自動車市場USA→CHINAに 日本勢、韓国失速〝漁夫の利〟試される中国戦略(産経新聞)



 世界の自動車販売を中国市場が牽引(けんいん)する構図が、これまで以上に鮮明になっている。ホンダが2日に発表した2017年の中国での販売台数は前年比16%増の145万8000万台で、同社として過去最高を更新。 日産自動車は5日、中国で22年までに600億人民元(約1兆円)を投資し、年間販売台数を17年実績の1.7倍の260万台に引き上げる計画を公表した。22年の売上高は3000億元(約5兆円)に達する見通し。日本勢が“主戦場”としてきた米国で乗用車市場が頭打ちになる中、相対的に中国の存在感が高まっている。各社が中国市場で勢いを維持するには、電気自動車(EV)の投入など環境規制への対応が試されることになる。

 ホンダの倉石誠司副社長は中国市場での販売好調について、「中国専用モデルなど、現地のお客さまのニーズに合った商品を投入してきた。人気となっているスポーツ用多目的車(SUV)などで強いモデルを持っていることも要因だ」と説明した。164万1000台の米国と差は縮まっており、倉石氏は「市場動向からみると、近いうちに抜かなければならないと思っている」と話した。1982年に日本の自動車メーカーとして初めて現地生産を始めて以来、米国を最大市場としてきたホンダにとっての転機だ。

 日産は現地の自動車メーカー、東風汽車と合弁で中国事業を展開している。合弁会社の関潤総裁は「中国は世界で最もダイナミックで、急成長している市場。ここでしっかり成果を出したい」と強調する。

 日産の17年の中国市場での販売台数は前年比約12%増の151万9000台と過去最高で、日系メーカーでは最多。トヨタ自動車は約6%増にとどまり、日産・仏ルノー・三菱自動車連合の世界販売台数がトヨタを抜いて2位となった背景には、中国での勢いの差があるといえそうだ。

 三菱自はSUV「アウトランダー」の現地生産を始めた影響で17年の中国での販売台数が6割近く増え、初めて最大の市場となった。マツダも中国専用モデルのSUV「CX-4」が好調で、米国での不振もあり、7年ぶりに中国での販売が最大となった。

 中韓両国の関係悪化により、中国で韓国・現代自動車が失速し、日本メーカーが“漁夫の利”を得た側面もある。

 米国ではSUVのほかピックアップトラックが支持され、セダンタイプの乗用車は苦戦。競争激化による販売奨励金の積み増しなどで、収益性も悪化している。

 世界首位の独フォルクスワーゲンは中国でもトップシェアで、「中国を制する者が世界を制する」という状況だ。

 今後は、中国政府の環境規制への対応が焦点だ。19年には自動車メーカーに対し、EVなどの新エネルギー車を一定割合製造・販売することを義務づける方針。ホンダの倉石氏は「電動化は中国が世界を主導するので、いろんな準備をしなければならない。モーターや制御技術などの強みを生かしていく」と強調する。

 日産は今年、EV「リーフ」を含む電動化車両3車種を中国市場に投入する。19年にも3車種を追加、幅広いラインアップを取りそろえて、新規制に対応。EVの基幹部品の現地生産化も進め、外資系合弁ブランドとして、業界シェアでトップ3に入ることを狙う。

 ただ、日中関係の悪化など政治的なリスクもあり、中国を最重視する世界戦略には危うさも伴う。(経済本部 高橋寛次)



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