カボチャ品薄 8割高 北海道産 長雨で小玉(日本農業新聞)

 カボチャ相場の高値が続いている。10月中旬の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1キロ215円と、過去5年平均(平年)の8割高。主力の北海道産が夏の長雨で不作となり、入荷量が前年を大きく下回って推移しているためだ。終盤となる12月まで出回りは少ない見込みで、卸売会社は「需要期の年末まで、国産は高値相場が続く」と見通す。
 
 カボチャ相場は、関東産から北海道産に切り替わる夏に高騰。8月の日農平均価格は1キロ276円と平年比65%高だった。2カ月以上にわたり堅調を維持している。

 卸売会社は「必要量がそろわない。売り込みを抑え、定番商材で販売するしかない」と指摘。道産は小玉傾向で、大玉に引き合いが強まっているという。

 北海道のJA北そらちは、6月の長雨と7月の干ばつで根張りが悪く、「作柄は良くない」と説明。7玉級など小玉が多く、担当者は「当初の出荷計画量の1600トンを3割下回りそうだ」と話す。切り上がりも例年より10日ほど早まり、11月初めで出荷を終える見込みだ。JA北はるかも「共選の出荷量は日量20トンほどで、昨年より2割ほど少ない」と説明する。

 31日のハロウィーン商戦で需要が強まる時期だが、小売りは鈍い。東京都内のスーパーは、カボチャのスープや菓子のレシピを提案して売り込むが、「販売点数は1割少ない」とみる。価格は道産の4分の1カットで100グラム48円(税別)。前年より2割高で、「消費者に高値が敬遠されている」と頭を痛める。

 11月に入ると、国産が減り始めることもあり、輸入物が出回る。輸入業者は「今年は国産の不作を受けて注文が増えている」と指摘。その上で「メキシコ産は例年通り、中旬ごろから出始める。生育は順調だが、直近のハリケーンによる影響が心配されている」とみる。

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米と大豆で完全栄養食品 調理方法を開発 新潟県食品研究センター(日本農業新聞)

 新潟県農業総合研究所食品研究センターは、米と大豆を主原料に使い、パンやクッキーの形をした完全栄養食品を作る技術を開発した。炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素をバランス良く含むよう配合を検討した。健康志向の高まりから、米と大豆の新たな活用方法として期待し、食品業者や6次産業化に取り組む産地に普及する。

 米粉を利用した食品はあるが、さらに栄養素も豊富に含む新たな調理方法を考えた。三大栄養素のバランスが良く、タンパク質の吸収効率を示すアミノ酸スコアが100以上を目標とした。米に大豆を混ぜることで、足りないアミノ酸を補う。

 パンでは、ふわふわの食感になるよう乳化剤を使う。微細米粉の2割をアルファ化でんぷんに置き換えて、加熱大豆粉と混ぜたものを主原料に、糖や油脂、乳化剤などを混ぜて焼く。生地がきめ細かく、膨らみやすくなるという。

 クッキーは油脂を増やせばさくさくの食感になるが、栄養バランスと両立できるように配合を検討した。大豆粉は生のままだと消化不良になるが、135度で30分、または、145度で20分焼けば問題なく、焼き加減も適当なことを確かめた。

 米粉には、玄米や県産の紫黒米「紫宝(しほう)」を使うこともできるという。同センター穀類食品科の高橋誠専門研究員は「ナッツやドライフルーツなど地域の特産物を入れたいという声もある。この作り方を基本にうまく調整して、特徴ある食品づくりにつなげてほしい」と話す。

 いずれも、詳しい作り方は同研究所のホームページで公開している。

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うま味凝縮 手間要らず 真空パックで温野菜 働く女性支えたい 長崎県雲仙市の会社(日本農業新聞)

 長崎県雲仙市で農産物の生産と加工を手掛ける(株)マルニは、温野菜を真空パックした「ゆで野菜」を時短食材として女性向けに売り込んでいる。主婦の視点で同社の女性農業者が開発した。国産のジャガイモ、ニンジンなどを皮ごとゆでてうま味を凝縮。パックを開ければそのまま使え、調理の下準備が要らない。同社は単身者や働く女性をターゲットに「キャリアウーマン応援野菜」と名付け、販路拡大を進める。
 
