17年とんかつかつ丼市場 18%増530億円 簡便志向 揚げ物に商機(日本農業新聞)

 とんかつ・かつ丼を提供する外食店の2017年の市場規模は、統計がある10年以降で最大だったことが、調査会社の富士経済のまとめで分かった。前年比18%増の530億円だった。値頃感を打ち出した大手チェーンの出店が相次ぎ、中高年層や家族層を中心に利用が増えた。同社は「今後も市場拡大が期待できる」とみる。

 とんかつ・かつ丼の外食市場は調査の開始以降、右肩上がりで伸び、過去5年で2・4倍に拡大した。割安な輸入豚肉を使い、低単価を売りにしたチェーン店が増えたことが後押しした。外食大手は「消費者の簡便志向が高まり、家庭で揚げ物料理を作る頻度が減っているためファミリー層向けに商機がある」と話す。18年は前年比14%増の605億円の見込み。

 また、ファストフードのハンバーガー市場は、17年には8%増の6510億円だった。富士経済は「日本マクドナルドがキャンペーンを強め、全体を押し上げた」と分析する。18年は5%増の6811億円の見込み。

 牛丼店の市場は15年以降、微増が続いている。17年は1%増の3735億円だった。チェーン店の統廃合で店舗数は減ったが、季節感を打ち出した期間限定メニューの販促などが堅調だった。18年は2%増の3803億円の見込み。

 調査は5~7月に企業や団体へ聞き取りなどを基にまとめた。

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里山まるごとホテル 農村流 お・も・て・な・し 石川県輪島市の三井地区(日本農業新聞)

 フロントはかやぶき屋根の古民家、廊下はあぜ道──。石川県輪島市に今年、地域一帯を一つのホテルと見立てて客を迎え入れる「里山まるごとホテル」が誕生した。食事の提供や農家民宿の運営など、地域住民ができることを補完し合いながら客をもてなす。農業と観光を組み合わせて農村の付加価値を高め、能登の豊かな自然を次世代につなげていく構想を描く。政府が推進する滞在型観光「農泊」のモデルとしても注目を集めそうだ。(斯波希)

地域住民が協力 「農泊」モデルに

 世界農業遺産に登録された能登半島の小さな町、輪島市三井(みい)地区。町の入り口には、築150年のかやぶき屋根の古民家が、訪問客を迎え入れるようにたたずむ。今年4月にオープンした「里山まるごとホテル」の“フロント兼食堂”だ。

 客は田舎に帰ってきたような感覚で、畳の間や縁側で食事をしたり昼寝をしたりと思い思いに過ごす。縁側の先には田んぼが広がり、夏の青々とした稲や秋には黄金色に実る稲穂など、季節ごとの農村風景を楽しめる。

 予約をすれば、ガイド付きで集落を巡るサイクリング(4000円~)や和紙すき(500円~)、農家民宿での宿泊も体験できる。拠点となる古民家「茅葺庵(かやぶきあん)三井の里」には、月に700~800人が訪れる。

 運営は、同市の元地域おこし協力隊が今年2月に設立した「百笑の暮らし」。代表を務める東京都出身の山本亮さん(31)は「三井の暮らしの形を伝え、自分と同じようにファンになってくれる人を増やす。人と里山の関係が生まれる場所にしたい」と力を込める。

 食堂で使う食材の提供や調理などには、山本さんの思いに賛同する地域住民が積極的に関わり、ホテルを盛り上げる。農家民宿など一つの施設で完結するのではなく、住民が協力し合うことで、無理なく客を受け入れる仕組みができつつある。

 かやぶき屋根に使うカヤの生産や農産物加工などに取り組む農家ら約50人でつくる「みい里山百笑の会」の西山茂男会長は「今、まさに滞在型の観光に注目が集まっている。ありのままの暮らしを見てもらい、収入につなげることが、過疎が進む地域の生き残り方になってくる」と展望する。

 里山まるごとホテルでは今後、宿泊場所となる古民家や農家民宿の整備、ホームページの多言語対応などを進め、訪日外国人(インバウンド)を含めた国内外に里山の魅力を発信する考えだ。

