絶対に見逃せない美術展2019 「東寺」展(日経トレンディネット)

12/9(日) 9:00配信

日経トレンディネット

「東寺」展には密教仏の至宝が集結するが、他にも見逃せない仏像があちらこちらに。2019年の仏像鑑賞を楽しくする豆知識を伝授する。

【関連画像】中国には後漢時代(1世紀)に仏教が伝来。山西省の雲岡石窟は、北魏時代(5世紀)の造像と考えられている

●【ウンチク豆知識1】 仏像にはランクがある

 世界初の仏像は、出家後に悟りの境地に達した釈迦をモデルにした釈迦如来像。1世紀のガンダーラ(現パキスタン)、あるいはマトゥラー(現インド)で造られた。ガンダーラでは続いて修行中の菩薩が造られ、インドで密教が広まると明王が登場。天はインドの神話などに登場していた古来の神々を取り込む形で造られた。一般的に仏像は右の5種に大別。見た目の特徴や役割分担がある。

●【ウンチク豆知識2】 中国の仏像は日本に影響大!

 日本は歴代の中国王朝と交易し、中国文化への憧れが強かった。「中国の仏像は、古くは遣隋使や遣唐使を通して日本の仏像に多大な影響を与えました。鎌倉時代に入ると、禅宗の到来とともに宋代の仏像がもたらされますが、日本ではそれを直接模倣することはなく、むしろ宋代の仏画からの影響が濃厚になりました」(大阪市立美術館・齋藤龍一さん)。

●【ウンチク豆知識3】 明王は密教色が強い仏像

 「密教はインドで成立。勢力を拡大するために従来のヒンドゥー教の神を取り込み、7~8世紀には異形の密教仏が造られ始めます」(東京国立博物館・西木政統さん)。代表格が明王で、密教では中心的存在・大日如来の“特命係”として、衆生を正しい道に説き伏せる。空海は、インドから中国に密教を伝えた不空金剛の直弟子・恵果に直接学び、日本へ戻った。

【特別展】国宝 東寺 ─空海と仏像曼荼羅
2019年3月26日~6月2日
東京国立博物館

【特別展 時宗二祖上人七百年御遠忌記念】
国宝 一遍聖絵と時宗の名宝
2019年4月13日~6月9日
京都国立博物館

【大用国師二百年・釈宗演老師百年 大遠諱記念特別展】
鎌倉禅林の美「円覚寺の至宝」
2019年4月20日~6月23日
三井記念美術館

仏像【中国・日本】
2019年10月12日~12月8日
大阪市立美術館

「詳しい情報を知りたい方は、日経おとなのOFF 2019年1月号誌面でどうぞ。」

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絶対に見逃せない美術展2019 日本にクリムト旋風が到来(日経トレンディネット)

2019年春、日本にクリムト旋風が到来する。没後100年の18年に、世界のあちらこちらで展覧会が開かれ、人気の高さを示した世紀末のスター画家の名品が、東京にやって来る。その絢爛美の秘密を解き明かそう。

【関連画像】1913/14年/油彩、キャンバス/豊田市美術館蔵 ※「クリムト展 ウィーンと日本1900」にて展示

 「どの美術館でもクリムトは『箱入り娘』。貸し出しはフェルメール並みに困難です」と成城大学名誉教授の千足伸行さん。世紀末ウィーンを代表する画家の名品が2019年4月、東京の2つの美術館で、ほぼ同時期に展示される。特に『クリムト展』では油彩20点以上が集まり、質量共に、またとない展覧会となる。

 金地をふんだんに使った絢爛美。退廃的なエロスを振りまく女性たち。「黄金様式」の時代と呼ばれる最盛期の作品群も数多く見られる。

●【SECRET 1】 お金持ちに引っ張りだこ。売れっ子肖像画家

 経済が急成長した19世紀末のウィーンに居を構えたブルジョアジーの婦人たちに、クリムトは人気の肖像画家だった。「リアルに描かれた顔と、工芸品的な装飾美が凝らされた服や背景。独特の退廃美は封印しつつも、クリムトならではの斬新な肖像画です」(千足さん)。

●【SECRET 2】 黄金へのこだわりは永遠性への憧れ

 クリムト作品の魅力の一つである、金をふんだんに用いた表現。イタリア・ラヴェンナへの旅で出合ったビザンティン時代のモザイク画に、感銘を受けたことがきっかけとなった。「輝きを失わない金を使うことで、時と場所を超えた永遠性を表しています」(千足さん)。

●【SECRET 3】 恋多き人生、本命とはプラトニック?

