新垣結衣10周年 「アサヒ 十六茶」リニューアルの狙い(日経トレンディネット)

6/20(水) 12:00配信

日経トレンディネット

 ペットボトルのブレンド茶「アサヒ 十六茶」が、ブランドメッセージをリニューアルした。「カラダへ、家族へ、思いやりブレンド」と銘打ち、育児世代である30代女性をターゲットとする。共働き世帯が増えたことで、働きながらも自分の体を気遣う新たな健康ニーズに応え新規需要の掘り起こしを狙う。発表会に登壇した新垣結衣さんは、2018年でCMキャラクター10年目を迎え、主演の新CMは5月22日から全国で放映中だ。

【関連画像】園児からの逆サプライズを受け、「本当に1個1個大変なんですよ! 私の分まで作ってくれるなんて」と新垣さん

 東洋健康思想に基づいた16素材をブレンドした「アサヒ 十六茶」は、1993年に発売、2005年から「カフェインゼロ」になった。今回のリニューアルでは、あわ、きびを採用し、五穀すべてが含まれる新しい16素材となった。商品ロゴやパッケージも一新し、ボトルはより持ちやすい形状となった。

 共働きの家庭が増え、働きながら家族や自分の体を気遣う育児世代の女性をターゲットに見据える。自分の身体や、家族の身体を思いやる30代の女性に選ばれるノンカフェイン無糖茶を目指した。「カラダへの思いやりという機能面、家族への思いやりという情緒面、両方からアプローチできれば」というのがその理由。年間を通して継続的に季節や家族の健康ニーズに訴えることで新たなファンの獲得を狙う。5月に開催した発表会では、毎月16日に制定した、保育園に商品と「カフェインマネジメントブック」を届ける「十六茶の日」や、家族を思いやる気持ちを「ハグ」にのせる「ハグミープロジェクト」を例に、子どもたちの健康を「健康的な水分補給」と「カフェイン摂取量の調整」を通じて応援する取り組みについて紹介した。

 5月22日から放送されている新CMでは、「十六茶の妖精」に扮する新垣さんが登場し、帰宅した親子のやりとりを見つめる。「カラダ想いなんだな」というフレーズと新垣さんの微笑む姿が印象的な仕上がりだ。新CMについて新垣さんは「今まではイキイキとか、元気! というキャラクターが多かったんですけど、今回は暖かく見守るということを意識しました。10年も続けてCMキャラクターをさせていただくことはあまりないので、本当にうれしいです」と、10年間を振り返りつつコメント。新垣さんが保育園児と一緒にランタンを作り、保護者へのメッセージを添えた「おもいやりサプライズ」の映像も披露された。会場には“逆”サプライズで、園児から新垣さんへランタンとメッセージが届き、「うれしい!」と感激の声があがる一幕も。「みなさんもぜひ、十六茶を飲んで誰かとの暖かい時間を過ごしてもらえたらなと思います」と笑顔で語った。 

(文・写真/小西 麗)

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テレビ界に広がる安易な「ブリッジ演出」に物申す 佐々木健一「TVクリエイターのミカタ!」(日経トレンディネット)

6/19(火) 12:00配信

日経トレンディネット

『哲子の部屋』『ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」』など、独自の切り口のテレビ番組を企画・制作するNHKエデュケーショナルの佐々木健一氏が展開するコンテンツ論の第28回。

【関連画像】テレビ界に広がる安易な「ブリッジ演出」に物申す

 前回のコラムでは物事を伝える際の基本である「構成」について述べたが、番組の作り手である私から見ても、最近の日本のテレビ番組は、「構成がダメになっているなぁ」と感じることが多い。それは特に「ブリッジ演出」の多用に表れていると思う。

 私が指摘するブリッジ演出というのは、スタジオやロケ映像の合間に“看板”のように短くキーワードなどを挿入する演出のこと。印象的なアタック音とともに表示する場合が多い。芸能人が街をブラブラ歩く「街ブラ番組」などでは定番の演出だ。今やバラエティー番組や情報番組に限らず、ドキュメンタリー番組や報道番組でも見られる、ごくありふれた演出である。

 しかし、テレビ番組で頻繁に見かけるブリッジ演出は、映画作品ではほとんど見かけない。物語に没入したいのに、いちいち流れを断ち切る“看板”が登場したら、観客は興ざめするだろう。

 では、なぜ、テレビ業界ではブリッジ演出がこれほど流行しているのか?