日本農業新聞

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生乳需給に逼迫感 北海道=牧草が不作 都府県=猛暑で減産(日本農業新聞)

 全国的な異常気象で、生乳生産に深刻な影響が出てきた。都府県では記録的な暑さから生産量の落ち込みに拍車が掛かり、主産地の北海道も夏場の長雨による牧草の不作で不安材料を抱える。一方、需要は高温続きで旺盛。9月から学校給食が始まると需給の逼迫(ひっぱく)感が強まる可能性があり、飲用不足につながるとの懸念が広がる。

 「牛の食欲や乳量が減っている」。前橋市で約120頭を飼育する須藤晃さん(48)は、そう実感する。猛暑の中、今夏の搾乳量は例年と比べ1割ほど下回るが、乳牛に搾乳前や日中にシャワーを浴びさせるなどの工夫を凝らし、搾乳量の確保に努めている。

 都府県では猛暑などの影響で「死亡牛も増えている」(東日本の指定団体)。高齢酪農家の離農なども重なり、都府県の生乳生産量の落ち込みが続く。関東生乳販売農業協同組合連合会(関東生乳販連)によると、7月の生乳生産量は前年同月比で約4%(速報値)落ち込んだ。暑さが長引けばさらに減産が進む見通しだ。

 生乳最大供給地の北海道でも懸念が広がる。6月中旬の長雨で牧草の一番草が不作となり、乳量に影響を与える可能性が出てきた。牧草の栄養価低下などによって、ホクレンは「餌を使う10月ごろから生乳が減産する恐れがある」と見込み、輸入で牧草を確保するなどの対応策を取る構えだ。

 道産生乳は飲料需要の高まりを見据え、今後、北海道からの道外移出量を増やす計画だ。しかし一番草の不作などで移出量がどこまで確保できるかは不透明だ。関東生乳販連は「10月以降はバターとの引っ張り合いになる。どこまで移出されるのか」と懸念する。

 一方、暑さで牛乳の売れ行きは好調だ。首都圏で「コープみらい」を展開するコープデリ連合会によると、成分無調整牛乳の7月30日の週の売り上げは前年同期比5%増だ。大手乳業メーカーは「テレビ番組の効果で需要は伸びている。暑さが続けば飲用の需給はさらに逼迫する」と話す。

 Jミルクは「都府県の予想を超える暑さが9月以降の飲用不足につながる」と指摘。不足をできる限り緩和しようと、乳業業界は、スーパーなどに特売を控えるよう要望する方向。ただ「生産量が回復しない限り、需給逼迫の恐れは拭えない」(都府県の生乳関連団体)との声も多い。

日本農業新聞

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「飲めるごはん」登場 災害時でも手軽に JA北大阪(日本農業新聞)

 大阪府のJA北大阪は、自然災害などで水道、ガス、電気が止まった状況でも熱や水を加えず手軽に栄養と水分補給ができる缶入り穀物飲料を開発し、8月から販売を始めた。地元産米を活用した飲料で、商品名は「農協の飲めるごはん」。非常食や保存食として提案し、受注生産も請け負う。全国のJAなどにも活用してもらいたい考えだ。

 地元の米「ヒノヒカリ」と国内産のハトムギ、小豆を主原料に開発した。1缶(245グラム)当たりの熱量は150キロカロリーで、保存期間は5年間。嚥下(えんげ)能力が弱くなった高齢者も摂取できるよう、とろみのある飲料にした。アレルゲン特定物質27品は使わない。「梅・こんぶ風味」「ココア風味」「シナモン風味」を用意した。

 受注生産では、米を送ってもらえば、JA名などを表示したオリジナルの容器にして納品する。3万缶から対応する。

 JAの木下昭男組合長は「近年、災害が頻発し、万が一の備えは欠かせない。各地のJAなども地域の米を活用して商品を作り、地元の自治体などに備蓄用食品として提案できれば、地域の農家、農業、防災の強化に貢献できる」とアピールする。受注生産は、注文から納品まで2~4カ月程度かかる。費用は1缶当たり150円で、想定する小売価格は1缶250円前後。