 使う野菜は、地元雲仙産がメイン。自分の畑以外にも地域の農家5、6戸と連携し、常に安全で安心できる野菜を調達する。豊作時には市場価格が暴落する露地野菜を一定価格で買い取るため、農家側の利点もある。

 味付けをしていないので、カレーやサラダなど普段の食事の他、そのままつぶせば離乳食にも使える。野菜の味や香り、栄養を残すため、あえて皮付きで加工した。

 商品は1、2人前の真空パックと使い切りサイズ。未開封なら冷蔵庫で60日間保存できる。ダイコンやジャガイモなど6種類の野菜とスイーツ付きのセットは3800円(税別)。同社のホームページから購入できる。

 開発した西田真由美さん(56)は農家であり主婦なだけに、女性の忙しさを痛感する。「調理で短縮した時間で本を読んだり子どもと遊んだり、自分の好きなことに使ってほしい」と強調する。

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黒系ブドウ 生産減少で高騰 シャインに押され 輸入急増、併売の動き(日本農業新聞)

 「巨峰」などの黒系ブドウの卸売価格が高騰している。2018年の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は、各品種とも過去最高値を記録。高齢化に加え、高単価が見込める黄緑系「シャインマスカット」への転換が進み、需給が引き締まっているためだ。「家庭向けに特売が盛んな商材だが、高級化が進んできた」(市場関係者)。その一方で、国産の品薄を受けて輸入物が急増している。

 黒系ブドウの18年の日農平均価格(10月19日まで)は、「巨峰」が1キロ969円で前年の7%高、「ピオーネ」が1キロ1031円で同8%高。日農平均の記録を始めた06年以降で共に最高値となった。

 卸売会社は「生産量の減少が影響している。夏の猛暑で小房傾向だったことも、不足感を強めた」と分析する。大手7卸の販売量は、「巨峰」が3402トンで10年前に比べ4割落ち込んだ。

シャインに押され

 生産減少は、「シャインマスカット」への転換が進んでいることも一因。全国果実生産出荷安定協議会(全果協)によると、18年産の全国の栽培面積は814ヘクタールに達し、毎年過去最高を更新。高糖度や皮ごと食べられることが、需要を伸ばしている。

 対して黒系の「巨峰」は1453ヘクタールで前年比3%減、「ピオーネ」も995ヘクタールで同1%減。JA全農やまなしは「温暖化で色付きが遅れる品種があるのに対し、シャインマスカットは作りやすく、10年ほど前から転換が進んでいる」と説明する。

 相場の高騰は小売りにも影響する。首都圏のスーパーは「巨峰」について、1房398~498円(税別)が売れ筋というが、今年は200円ほど値上げしていると説明。「テーブルフルーツとして主力商材だが、特売を仕掛けにくい。人気のある種なしは仕入れが難しい」と話す。産地関係者も「実需の注文に、供給が追い付かなくなっている」と明かす。

 一方、国産の品薄を商機と捉え、米国産など輸入物が存在感を強めている。財務省の貿易統計によると、8月のブドウ輸入量は1708トンで前年比37%急増。輸入業者は「国産の最盛期で例年は注文が少ないが、輸入物を併売する動きが増えている。国産の高値を背景に、9月以降も輸入量は増える」とみる。

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牛肉「うまさ」評価 「官能+成分」で分類 家畜改良事業団が新手法(日本農業新聞)

 家畜改良事業団が、牛肉のおいしさを評価する新しい手法を発表した。牛肉を食べた専門家の感想を、成分と関連付けてグループ化する。同事業団家畜改良技術研究所の佐々木整輝開発第2課課長は「精度を高めていけば、おいしい牛肉の生産や消費者の選択に役立つ」とみている。

 味に関する成分は脂肪や糖、食感、香気物質など数多い。だが、どの組み合わせがおいしいと感じるかは、判断が難しい。そこで新手法では、これまで人間が行っていた官能評価を数値に置き換える数式を考案。12項目を数値化できるようにし、210頭の結果を21グループに分類した。

 各グループについて仲卸業者や調理師など、牛肉を扱う専門家に食べてもらい、1045種類のコメントの表現と関連付けた。同じグループ内で多く使われたコメントは、目立つように表示。例えば、輸入牛肉のあるグループでは「パサパサした」に次いで「あっさりした味」「弾力のある」などが目立つ。

