買えばもうかる?仮想通貨ブームに法整備強化求める声高まる 金融庁どう動くか(産経新聞)



 不正アクセスにより約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した仮想通貨交換所大手のコインチェック(東京)の問題を受けて、仮想通貨取引に対する法整備を強化すべきとの声が高まっている。コインチェックは顧客から預かった日本円の出金を再開した一方、流出した通貨の補償、ほかの仮想通貨の引き出しができない状態が続いているからだ。仮想通貨ブームが続く中、顧客資産の保護が追いついていない実態が露呈している。金融庁はどう動くのか-。

 金融庁は、「政府や中央銀行による信用の裏付けはない」として、仮想通貨そのものを認めていないが、平成28年の改正資金決済法の成立を経て、取引する仮想通貨交換所の登録制を昨年4月に導入。利用者保護やテロ・犯罪組織による仮想通貨の悪用を防ぐことを狙いに、100以上からなる項目を審査基準として登録業者以外は仮想通貨の売買・交換ができなくなるようにした。一方で、仮想通貨技術の将来性なども考慮し、施行前から運営していた取引所に対し、金融庁に登録を申請していれば仮想通貨交換業者とみなし、「みなし業者」として暫定的に業務を続けることを認めた。

 こうした取り組みは世界初で、改正資金決済法に違反した場合は、「3年以下の懲役」か「300万円以下の罰金」、またはこの両方が科される。

 一方、顧客保護の仕組みは整っていない。銀行に預金した場合は、預金保護法に基づき1人あたり元本1000万円と利息が保護される。外国為替証拠金取引(FX)では、顧客が提供する証拠金は信託銀行などに管理を委ねており、取引業者の破綻時にも顧客資産が保護される。キャッシュカードも盗難に遭った場合は、全額が補償される。

 一方、仮想通貨については、三菱UFJ信託銀行が顧客資産保護のための信託商品を検討しているのみで、救済制度がないのが実態だ。大和総研の矢作大祐氏は「仮想通貨が流出した際に、全額を補償する盗難保険を作るべきだ」と指摘する。

 加えて、仮想通貨は、インサイダー、風説の流布の規制がない。仮想通貨に、株式市場のような相場の変動による混乱を防止するために設けた騰落値幅の限度があるわけでもない。こうした実態があるにもかかわらず、「一獲千金を狙う、20~30代の若い世代を中心に、買えばもうかるという誤った認識によるマネーゲームが起きている」(法政大学大学院の真壁昭夫教授)。仮想通貨全体の時価総額は2月中旬、44兆円を超えるなど、ブームは収まっていない。仮想通貨自体への規制も検討すべきとの声も挙がっている。

 ただ、仮想通貨には低いコストで海外送金できたり、政情で通貨の価値が激変する新興国では一定の価値を持った通貨として利用できたりするなどのメリットも持つ。日本でも「複数のコンピューターで取引を監視するブロックチェーンの技術はものすごいインパクトがある。イノベーションを起こすにはものすごい可能性がある」(自民党の平井卓也IT戦略特命委員長)といった声も多く、利便性と利用者保護のバランスをどう保ちながら、規制を強化していくのか難しい局面にさしかかっている。(経済本部 飯田耕司)

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