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地ビール醸造所 最多は北海道 原料の生産地域上位 地元農産物生かし商品開発(日本農業新聞)

 原料や製法にこだわった地ビール(クラフトビール)を手掛ける醸造所が最も多い都道府県は北海道(15社)であることが、民間の調査で分かった。東京都(12社)、静岡県(10社)と続く。消費地に近い大都市圏の他、原料となる麦や、果実などビールの風味付けに適した農産物の生産が盛んな地域が上位に目立つ。地域性を打ち出した商品開発が進んでいる。

 調査は、帝国データバンクが7月に実施。全国141社が対象で、同社は「国内事業者の大部分を占める」とする。

 最多の北海道では、道産麦を使った商品開発が盛んだ。さらに、国内屈指の観光地としての集客力を背景に、国内外の観光客から地域色を打ち出した商品の引き合いが強いことも要因となっている。

 3位の静岡県はビールの風味付けに適した農産物の生産が盛んで、茶をはじめ桃やメロンなどの果実を使った商品開発が進んでいる。

 2位の東京都をはじめ、神奈川県、大阪府など大都市圏の都府県も上位を占めた。消費地の近くで輸送コストが抑えられることに加え、レストランなどに醸造所を併設して集客する飲食事業者が多い。

 ビール全体の市場は若者を中心に消費が落ち込むが、クラフトビール市場は増加傾向にある。さらに、今年4月の酒税法の改正では、麦やホップなどに限られていたビールの原材料に、果実など多様な副原料が使えるようになった。地元の農産物を生かし、地域特性を押し出した商品開発がますます加速しそうだ。

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乳牛 妊娠判定に紙チップ 低コストで迅速 北海道大学と日本ユニシス(日本農業新聞)

 北海道大学は、日本ユニシスと協力して乳牛の妊娠判定でのペーパーマイクロチップの活用に向けた研究を本格化させた。紙に印刷した試験紙に乳汁などを垂らすと、妊娠に関わるホルモンを検出して発色する仕組み。試験紙をスマートフォンで撮影して専用アプリで分析し、濃度の特定もできるようにする。低コストな上、酪農現場で迅速に判定でき、空胎日数の減少による繁殖成績の向上が期待できる。

 ペーパーマイクロチップは紙製の検査チップで、ろ紙に油性インクなどで検体の流路を印刷し、検出部に試薬を保持して作る。1検体当たり数百円ほどにコストを抑える予定。小型・軽量で持ち運びしやすい上、現場で5分ほどで結果が分かるのが強みだ。

 妊娠により分泌量が持続する黄体ホルモン「プロゲステロン」を検出する。人工授精後18~20日で検査できるため、従来より早期に判定でき空胎日数の減少が見込める。

 北海道大がマイクロチップの設計などを担当。判定しやすいように流路の長さや太さ、試料の滴下量などを検討する。ソフトウェア開発を手掛ける日本ユニシスが、画像分析技術や分析アプリを開発。今秋以降に実証試験を始める予定で、研究期間は来年3月まで。

 同技術には、ジャガイモのウイルスや、牛のストレス、小麦のかび毒などでも検査ニーズがあるという。同大工学研究院の渡慶次学教授は「試薬を変えればいろいろなものを測定できる。酪農家の生産性向上に貢献したい」と期待を込める。

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リンゴ主産地“ぴりぴり” 木焼却、対策検討急ピッチ 黒星病厳戒(日本農業新聞)

 リンゴ黒星病の感染が拡大し、リンゴ主産地で農家や関係者が危機感を強めている。全国一の生産量がある青森県では全域で黒星病が発生。これまでの主要な薬剤が効きにくい事例も発生。感染が確認された木の焼却などの対策が進む。青森、秋田両県では今期、発生予察の注意報を発表。山形県でも緊急防除対策会議を開くなど、各産地は防除の徹底と効果的な対策の検討を急ピッチで進めている。(川崎学)