 黒毛和牛でもグループによって「脂っぽい」が最も目立つ集団と、「甘味がある」が中心になる集団など、違いが出た。

 佐々木課長は「成分の分析でどんな牛肉なのかが、分かりやすく客観的に評価できる。将来的に新たに味に影響する成分が分かっても、追加することができる」と、応用範囲の広さを強調する。

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豚コレラ波紋──イノシシ処理を制限 自粛 いつまで… 怖い 「風評」、ジビエ活況の矢先 岐阜(日本農業新聞)

 岐阜市の養豚場で豚コレラの感染が確認されてから、岐阜県内の狩猟者やジビエ(野生鳥獣の肉)関係者に不安が広がっている。野生のイノシシで感染確認が18日までに32頭あり、県内のジビエ処理施設では一部の地域でイノシシ受け入れ自粛が続く。養豚は移動制限が解除されたが、野生のイノシシは防疫が難しく自粛解除には基準がない。一部地域では11月1日のわな猟解禁の見送りが決まった。見守るしかない状況に戸惑いの声が上がる中、全国の現場では衛生管理の徹底を進める。(猪塚麻紀子)

 「11月の猟期までに終息してくれればいいが。全く先が見えない」。岐阜県本巣市の里山ジビエ会の近藤正男代表が残念がる。本巣市猟友会員らでつくり、ジビエの加工・販売をする同会。2016年に処理施設を造り、処理頭数と売り上げを伸ばしてきた。

 猟師が解体処理する手間を減らしたことで捕獲が進み、地域の農作物被害軽減にも貢献してきた。飲食店に提供できなくなるのが痛手だ。出荷する飲食店からは、他の産地に変えたいという声も聞く。

 狩猟歴55年の近藤代表は「数十年前には、豚コレラでイノシシがいなくなった」という。現時点で感染が確認されているのは、岐阜市、各務原市にとどまるが、繁殖期の雄が数十キロを移動することもあり、「猟師は山の中に入って状況を把握しなければ」と警戒を怠らない。さらに「現場への情報提供など、県にはしっかり対策を取ってほしい」と訴える。

 JAぎふは、ジビエ関係者を応援するため、積極的にPRする考えだ。JAは山県市の処理施設「ジビエ山県」に協力し、直売所での販売や飲食店への販路拡大を進めてきた。豚コレラは人に感染することはなく、仮に感染した豚やイノシシの肉を食べても人体への影響はないが、JA改革推進室の高橋玲司室長は「風評被害が心配だ」と気をもむ。

 JAは、消費者に食べて親しんでもらうことで風評被害を払拭(ふっしょく)しようと、11月に高富支店で開く農業祭で、しし汁の無償提供や鹿肉の販売を行う。豚コレラ対策を支援する募金箱の設置も検討している。高橋室長は「ジビエは地域おこしの起爆剤になる。応援していきたい」と見据える。

 岐阜県は、県内の一部地域のジビエ処理施設に当面の間イノシシの受け入れ自粛を求める。10日には発生農場から半径3キロ以内の豚や豚肉の移動制限区域が解除された。養豚場の安全性は確認されたことになるが、野生イノシシの感染は続く。このため県は、岐阜市などで調査捕獲を継続し、防護策設置などで対策する。

冷静な対応こそ

 これまでジビエの販売に力を入れてきた地域や近隣自治体も、冷静な対応に努める。島根県美郷町でイノシシ肉の加工と販売を手掛ける「おおち山くじら」では、取引する飲食店から今季のイノシシの取り扱いを中止するという声もあるが、一部にとどまる。石崎英治代表取締役は「今まで通りの衛生管理を徹底する」と認識する。三重県は、捕獲獣の体温を測って病気の有無を確認するなど独自の基準で品質・衛生管理を徹底する。

 イノシシは感染時のマニュアルなどがない。こうした状況に、農水省農村環境課は「感染の広がりなど状況を注視していく」としている。

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こだわり3マーク統一 新JAS“顔”決まる(日本農業新聞)

 農水省は19日、品質などで一定の基準を満たした食品などに付けることができる日本農林規格(JAS)マークのうち、特色のある食品などを対象にした三つの表示を統一した。さまざまな特徴を持つ商品に対し、品質の高さをより強く訴求できるよう新たなデザインを作成。高品質の目印とし、国内に加えて、海外での有利販売にも結び付ける狙い。年内に告示し、新マークへの切り替えを順次進める予定だ。

