日本ワイン需要拡大 原料ブドウ不足懸念 大手メーカー続々と自社栽培 園地確保でJAと連携も(日本農業新聞)

 日本ワインを製造する大手酒造会社が、原料ブドウの自社栽培の拡大に乗り出している。需要が高まる日本ワインの生産が現状ペースで伸び続けると、将来的に原料不足に陥るとの危機感がある。国内メーカーはJAなど産地との連携を探りながら、増産の対応を急いでいる。

 日本ワインは、国産ブドウを原料に、国内で醸造したもの。輸入ブドウ果汁を原料に国内で醸造したものは、国産ワインとなる。原料が純国産でなければ、日本ワインとはならない。

 この日本ワインの人気が高まっている。国税庁によると2016年度の出荷量は1万5849キロリットルで、前年度から5%増えた。一方、原料となる醸造向けブドウの国内生産量は、データがある15年産で1万7280トン。ここ数年で増えているが、日本ワインの増産ペースは著しく、業界には「数年以内に原料不足に陥る」(大手メーカー)との見方が広がる。

 こうした背景を受け、酒造大手が自社栽培の拡大に動いている。サントリーワインインターナショナル(東京都港区)は4月中旬、山梨県中央市にブドウ農園を開園。県とJAふえふきの協力を得て、耕作放棄地を確保し4ヘクタールを整備した。22年春以降のワインの出荷を目指す。同社の日本ワイン出荷量は17年実績が621キロリットルで、18年は7%増やす方針。自社のブドウ栽培面積も22年までに16年比で倍増させる目標を掲げる。

 サッポロビール(東京都渋谷区)も4月中旬、北海道北斗市で、同社3カ所目となる25ヘクタールの農園の整備に乗り出すと発表。来春に植樹を始め、栽培面積を2・6倍に拡大させる。アサヒビール(東京都墨田区)は北海道余市町に4ヘクタールのブドウ園を開き、今月8日から植樹を進めている。25年までに10ヘクタールに倍増させる方針だ。

 業界が増産を急ぐ理由に、日本ワイン需要の伸びを海外産に奪われる危機感がある。国内で流通するワインに占める日本ワインのシェアは5%と、現状でも少ない。しかし日本と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)を妥結し、関税が撤廃されれば、輸入量が一層増える懸念が強い。

 日本ワイナリー協会は「メーカーの自社栽培と並行して産地と連携した増産を進め、輸入ワインに対抗していく必要がある」と指摘する。

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「母の日」に ハート型スイカ登場(日本農業新聞)

 13日の「母の日」商戦でにぎわう福岡市の百貨店「岩田屋」に、ハート形スイカが登場した。その形だけで、渡す相手への思いが伝わると話題を集めている。

 生産するのは熊本市の木村洋一さん(56)。生育中のスイカをハートの型枠に入れ育てる。数時間でも収穫適期を過ぎると、肥大の圧力で裂果してしまうため、繊細な栽培管理が必要だ。

 1玉1万800円と高価だが、同店で毎年20玉は売れる。売り場をつくるバイヤーは「味も上質」と強調。リピーターも多いという。

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ギフトセット 特産米“協同”開発へ 農畜産物PR 産地振興に・・・ 「全農東北」プロジェクト6県でブランド化(日本農業新聞)

 JA全農は、東北6県を一つの産地としてブランド化する「全農東北」プロジェクトで、独自商品の開発に乗り出した。全農が仙台市に新設した部署にプロジェクト事務局を4月に設置し、事業を本格化。米ギフトの商品化を2018年度中に目指す他、加工品開発、産地振興なども進める。東北6県の県本部が連携し、地域の農畜産物を全国に発信する。

 「全農東北」プロジェクトは、東北6県の県本部や全国本部職員をメンバーに、15年度から始まった。18年度は、東京・大手町の事業開発課と仙台市の震災復興課が担っていたプロジェクト事務局を、仙台市の東北営農資材事業所営農対策課に移し、活動を本格化させる。各県本部から1人以上メンバーを集め、月1回会議を開く。独自商品開発などで事業を一層強化する。

 18年度は、ギフト用の米セットの商品化を目指す。東北6県の銘柄米をそれぞれ2合(300グラム)詰め合わせたサンプル商品を作成。消費者にモニター調査し、品種や量、デザインなどを精査し、商品化を目指す。加工品開発や消費者ニーズに合わせた産地振興なども検討していく。

 同課は「他県の加工場の使用や、地域で生産している小ロットの農産物をまとめて販売できるような企画を考えていきたい。単県では難しかったことを6県が協力すればできる可能性がある」と意気込む。