 テレビ視聴はCMなどで中断され、チャンネルを頻繁に変えるザッピングが前提だ。もともと流れを寸断されることが多いメディアなので、構成が“細切れ”になったのかもしれない。しかし、今ではCMが入らないNHKの番組でもブリッジ演出をよく見かける。

 私は、これほどブリッジ演出が氾濫した要因には、作り手の都合が関係していると見ている。短くブリッジを挟むことで構成上、強制的に“区切り”を設けることができ、ダラダラした展開にメリハリをつけられる。それによって見かけ上、リズムやテンポも上がるのだ。

 そもそも構成というのは、項目や要素を整理し、その並べ方に工夫を凝らして感情的な起伏などの流れを作ること。だが、それには手間も熟練も必要だ。各シーンをぶつ切りにして、その間を強引にブリッジ演出でつなぐ方がはるかにラクで都合がいい。

 また、編集段階に“後づけ”できる点も大きい。街ブラ番組やドキュメンタリー番組のロケは、常に面白いことが起きるわけではない。また、面白いシーンだけを編集しても、内容がつながらない。だから、本来は“つなぎ”になるシーンやカットを撮影してくるのだが、編集時にブリッジを挟んで済ませば、そんなことも必要なくなる。

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『ポケモンGO』アップデート ポケモン交換が可能に!(日経トレンディネット)

6/18(月) 22:47配信

日経トレンディネット

『ポケモンGO』は2018年7月で2周年。それを前に「フレンド」やポケモン交換など、ユーザーが待ち望んでいた機能が搭載される。どこがどう変わったのか?ゲームライターの岡安学が解説する。

【関連画像】いよいよポケモンの交換ができるように!

 ローンチ2周年を目前に『ポケモンGO』が大幅にリニューアルします。2017年の1周年のタイミングで「レイドバトル」が解禁になっているので、“周年”にメジャーアップデートが恒例になりそうです。今回のアップデートで追加される機能は、お待ちかねのポケモン交換機能です。ようやくトレーナー同士でポケモンの交換ができるようになりました。

 ただ、ポケモンの交換が簡単にできてしまうと、最大の目的であるポケモンのコレクション、図鑑登録の楽しみが奪われかねません。そこで、交換にはいろいろと条件が付けられています。

 条件の1つがトレーナー同士が「フレンド」になっていること。ここでいきなり出ました「フレンド」というキーワード。実は、交換機能と同時にフレンド機能も追加されるのです。最初にフレンド機能の説明をしないと交換について説明できないので、先にフレンド機能を説明します。

 フレンド機能はトレーナー同士がつながり、一緒に遊ぶためのもの。まずはユーザーごとに与えられた数字コードをフレンドになりたい相手に教えます。相手は、左下のトレーナーアイコンをタップし、プレーヤーデータのメニューを開きます。画面が切り替わると右上にフレンドと表示されるので、ここをタップ。フレンドメニューに切り替わると、フレンドの動向を確認したりフレンドを登録したりできます。

 フレンド登録のコード入力画面からコードを入力すると、コードの持ち主であるトレーナーに登録したという通知がきます。ここで許可すると、無事2人はフレンドになれるわけです。フレンド登録はお互いの距離には縛られませんから、フレンドコードをメールやSNSで教え合うことで、遠く離れた友人、知人ともフレンドになれます。フレンドになると、お互いに「ギフト」を送り合ったり活動を確認し合ったりできます。

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メディア志望必見「テレビマンと出版人の末路」(日経トレンディネット)

この記事は「日経ビジネスオンライン」に、2018年6月11日に掲載された記事「メディア志望必見「テレビマンと出版人の末路」」を転載したものです。内容は基本的に記事公開日時点のものとなります。

【関連画像】狩山 俊輔(かりやま・しゅんすけ)。1977年生まれ、大阪府出身。2011年には「妖怪人間ベム」を演出

 「ドラマ離れ」など誰が言ったのか。4月23日から日本テレビで放映されている連続ドラマ「○○な人の末路」が快進撃を続けている。月曜深夜24時59分からという深夜帯にもかかわらず、異例の高視聴率を叩き出しているのだ。

 ドラマの原案は、日経ビジネスオンラインで連載された「末路シリーズ」を大幅加筆修正した書籍『宝くじで1億円当たった人の末路』。

 2017年3月に発売され、累計15万部を突破した同書だが、ことドラマ化に当たっては「小説ではない同書をドラマ化するのは相当難しいのではないか」との意見も挙がっていた。そんな不安を吹き飛ばし、連続ドラマ界に旋風を起こしているのが、日テレ制作局で数々の人気ドラマを手掛けてきた人気監督、狩山俊輔氏だ。