細心注意も…農家落胆

 青森県では今年、県全域で薬剤耐性のあるリンゴ黒星病が発生した。昨年も全域で発生して徹底防除に努めたが根絶には及ばず、越冬した黒星病菌があったとみられる。

 リンゴ農家で青森県りんご協会の藤田光男会長の園地でも今年、黒星病が発生した。一部の園地では2割の木で発病し、「薬剤散布に細心の注意を払ったが、発病してしまった」と落胆する。産地では、薬剤散布の直後に雨が降るなどで適切な散布ができず、感染が拡大したとの見方だ。

 県によると、殺菌剤を散布していない木の発病葉率は81・8%と、平年(39・3%)の倍以上に達した。こうした状況を受け、主産地の弘前市など13市町村は国に対し、黒星病の特効薬の開発をメーカーに働き掛けることや、防除体系を再び確立することなどを要望し、県議会も国に対して同様の意見書を提出した。

 産地では防除剤の変更などの対策を進めるが、耐性菌への抜本的な対策につながるかは不透明だ。藤田会長は「このままでは2019年産にも黒星病が多発するのではないか」と不安視する。県内の農業関係者も「18年産の販売価格の下落が心配」と話す。

苗木からの感染を懸念

 秋田県は、黒星病が県内全域で増加する恐れがあるとして37年ぶりに注意報を発表した。他県から持ち込まれた苗木から、これまで発見されている薬剤耐性菌と同様の遺伝子変異がある黒星病が見つかった。県は拡大阻止に向け、黒星病が見つかった木の焼却などの対応を呼び掛ける。

 県北部の鹿角市でリンゴ2・5ヘクタールを栽培する上野純一さん(45)の園地では一部の木で発生し、既に750キロ分のリンゴを廃棄した。幸い、薬剤耐性を持たない菌だったが、農薬散布は20万円分増える可能性がある。上野さんは「農家の高齢化で放任園が増え、管理の行き届かない木から黒星病菌が飛んできているようだ」とみる。

 山形県でも主産地の村山地域を中心に県内のほぼ全域で発生。緊急防除対策会議を開き、対策の徹底を確認した。

 岩手県も今年、他県から購入した苗木から黒星病が見つかったとして防除の徹底を呼び掛ける。県病害虫防除所は、3年ほど前から平年より暖かい春が続き、防除のタイミングを逸したことで、県北部や県中部で黒星病の発生が増加しているとみる。

 同防除所は「若い農家は黒星病を見たことがない。病気が出ていることを前提に管理しないといけない」と注意を呼び掛ける。

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豊洲開場 あと2カ月 小物野菜 鮮度で勝負 コールドチェーン活用 卸と連携密に 高知県園芸連が東京事務所開設(日本農業新聞)

 10月11日の東京都中央卸売市場豊洲市場の開場まで2カ月を切った。都の安全宣言で築地市場からの移転が決定的になったことを受け、産地は準備を本格化させている。高知県園芸連は開場とともに事務所を新たに立ち上げ、仲卸やスーパーと密接に連携して販路の拡大につなげる。品質保持につながるコールドチェーンへの期待も高い。産地は取引強化の機運を高めている。

 同市場は当初、2016年11月に開場予定だったが、小池百合子知事が安全面への問題などから延期を表明。追加対策工事を経て今年7月31日に安全宣言し、8月1日に農相に開場を申請した。月末にも認可が下り、10月11日に開場する。

 同園芸連は開場に合わせて港区のビルから移転し、東京事務所を開く。多くのJA全農県本部、経済連は大田市場に入っている。現時点で豊洲市場に拠点を構える産地団体は、同園芸連だけだ。東京事務所の山下文広所長は「豊洲の施設は卸や仲卸、スーパーのバイヤーが同じフロアで机を並べる。情報交換が、さらに緊密にできる」と強調する。

