本農業新聞)

 神奈川県特産の「湘南野菜」の消費を首都圏で増やそうと、横浜市の青果卸の横浜丸中ホールディングス(HD)は、大手コンビニエンスストアのローソンと連携して販路開拓に乗り出した。注文当日に消費者が店頭で商品を受け取れるローソンのオンラインショップで売り込み、利便性の高さを追い風に需要を掘り起こす戦略だ。「市場直送」による鮮度の良さも売りで、注文はじわり増えてきているという。

 横浜丸中HDは、産地に近い市場の立地を生かし、「湘南野菜」の販売に力を入れる。現状は地元スーパーや百貨店への供給が中心だが、販路をさらに広げようと検討を重ねてきた。

 3月からローソンのオンラインショップを通じた販売に乗り出した。食品約600種類を扱うスマートフォンのアプリ「ローソンフレッシュピック」を利用。ミニトマト、ブロッコリーなど旬の品目3、4種を組み合わせた「湘南野菜おまかせセット」(950円)など、三つのセット商品を売り込む。

 アプリ上で「湘南野菜」の特徴や市場の目利き力をアピールし、付加価値を高めている。買い物を簡便に済ませたい会社員や、子育て世代の需要を取り込む狙いもある。

 アプリで午前8時までに注文すれば、夕方には東京都内と神奈川県のローソン1400店舗で商品を受け取れる。「湘南野菜」セットの発送は、HD子会社の湘南藤沢地方卸売市場(藤沢市)が担当。当日朝の注文確定を受け、セットを詰め合わせて午前中にローソンに送り出す。同社の物流網を通じて店舗に届く仕組み。

 「湘南野菜」セットは10月、100セット近くを売り上げた。HDは10倍に増やす目標を掲げる。岡田貴浩常務は「新しい青果物流通の一つとして期待している。湘南野菜のブランド向上につなげたい」と力を込める。ローソンも「湘南野菜を特徴ある商品に位置付けている。消費者の反応も上々だ」(広報室)と評価する。

【関連記事】

日欧EPA審議入り 乳製品に影響懸念 従来答弁繰り返す 政府(日本農業新聞)

 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の承認案が20日、衆院本会議で審議入りした。環太平洋連携協定(TPP)を上回る譲歩を受け入れた乳製品への影響や米国に同水準の自由化を迫られる可能性などを野党が追及。政府は、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく対策などを挙げながら、従来の説明を繰り返した。

 TPPで、日本はカマンベールチーズの関税を維持した。一方、日欧EPAではカマンベールを含むソフト系チーズに最大3万1000トンの輸入枠を設け、関税を撤廃するなど、TPPを超える譲歩を受け入れた。

 国民民主党の山岡達丸氏は、乳製品に与える影響に懸念を示し、抜本的な経営安定対策を要求した。さらに日米物品貿易協定(TAG)で、チーズで日欧EPAと同水準の自由化を受け入れないよう求めたが、吉川貴盛農相は「共同声明を大前提に、農林水産業の再生産が確保されるよう最大限の努力をしていく」と述べるにとどまった。

 茂木敏充TPP担当相は、日米貿易協定を巡り、パーデュー米農務長官が日欧EPA以上の水準を求める発言をしたことに対し、「全体の文脈からして、共同声明に沿ったものと考えている」と述べるも具体的な根拠は説明しなかった。共産党の笠井亮氏への答弁。

 TPP11は米国の復帰が見込めなくなった場合、見直しが可能になることに対し、茂木担当相は「米国を含むTPP12協定が発効する見込みがなくなったとは考えていない」と見直しを否定した。山岡氏の答弁。

 同日の衆院農水委では、立憲民主党の石川香織氏が、日欧EPAやTPPが酪農・畜産に及ぼす影響を問いただした。

 吉川農相が「酪農家の不安や懸念を払拭(ふっしょく)し、安心して再生産に取り組めるよう対応する」と答弁。石川氏は国内対策を前提にした政府の影響試算を「少しでも影響額を小さく見せたい細工」と批判した。

【関連記事】

野菜軟調 1割安 需要減に入荷増重なる(日本農業新聞)

 高値が続いた野菜相場が11月に入り軟調に転じている。野菜全体の中旬の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1キロ121円と、過去5年平均(平年)の1割安。夏からの高値続きで飲食店が輸入物の仕入れを増やすなど、国産の引き合いが弱まっていたところに、好天による生育前進で潤沢な入荷となり荷動きが鈍ったためだ。年末商戦が本格化するまでは売り込みを抑える小売店が多く、卸売会社は「安値が続く可能性がある」とみる。