 末路本の著者である鈴木信行氏による狩山監督の対談後編では、ドラマの枠を超えて「テレビと出版の仕事の違い」がテーマに。テレビマンと出版人のアイデアの発想法、やりがい、ストレスの共通点や違いとは。少なくともメディアを志望する就職活動生は、超激務の両業界に飛び込む前に、2人の愚痴(?)をまずは聞いたほうがいいかもしれない。

※前回の対談「キスマイ主演ドラマ、深夜枠でも高視聴率のワケ」は【関連記事】よりご覧いただけます。

(聞き手/鈴木信行=日経ビジネス副編集長、写真/的野 弘路氏)

 ◇ ◇ ◇ ◇

鈴木: 宮田さんの回を見ていて特にすごいなと思うのはリアリティです。そもそもクリーニング屋さんの仕事内容って、多くの人は詳しく知らないじゃないですか。でも宮田君は非常にリアルにクリーニング工程をこなしていきます。

狩山: いいロケ地が見つかったのも良かったと思います。クリーニング屋さんは難しいロケ物件で、営業を止めてもらうか休日に撮影をしなきゃいけないので、いい場所が見つかるか心配だったんです。結果としてすごくたたずまいのいいクリーニング屋さんが見つかった。お借りした店のご主人と奥様がとてもいい方で、朝の6時から夜の10時ぐらいまで店の外で立ってずっと宮田君のロケに付き合ってくれるんです。機械の使い方などで宮田君やスタッフが何か分からないと実際にやってみせてくれる。

鈴木: それで宮田さん、あんなにクリーニング装置をリアルに操れるわけですね。ご本人も「クリーニング店のリアル感を出したい」ってインタビューでおっしゃっていましたし、「やるからには全力を尽くすタイプ」なんでしょうね。辛いものも何が何でも全部食べようとするし(笑)。

狩山: あのクリーニング屋さんとの出会いがあったからこそ、クリーニング編は成立したと思っています。

鈴木: さて、そんな4つの末路がどうなるのか、ドラマはいよいよ佳境に差し掛かるわけですが、ここから先はドラマの枠を超えて、いろいろお話をしたいです。僕ら出版人の中には、同じメディアなのに華やかなテレビ業界に憧れている人が結構いるわけですが、仕事をしていく上では共通点もたくさんあると思うんです。

狩山: そうでしょうね。

鈴木: 例えば、アイデアとか普段どうやって考えていますか。僕らみたいな活字の仕事と、映像の仕事ではアイデアの発想法も違うのでしょうか。自分の場合は基本、寝ている時にアイデアが出ることが多いんですが。

狩山: ああ、あります、あります。

鈴木: あります?

狩山: 寝る前とかですね。

●ともに生涯ぐっすり眠るのは難しい職業!?

鈴木: 何か一つのところで行き詰ってどうしようかなと思っていた時、眠りに落ちる前とか朝起きるぎりぎりの時にぱっと思い付く。

狩山: 僕もあります。

鈴木: よかった。何かうれしいです。普段、職場でこんな話をしても絶対に周囲からは理解してもらえないんで、仲間が見つかった気分です。でも我々のやり方が仮に正しいとすると、テレビマンと出版人は「生涯ぐっすり眠ることは許されない職業」ってことになってしまいますね(笑)。

狩山: 僕の場合、移動中も思い浮かぶことがありますよ。ロケに行く時はロケバスに乗って移動するんですけど、車に揺られながらふっと思う時がある。

鈴木: 普通に歩いている時もあります。

狩山: 家に帰って、お風呂に入った時にはっと思うこともあるし。

鈴木: 一緒だ。逆に言えばテレビも出版もオンオフの切り替えはなかなか難しい仕事と言えるんでしょうけど、ストレス解消とかどうしてます? お互い締め切りというものに追われる生活だと思うんですけど。

キスマイ主演ドラマ「○○な人の末路」、深夜枠でも高視聴率のワケ(日経トレンディネット)

この記事は「日経ビジネスオンライン」に、2018年6月4日に掲載された記事「キスマイ主演ドラマ、深夜枠でも高視聴率のワケ」を転載したものです。内容は基本的に記事公開日時点のものとなります。