 生涯未婚を通したクリムトは多くの女性と浮名を流し、死後には子供の父親がクリムトであるという訴訟が複数起こされたほど。一方、クリムトが30歳前後に出会い、亡くなるまで生涯のパートナーだったエミーリエ・フレーゲとはプラトニックな間柄だったという説も。

【特別展】クリムト展 ウィーンと日本 1900

2019年4月23日~7月10日 東京都美術館
2019年7月23日~10月14日 豊田市美術館

【日本・オーストリア外交樹立150周年記念】
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

2019年4月24日~8月5日 国立新美術館
2019年8月27日~12月8日 国立国際美術館

(アドバイザー/千足伸行さん(成城大学名誉教授、広島県立美術館館長)、本橋弥生さん(国立新美術館 主任研究員))

「詳しい情報を知りたい方は、日経おとなのOFF 2019年1月号誌面でどうぞ。」

2018年のヒットメーカーは『劇場版コード・ブルー』の増本氏、ゲストに女優の新木優子さん、馬場ふみかさんも(日経トレンディネット)

12/8(土) 8:00配信

日経トレンディネット

「日経エンタテインメント!」誌が選ぶアワード「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー」のグランプリが映画『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』をプロデュースした増本淳氏に決定し、11月29日に授賞式が行われた。式には同作品に出演した女優の新木優子、馬場ふみかもゲストプレゼンターとして参加し、増本氏とトークセッションを繰り広げた。

【関連画像】フォトレポート:同作品に出演した女優の新木優子さん、馬場ふみかさんもゲストプレゼンターとして参加した

●国内興行収入90億円超のヒットメーカー

 新しいヒット&ムーブメントを生み出したクリエイターを表彰する「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー」。「日経エンタテインメント」誌が2018年のグランプリに選んだのは、90億円超の国内興行収入をたたき出した映画『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」のプロデューサー、フジテレビの増本淳氏だ。

 『劇場版コード・ブルー』は、映画作品としては本年度のナンバーワン、実写の邦画としては歴代5位の興行収入を記録した作品。増本氏は、2008年に連続ドラマとしてスタートした『コード・ブルー』から第2、第3シーズン、劇場版まで、一貫して陣頭指揮を執ってきた。増本氏の受賞理由について「日経エンタテインメント」の山本信夫編集長は、「どんな病気も治してしまう“スーパードクター”ではなく、若い人たちを主人公に彼らの葛藤や成長を描くことで医療ドラマに新風を吹き込んだ」と評している。

 山本編集長から記念の盾を贈呈された増本氏は、「『コード・ブルー』は11年前に企画し、その後1年かけて取材と、こつこつと作ってきた作品。そんなにヒットしないだろうと思っていたものが、“ヒット作”と言ってもらえたことに驚きと感謝です」とコメント。第3シーズンから番組に参加した横峯あかり役の新木優子、雪村双葉役の馬場ふみかもお祝いに駆けつけた。

プロデューサーが明かした第3シーズン撮影秘話

 写真撮影を挟んで、新木、馬場を交えてのトークセッション。話題は2017年の第3シーズン撮影当時まで遡り、意外な裏話も飛び出した。

 第3シーズンおよび劇場版で自らが演じた横峯あかりについて、新木が「物事を素直に受け取って表に出すキャラクターだなって台本を読んで思いました」と語ると、増本氏が「実は、横峯にはモデル(になった女医)がいる」と告白。「ちょっとでも嫌みな芝居をしてしまうと視聴者から総スカンを食らってしまうような役を、とてもチャーミングに演じてくれた」と絶賛した。

 一方、馬場は「雪村双葉は無愛想な感じだったんですけど、当時は私もドラマに入ったばかりですごく緊張していて……たぶん私も現場で同じくらい無愛想だったのではないかと。自分の姿に近かったのかな」との感想。すると増本氏は「雪村双葉は、もともとはない役だった」と打ち明けた。