 プロジェクトではこれまで、東北や関東の催事に出店し、農畜産物をPRしてきた。岩手県一関市の藤沢牧場で生まれた子牛を東北6県の牧場で肥育した和牛を、全農グループのブランド「東北和牛」として、ブランド化を支援。ロゴマークの作製や販売資材の開発、商標登録を申請中だ。

 東北6県の農業産出額は約1兆4000億円で、国内シェア15%。北海道を超えた日本最大の産出額になる。

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酵母さんありがとう カーネーションの純米酒どうぞ 愛知・名城大発「ちょっぴり甘め」(日本農業新聞)

 名城大学(名古屋市)が、カーネーションから取り出した酵母を使った日本酒などを商品化した。愛知県はカーネーションの全国有数の産地。ほんのり甘い「母の日」向け商材として、インターネットや百貨店特設売り場などで販売している。

 仕掛け人は同大農学部応用微生物学研究室の加藤雅士教授。2010年に同県春日井市にある大学付属農場で栽培しているカーネーションから酵母を取り出すことに成功。県や原田酒造(東浦町)の協力で、日本酒「華名城(はなのしろ)」を完成させた。県の酒造好適米「若水」で造った特別純米酒。柔らかい甘味のある味わいに仕上がった。

 最新の研究で、酒を醸造する際に生まれるオリゴ糖の一種、イソマルトースを、この酵母が消化しないことが判明。「一般的な酵母は糖を消化するため辛口になるが、カーネーション酵母はイソマルトースを残すため甘味を生む」(加藤教授)。ビフィズス菌を増やす働きもあり、機能性も優れているという。酒かすから作るアイスや飲む酢、スパークリングワインなども商品化した。

 研究室の大学院生、武内花菜子さん(22)は「甘口のお酒が好きな母にあげたら喜んでもらえたので、母の日に贈りたい」と笑顔を見せる。

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乱伐招く恐れ 「森林経営管理法案」審議へ(日本農業新聞)

 手入れが行き届いていない森林を伐採業者らに集約化する森林経営管理法案が現場の実態に即していないとして、林業者らから不安の声が出ている。法案が成立すれば、森林管理の権利が委ねられる市町村には林業専門の人材が少ない上、「目先の利益だけを考えた伐採業者による乱伐も増えかねない」との声も上がる。「適切に造林もできる伐採業者がどの程度いるのか」「市町村が適切に監視できるのか」など、懸念が相次ぐ。(猪塚麻紀子、尾原浩子)

「山守る」林家の声を 主伐推奨荒廃進む

 奈良県天川村。100年を超す大木が並ぶ。県内9市町村に1500ヘクタールの森林を所有する谷林業の谷茂則さん(43)が「100年を超す木を残す長期サイクルで林業を担ってきた吉野林の精神性と対極に、この法案はある」と淡々と語る。

 法案の目的の一つとして、林野庁は「目安として樹齢51年以上の木を主伐し、齢級構成を標準化する」と説明する。しかし吉野林業地帯では、主伐ではなく間伐を繰り返し樹齢100年超の良質材を育ててきただけに、谷さんは違和感を抱く。 谷さんは5人の若者を雇用。まきを使った温泉ボイラーなどの管理にも乗り出し、持続的に間伐し山を育てながら経済循環の仕組みを模索する。

 谷さんは「伐採を推奨する法案が通れば、過剰な伐採が進み、丸裸になる山も出てくる。造林も含め長期的な視点で山をつくる林業者こそ必要で、行政は人材育成に力を入れてほしい」と話す。

 高齢化や所有者不明などで、手の施しようがない森林は多くの林業者や自治体に共通する深刻な課題だ。

 徳島県那賀町の林業者、橋本光治さん(72)は「この法案では大規模な伐採業者だけに集約される方向性に進むだろうが、それでは余計に荒れる山が増える」と警鐘を鳴らす。持続可能な山づくりを進める橋本さんは「林業を志す若い人のために、小規模でも集積し機械の投資を支援することが必要だ。忍耐強く長期的に森林をつくることが山づくりで、現場を知らない短期的な対策は失敗する」と断言する。

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鳥獣対策の人材育成 「シカ捕獲認証レベル1」取得後押し 対象講座を受講 「全国のモデル」めざす 酪農学園大学とエゾシカ協会(日本農業新聞)

 北海道江別市の酪農学園大学は、講座を受講するとエゾシカ協会が認証する「シカ捕獲認証レベル1」の受験資格が取得できるカリキュラムを導入した。鳥獣被害対策に貢献できる人材を育成するのが狙い。認証を取得できれば、環境省が進める野生動物の個体管理に関する人材登録制度の審査の一部が免除される。行政やJAなどの就職活動でもPRできるとみている。