【関連画像】狩山 俊輔(かりやま・しゅんすけ)氏。1977年生まれ、大阪府出身。2011年には「妖怪人間ベム」を演出

 「ドラマ離れ」など誰が言ったのか。4月23日から日本テレビで放映されている連続ドラマ「○○な人の末路」が快進撃を続けている。月曜深夜24時59分からという深夜帯にもかかわらず、異例の高視聴率を叩き出しているのだ。

 ドラマの原案は、日経ビジネスオンラインで連載された「末路シリーズ」を大幅加筆修正した書籍『宝くじで1億円当たった人の末路』。

 2017年3月に発売され、累計15万部を突破した同書だが、ことドラマ化に当たっては「小説ではない同書をドラマ化するのは相当難しいのではないか」との意見もあった。そんな不安を吹き飛ばし、連続ドラマ界に旋風を起こしているのが、日本テレビ制作局で数々の人気ドラマを手掛けてきた人気監督、狩山俊輔氏だ。

 なぜ「末路ドラマ」は支持されるのか。日テレドラマチームはなぜ「末路本」を選んだのか。そして主演のKis-My-Ft2の4人の意外な素顔とは? 狩山監督と末路本の著者、鈴木信行が緊急対談した。

 ◇ ◇ ◇ ◇

鈴木: 狩山さんは、4月23日から日本テレビで放映されている、『宝くじで1億円当たった人の末路』を原案にした連続ドラマ「○○な人の末路」の演出をなさっています。これまでの狩山さんの過去の作品を見る限り、ドラマにするには題材が地味すぎるのでは、と原案者として心配してたんですが……。

●誰にでも起こり得る話だからこそ生まれた共感

狩山: いえいえ、ある種、誰にでも起こり得るストーリーだからこそ、つくりがいがあると思いました。

 原案を読ませてもらった感想は、「すごく面白い」。「あれ? この人の末路どうなるんだろう」と引き込まれて、末路を見ていく過程でも「そうそう」と共感できる部分がたくさん出てくる。今回は、Kis-My-Ft2の4人が主人公ですが、彼らのように若い世代も関心を持つテーマに違いない、多分ほかのドラマ以上にやりがいのある素材だな、と直感したのが最初でした。

鈴木: 「若い世代への共感」などはまさに狙い通りで、深夜ドラマとしては異例の高視聴率を叩き出されていると聞きました。

 それにしても、主人公が「仮想通貨で思わず大金を手に入れちゃった人」「事故物件を借りちゃった人」「日本一顧客思いのクリーニング店を経営する人」「疲れた。田舎でのんびり暮らしたいと思った人」でしょう。ある意味では全員、市井の人で、「これでドラマに起伏が生まれるのだろうか」と思っていたんです。けれど現実には、第1話からドキドキの展開で……。何をどうすればこうなるんだろうって、活字にない映像の力に驚かされました。それに、原案にない明るさがある(笑)。

狩山: ありがとうございます。末路というキーワードがネガティブなイメージなので、逆にポジティブに捉えられないかと。4人の主人公は、それぞれ一度は厳しい局面に向き合うんだけど、その先に待ち受ける末路にあらがっていく姿を描き、最終的には視聴者も一緒に応援する。そんな形のドラマにしたいと考えました。

鈴木: なるほど。原案は特定の末路に関してはばっさり切り捨てて「はい、終わり」ですから、ドラマの方が優しいですね(笑)。

“伝える技術”を高める付箋紙活用術「ペタペタ」 佐々木健一「TVクリエイターのミカタ!」(日経トレンディネット)

『哲子の部屋』『ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」』など、独自の切り口のテレビ番組を企画・制作するNHKエデュケーショナルの佐々木健一氏が展開するコンテンツ論の第27回。

【関連画像】 “伝える技術”を高める付箋紙活用術「ペタペタ」

 プレゼンテーションなど、「人に何かを伝えること」に苦手意識を持つ人は少なくない。一方で、自らプレゼンする有名企業のCEOなどは、人々の興味を引きつけ、観客の心を揺さぶる発表を行ったりする。

 世の中にはなぜ、同じ内容でも、つまらなく話す人と時間を忘れるほど面白く語る人がいるのか? その違いは何なのか――。単純に話術の違いと片付けてしまいがちだが、そこには話しぶりの軽妙さだけでなく、「どんな情報を、どういう順番で示すか」という“構成力”(ストーリーテリング)の違いが存在すると思う。

