富士電機、5年間で半導体に1000億円投資(日刊工業新聞電子版)

来年度から、拡大路線さらに

 富士電機の北澤通宏社長は、2019年度からの5カ年で半導体分野に1000億円規模の設備投資を視野に入れていることを明らかにした。産業機器向けに加え、電気自動車(EV)など自動車向けへの供給を拡大する。エンジニアなども増員する。需要の波が大きい半導体への投資を抑えてきたが、中長期で受注が見込める車載用途を取り込み、全体の底上げにつなげる。

 半導体への最近の設備投資は年100億円規模。18年度に300億円に拡大しており、19年度以降も拡大路線の維持を検討する。同社の19年3月期業績見通しは、売上高は前期比1・9%増の9100億円、営業利益は同9%増の610億円、当期利益は同9・9%増の415億円。

【関連記事】

大手化学メーカーの業績、主力事業で明暗(日刊工業新聞電子版)

4―9月期は6社中4社が営業増益

 総合化学6社の2018年4―9月期連結決算は4社が営業増益だった。石油化学市況の一部に陰りが見える中で、主力事業の稼ぐ力で差が出た。サウジアラビアなど中東情勢で原燃料価格が安定せず米中貿易戦争により足元が堅調な素材需要へのマイナス影響を危惧する声も多い。ここ2年ほどの好景気は曲がり角を迎えており、下期は各社正念場だ。

 旭化成の18年4―9月期連結決算は営業利益が前年同期比12・6%増の1043億円と2年連続で過去最高を更新した。合成樹脂・繊維原料のアクリロニトリル(AN)の利ザヤが同5割弱拡大したほか、前年あったエチレンプラントの定期修理がなくなったため。

 19年3月期連結業績見通しも上方修正し、営業利益は5月公表よりも200億円増の2100億円と一転して増益予想となる。ケミカルに加えて、クリティカルケア事業で医療機関向け除細動器の販売増も織り込んだ。

 三菱ケミカルホールディングスはアクリル樹脂原料のメタクリル酸メチル(MMA)が変わらず好調。全社のコア営業利益(非経常的な損益を除いた営業利益)の3分の1を単独で稼ぎ出した。

 一方、三井化学と東ソーも増益だったが、稼ぎ頭が減速気味だ。三井化学のモビリティ部門は自動車部材の原料価格上昇などで、営業利益が同8・6%減の201億円だった。東ソーもけん引役だったカセイソーダとウレタン原料が価格下落。クロル・アルカリ部門の営業利益が同横ばいの251億円とブレーキがかかった。

 宇部興産は電池用セパレーター(絶縁材)販売が伸びたものの、タイヤなどに使う合成ゴムが市況悪化で利幅を圧迫。化学部門の営業利益は同38・3%減の82億円と落ち込んだ。

【関連記事】

世界最大の工作機械展示会から見えてきた“未来の工場”(日刊工業新聞電子版)

 1日、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)2018」には、製造業の転換期を実感できる先端の技術や製品がそろった。自動化・複合化技術、IoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)、積層造形(AM)、音声操作など、現在、未来の工場の革新がここにある。

 DMG森精機は、JIMTOF史上初となる1ホール独占しての出展だ。「東8ホール」を一つのスマート工場に見立て、超大型加工機や複合加工機、AM機といった新鋭22台などを提案する。ブース内では初披露となる共同開発のAGV(無人搬送車)が走り、加工物を自動交換する。金属AMで製造した軽量で高剛性の工作機械構造体も動く。

 展示会の搬入期間は約1週間。当然、期間内に全てを設置し、つないだ。「この規模の工場ならば1週間で立ち上げられる」(森雅彦社長)とインテグレーション力を訴える。

 ヤマザキマザックは、スーパーメカを駆使し、世界各地の事故や災害現場で活躍する人々の物語『サンダーバード』とコラボレーションしたIoTブースを披露した。19年に迎える創業100周年企画の一環だ。

 サンダーバードは英国で65年制作の特撮テレビ番組。世界中で大ヒットした。大石亮経営企画室長は、「番組との共通コンセプトは技術で社会や未来に貢献すること。工作機械の興味を高めつつ、“遊び心”を持つ会社とアピールしたい」と話す。「機械をつなぐIoTだけでなく、人をつなぐことも進化させたい」と意気込む。