 同園芸連の築地市場での販売額は年間約26億円。首都圏販売の1割を占める。特産のミョウガや小ナスといった小物野菜の販売拡大に向け、豊洲市場のコールドチェーンを有望視する。小物野菜は鮮度が重要なため、山下所長は「真夏の取引の不安が減らせる」とみる。飲食店向け販売に加え、スーパーとの取引も強化する。

飲食店向け取引他産地も期待

 他産地も豊洲市場での取引を有望視する。JAおきなわは「築地から移転する仲卸は、飲食店とのつながりが深い。販路開拓に向け、熱帯果実や野菜の出荷を増やしていきたい」と意気込む。北関東のJAは「荷降ろし場が整備されるので、物流面でも取引しやすくなる」と話す。

 東京シティ青果は移転を機に、青果物の取扱量を1日当たり1300トンと、現在より3割増やす計画を立てる。営業統括本部長の岡田亨常務は「産地と実需を結ぶコーディネート役を担い、青果物の販売を強化していきたい」と展望する。

日本農業新聞

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牛乳 高齢者ほど愛飲 高い健康意識 「毎日」 65~79歳半数 Jミルク調査(日本農業新聞)

 年齢層が上がるほど牛乳を飲む頻度が高いことが、Jミルクの調査で分かった。カルシウムが豊富で、骨や筋肉の維持などの健康性を評価する高齢者が多い。一方、若い世代ほど牛乳をあまり飲まない傾向にあり、全体に消費拡大が進んでいない実態が浮き彫りになった。

 Jミルクが「2017年 牛乳・乳製品に関する食生活動向調査」で、1万500人からのアンケートをまとめた。牛乳類で飲む頻度を尋ねたところ、「毎日」と答えた世代は、男女とも65~79歳が最も多かった。性別では女性が49%で、男性は45%となり、ともに全世代平均(男性29%、女性34%)を大きく上回っている。Jミルクは「年齢層が上がるにつれ健康意識が高まる他、子どもの頃から牛乳を飲むことが生活に根付いていることが背景にある」と分析する。

 一方、若い年代ほど牛乳を飲む機会が少ない。毎日飲む人は10、20代が、男女とも2割前後にとどまった。「全く飲まない」「週1回未満」の合計は、男女とも3、4割に達している。関係者によると「学校給食が終わると飲まなくなる傾向がある」と指摘。茶や清涼飲料水などの飲み物が増えたことや、牛乳を飲むと太るといった認識が背景にあるという。

 Jミルクは対策として、子ども向けに牛乳に親しんでもらう食育イベントなどを開き、消費てこ入れを進める考えだ。

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高CO2で米16%増 「多もみ」系統作出 農研機構(日本農業新聞)

 農研機構は10日、将来的に気候が変動し、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が高い中で、水稲のもみ数を育種で増やすことでさらに増収できるとの研究結果を発表した。交配によりもみの数を増やす遺伝子を持った「コシヒカリ」の系統を作り、50年後のCO2濃度を想定して、栽培した。その結果、収量が16%増えた。CO2の増加は地球温暖化などの悪影響の懸念があるが、対策によっては、農業生産を高めることができるとし、育種への活用を提案する。

 大気のCO2濃度は18世紀後半の産業革命まで約280ppmだったが、次第に増え、2015年には400ppmを突破。現在のペースでは50年後に約600ppmに達すると予想される。CO2濃度が高まった中で、農産物をいかに生産するかが、研究課題になっている。

 今回の研究では、「コシヒカリ」に、もみ数を増やす「APO1」という他の稲の遺伝子を交配して導入した。その「コシヒカリ」系統を、50年後を想定し、CO2濃度約600ppmで栽培すると収量が16%増加した。通常の「コシヒカリ」は、5%ほどの増収にとどまった。「コシヒカリ」以外の品種でも、同様の育種が可能という。

 研究した農研機構・九州沖縄農業研究センターは「世界の人口が増え、食料不足が予想される中、CO2の上昇を増収につなげることが有効だ。交配で遺伝子導入すれば簡単に育種ができるので、早い段階から品種開発を進めておくことが大切」と説明する。

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