 構成を練る上で、私がぜひオススメしたいのが、映像業界ではよく知られた「ペタペタ」という方法だ。ペタペタとは、編集中などに付箋紙に項目や撮影したシーンを大雑把に書き出し、壁に貼り出して「どんな要素を、どういう順番で並べるか」をシミュレーションすること。文字通り、壁などに“ペタペタ”と貼りながら構成を考えるのだ。

 そもそも、なぜ、ペタペタをするのか――。その理由は明白だ。「構成」というのは、人に何かを伝える際に避けては通れない要素だからだ。番組であろうと、プレゼンであろうと、必ず始まりがあり、終わりがある。時間は一方向に流れるので、「どんな要素(情報)を、どういった順番で配置するか」というのは根本的な問題なのだ。

 ペタペタを行うメリットは計り知れない。まず、番組全体を俯瞰で捉えられるようになる。どんな要素があり、どれとどれに因果関係があるか、一目瞭然(りょうぜん)なのだ。ペタペタは、あるエピソードや出来事、人間関係の“相関図”でもある。どこで伏線を回収するか、話のオチや着地点をどこに持って行くか、という視点に立つことができる。

 冒頭には、人々の関心をかき立てる問題提起や謎といった「つかみ」を配置する。それによって淡々とした流れに「劇性」を加え、観客を「体験」に巻き込むよう設計するのだ。さらに、重複する箇所を整理し、シーンを省略することでリズムやテンポも上がる。

 そして、各要素の順番を入れ替えるだけで各シーンの意味合いが変わり、ある出来事がガラッと違った印象で見えることに気がつくことができる。こうした“思考の柔軟性”が得られるのが、ペタペタの最大のメリットでもある。

 ペタペタの絶大な効果を知らない人は、「デジタルの時代に、なんてアナログな……」と一笑するかもしれない。現にテレビ業界でも、最近はペタペタをしない若手制作者が多いと聞く。「PC上で自在に撮影素材を編集できる時代に、わざわざ手書きの付箋紙を並べ替えることに意味があるのか?」と思うのかもしれない。

 だが、すっかりワークフローがデジタル化した現在でも、私はこのペタペタという方法を重宝し、最大限に活用している。自ら各要素を要約して書き出し、並べ替えて整理し、引いて全体を眺め、また並べ替えて……、という試行錯誤を繰り返す中で、PC上での編集では得られない気づきや発見が得られるからだ。

 番組作りの基本はまさに、取材で得た複雑な情報を整理し、無数の選択肢の中から適切な順番を見出し、並べ替えること=「構成」することだと捉えている(NHKではかつて「ディレクター」はスタッフロールで「構成」と表記されていた。※以前のコラム参照)。

 逆に、「出来が悪い番組」というのは、端的にいえば「構成がつまらない」場合がほとんどだ。つかみが弱い。展開が予定調和で、回りくどい。物事の因果関係もはっきりせず、話がボンヤリして“読後感”も良くない。そうした問題を抱えていることが多い。

 実際、放送前に番組関係者がVTRをプレビュー(NHKでは「試写」と呼ぶ)するとき、話題になるのは決まって「どの要素(情報)を、どういう順番で並べるべきか」という構成の問題だ。すでにロケを終えた編集段階で修正できる要素は構成かナレーションぐらいしかないが、構成を工夫することで内容は見違えるように面白くなる。

カンヌ映画祭 是枝監督の最高賞、邦画に復活の兆し(日経トレンディネット)

是枝裕和監督『万引き家族』のパルムドール受賞で盛り上がったカンヌ映画祭。会場で取材したジャーナリストの高野裕子氏に、今年の現地の様子をレポートしていただいた。※文中敬称略

【関連画像】今年は女性審査員が5人も。左からクリスティン・スチュワート、エイヴァ・デュヴァーネイ、ケイト・ブランシェット、レア・セドゥ、カージャ・ニン(C)Festival de Cannes/Mathilde Petit/FDC

 邦画としては21年ぶりとなる、是枝裕和監督の『万引き家族』が最高賞であるパルムドールを受賞――のうれしいニュースで幕が下りた2018年のカンヌ映画祭。邦画の上映数は例年と変わらないが、どの映画も高い評価を得ており、日本の映画が小さいながらも世界に一石を投じたのではないか、という希望が見えた年だった。

 「これをいただくというのは、監督として本当に重い出来事で、この先この賞をもらった監督として恥ずかしくない作品をまたつくらなければならないという覚悟を新たにしています」と受賞の感想を語った是枝監督。