野菜相場は7月後半から平年を上回って推移

 野菜相場は7月後半から平年を上回って推移。秋も台風が相次ぐなどした影響で、10月は野菜全体の日農平均価格が1キロ144円と、平年より1割近く高かった。

 11月には一転し、上旬は1キロ142円で平年並み、中旬に割り込んだ。卸売会社は「10月に生育遅れが回復し、後ろに出回る分も前進して重なり荷動きが鈍った」と分析。上旬の大手7卸の販売量が3万6062トンと平年を1割上回り、実需に野菜が行き渡って、軟調な取引に転じたという。

 重量野菜の値下がりが目立つ。中旬はハクサイが1キロ47円、ダイコンは1キロ51円で平年の4割安。最近まで高値だったニンジンやトマトも、先週から下げてきた。

 消費の落ち込みも響く。この時期は鍋物商材の販売がメインだが、東京都内の青果店は「日中が暖かくて売れ行きが鈍い」と話す。一方、気温の低下でサラダ商材の販売も振るわず、「売りづらい気候だ」とこぼす。

 重量野菜を中心に、業務・加工需要は輸入物にシフトする。農水省の植物検疫統計によると、10月の輸入量はレタスが721トンで前年の2・3倍、キャベツが2406トンで2・2倍。大田市場の仲卸業者は「ここ数年は秋に高値が続くこともあり、リスク回避で輸入を仕入れる動きが強い」と指摘する。

 年末まで安定した出回りが続く。葉物産地のJA全農ぐんまは「生育が1週間近く前進し、作柄は良い。出荷は順調に進む」と説明。ダイコン、キャベツ産地のJA全農ちばは「台風の影響を心配したが、好天続きで生育良好」とみる。

 一方、北海道産が主体のジャガイモ、タマネギの土 物類の相場は平年並み。市況を見ながらの計画出荷が来春まで続く。

【関連記事】

SBS入札5月から 前倒し 7月にも出回り 出来秋前、国産に影響も TPP11の豪州米(日本農業新聞)

 米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)で、オーストラリア向けに新設する米の輸入枠の運用方法が分かった。入札は売買同時契約(SBS)方式で、毎年度5月から隔月で開く。入札の開始時期が既存のSBS枠より前倒しされ、国産米の出来秋に先んじて国内に出回る。枠こそ限定的だが、「安価な輸入米が国産の新米価格を一定に引き下げる要因になる」(産地関係者)との懸念がある。

 日本は、ミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)として年間77万トンの米の輸入枠を設け、そのうち最大10万トンを主食用のSBS枠に充てている。TPP11では、既存枠とは別に、オーストラリア向けにSBS枠を新設。発効1~3年目は年間6000トンで、最終的に13年目に8400トンに拡大する。

 新設枠は、輸入業者と米卸など国内実需者がペアとなって入札に参加するSBS方式で行う。オーストラリアで収穫終盤となる5月から2カ月ごとに年度内で6回開く。

 既存枠の入札は例年9月に始まるが、新設枠では入札の開始時期が約4カ月早まる。オーストラリア産米は入札後約2、3カ月で国内実需者の手元に届くため、輸入米が出来秋より早い7、8月から国内市場に流入することになる。「出回り始めの国産米の出鼻をくじく」(東北地方の産地関係者)との懸念が産地に広がる。

 既存枠では、入札の開始時期に出回り始める当年産の国産米の需給や価格動向を踏まえ、取引されてきた。だが、新設枠では「国産動向にかかわらず、外食や中食事業者など仕向け先を確保し、入札に臨む動きが広がる可能性がある」(大手米卸)。業務用を中心に輸入米の利用が進む契機となるとの懸念がある。

 新設枠では輸入米が落札されやすい仕組みも設ける。各回の入札で落札量が枠に満たなかった場合は、翌日に再度入札を開き落札を促す。それでも各年度の第3回までの入札で落札率が90%を下回った場合、入札の開催回数を一時的に増やすことなども検討。さらに、年間輸入枠が全量落札されない年が3年間で2年あった場合、翌年度の輸入差益(マークアップ)の下限値を15%引き下げる。

 年度中にTPP11が発効する今年度は、来年2月末までに新設枠の初回入札を開く。年間枠(6000トン)の月割り分(2018年12月から19年3月までの4カ月分)の2000トンが取引される。

【関連記事】