海賊版「ブロッキング」法制化断念 政府、広告抑制など総合対策で対応(産経新聞)



 政府は、漫画などを無料で公開している海賊版サイトの対策として検討してきた、強制的に閲覧を止める「接続遮断(ブロッキング)」の法制化を断念する方針を固めた。今月下旬招集の通常国会への関連法案提出を検討してきたが、憲法上の権利を侵害するおそれがあることなどから、法制化は時期尚早と判断した。政府は広告出稿の抑制を促すなど接続遮断以外の方法による海賊版サイトへの総合対策を策定。2月にも工程表をまとめ、早期の対策に乗り出す。

 政府は昨年6月から10月まで有識者会議で、接続遮断の法制化に向けた議論を行ってきた。しかし通信業界を中心に「接続遮断は憲法で規定される『通信の秘密』を侵害するおそれがある」「技術的にも抜け道があり、効果は限定的だ」などの反対が続出。有識者会議が中間とりまとめを断念するという異例の経緯をたどっていた。

 ただ、海賊版による著作権侵害の被害は約4300億円に達しているとされ、出版社などから対策を求める声は強い。このため政府は接続遮断以外の方法による海賊版サイト対策をまとめた。

 総合対策は、出版社の枠を超えた漫画やアニメの正規版サイトを後押しするための「事業者間協力の構築」▽海賊版サイトに誘導するサイト(リーチサイト)の規制や、漫画などの静止画のダウンロードの禁止を目的とした「著作権法改正」▽海賊版サイト運営者の収益となっている広告収入を抑制するための「広告出稿抑制に向けた広告団体との協議推進」-など。著作権法改正に向けては、政府は通常国会に改正法案を提出する方針だ。

 政府関係者は「事業者間協力を促して、利用者の利便性の高い正規版サイトを構築することと、広告出稿の抑制が、現実的な海賊版対策の柱だ」と話す。

 一方、総合対策には、広告出稿の抑制といった接続遮断以外の対策で効果が見られなかった場合は「接続遮断も必要となる」と明記。将来的な接続遮断に向けた制度整備の必要性についても記載されている。

 ■海賊版サイト 漫画や映画などを著作権者の了解を得ないまま無料で公開するインターネットサイト。政府は昨年4月、「漫画村」など悪質な3サイトを名指しし、法制化までの緊急措置として、民間プロバイダー(接続業者)による自主的な接続遮断が適当とする見解を示した。大手プロバイダーを運営するNTTグループ3社は接続遮断に踏み切ると発表したが、名指しされたサイトが閉鎖されたため、実際には遮断は行われなかった。

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