 増本氏によれば、横峯役のオーディションを開催した際に新木に初めて出会い、自分の中で「この子かな」と思ったタイミングで馬場の順番になったのだという。「演技の経験もそれほどないのに、芝居に迫力があったんです。このままサヨナラというのは残念だと僕が思ってしまって『何か役を作るからやってもらえないだろうか』というお話をした」。

 また、山本編集長から続編の可能性を尋ねられた増本氏は、新木と馬場に「やりたい?」と話を振った後、「僕自身の中には彼ら(主人公たち)の将来についてのイメージはあるんですけど、出演者、スタッフを含め、番組に関わった全員がやりたいという気持ちになるようなら、つらい現場をご用意する気持ちはあります(笑)」と答えた。もちろん、視聴者も楽しみに待っている。

(取材・文/堀井塚高、写真/酒井康治)

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KinKi Kidsのバンマス吉田建、イージーリスニング覚醒のワケ(日経トレンディネット)

12/7(金) 7:00配信

日経トレンディネット

 日本のポップス界で1970年代から音楽活動をしているベーシスト・音楽プロデューサーの吉田建さん。これまで関わってきたアーティストは、ナイアガラ・トライアングル、沢田研二、氷室京介、ウルフルズ、吉田拓郎など数知れず。2004年からはKinKi Kidsのバンドマスターとして、ツアーやミュージックビデオ、音楽番組などに参加し、今や彼らの楽曲には欠かせない存在だ。
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【関連画像】『Cheers!』のレコーディング風景

 そんな吉田さんが2018年11月、THE STELLAR NIGHTS GRAND ORCHESTRA(ザ・ステラ・ナイツ・グランド・オーケストラ~星降る夜はオーケストラ~)名義でミニアルバム『Cheers!』をリリースした。

 同作は、オーケストラとバンドが合体して奏でる「イージーリスニング」。軽快なリズムに乗ったストリングスの優美な音色が特徴で、いわゆる「BGM」として日本でも古くから親しまれているジャンルだ。JR東海の「そうだ 京都、行こう。」CMで流れるあのBGMがそれ、と言えばピンとくる人も多いだろう。

 吉田さんの『Cheers!』には、そのCM曲として知っている人も多い『私のお気に入り』や、ジャズのスタンダードナンバー『二人でお茶を』など、リアレンジした往年の名曲とオリジナルの全5曲が収録されている。

 …しかし、だ。

 様々なジャンルをやってきたバンドマンとはいえ、「イージーリスニング」というのは、あまりに意外すぎた。

 かつては『三宅裕司のいかすバンド天国』のコワモテ審査員としても名を馳せた吉田さんが、どうしてこのジャンルに行き着いたのか。きっかけや思いをじっくり聞いてみた。

2017年のKinKi Kidsオーケストラコンサートが引き金に

――のっけから正直なところを言わせていただきますが、吉田さんがオーケストラを組んで、イージーリスニングというジャンルで新作を発表するとは思ってもみませんでした。そもそもどういう経緯で制作することになったのですか。

吉田建さん(以下、吉田): オーケストラという音楽的な様式は、昔からずっと僕の中にあったんですよ。これまでプロデュースしてきたアルバムや楽曲にもオーケストラだけのものがあったりしますし。でも、直接的には2017年のKinKi Kidsのコンサートが引き金になりました。毎年やっているドームでの公演を、この年はフルオーケストラをバックにやる試みをしたんですが、そこで素晴らしさを再認識したというか。自分がやってきたポップスのビートとは違う包容力、そのダイナミズム、大人数で演奏する中で得られる抑揚感、いろんなものを含めて。

――そこに吉田さんがかねてからおっしゃっていた「音楽は好きだけど聴きたいものがないと思っている人が多い」「大人がゆったりした気持ちで聴けるものがない」という思いが重なって…?

