経団連・中西次期会長 路線継承、距離感探る(産経新聞)



 ■榊原氏ルート確立、「異論挟めず」批判も

 5月31日の総会で経団連会長を榊原定征氏から引き継ぐ日立製作所会長の中西宏明氏は、榊原氏が進めてきた安倍晋三政権との連携路線を継承する考えだ。ただし榊原氏には、政権との関係が近すぎて言うべきことを言えなかったとの批判もあり、安倍政権との関係は中西氏にとっても課題となりそうだ。

 榊原氏は平成26年の会長就任直後から、「デフレ経済の緊急事態の中で、政治と経済が車の両輪でなくてはならない」と強調。経済界の求める政策実現に取り組んだ。前任の米倉弘昌氏が24年の衆院選直前、当時野党の自民党総裁だった安倍氏が公約した金融緩和策を「大胆というより無鉄砲」などと批判し、その後誕生した安倍政権との関係が悪化したのと好対照だ。

 榊原氏は安倍政権下で経済財政諮問会議の民間議員などに就任。経団連の考えを政権の考えや政策に反映させるルートを確立した。賃上げや子育て支援などでは、安倍首相が榊原氏に直接要請し、それを受けて榊原氏が企業に協力を呼びかけるなどして、経団連が政権の要望を請け負う関係が年々強化された。

 しかしその一方で、経団連は政権批判や経済界として政策に異論を挟むことができなくなっていた。特にこうした関係が顕著だったのは、榊原氏が「命をかける」と公言してきた財政再建問題だ。榊原氏は消費税率の着実な引き上げを求めてきたが、安倍首相が28年6月に消費税率10%への引き上げを再延期すると決めると、「極めて重い政治判断を尊重する」と、考えを180度転換。経済界から批判を受けた。

 個人的にも安倍首相と親しい中西氏にとっても、政権との関係は難問だ。中西氏の出身会社である日立はインフラ輸出などで政府との関わりが深く、英国で手がける原子力発電所プロジェクトは政府が支援する方向で調整が進む。デフレ経済からの完全脱却の最終局面を迎える中で政経一体の取り組みは必要だが、中西氏と政府の距離感によっては、日立と政府の関係が「利益誘導」と問題視される可能性もある。

 中西氏は13日の会見で原子力事業について「国の関与がなくてはこの産業は成立しないなかで、立場立場をわきまえて将来の(事業)構造をつくっていくことが重要だ」と強調。経団連と政権の距離感を慎重に探る姿勢を示している。(平尾孝)

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