 作品については、「公式上映のときの観客の反応も温かいものだったんですけど、その後の記者の方たちも言葉の中に、“TOUCH”と“LOVE”という言葉があふれていて、ちゃんと届けたいところに(作品が)届いたのかなという想いです。血縁を越えて共同体を求める人たちの話で、産んでいないが親になろうとする人たちの試みを応援するという気持ちを込めました。彼らは犯罪でつながっていて、そのせいで引き裂かれるので、見てる側としては単純なシンパシーでも単純な断罪でもない、両方を抱えながら見終える――そういうポジションに僕自身を置いて撮った映画ではあります」と話した。

東京芸大・映像研究科の成果が出始めた

 カンヌ初エントリーで、いきなりコンペ部門にノミネートされたのは濱口竜介監督だ。

 濱口の作品『寝ても覚めても』は、柴崎友香の同名小説が原作。同じ顔をしているが性格の異なる2人の男性(東出昌大が一人二役)に恋をした主人公・朝子(唐田えりか)の揺れ動く心を、独特の手法で描いた。さりげないが計算しつくされた自然な演技、大胆な撮影方法など、辛口の評論家をうならせ、50年代から60年代の映画運動「ヌーヴェルヴァーグ」の再来とまで評価された。濱口監督は、東大文学部を卒業し、テレビの仕事を経験。その後、東京芸術大学の映像研究科の門をくぐった。東日本大震災のドキュメンタリーを制作したことが、彼の監督としての表現方法に大きく影響したと語る。

 主人公の相手役を演じる東出は公式上映に感激した様子。「2000人の会場で自分の出演映画が上映されたのは初めてで、天井を見てその広さに驚きました。さすがカンヌだと思いました。上映後2階席から身を乗り出して拍手してくれた人がいたんです。映画の思いが届いたんだと思い、その人たちへの感謝をフランス語でメルシーと言いました」と興奮気味に話した。

 短編部門のコンペに2度目のノミネートを果たしたのは、濱口監督の出身である東京芸術大学映像研究科、メディア映像教授・佐藤雅彦が率いる「c-project」(豊田真之、関友太郎、平瀬謙太朗)が、川村元気とコラボした『どちらを選んだかは分からないが、どちらかを選んだことははっきりしている』だ。c-projectのcはカンヌのc。「つくり方を作る」をモットーに、カンヌ映画祭の上映に値するような映画づくりを目指す。

 4年前には『八芳園』が短編部門でコンペ入り。新作は若手プロデューサーとして活躍する川村が加わり、黒木華と柳楽優弥をキャストに迎え、数学的概念である双対性をドラマ化した。

 「東京芸大は美術学部と音楽学部がある。ところが世界で生まれている大部分の表現は映像、それで映像研究科というのを13年前に作ったんです。今年カンヌに長編と短編の両方で映像研究科がからんでいる。ちょうど成果が出はじめているんじゃないかと思うんです」と佐藤教授は語った。

 また、監督週間では細田守監督の『未来のミライ』がノミネートされ、監督と上白石萌歌がカンヌ入りした。この部門でアニメが上映されることはまれ。作品の質の高さが認められた結果だ。

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パオパオチャンネルに聞いた 「魅せる動画」のコツ(日経トレンディネット)

 最近、SNSなどに動画の投稿が増えている。スマホがあれば簡単に動画が撮影できるし、写真よりもその場の雰囲気を伝えやすいのが理由だろう。

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 そんなSNSを眺めながら「よし自分も動画を撮ってみよう」と考えている方も多いはず。とはいえ、実際に撮影してみると、意外とハードルが高い。ブレたり、間延びしたり、人が見切れたり、見ていて酔いそうな映像になってしまったり――。動画の投稿は自由なれど、とても人には見せられるようなものが作れない。そんな悩みに応えるために、UUUM(ウーム)所属の人気YouTuberユニット「パオパオチャンネル」のお二人に、普段使っている機材や動画撮影のコツを聞いてみた。

 パオパオチャンネルは@小豆さんとぶんけいさんの2人からなるユニット。日常からファッションやメイク、ダンスまで、軽快なトーク番組をアップしている。しかも、高校生のころから動画をアップしていたというベテランだ。主に編集を担当しているぶんけいさんは、ミュージシャンのPVなどを手掛けるプロの映像クリエーターとしても活躍している。

「パオパオチャンネル」はこちらをクリック

動画撮影で心掛けていることは……

――なぜ、YouTuberになったのですか?