吉田 : 大人というか、老若男女、家庭的な音楽がホントに少なくなってきちゃったなと。なんだかんだ言って日本のマーケットではポップスはまだ何十万枚も売れてヒットしているんだけど、情報としては知ってても、メロディーは知らない。もっと言えば歌えない。そんななかで、やっぱり共通項として、世代を超えて楽しめる音楽の様式ってないのかなとずっと思ってたんです。

 それと、音楽の作り方も変わったじゃないですか。昔みたいにスタジオにミュージシャンが集まって生の音で作る現場は少なくなって、今はデスクトップで作っちゃう打ち込みの音楽も多い。日本のミュージシャンってとても優秀なのに、生かせる場がどんどん減っている。もちろん、仕事としては僕もコンピューターの力を借りることはありますが、プライベートな部分でやっていくべき音楽はまた違うんだろうな、それは何かなと、この10年くらい、ずっと模索していました。

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情報の氾濫でズブズブな今、あまりにピュアな山下達郎を捧げよう 80年代歌謡曲は悩めるオヤジの処方箋(日経トレンディネット)

 BS12 トゥエルビで放送中の『ザ・カセットテープ・ミュージック』で、80年代歌謡曲の優れた論評をくり広げるマキタスポーツ氏とスージー鈴木氏が、同世代のビジネスパーソンに「歌う処方箋」を紹介するこの企画。

【関連画像】毎日を大切に生きて、ピュアな気持ちでいられたら、達郎さんのように……(マキタ氏)

 前回の「レベッカの『MOTOR DRIVE』に刺激を受けて、やりたいことをやって健康になろう!」というスージー氏の話とはうって変わって、マキタ氏は山下達郎の名曲から受け取る「祈り」や「感謝」の話を基に、情報が氾濫する現代社会の病理に鋭く切り込み、オヤジ世代が求めるべき「健全な感性」の大切さを訴えた。

●健康とは爽やかな朝の目覚めに感謝すること

――では、マキタさんが考える「健康にまつわる歌」は、なんでしょうか。

マキタスポーツ(以下:マキタ):私がお薦めする曲は、山下達郎が2011年にリリースしたアルバム『Ray Of Hope』に収録された「MY MORNING PRAYER」(作詞・作曲:山下達郎)です。

スージー鈴木(以下:スージー):いいですね。

マキタ:結構好きで、ぜひ朝焼けを眺めながら聴いてほしい名曲です。

スージー:はい。

マキタ:このタイトルの「PRAYER」は「祈り」という意味ですが、達郎さんの優れたアーティスト性もまた「祈り」と呼べるものに近いんじゃないかなって。

スージー:うん、うん。

マキタ:この歌は、全編通してなにか「ピュア」なものが感じられる曲だと思うんです。たとえば僕の場合、もちろん「健康」は当然気になりますが、そもそも、朝、目が覚めたときに「あ、ちゃんと起きられた!」みたいな感覚があるんですよ。

――それ、なんとなく、分かります。

マキタ:前の日の夜に「明日の朝を迎えられないんじゃないか」って思い悩むほど深刻な話じゃないんです。今年の夏はすごい台風が来ましたが、台風一過できれいな日差しが見えた朝、爽やかな目覚めに感謝する……みたいな気持ち、ありません?

一同:(静かにうなずく)

マキタ:できることなら、朝、ぱあっと気分よく目覚める方がいい。だったら、さかのぼって、前の晩は深酒とかしちゃいけないし、きちんと睡眠をとらなければいけない。我々オヤジ世代は、そういう生活のリズムのつくり方、体調の整え方をそろそろ意識したほうがいいんじゃないかなって。そんなことを思いながら、実際には、不規則な生活をしてるんですが。

一同:(笑)

マキタ:何回かに1回の割合で、すごくいい目覚めとかがあったときに、なんかちょっと「感謝します!」みたいな気持ちになる。だから、過度に体を鍛えたりしなくても、朝、ちゃんと起きられることを心がけるのが「健康」に一番いいんじゃないか。そんなことを「MY MORNING PRAYER」が教えてくれるんです。

スージー:そうですね。

マキタ:たとえば、こんな歌詞があります。

〽 ひとときでも

 耳をすませ

 心をゆだねたら

 かすかな希望の

 音を聴いておくれ

 THIS IS MY PRAYER

 MY MORNING PRAYER

曲としてはシンプルなんですが、爽やかさに満ち満ちている。いろんなものに感謝していることが、この歌詞にすごく表れているんです。

一同:(静かにうなずく)

