医療機器ビジネス、始め方は 多くの参入障壁、産学連携で解決を(SankeiBiz)



 医療機器業界は「将来有望」と言われる。厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、2015年の国内市場規模は2兆7000億円超で、00年初頭からほぼ一貫して増加傾向にある。多くの上場企業の中期経営計画に医療、ヘルスケアの文字が躍る。では新たに医療機器ビジネスに乗り出すにはどうすればよいのか。一つの方法として大学病院との共同研究を勧めたい。(Kompath代表取締役CEO・高橋遼平)

 医療機器業界で事業を始めるには障壁が存在する。

 第1に業界内での競争の激しさが挙げられる。自社ブランドで医療機器を販売する医療機器製造業者は約2500社あり、その機器製造を受託する製造業者も約4000社ある。これらに医療機器の部品製造業者は含まれず、サプライチェーン全体を考えると企業数はさらに多くなる。結果として、収益性の高い医療機器事業開発には強い差別化要素が求められる。

 第2に法規制が挙げられる。最も代表的な法規制として、薬機法と呼ばれる「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」があり、医療機器の品質管理や広告に関し制約と抵触時の罰則が存在する。

 第3に、マーケティングの難しさが挙げられる。医療機器の多くは医師が用いるのであり、そのニーズを把握する際はもちろん、開発プロセスにおいても医師の関与が不可欠だ。大学病院との共同開発を勧めるのは、これらの障壁を乗り越えられる側面が大きい。

 大学病院では医療行為だけでなく、医療現場で将来活用される先端技術のシーズを研究開発しており、製品として実装することで強い差別化要素となり得る。また、大学病院での基礎研究で得られた成果を新しい医療技術として確立することを目的とする「橋渡し研究」に関する専門部署がある。これは「トランスレーショナルリサーチ」と呼ばれ、法規制にもノウハウの蓄積がある。さらに、医師と共同で研究開発を実施するため、ニーズのヒアリングや開発プロセスからフィードバックを得ることもでき、最適のマーケティング体制を構築することができる。

 産学連携は企業だけにメリットがあるわけではない。大学や大学病院は事業の主体となることはできない。医師、研究者が長い時間をかけて生み出した研究成果も企業とタッグを組み、製品やサービスとしてリリースされなければ、医療現場には届かない。

 新しい研究に取り組むためにも原資が必要である。共同研究の成果が企業を通じて収益を生み、その一部が大学病院に還元されるからこそ、次の先進的な研究を始めることができる。

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【プロフィル】高橋遼平

 たかはし・りょうへい 京大経卒。東工大環境・社会理工学院修了。工学博士。2012年三菱商事入社。15年10月医療系ITスタートアップのKompathを設立し、共同創業者兼代表取締役CEO。大学付属病院と共同で医用画像処理アプリケーション開発に取り組む。30歳。東京都出身。



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