ファッション・ビューティー事業を展開するマッシュホールディングス社長 近藤広幸氏が語る「ヒットブランドの作り方」(日経トレンディネット)



 本連載は「この人の『勘』や『感』の見方を知りたい!」と思った方にお会いし、仕事に「勘」や「感」は必要なのか。そして、どのように磨けばいいのかについて、成功談も失敗談も含めて聞いていくものです。それも、難しい書き言葉ではなく、分かりやすい話し言葉で。読者の皆さんにとって、未来に向けたヒントになれば幸いです。

【関連画像】「ジェラート ピケ(gelato pique)」

 今回は前々回と前回に続き、マッシュホールディングス社長の近藤広幸さんです。前回(「ジェラピケ生んだマッシュ社長が語るブランドの作り方」)は、数々のヒットブランドは社長自ら発想して作っていることや、最初に感覚的な世界を見せてからロジックを展開するという企画書の意図などについて、具体論も含めたお話を伺いました。今回は、ヒットブランドを生み出す源にあるもの、デザインについての考え方などを聞いてみました。

●「共感」でなく「驚き」が感動を呼ぶ

川島: 近藤さんは、多くの会議や打ち合わせはもちろんのこと、ブランド立ち上げ時の企画書作りも自身で手がけるなど、仕事に全エネルギーを注いでいるように見えます。その情熱の源はどこにあるのでしょうか。

近藤: 僕の場合、お金もうけのためだけに仕事ができないというところが昔からあって、社長という今の仕事についても同様なのです。原点にあるのは「感動を与えたい」ということです。

川島: ええー、ちょっとかっこ良過ぎますが(笑)

近藤: いや、具体的には、うちの商品やサービス、お店、広告などに触れた人に「かわいい!」「うれしい!」「おいしい!」と感じてほしいという思いが、僕を突き動かしているのです。感動とは、例えば服を見た瞬間、コスメを使った瞬間、スイーツを食べた瞬間に湧き上がってくるもの。理論理屈だけでは説明できないことです。

川島: 確かに。でもどうやったら、近藤さんのように、人を感動させるモノやコトを生み出せるのか、そこに興味があります。

近藤: 感動を生み出すには、今までにない発想が必要になってきます。

川島: 今までにないということは一番手であること。つまりオリジナルじゃなければいけないということですか? でも二番煎じのほうがそれなりにヒットを読めるので、企業が手堅い道を選ぶときによくやる手法だと思います。

近藤: 二番煎じは合理的ですが、人に感動を与えることはできないと思うのです。

川島: 前回も近藤さんは「二番煎じはかっこ悪い」とおっしゃっていました。

近藤: どこかで見たことがあるもの、聞いたことがあるもので人を感動させるのは、不可能に近いのです。

川島: なぜですか。

近藤: そこに「驚き」というものがないからです。「共感」はあるかもしれないですが、「かわいい!」「うれしい!」「おいしい!」といった「驚き」はないわけです。

川島: なるほど、分かる気がします。「いいな」と思うモノやコトって、最初に「えっ」という「驚き」が来ますものね。でも一方で、「共感」で売れるものもあります。「共感」と「感動」の違いはどこにあるのでしょうか。

近藤: 二番煎じが共感を呼んで売れるのは、オリジナルより安いかどうか、便利かどうか、いわば“インフラ的な要因”に負うところが大きいのです。日本が高度経済成長期だったら、高額品を安価にしたり、機能をたくさん付けたりといったことが、大きな意味を持っていたのではないでしょうか。あの時代に僕が生きていたら、ゴハンを食べる、寒さをしのぐといった生活レベルを上げていくことに、もっと関心が湧いたのかもしれません。でも今の日本は“インフラ的なこと”がほぼ行き渡っている。だから僕は、人々の心を豊かにすることに圧倒的な興味を持っているし、仕事を通してそれを実現し、世の中に広めていきたいと考えているのです。

川島: 近藤さんの関心が人生や心にあるから、マッシュホールディングスが手がける領域は、服に限らずコスメや食と、どんどん広がっているのですね。でも、それって果てしないじゃないですか?

近藤: 何でも興味津々です。



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