19年日本経済はトランプ氏に翻弄 自動車高関税なら消費増税延期も(SankeiBiz)



 2019年の日本経済は、トランプ米大統領の経済・外交政策の行方に翻弄されそうだ。米中貿易戦争の長期化が世界経済の減速懸念を強め、そこにトランプ減税の効果剥落を見越した米景気失速への懸念が足元で台頭。一方、保護主義的な色彩をいよいよ強め、米国が輸入する自動車に高関税を適用する可能性を否定できなくなっている。大幅な腰折れ懸念が顕在化すれば、消費増税の延期も具体性を帯びる可能性がある。

 4日の米ニューヨーク市場では一時、ダウ工業株30種平均が前日比800ドルを超す下落となり、米中貿易戦争の90日間猶予を歓迎した株高は、たった1日で幕を閉じた。

 米経済はもともと、トランプ大統領が10年間で総額1兆5000億ドルの税制改革案を提示。財政を吹かして、景気を持ち上げる政策を大胆に展開した。

 その結果、18年の米経済は成長率を上げ、ダウも最高値を更新するという「好況」を演出したが、人手不足による人件費高騰と物価上昇という現象ももたらした。いわば、そこそこの景気拡大を見せていた米経済に大きな刺激を加えて、景気変動の振幅を大きくしたのがトランプ大統領の経済政策だといえる。

 さらに大きいのは、米中貿易戦争の勃発だ。当初、市場の多くは、中国が米国からの輸入を大幅に引き上げ、それで決着すると高をくくっていた。

 しかし、先の米中首脳会談後の米国側からの情報発信を見ると、知的財産権問題で米国は中国の完全な譲歩を強く求めており、90日後に決着する見通しが立たなくなっている。その辺りの市場の見通しの変化が、4日のNY市場での米株下落にも影響していると考える。

 ここで注視すべきは、足元で起きている米国内での自動車販売におけるセダンの売れ行き不振だ。ゼネラル・モーターズ(GM)の工場閉鎖計画は、その影響を受けた対応とみられるが、トランプ大統領は同社を強く牽制(けんせい)している。この方向性がさらに強まれば、米国内での米自動車産業の生産量を維持するために、輸入される自動車に20%ないし25%の高関税をかけるという決断をトランプ大統領がする可能性が、ジワリと高まってくる。

 日本政府と国内自動車メーカーが、対米自動車輸出の自主規制を自ら提案しない場合、日米通商交渉の合意時に米国が高関税適用を発表するケースも想定できる。

 いずれにしても、年間174万台の対米輸出が大幅に削減されるような展開になれば、4兆円分の対米自動車貿易黒字が大幅に減少し、日本経済に大きな打撃となる可能性が高まる。

 そのケースでは、来年10月に予定される10%への消費増税を延期する選択肢も浮上する可能性がある。安倍晋三政権が推し進めてきた消費増税の延期は、「国民に信を問う」ことに直結し、来年7月に衆参同日選となることも十分に予想される。このようにみてくると、19年の日本における政治・経済上の大きな変動は、ことごとくトランプ大統領の政策対応と関連している。

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【プロフィル】田巻一彦

 たまき・かずひこ ロイターニュースエディター。慶大卒。毎日新聞経済部を経てロイター副編集長、コラムニストからニュースエディター。東京都出身。



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