ドキュメンタリーにも必ず「演出」はある 佐々木健一「TVクリエイターのミカタ!」(日経トレンディネット)

12/1(土) 8:00配信

日経トレンディネット

 よく耳にするものの、改めて「演出って何?」と問われたら、どう答えるだろうか。一般的には、「映画やドラマで、役者に演技指導すること」などをイメージする人が多いかもしれない。
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【関連画像】ドキュメンタリーにも必ず「演出」はある

 確かにそれも演出に違いないが、脚本やシナリオがあるフィクションに限らず、生身の人間のリアルな姿を捉えるドキュメンタリーにおいても歴として「演出」は存在する。というと、「ヤラセ」のような、ないものをあるかのごとく捏造する行為と結びつけてしまうかもしれないが、もちろんそうではない。

 演出とは、より正確に言えば「さまざまな技術や工夫を凝らし、より効果的・魅力的に見せること」だろう。実際、演出という行為はエンターテインメント業界に限らず、一般の人も日常生活の中でよく行っている。

 例えば、恋人への“サプライズ演出”。普通にプレゼントを渡したり、プロポーズしたりするよりも、いつものデートとは違う状況をあえて作り、驚きという“差異”を伴ってより相手の感情に訴えるものだ。そうした演出には手間や準備もかかるので、相手に自分の誠意を感じ取ってほしいという願いも込められている。

 これは、演出する側が相手の反応を予測しながら、ある状況を意図的に設定し、準備を念入りにして行うもの。すると、演出は次のようにも捉えられるだろう。

 「演出とは、“状況設定”である」

 これは、ドキュメンタリーでの撮影対象に対する演出にも通じる。脚本やシナリオがあるわけではないので、ドキュメンタリーの被写体が実際にどう動くか、どんな話を語るか、どういった変化や成長を見せるかを正確に想定することはできない。しかし、だからといって何もせず、ただ“ありのまま”を撮影していても、面白い作品になるかといえばなかなか難しい。そこで鍵になるのが“状況設定”なのだ。

 長年、テレビ業界にいると、テーマや撮影対象がどうであれ、「ちゃんと撮れる作り手」と「あまり撮れない作り手」に分かれるという厳然たる事実を目の当たりにする。両者の違いは“運”によるものなのか。あるいは、一口に“経験や実力の差”と片付けられてしまいがちだが、具体的には何が違うのだろうか。

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プレイステーションもミニで復活 小ささと快適さに感慨ひとしお(日経トレンディネット)

2018年12月3日に発売される「プレイステーション クラシック」。手のひらサイズの筐体に、往年の名作ソフトを20タイトル内蔵する。それでいて価格は9980円とお買い得だ。小さいプレイステーションの楽しさは一体どんなものか? 長年ゲーム分野で執筆してきた稲垣宗彦がリポートする。

【関連画像】体験会の会場の展示。4Kテレビには「プレイステーション クラシック」、ブラウン管テレビ(!)にはオリジナルの「プレイステーション」が接続され、『XI [sai]』の画面を比較できるようになっていた

 2016年に任天堂が発売した「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」を皮切りに、過去の家庭用ゲーム機をコンパクトに再現し、往年の名作タイトルを内蔵した復刻商品がヒットしている。そんな中、2018年12月3日に満を持して発売されるのが、初代「プレイステーション」を小型化した「プレイステーション クラシック(PlayStation Classic)」だ。この“ニューエスト”にして超“オールド”なゲーム機で実際に遊べるメディア向け体験会が開催されたので、参加してきた。

●「プレイステーション」は何がすごかったのか?

 プレイステーション クラシックのオリジナルとなるプレイステーションの発売は1994年12月3日と、既に四半世紀近くも前の話。その登場に心をときめかせた人たち自体が、そろそろ“クラシック”と呼ばれかねないほど、時が経過している。

 当時3万9800円という価格でソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、現ソニー・インタラクティブエンタテインメント、SIE)が発売したプレイステーションは、据え置き型の家庭用ゲーム機ながらCPUにワークステーションなどで使われていたRISCチップをカスタマイズして搭載。ポリゴンを使った3Dグラフィックの描写に特化したその設計は、当時としては非常に革新的だった。