 19日の閣議後会見で吉川貴盛農相は「高付加価値でこだわりがある商品をアピールできる。輸出にもつなげたい」と話した。同省は今後、認知度を高めるため、イベントなどの機会を通じて周知を進める。

 マークを統一するのは、地鶏肉や熟成ハム類など、特色ある生産方法で作った商品向けの「特定JASマーク」、農薬や肥料などの情報を公開している商品向けの「生産情報公表JASマーク」、定温管理で流通している商品向けの「定温管理流通JASマーク」の3種類。

 同省は、輸出などで、こうしたマークを活用することが増えると考え「マークの訴求力が分散するのを防ぎつつ、認知を高める必要がある」(食品製造課)と判断。これら3種類の統一を決めた。食品・林産物向けの「丸JASマーク」、有機農産物向けの「有機JASマーク」は存続する。

 新マークは、日本を象徴する富士山と日の丸を連想させる太陽を組み合わせた。配色の指定はない。一般投票の結果を受けて決めた。マーク内には、該当するJAS規格の特徴などを記載する部分も設けた。

 また、海外での取引で商品の説明や証明、信頼が必要になる場面などで新マークを活用することを想定する。

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サンドウィッチマン起用 新CMで県産米PR JAグループ宮城(日本農業新聞)

 JAグループ宮城などは18日、宮城県産米をPRする新たなテレビCMの発表会を東京都内で開いた。昨年に引き続き起用したお笑いコンビ、サンドウィッチマンの伊達みきおさんと富澤たけしさんが登場。「ひとめぼれ」などのおにぎりを食べ、「おいしい宮城の米を全国の消費者に食べてほしい」とPRした。

 イベントでは同日限定でコンビ名を「おにぎりマン」に改名し、伊達さんは「おにぎり好きの子どもから人気が出そう。ずっとこのままでもいい」と笑いを誘った。富澤さんはコンビで共同生活を送った下積み時代を振り返り、「宮城の実家の米を食べていた」とエピソードを披露した。

 テレビCMは2人がサラリーマンと占い師に扮(ふん)し、笑いを交えて県産米をPR。19日から12月25日まで県内や三大都市圏で放映する。

 同県では、オリジナル米品種「だて正夢」が今秋本格デビューする。もちもちした食感と強い甘味が特徴で、高価格帯のブランド米として24日から全国販売が始まる。JA全農みやぎの高橋正会長は「だて正夢を起爆剤に県産米の知名度を一層高めたい」と意気込んだ。

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リンゴ、柿 1割高 台風21号で傷み、落果 上位等級に不足感(日本農業新聞)

 リンゴと柿の高値が続いている。10月中旬の日農平均価格(16日まで、各地区大手7卸のデータを集計)は、両品目とも過去5年平均(平年)より1割前後高い。9月の台風21号で傷みや落果が発生したため、上位等級品を中心に不足感が強まり、相場を押し上げている。卸売会社は「今月いっぱいは台風の影響が尾を引き、相場は平年より高く推移しそうだ」と見通す。

 9月上旬に日本列島に上陸した台風21号は、近畿から北日本の果樹産地に被害をもたらした。擦れ果などが増えた影響で、リンゴは早生種から堅調な取引となり、10月から中生種に切り替わっても高値を維持する。柿も序盤から高値が続く。

 10月中旬の日農平均価格は、リンゴが1キロ294円で平年比11%高、柿は1キロ230円で7%高となった。卸売会社は「全体の入荷量が極端に少ないわけではない。擦れ果などが多い分、不足感のある上位等級品の引き合いが強まっている」と分析する。

 各産地とも出荷は伸び悩む。JA全農あおもりによると、「早生ふじ」の1日当たり出荷量は100トンと、前年を1割下回る。「小玉傾向だった昨年に比べ、肥大は32、36玉級中心と良好だが、台風の影響で出回りが少ない」と話す。JA全農長野は「シナノスイート」について、「現在の出荷量は前年並みだが、擦れ果などがロスとなり、下旬以降に切り上がりが早まる可能性がある」とみる。

 柿主産地のJA和歌山県農は、先週までヤマ場だった「刀根早生」の出荷量を「全体で昨年より2割ほど少ない。正品率の低下が響いた」と指摘。今週から出始める「平核無」も同様に、出荷計画量は4554トンと前年比2割減を見込む。

