川崎重工、「水中ロボ」実証実験 海底油田向け、潜水艦技術を転用(産経新聞)



 川崎重工業が、海底油田・ガス田のパイプラインを自動で点検する無人潜水機(AUV)の実証実験を1月中旬から和歌山沖で始める。現在主流の遠隔操作機(ROV)と比べ運用コストが低いのが特長で、平成32年の商用化が目標。同社と三菱重工業は海上自衛隊の潜水艦を長年建造しており、世界トップレベルの技術を民間向けに転用して新ビジネスにつなげる。

【画像】川崎重工が開発中の無人潜水機のイメージ

 ROVは専用の母船とケーブルでつながれているため、一定区域のパイプを検査したら引き揚げて次の区域に移動する手間がかかるほか、母船のレンタル料は1日1000万円にも上る。

 一方、AUVはセンサーや検査機器を取り付けたロボットアームを搭載し、海中のパイプラインに沿って自動で動きながら点検を行う。駆動用の電池が切れたら、水中に設置する電源ステーションに自動で戻り、非接触充電して再び点検を始める仕組み。母船を動かす人手や費用も省ける。

 水深数百~数千メートルに敷設され高い水圧を受けるパイプラインには、破損や腐食のリスクが付き物で、定期的な点検が欠かせない。これまで自動化が進んでいなかったのは技術的な難しさに加え、油田・ガス田開発の巨額投資に隠れて点検コストの軽減が重視されなかったという事情もある。

 川重のAUVは29年秋に英国沖で実証実験を行い、電源ステーションに自動でドッキングする技術を確立した。続く和歌山沖での実証実験は、AUVが潮流にさらされながら、パイプラインと一定の位置関係を保って点検を続けられるかどうかを確かめる。

 日本の潜水艦技術をめぐっては、一定の条件を満たせば装備品の輸出を認める「防衛装備移転三原則」に沿ってオーストラリア海軍への納入を目指したが、28年にフランスとの受注競争に敗れた経緯がある。

 パイプライン点検用のAUVは、国家間の思惑がからむ潜水艦自体の輸出と比べて収益化しやすいとみられる。川重は、機体の売り切りでなく点検業務も請け負い、年間100億円規模のビジネスに育てる考えだ。

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