 また、それまでの家庭用ゲーム機のソフトウエアは半導体のチップを内蔵したカセットが主流だったが、プレイステーションはCD-ROMを採用。カセットに比べて素早く安価な量産を実現すると同時に、独自の流通経路を築く流通改革も敢行した。その結果、それまで「スーパーファミコン」の任天堂と、「メガドライブ」のセガ、「PCエンジン」シリーズで奮闘するNECホームエレクトロニクスの3社がしのぎを削っていた家庭用ゲーム機市場に激震を引き起こした。

 ソフト面ではSCEが自社ブランドでタイトルをリリースするだけでなく、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)やKONAMI、フロム・ソフトウェアといったサードパーティーが当初から参入。中でも、ゲームセンターで人気を博していたレースゲーム『リッジレーサー』がローンチタイトルとして名を連ねていたインパクトは大きかった。サードパーティーの参入はその後も順調に続き、カプコンの『バイオハザード』、スクウェア(現スクウェア・エニックス)の『ファイナルファンタジーⅦ』といったメガヒットタイトルにも恵まれたことで、ゲーム市場の勢力図を約2年で完全に書き換えてしまったのだ。

 2000年にはDVDドライブを搭載した「プレイステーション2」(PS2)、2006年にはBlu-rayドライブを搭載した「プレイステーション3」(PS3)と後継機を発売し、ヒットを記録。据え置き型ゲーム機として安定かつ強固な地位を築いてその後のゲーム業界をけん引し、世界中で人気を博している現行機種「プレイステーション4」(PS4)へと続くのである。

 今回発売されるプレイステーション クラシックは、1994年発売の初代プレイステーションを復刻したものだが、当時のゲームソフトや周辺機器がそのまま使えるわけではなく、遊べるのは内蔵された20タイトルのゲームだけ。その点では機能限定版ではあるものの、後述するように、かなり進化している部分もあり、内蔵タイトルは快適に遊ぶことができる。

カシオ、1960年代をイメージしたミニキーボード「UK-01」発売(日経トレンディネット)

11/28(水) 8:00配信

日経トレンディネット

 カシオ計算機は2018年11月20日、32鍵盤のミニキーボード「UK-01」を発売した。1960年代のUKカルチャーをテーマにした製品で、オレンジがかった赤色のボディーや若干茶色がかった白鍵などのデザインが特徴。音色名などはネイビーブルーでプリントされ、底面にはユニオンジャックをあしらっている。実売価格は1万円前後。

【関連画像】パッケージデザインにもレトロな雰囲気を漂わせている

 鍵盤は一般のピアノなどより小さいミニ鍵盤で、100種類の音色、伴奏してくれる50パターンのリズム、10曲の曲データを内蔵するほか、押すと割り当てられたパーカッションの音が鳴るドラムパッドなどを搭載する。電源は単3形乾電池6本またはACアダプター(いずれも別売)。サイズは幅446×奥行き208×高さ51mmで、重さは乾電池なしの状態で約1㎏。

 これまでミニキーボードは低年齢の子供向けの製品が中心だったが、UK-01は大人を狙った製品だ。20~30代だけでなく、かつて音楽に親しみ、仕事や子育てなどが一段落して再び音楽に興味を持った中高年層もターゲットにしている。子供向けのキーボード市場は伸びが鈍化しており、この製品をきっかけに大人向けの市場を拡大したい考えだ。また年末年始の商戦期に向けてプレゼントやパーティーの景品としての需要も狙っており、家電量販店だけでなく、一部雑貨店などでも販売する。

(文/湯浅英夫)

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健康になりたきゃ「レベッカ」のこの曲を聴け! 80年代歌謡曲は悩めるオヤジの処方箋(日経トレンディネット)

BS12 トゥエルビで放送中の『ザ・カセットテープ・ミュージック』で、80年代歌謡曲の優れた論評をくり広げるマキタスポーツ氏とスージー鈴木氏が、同世代のビジネスパーソンに「歌う処方箋」を紹介するこの企画。
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【関連画像】マキタスポーツ:ミュージシャン、芸人、俳優。スージー鈴木:音楽評論家、昭和歌謡から最新ヒット曲まで邦楽を中心に幅広い領域で、音楽性と時代性を考察する

 今回は、オヤジ世代にとっての最大の関心事とも言える「健康」がテーマだ。家族を守り、これからの自分の人生を充実させていくために、何より大切なものだとわかっちゃいるけど、つい、深酒、暴飲暴食、運動不足が止まらない。そんな悩みを抱える読者に、マキタ&スージーが「健康になるための曲」を伝授してくれた。

●「あれもしたい、これもしたい!」が健康への近道

――今回のテーマは、我々の世代なら誰でも気になる「健康」です。

マキタスポーツ(以下:マキタ):(元気な声で)健康!