@小豆さん(以下敬称略):もともと2人で活動していたのですが、活動の幅を広げるためにYouTubeに投稿するようになりました。 

ぶんけいさん(以下敬称略):ニコニコ動画でダンスなどを投稿していたのですが、YouTubeは見ている人の数も多く、投稿者も個性派ぞろいで、何でもできるという感覚になりました。 

――YouTubeの動画を撮影するときに心掛けていることはありますか?

@小豆:自分たちが楽しむことが一番です。あと、作られ過ぎているとYouTubeの良さがなくなってしまいます。テレビとは違った短さとか、完璧じゃないのがYouTubeの良さだと思います。

 テレビのようにスタジオで照明がそろっていて、台本がしっかり決まっているわけではなく、部屋の一角にカメラを1台置いて、対面で話している、日常をのぞいている、そんな感じが良さだと思っています。きちんと作り込み過ぎるとテレビ番組みたいになって、「それならテレビを見ればいいじゃん」ということになるので。

ぶんけい:そうですね。見ている人が友だちみたいな感覚でいてくれればと思います。実際に撮影しているのもスタジオではなく、撮影用の部屋を使っていますし。

●撮影はコンパクトデジカメ!?

――普段、撮影に使っているカメラはなんですか?

ぶんけい:ソニーの「RX100 V」です。これはYouTubeを始めてから3代目のカメラです。

――どんなムービーカメラが登場するかと思っていたのですが、なぜ、コンパクトデジカメになったのですか?

ぶんけい:最初の一眼レフは少し古い型でオートフォーカスの反応が良くなく、重さもあり、液晶モニターを180度回転できませんでした。映像用に作られてはいなかったので30分以上録画できないという弱点もありました。画像はすごくきれいですが、きれい過ぎて不自然でした。

 その後、家庭用ビデオカメラ(ハンディカム)に替えました。画質、液晶モニター、録画時間の問題は解決しました。重さはたいして変わらないのですが、持ちやすくなりましたね。でも、わがままなんですが、画質が「普通」過ぎましたね(笑)。家庭用ビデオカメラの映像がYouTubeではありふれていると思えたんです。

――そして、行きついた先が「RX100 V」だったということですね?

ぶんけい:そうです。きれい過ぎず、汚過ぎず、ちょうどよかったです。カメラを持っていることを意識しない大きさ、軽さなのもいいです。一眼レフや家庭用ビデオカメラは「カメラ」を意識してしまうのですが、コンデジはそれがなく、僕たちの気持ち的にも不自然にカメラを意識しなくなりました。

 レンズは今までのどれよりも広角ですし、人間の視野を意識(詳しくは後述)して、24~35mm(35mm換算)ぐらいで使っています。あと、モニターが上向きに回転するのも良かったですね。

――三脚もコンパクトですね。

ぶんけい:今日は外用のミニ三脚を持ってきましたが、家では普通の三脚を使っています。目線の高さで固定しています。視聴者と対話しているイメージを大事にしています。 

あらゆるコンテンツの本質は「人間とは何か?」の探求 佐々木健一「TVクリエイターのミカタ!」(日経トレンディネット)

『哲子の部屋』『ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」』など、独自の切り口のテレビ番組を企画・制作するNHKエデュケーショナルの佐々木健一氏が展開するコンテンツ論の第26回。

【関連画像】『神は背番号に宿る』(佐々木健一著、新潮社刊)

 今回は世にあふれるコンテンツの本質について述べたいと思う。テレビ番組、映画、小説などジャンルを問わず、ありとあらゆる作品は、一言でいえば、ある一つの“大きな謎”について取り扱っているといっても過言ではない。それは、

「人間とは何か?」

 という問いだ。「そんな大袈裟(おおげさ)な……」と思うかもしれないが、どんなコンテンツも結局は、この根源的なテーマを大なり小なり内包している。

 例えば、なぜ人は毎日、ニュースを見るのか? 表面的には「世の中の動きを知るため」だが、その世の中を動かしているのは紛れもなく人間だ。政治、環境問題、殺人事件、芸能ゴシップなど、ありとあらゆる出来事に関わっているのは人間以外の何者でもない。そうしたニュースを見ながら、「(自分と同じ人間なのに)どうしてこんなことを?」と感じ、人間というものがますます分からなくなる。だから、一向に関心が尽きないのだ。