 同認証は鹿の生息地域・生息数を把握し、農産物の被害などを減らすには、どのくらいの駆除をすべきかなどを計画するのに必要な知識を得た人が取得できる。鳥獣害に悩む地域などでの役割が期待されている。

 対象となる科目は、同大学環境共生学類野生動物学コースの3年生が受ける「野生動物生態学」や「野生動物管理学」など6科目だ。鹿や熊、鳥といった野生動物の生態や被害、個体管理について学ぶ。通常は、資格を得るために同協会が設けた講座を受講しなければならないが、同大学の対 象科目を修得すると、筆記試験や実技試験などで取得できるようになる。

 試験的に始めた昨年度は7人が受験資格を得ており、5月下旬に受験する予定だ。今年度は、14人が対象となる授業を受ける。

 同大学は昨年度、講義の一部を修得すると鳥獣管理技術協会が認定する「鳥獣管理士」の受験資格を得られるようにするなど、関係機関との連携を強化している。同大学は「日本では、野生動物を管理するシステムが発展途上の段階。今後も教育を充実させて、全国のモデルとしたい」とする。

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リンゴジュース輸出好調 5年で定着 生果とセットで提案 青森・JAアオレン(日本農業新聞)

 青森県JAアオレンのリンゴジュースの輸出が好調だ。2017年度の輸出量は332トンと、5年前に比べて5倍近くに増えた。台湾や香港などにリンゴとセットで提案し、周年で味わえる利点をアピールして需要を掘り起こした。添加剤を使っておらず、安全・安心を求める声にも応えている。今後も350トン前後の輸出規模を維持し、海外での県産リンゴのファン獲得に一役買いたい考えだ。

 JAアオレンは、加工用の県産リンゴを仕入れ、果汁商品の製造、販売を手掛けている。輸出は、さまざまな品種の果汁を使ったジュース「希望の雫(しずく)」が主力。1リットル瓶(希望小売価格は500円前後)と280ミリリットル入りペットボトル(同150円前後)の2種類を、台湾、香港を中心に売り込んでいる。

 輸出は09年度から始めた。リンゴを輸出している地域をターゲットに、生果を出荷できない夏場にも味わえる商材として提案すれば、商機があると分析。商談会などの機会を通じて現地の商社に販路を開拓。定期的に試飲イベントも開いて需要を掘り起こし、輸出を増やしてきた。

 商品の売りは、酸化防止剤などの添加剤を使用していないストレート果汁だ。台湾や香港などでは中国産のリンゴジュースと競合するが、その多くが添加剤を使用しており、国産ジュースとの差別化ができると判断。国産の現地での店頭価格は、国内の2倍程度と中国産と比較しても割高だが、高所得者層を中心に売れ行きは好調だという。

 JAアオレンはベトナムなど新たな販路の開拓も視野に、今後もジュースの輸出提案に力を入れる方針。営業部の神貢部長は「ジュースを通じて、海外に国産リンゴの需要を増やしたい。農家の所得向上にも結び付く」と強調する。

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頼れる相談役 農地・施設取得 新規就農者の悩み解決 JA、行政…(日本農業新聞)

 新規就農者が増える中で、突き当たる大きな壁が農地の取得だ。農地確保自体が容易ではないが、好条件の農地となると手放す農家は少なく、ハードルはさらに上がる。“新規参入組”は、土地や施設の確保など大きな壁が立ちはだかる中、土地改良や技術習得、第三者継承など、JAや自治体などの支援が欠かせない。(川崎勇、吉本理子)

共同部署が営農指導 水はけ改善 愛知県新城市

 愛知県新城市作手地区の鈴木雅貴さん(28)は2014年のUターン就農直後、課題に直面した。栽培するホウレンソウが、出荷可能な大きさに育たない。原因は、圃場の排水性だった。

 同地区は中山間地の水田地帯で水はけが悪く、借りた圃場は「雨が降るとハウス内が目に見えて水浸しになった」という。暗きょや明きょが巡っているものの効果は十分でなかった。

 岐阜県の一般企業に1年間勤務後、地元への愛着からUターン就農した鈴木さんは「新規でいい場所を確保するのは難しい。最初からつまずいた」と振り返る。

 同市はJA愛知東、農業公社しんしろ、県が連携し、研修や技術指導、資金・農地の確保など各機関が強みを生かす形で就農支援策を充実させている。鈴木さんも手厚い支援を受け、農地確保もとんとん拍子に進んだ。