スージー鈴木(以下:スージー):大事ですね。

――では、スージーさんの「健康」にまつわるお薦めの曲をお願いします。

スージー:私は、まず「何のために健康になるか」という目的論を整理したいと思います。

――と言いますと?

スージー:年を取ってアラフィフになっても、目的、つまり「やりたいこと」がたくさんあったら、健康でいられるんじゃないかって。実際、世の中の健康なおじいさん、おばあさんっていうのは『まだ、あれもしたい、これもしたい!』っていう目的があって、「病気なんかになってる場合じゃないぞ!」と思っているから、健康なんじゃないかと。

――なるほど。

スージー:なので、私がお薦めする歌は、1986年に発売されたREBECCA(レベッカ)のシングル『RASPBERRY DREAM』(作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫)にカップリングされていた曲『MOTOR DRIVE』(作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫)です。

マキタ:おぉっ!

スージー:やりたいこと、ありすぎるの……(と、つぶやいてから、やおら、元気に歌い出す)

〽 やりたいコト ありすぎるの

 あきらめられないけど 現実はシビア

 いそがなきゃ 出おくれちゃう

 時代は Motor Drive

一同:(拍手喝采)

スージー:ボーカルのNOKKOの書いた、80年代中盤の女の子の心をわしづかみにした歌詞なんですけど、これは当時、バブル前夜だった日本の女の子の「やりたいことがありすぎる!」っていう気持ちを代弁しています。そのテンパってる感じというか、“時代がMOTOR DRIVE”っていう気持ちをおじさんになっても、持っていいんじゃないか、と。

マキタ:うん、うん。

スージー:アラフィフになっても「やりたいことはまだまだあるぞ!」と。

――たとえば、どんな「やりたいこと」があるのでしょうか?

ポケモンGOが「聴覚のAR」、次は鳴き声と物音でゲットだぜ(日経トレンディネット)

 ここ半年ほどの間に、スマートフォン(スマホ)のゲーム「Pokemon GO(ポケモンGO)」でまた遊び始めたという人は多いのではないだろうか。筆者もその1人だ。普段ゲームを全くやらない筆者にとっては、非常にまれな出来事である。今日はそんな筆者が2018年10月に体験した、新たなポケモンGOの世界を紹介したい。
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【関連画像】ポケモンの鳴き声や動き回る音を探すための集音器。スマホが取り付けられており、音を拾うと、画面にポケモンの影が映る

 個人的には「非常に大きな可能性を秘めた技術がゲームの裏側でひそかに使われている」と感じたので、この場で取り上げることにした。「聴覚のAR(拡張現実)」である。

 今回、筆者が体験したのは、2018年10月12~21日に都内の六本木ヒルズで開催された「INNOVATION TOKYO 2018 – AR PLAY GROUND WITH NIANTIC」というイベントのなかの1つ、「Pokemon GO AR庭園」というアトラクションである。主催は六本木ヒルズを運営する森ビルと、ポケモンGOの開発元である米ナイアンティック(Niantic)。六本木ヒルズの敷地内にある「毛利庭園」という都会のオアシスのような緑豊かな公園に潜むポケットモンスター(ポケモン)を、「音」だけを頼りに捕まえるという全く新しい遊びだ。まだ一般にはリリースされていない、この期間限定の体験とあって、AR庭園はポケモンGOのファンで連日、大にぎわいとなった。

 イベントの初日、筆者は会社帰りに六本木ヒルズに向かった。当然、時間帯は夜。筆者はその日の最終組にギリギリ滑り込めた。筆者のように独りで来ている人は、ほかには誰もいない。家族連れやカップル、筆者と同じような会社帰りと思われる数人のグループと一緒にAR庭園の冒険に出かけた。