 小売りは鈍い。首都圏のスーパーは青森産「早生ふじ」を1個120円(税別)、和歌山産「刀根早生」を1個98円(税別)と例年並みの価格で提供する。バイヤーは「一定の規格がそろいにくいので販促を仕掛けにくく、売り上げが伸びてこない」と指摘。別のスーパーは「需要の掘り起こしに向け、柿の擦れ果などを値頃な価格でまとめ売りすることを検討している」と説明する。

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牛、豚、鶏の次は…羊肉 ヘルシーで「うメェ~」 大ブーム「超品薄」(日本農業新聞)

 羊肉が全国的に大ブームとなり、農家らが飼育に挑戦する動きが出てきた。独自のおいしさやヘルシーさを求めて、女性を中心に需要はうなぎ上り。「超品薄状態。供給が需要に追い付かない」(羊齧=ひつじかじり=協会)ほどだ。需要増を受けて、農家らが新たな所得の一助や地域おこしを目指して羊飼育に挑戦。部会を立ち上げたJAもある。牛豚鶏以外の「第四の肉」に、商機が見えてきた。

ラム高値、規模拡大へ 青森県階上町

 青森県階上町で餌を待つ40頭の羊。農家の堰合勝美さん(75)の畜舎で、小泉雅也さん(44)が餌やりをする。2001年に羊の飼育を始めた堰合さん。町の祭りで人気が高く話題も集めたが、後継者がいないことから飼育をやめようと思っていた。そこで、仕事の一つにしようと障害者就労継続支援をする事業所「ここロード」が16年に継業。現在は堰合さんに教わりながら、小泉さんや会員が飼育を担う。

 出荷先は町の祭りや道の駅が中心だが、今後は各地から問い合わせがあることを踏まえ規模拡大に乗り出す。同事業所は南部ほうき作りやニンニクのしょうゆ漬けなどで収入を得るが、将来的には羊を経営の柱にしたい考えだ。「羊はかわいい。貴重な収入源の一つでもある」と小泉さん。

 10月半ばに自然交配で妊娠し、年明けに出産する羊。特に1年未満のラム肉が高値で取引される。堰合さんは「温厚な羊だが、出産シーズンは過敏になる。需要は相当あるので、飼育は簡単ではないが、できるだけ協力したい」と見守る。

 同町では同事業所以外にも若者らが羊の飼育に挑戦し、町は羊による地域おこしを狙う。

JAが部会 新規も続々 飼養増へ機運

 需要増を受け、農山村で羊の増産や新たに産地化を目指す動きが出てきた。岩手県JA江刺は、16年12月にJAひつじ部会を立ち上げた。現在、部会の農家は14人で繁殖雌羊と種雄羊86頭を飼育し、遊休農地に放牧する。東京の焼き肉店と奥州市にあるJAの産直市に出荷。「草刈りとして活躍するが、今後羊ブームに乗ることができたらうれしい」とJA畜産課の後藤功賢担当は期待する。

 北海道では、今春からニュージーランドと協力し飼養頭数を増やすプロジェクトが始動。この他、宮城県や福島県でも農家の参入がある。暑さに弱い羊は西日本では飼育実績が少ないが、羊齧協会によると西日本でも産地化を目指す動きがある。

 ただ、まだ“点”での機運にとどまる。1959年の羊肉の輸入自由化などを経て、減っていた羊農家。農水省によると、ここ数年の飼養頭数は1万7000頭前後で推移する。菊池代表は「ジンギスカン人気ではなく、現在の羊肉ブームは食材の一種として流通にまで入り込んでいるので、人気は定着する可能性が高い。新規就農者の参入もあり、今後農山村で少しずつ広がっていく」と見据える。

豪州で生産減、中韓は需要増

 12年に羊を愛する消費者らが設立した羊齧協会によると「臭い、硬いといった従来のイメージがなくなり、ここ1年で羊は大ブーム」という。イオンリテールが昨年5月にラム肉の売り場面積を396店舗で2、3倍に拡充すると発表した。羊専用のバイヤーを置くスーパーもある。同協会の会員も、発足時34倍の1700人に激増。今秋には首都圏に羊専門の飲食店が複数、開業した。

 同協会の菊池一弘代表は「オーストラリアが干ばつで輸入が少ない上に、中国や韓国でも需要が高まっている。国産も輸入も圧倒的に品薄だ」と説明する。

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