 旋盤の加工室で多関節ロボットが黙々と働く。旋盤前方のストッカーから加工対象物(ワーク)をつかんで加工位置にセット。加工中に発生する切り粉を除去しつつ、加工後にストッカーへ戻す。

 オークマの旋盤内蔵型ロボットシステム「アームロイド」は、工作機械の隣に設置するというロボットの常識を覆すものだ。

 アームロイドは一般的なロボットシステムと違い、設置スペースを取らない上、システムインテグレーター(SI)の導入支援も不要。中小製造業が導入しやすい。花木義麿社長が「今回の一番の目玉」と語る自信作だ。

【関連記事】

好調な「工作機械」受注、中国の減速鮮明に(日刊工業新聞電子版)

9月は日米で補う

 日本工作機械工業会(日工会)がまとめた9月の工作機械受注実績(確報値)は、前年同月比2・9%増の1534億5400万円で22カ月連続の増加となった。外需は9月の最高額となる同1・1%増の890億4200万円。2カ月ぶりに増加した。中国が同22・0%減と停滞したが、北米で盛り返した。中国の減速感が強まったが、工作機械市場はこれを補い、好調を維持している。

 内需は、同5・6%増の644億1200万円となり、20カ月連続で増加した。9月に640億円を超えるのは07年以来、11年ぶり。受注が集中する期末効果と政府の設備投資補助金で需要が喚起されたようだ。業種別では規模の大きい一般機械が増加を18カ月連続に伸ばした。一般機械のうち金型も増えた。自動車は反動減で、19カ月ぶりに減少した。

 中国は自動車を除き、一般機械、電気・精密、航空機・造船・輸送用機械の主要業種が前年割れした。中国の減速を尻目に北米の設備投資が活発だ。北米は大型展示会の効果が上乗せされ、過去最高を記録。一般機械が同36・2%増、自動車は同61・8%増と大きく伸びた。

【関連記事】

自動車新潮流、官民で戦略 経産省が有識者会議(日刊工業新聞電子版)

■中国勢の台頭、CASE対応

 経済産業省が自動車産業の構造変化に対応し、4月にも世耕弘成経済産業相主宰の有識者会議を立ち上げることが分かった。中国勢の台頭やCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる新たな潮流を踏まえ、日本の自動車・自動車部品メーカーが競争力を維持・強化し、世界をリードし続けるための戦略を官民で議論。日本が進むべき次世代自動車産業の方向性を世界に発信する。

 会議には自動車メーカーや自動車部品メーカーの経営層、アナリスト、学術関係者など産学官の有識者が参加する見通し。詳細は未定だが、日本の自動車業界が培ってきた環境技術やサプライチェーンなどの強みを整理した上で、イノベーション創出に向けた官民の役割を再定義する。4月以降に複数回会議を実施し、今夏にも中間取りまとめを行う方向だ。

 自動車業界では、世界最大市場である中国勢の存在感が大きくなっている。2018年2月には民族系の浙江吉利控股集団が独ダイムラーの株式を取得した。中国メーカーは欧州勢との提携による技術開発の強化に意欲を見せている。

 加えて、電気自動車(EV)をはじめとする新エネルギー車(NEV)の一定割合の製造販売を義務付ける中国のNEV規制の導入や、英仏のガソリン車の販売禁止の目標などにより電動化の流れが加速する見込み。シェアリングなどの新しいモビリティサービスも始まっており、自動車産業を取り巻く環境は激変する。日本勢の競争力維持に向けた取り組みは急務だ。

【関連記事】

理研、「プロの研究集団」設置 新領域切り開く(日刊工業新聞電子版)

 理化学研究所は、従来にない新しい研究領域を開拓するため、2018年度から体制を強化する。4月1日付で「開拓研究本部」を新設し、理研の各研究センターに所属する任期付きの有期雇用研究者が世界の動向から重要なテーマを集め、国と協議しながら研究案を設計。採用されれば、同本部に無期雇用研究員として所属できる。優秀な人材による新領域の研究の活発化を促しつつ、定年まで働ける無期雇用人材の拡大を目指す。

 各機関の優れた研究者が、社会的な課題解決や技術革新に必要な研究開発テーマを学会や世界の動向から設定。研究センターで研究をしながら、新しい計画を作り上げる。資格審査を受け、現職の任期が切れた後、同本部に所属し、新領域の研究に取り組む。