 こう書くと「川又は取材と称して遊んでいるだけだろ」と突っ込まれるかもしれない。否定はできないが、遊び半分/仕事半分といったところか。決して、単なるポケモンGOのプレーヤー(ゲームのなかでは「トレーナー」と呼ばれる)の1人として訪れたわけではない。AR庭園には筆者の大きな関心事である「人間の五感の拡張」という裏テーマがあり、それを記者として自分の体で直に確認しておきたかった。だから初日に出かけた。

 筆者は過去にも、人の視覚や聴覚、触覚といった身体能力を「拡張」する話を意識的に紹介してきた。今回は聴覚のARと呼ばれる体験であり、「耳をすます」ことでポケモンGOにまた1つ、新しい楽しみ方が加わった。近い将来、聴覚のARを採用したゲームが出てくるのは間違いないだろう。ゲーム以外にも、特にエンターテインメントの分野では使い道が多いと感じている。波の音を聴けば、自然と頭の中に海の風景が浮かぶように、音そのものは目には見えないが、明確なイメージを作り出す強いチカラがある。

 AR庭園は既に終了しているので、これから遊びに行くことはできない。この記事を読んで疑似体験していただき、聴覚のARに少しでも関心を持ってもらえればと思う。

 筆者の体験談を語る前に、聴覚のARを使ったゲーム体験に用いられているテクノロジーや原理に少しだけ触れておきたい。今回の聴覚のARを制作したのは、NianticとRhizomatiks Research(ライゾマティクスの研究開発部門)である。ポケモン社を加えた3社はこのところ、コンテンツ制作や演出で協業することが多い。今回、NianticとRhizomatiks ResearchはAR庭園という新しいフィールドを使って、ポケモンが発する音の再現に徹底的にこだわった。

 まず、園内のあちこちにポケモンが潜んでいるという状況を、鳴き声や物音だけで表現することに挑んだ。プレーヤーが声や音を聴き分けられるように、左右の耳に違う音が聴こえるようにしたのだ。左右で別々の音を鳴らしている。

 ただし、これだけでは前後の音の違いまでは再現できない。そこで、鳴っている音が頭や肩、周辺の物などに影響を受けながら耳まで届く現象を再現しようと「頭部伝達関数」と呼ばれる数式を音生成のアルゴリズムに適用したという。

 プレーヤーが庭園を動き回ったり、体の向きを変えたりしても、同じ場所から音が聴こえてくるようにする必要があった。それにはプレーヤーの位置と向きの情報が不可欠である。そこでビーコンで人の位置情報を、スマホの磁気センサーとジャイロセンサーで人の向きの情報をそれぞれ収集している。

 そのうえで、NianticのARプラットフォーム「ARDK」でコンテンツを制作した。聴覚のARは視覚のARよりも歴史が浅いので、かなり手の込んだ準備が必要になった。なお、後述する機器およびソフトの開発ではポケモン社やライゾマティクスに加えて、ambie(アンビー)とソフトバンクが協力している。

 説明はこのくらいにして、あとは写真中心に筆者の体験をつづっていこう。最初にお断りしておくが、筆者は夜間にAR庭園に行ったため、既に日は暮れ、周囲は真っ暗。しかも独りで訪れたので、AR庭園での写真の多くは自撮りだ。撮影条件も腕前も十分とはいえず、写真が見づらいことはご了承いただきたい。

 もっとも、夜間照明が少ない毛利庭園は、耳をすましてポケモンを探すという体験には打ってつけの場所だった。イベントは昼間も開催されていたが、筆者は夜に体験できて良かったと思っている。視覚が利かない暗闇では、耳を研ぎ澄まして周囲の音をしっかりと聴く必要がある。特定の知覚を鍛えるため、別の知覚を封印してみるというアプローチは昔からある。DJでもあるRhizomatiks Researchの真鍋大度氏は自らの聴覚を拡張したくて「目隠しをしたまま、半年ほど過ごしてみようと考えたこともあった」と明かす。人気歌手グループ「Perfume(パフューム)」のライブ演出などでも知られるRhizomatiks Researchは、とにかく音へのこだわりが強い。

※「Pokemon GO」の正しい表記では「e」にアクサンテギュが付きます。