 ただ、地域の土質が栽培のハードルとなった。収益面から市は新規就農者に園芸品目を薦めているが、もともと水田地帯。水はけのいい土地を好むホウレンソウにとって、最適な土地は少ない。地区ではホウレンソウ生産は始まったばかりで、栽培技術が十分に確立されていなかった。状況打破へ、先輩農家やJA、普及センターと共に、手探りで改善を模索した。

 JAの営農指導員から、生産性向上には客土が良いと聞いていたが、当初25アールで数千万円単位の費用がかかると知り、踏み出せなかった。タイミングよく公共事業で残土が出たことを公社から聞き、格安で工事できることになり実現した。

 同市は、公社やJAと農業関連の共同部署を立ち上げており、職員が常に同じフロアで勤務している。鈴木さんが苦労している情報も共有していたことから、対策が進んだ。営農指導を受け、サブソイラーでの土壌破砕や、毎作ごとのもみ殻投入で排水性を改善。現在は年間7、8回転で、10アール当たり約8トン収穫できるまでになった。

 17年3月に10アール拡大したが、拡大分は経験を基に栽培に向く圃場を探し、所有者と直接交渉した。現在、同地区のホウレンソウ生産者は3人、全員が新規就農者だ。10年前にほぼゼロだった作付面積は1・14ヘクタールに伸びた。JAは県内で珍しい周年供給の産地として、売り込みを強めている。

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好調維持し後半戦へ 需給締まりペース速い 17年産米販売数量(日本農業新聞)

 産地が米卸に売り渡した2017年産米の累計販売数量が3月末で132万9000トンとなった。農水省がまとめた。集荷数量に対する販売比率は47%で、過去5年間で最も高い。需給の引き締まりを受けて速いペースを維持したまま、17年産取引は後半戦に入った。

 17年産の販売比率は、好調だった前年の同月を1ポイント上回る。銘柄別に販売数量を見ると、流通量が多い新潟・一般「コシヒカリ」は6万8100トンと、前年同月より13%増えた。「ネームバリューがあり、主力銘柄に変わりない」(東京都内の米卸)とし、家庭用の販売が好調な理由を挙げる。

 家庭用ブランド米として人気の高い山形「つや姫」は2万1000トンと同25%増。首都圏の米卸は「スーパーへの販売進度は悪くない」と話し、販売先への売り渡しが進んでいるとみる。

 産地が米卸と交わした契約数量は248万6000トンで、集荷数量に対する契約比率は88%。前年同月より1ポイント高い。前年同月から約10ポイント上回っていた出来秋ごろと比べてペースは若干落ち着いてきたが、過去5年間で最も高い。群馬「あさひの夢」や新潟・岩船「コシヒカリ」など21産地銘柄が100%に達した。

 集荷数量は283万8000トンで、前年同月を6%下回っている。

 5000トン以上を取り扱うJAや全農県本部などの出荷業者を対象に、集荷や契約、販売状況を調べた。

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イチゴ「まりひめ」 香港、台湾へ輸出 贈答需要狙い大粒果 和歌山県オリジナル品種(日本農業新聞)

 和歌山県は2018年度、県が育成したオリジナルのイチゴ品種「まりひめ」の輸出に乗り出す。県内のイチゴ生産量は全国でも少ないが、県は「食味が良く高値で販売されている。輸出で成功する可能性が高い」(食品流通課)と判断。贈答需要を狙い、現地の旧正月に合わせて香港や台湾向けに輸出する。

 「まりひめ」は県農業試験場が育成し、10年に品種登録された。果肉が赤色を帯び、甘味が強く、程よい酸味が特徴。17年度の栽培面積は14・7ヘクタールで、10年から約3倍に増えた。紀の川市を中心に県内全域で栽培が広がっている。

 「まりひめ」のうち、糖度9以上、果重35グラム以上の大玉果をプレミアム品「毬(まり)姫様」として販売する。県によると、48グラム以上(1箱9粒入り)の品は、東京の果実専門店で1箱1万2960円で販売された。「贈答用のあまおう、とちおとめなどと比べて見劣りしない」と同課。2月に東京で販売した際は、消費者やバイヤーからも食味の良さが好評だったという。

 輸出向けは、贈答需要を狙い大粒果を想定。旧正月を狙い、来年1月中・下旬から2月にかけ、香港や台湾の百貨店の果実売り場やスーパーでの販売を計画する。輸出量や輸出向けの産地は今後、検討する。

 同課は「香港はイチゴの輸入が多く、日本のイチゴが受け入れられやすい土壌がある。輸出を成功させ、ブランド力を高めたい」と意気込む。

 農水省の統計によると、17年度のイチゴの輸出量は約890トンで、輸出額は18億円。香港や台湾が多い。

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