「未利用魚」活用で独自給食 横浜市立小学校で初の取り組み(産経新聞)



 定置網や底引き網で取れた魚で大きさが出荷の規格よりも小さく、値段がつかないことなどを理由に、食用にされない「未利用魚」を活用する動きが広がっている。横浜市は市中央卸売市場本場(同市神奈川区)と協力して、同区内の市立小学校で未利用魚を使った独自給食を提供する試みを初めて実施した。貴重な水産資源を取り巻く課題や、魚を食べることの大切さなどを身近な給食から知ってもらいたい考えだ。

 「未利用魚がわれわれの身近にあることを、皆さんに知ってほしい。命を大切にして、限りある水産資源を大事に使いましょう」。11月13日午前、横浜市立西寺尾第二小学校で、5年生の児童約100人を前に卸売業「横浜丸魚」の執行役員、草間一昭さんは力を込めた。

 ■水産資源を大切に

 子供たちに未利用魚について理解を深めてもらおうと、映像などを使用して未利用魚が出る原因や対策、水産資源を有効活用する必要性などを草間さんは講義。講話を聞いた5年生の小林心咲さん(11)は「魚の命も、1つの大事な命。捨てられてしまうのは命がもったいない。未利用魚をどこかで買えるようにしてほしい」と話した。

 同日の給食では、未利用魚を使った小イワシのカレー揚げが提供された。区内の小学校計9校の全学年で、約6700食が出されたという。17日には区内の小学校3校の5年生を対象に、小型のサバのあんかけを提供する予定だ。

 農林水産省の平成29年漁業・養殖業生産統計によると、日本の総漁獲量は430万4千トンに上る。一方で、未利用水産資源の正確な数値の把握は難しく、未利用魚に関する統計はない。

 ■コストがかかり

 未利用魚が出る原因について、草間さんは「お金にならないから」と話す。また、「1匹の小さい魚を消費者に流す経費も、大きい魚を流す経費も同じ。しかし、小さい魚のほうが一次処理に手間がかかり、加工業者の負担になってしまう」と指摘。サイズが大きい魚のほうが作業がしやすく、手間がかからないため、業者側は「損をしてまでその魚を扱わない」としている。

 一方で、限りある水産資源を有効活用しようと、未利用魚を食べやすい商品に加工するなどして、付加価値をつけて市場に流通させる取り組みが進められている。その理由の1つが、第1次産業の漁業就業者の高齢化と後継者不足が深刻な問題になっているためだ。

 魚価の低迷や燃油価格の高止まりなど、厳しい経営環境も漁業就業者の減少に影響しているとみられ、漁船漁業の収益性を高めるための体制構築と漁業の将来を担う人材の確保・定着が急務となっている。同省によると、全国の漁業就業者数は15万3490人(同年11月1日時点)で、10年前に比べて約5万人減少している。

 ■価値つけて還元を

 さらに、漁業就業者のうち約4割が65歳以上で、高齢化は顕著だ。こうしたことから、漁業関係者たちは未利用魚の価値を高めて、漁業収入の底上げにつなげたい考えという。

 草間さんは「魚を取ることは大変で、危険も伴う。未利用魚に価値をつけて、漁師の人たちに還元し、漁師になりたい若者が増えることが一番」といい、「全国で未利用魚の問題解決を模索している。皆さんにもこのような問題を知ってもらい、将来にわたって解決の道筋を共有していきたい」と話した。

 漁業関係者は今後も、継続的に未利用魚を提供できる仕組みづくりを模索していくという。

 【未利用魚】規格よりも魚体のサイズが小さく、量がまとまらないことなどを理由に、値段がつかず、市場に出荷されないサバやイワシ、アカガレイなどの魚を指す。漁港で選別され、飼料用や肥料用などに転じて安価で取引されたり、捨てられたりする。



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