 理研は、若手向けの「基礎科学特別研究員」制度や、年俸制で定年までいられる仕組みなどで雇用制度の改革を進めている。在籍する研究員約3000人のうち、無期雇用の研究員は約1割で、これを4割に引き上げる目標を打ち出していた。

 同本部の設置は、無期雇用枠拡大にも期待される。7―8年かけて、4割の達成を目指す見込みだ。松本紘理事長は、「開拓研究本部に所属するのはプロの研究集団。新しい研究テーマを切り開くのが使命だ」と意欲を示している。

【関連記事】

ゆうちょ限度額、緩和議論大詰め カギ握る金融庁(日刊工業新聞電子版)

■銀行、資金シフト懸念

 ゆうちょ銀行の貯金預入限度額の緩和をめぐる議論が不透明感を増している。政府の郵政民営化委員会が行った関係団体からの一連の意見聴取が26日までに事実上終えた。銀行業界は従前通り、ゆうちょ銀の通常貯金について預入限度額の対象から外す案に反対し、全国郵便局長会や消費者団体は妥当との意向を示した。ただ、金融庁は反対姿勢を示しつつも容認とも受け取れる発言をしている。

 近く民営化委の委員同士で議論し提言をまとめる。撤廃に傾けば銀行業界からの反発は必至だ。郵政民営化委員会は26日までに日本郵政、金融庁、銀行業界、生保業界、消費者団体などから意見聴取した。

 日本郵政の長門正貢社長は利用者の利便性の向上や事務負担軽減を理由に、定額・定期貯金の限度額1300万円は維持し、通常貯金を預入限度額の対象から外す案を要望。消費者団体「全国地域婦人団体連絡協議会」は「限度額が設定されていると、身近な金融機関が郵便局しかない(地域の)利用者に大きな不便を強いている」などとして対象から外すことを妥当とした。全国郵便局長会も「除外案」を希望するとともに定額・定期貯金の限度額の一定額引き上げを要望した。

 これに対して銀行業界の各団体からは、地方を中心に民間金融機関からゆうちょ銀に預金を預け替える資金シフトを将来的に招きかねないという懸念から反対の声が上がった。

 全国銀行協会は「公正な競争条件が確保されるに至っていない中、地方金融機関への潜在的影響を十分に考慮すべきだ」とした。全国地方銀行協会と第二地方銀行協会は「ゆうちょ銀に資金シフトした場合、厳しい経営環境にある地域金融機関の経営が悪化し、ゆうちょ銀と民間金融機関の協業の枠組みが崩れ、地域経済に影響を与える恐れがある」と反対を表明した。

■金融庁、反対姿勢も容認?

 資金シフトの懸念に対し、日本郵政の長門社長は28日に開いた定例会見で「2年前に限度額を引き上げて以降、各銀行の貯金の集まり具合をみると、ゆうちょ銀は最も低い方の伸び率と認識している。融資のできない(ゆうちょ)銀行に資金シフトが本当に起きるのか」と反論した。

 こうした中、カギを握るのがゆうちょ銀の監督官庁となる金融庁だ。「限度額の緩和は、ミクロでは地域金融機関の流動性預金がゆうちょ銀に流れる恐れがある」とし、「マクロで資金シフトが起きていないから限度額を緩和してよいわけではない」と反対の姿勢を示した。その一方で「限度額の緩やかな緩和は既存の限度額の枠組みの中でどう考えるのかがよいかという問題だ」とも述べた。

 民営化委の岩田一政委員長は「本来は限度額は動かさない方がよい。ただ、総合的に考えれば緩やかに限度額を拡大することは考えられるとのニュアンスだったと思う」とした。民営化委の次回開催は4月になる見込み。そのため提言のとりまとめは4月に持ち込まれそうだ。

【関連記事】

地銀30社、みずほ系フィンテックベンチャーに出資(日刊工業新聞電子版)

 みずほ銀行などが出資するIoTベンチャー、ブルーラボ(東京都港区)に、地方銀行や証券など約30社が資本参加したことが分かった。ブルーラボは出資した地銀などからの研修員の受け入れも増やしている。人的交流に加え新たに資本関係を結ぶことで、新規ビジネスの基盤を拡大する。すでに地銀などが出資金の払い込みを終えた。増資規模や出資企業は明らかにしていない。