 ビジネスやトレンドに関する話題でも、経営や組織、市場には常に人間という存在がある。もし、人間のことがよく分かっていれば、ビジネスも成功し、より多くモノを買わせてヒットを飛ばすことも可能なはずだ。論理的に考えればそうだが、実際にはそう簡単にはいかない。それほど「人間」に関する謎は深く、一筋縄ではいかないのだ。

 もし仮に、「人間のことはよく分かっている」という人がいれば(そんな人がいれば、「神」ぐらいだろうが)、「人間とは何か?」という問いも浮かび上がってこないし、これほど持続的な興味も湧かないだろう。“分かりそうで分からない”という強力な訴求力を備えた万人に共通する命題が、まさしく「人間とは何か?」問題なのである。

 テレビドラマや映画といったフィクションも、さまざまな関係性から「人間とは何か?」という命題を常に扱っている。「こういうとき、人はどう感じ、どう行動するのか?」という問いや、「人は本来、こうあるべき」という理想を作品の中に描いている。

 つまるところ、世にあふれる「コンテンツ」とは、この「人間とは何か?」という根本的な問いに対して、クリエイターがさまざまなモノの見方や解釈を提示し、手を変え、品を変えて世に送り出した変奏曲のようなもの、と言えるだろう。

 逆に言えば、あらゆる人が手を尽くしても、依然として分かりそうで分からないのが、最も身近な「自分自身」(=人間)のことだ。それ故、「人間とは何か?」という問題が人類にとって最大の関心事であり、さまざまなコンテンツが世に生まれているのだ。

 通常、この命題は、あからさまな形で示されることはない。私自身も以前、意外な作品の中で「人間とは何か?」という永遠のテーマを描いているので、一例として紹介したい。

映画DVD・BD“特典競争”が激化 ピー音まで入る(日経トレンディネット)

5/12(土) 12:00配信

日経トレンディネット

 映画のDVD・ブルーレイに収録される特典映像や、ビジュアルコメンタリー(映像解説)&オーディオコメンタリー(音声解説)などの特典が、年々すごいことになっている。

【関連画像】『キングコング:髑髏島の巨神』

 例えば、2017年11月に発売された『銀魂』のブルーレイのプレミアム・エディションには、メインキャラクター15人それぞれのメイキングとインタビュー映像、未公開シーンやNGシーンなどを含む4時間を超える特典映像を収録。なかでも主演の小栗旬と福田雄一監督によるビジュアルコメンタリー(DVDではオーディオコメンタリー)では、本編を見ながら二人が話す内容が過激すぎて「ピー」音がたくさん入っており、かえって気になって何度も見てしまう作りになっていた。

 ビジュアルコメンタリーやオーディオコメンタリー自体は、ほとんどの映画DVDやブルーレイに付いている特典ではある。しかしその中に、「そこまでやるか」と思わされるものが増えてきている。特に顕著なのが海外作品だ。

『キングコング:髑髏島の巨神』は監督のオタク心さく裂

 ここ数年で大きな反響を得た特典といえば、『キングコング:髑髏島の巨神』。そのすごさは、ひとえにジョーダン・ボート=ロバーツ監督のオタク心にある。

 目玉になったのが、監督のオーディオコメンタリーだ。監督が語る内容がマニアック過ぎる。ロケ中のハプニングや俳優たちのエピソードはもちろんのこと、巨大生物のデザインや、印象的なシーンが過去の何の作品に影響を受けているかを、事細かに説明しているのだ。

 例えば、冒頭でキングコングが突如現れるシーンは「ビデオゲームの『ワンダと巨像』(2005年発売の「PlayStation 2」用ゲームソフト)にインスパイアされている」とか、『新世紀エヴァンゲリオン』やスタジオジブリ作品への思いなど、実際に本編映像を見直しながら収録したコメントを聞いていると、劇場で見ていても、コメンタリーのためだけに繰り返し見たくなってしまう。

 実はこの映画は次回作でゴジラやキングギドラなど、東宝特撮怪獣が登場してフランチャイズ(シリーズ)化されることが決まっており、劇場公開直後からラストシーンに秘められた次回作への布石が話題になっていた。さらに、監督はモンスター映画や日本の特撮映画の大ファン。オリジナルの『キングコング』のファン層+モンスターアクション映画のファンに加え、日本の特撮ファンも巻き込み、反響が広がっている。

 このジョーダン・ボート=ロバーツ監督をはじめ、オタク監督による特典はかなりの見どころ、聞きどころがある。

『キングコング:髑髏島の巨神』

ブルーレイ2381円+税 DVD1429円+税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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