 ブルーラボは、IoTやフィンテック(金融とITの融合)分野での新規ビジネス創出を目的に、みずほ銀と米ベンチャーキャピタルのWiLが中心に2017年6月に設立した。増資前の資本金は1000万円で、出資構成はWiLが55・1%、みずほ銀が14・9%。

 伊藤忠商事、損保ジャパン日本興亜、第一生命保険、農林中央金庫、丸紅、三井住友信託銀行も出資している。増資後もWiLとみずほ銀の出資比率順位は変わらない。

 ブルーラボはブロックチェーンや人工知能(AI)など最新技術を活用したオープンイノベーションやサービス基盤の構築を志向している。例えばスマートフォンと2次元コードを活用することによって簡単に支払いができる決済インフラ構築を目指しており、みずほ銀は同じ基盤を使うよう他行に呼びかけている。

【関連記事】

三菱電、FA事業で売上高1兆円分の生産体制整備へ(日刊工業新聞電子版)

■生産増強投資400億円

 三菱電機は27日、FAシステム事業の戦略説明会を都内で開き、2018―21年度の4年間で、生産増強に400億円を投じる計画を公表した。愛知県で新工場を2棟建設するほか、中国の生産拠点も拡大する。生産能力を4割高め、国内外で拡大する工場の自動化ニーズを取り込む。特に中国市場を積極開拓する。同事業の17年度の売上高は7000億円弱になる見通し。これを20年度に7400億円、25年度に9000億円まで引き上げる。

 同日の会見で、三菱電機の宮田芳和常務執行役FAシステム事業本部長は「需要の波は終わりが見通せないくらい強い状況」と話し長期的に市場拡大が続くとの見方を示した。25年度までに「売上高1兆円分の生産体制を整える」とした。

 18年度から4年間の生産能力増強では計400億円のうち300億円を国内に充てる。主力の名古屋製作所(名古屋市東区)内の既存工場を建て直すほか、愛知県内で土地を取得し新工場を建設する。生産品目は今後詰める。

 海外では中国の常熟、大連地区の拠点を拡大する計画。インドでの工場新設も検討する。中国では政府主導で製造業高度化計画「中国製造2025」を進めており、工場の自動化ニーズがより一層活発化する見通し。同社は中国を「最重要市場」(宮田常務執行役)と位置付け、開発や販売、サービス体制も強化していく。

 日本国内では製品・ソリューション展示などを行う施設を東京・秋葉原に設置する。同様の施設を東日本地区に設けるのは初となる。

【関連記事】

車保険、整備のビッグデータから料金差 三井住友海上がインドで開始(日刊工業新聞電子版)

 三井住友海上火災保険は、インドの自動車整備のビッグデータ(大量データ)を活用した自動車保険事業に乗り出す。三井物産が出資するインドの自動車整備工場向け支援システム事業会社のスマート・オート(ハイデラバード市)のシステムと自社の保険システムを連携させ、自動車の整備履歴を保険料に反映し収益性を高める。近く両社の現地法人が協業に関する覚書(MOU)を締結。4月にも実証実験を始める。

 三井住友海上は2003年にインドのムルガッパグループと合弁会社のチョラマンダラムMSゼネラル・インシュアランスを設立。自動車保険や火災保険、医療保険などの事業を展開する。

 インド国内に107の店舗があり、17年3月期の元受収入保険料は約530億円と民間部門7位。増収増益を続けるが、インドは保険会社間の競争激化などで、保険料の水準が低いのが課題だ。

 スマート・オートの基幹システム「オートロックス」は、自動車の部品の価格や工賃などのデータを蓄積し、即時に整備の見積などを出せるシステム。顧客の整備履歴を管理できる。約200の整備工場が導入している。

 三井住友海上はオートロックスから得られる自動車の事故や修理のデータを分析。事故の多い地域や車種、運転者の年齢などを割り出して保険料に差をつけるなど、より収益性の高い保険料体系の構築を目指す。

 一方、スマート・オートも三井住友海上のシステムを活用すれば、オートロックスに保険のデータを取り込み、整備工場と保険会社間の手続きを簡略化できるなどの利点がある。

【関連記事】