新興国リスクが意外に小さい「6つの理由」(東洋経済オンライン)



11/22(木) 13:00配信

東洋経済オンライン

 トルコ、アルゼンチンなど、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が脆弱な国の通貨が今年暴落したのは、まだ記憶に新しい。とくに、トルコリラは直近で反発しているとはいうものの、痛手を負った投資家は少なくないようだ。アメリカの利上げによるドル高や米中貿易戦争も相まって、他の新興国でも海外資本の流出や通貨の下落、暴落、さらには債務危機が起こらないかが、目下気になるところだろう。

 特に、アメリカの利上げは、1994年のメキシコ、2000年のブラジル、2002年のアルゼンチンの債務危機の発端となったと考えられていることから、同様のことが今回も起こるのではないかと懸念されている。

 しかし、筆者は新興国の債務危機の可能性を、今過剰に意識する必要はあまりないと考えている。その理由を述べていこうと思う。

 一般に、新興国が債務危機に陥る原因として、以下の6つことが考えられている。

■債務危機はさまざまな要因が絡み合って起こる

① アメリカの利上げによる資本流出・通貨の下落によるもの
② 米中貿易戦争の影響を受けるというもの
③ コモディティ価格が一定以上下落した際に、資源国の経済が混乱するというもの

④ リーマンショックのような、先進国発の世界同時金融危機が起きた際に影響を受けるというもの
⑤ 民間債務が膨大に積み上がった、中国経済がハードランディングした場合に影響を受けるというもの
⑥その国独自の要因によるもの
 それぞれについて詳しく説明していく。

 ① アメリカの利上げによる資本流出と通貨下落

 「アメリカの利上げによって新興国から資本が流出する 」
このシナリオが直近心配されているが、実際には2018年の新興国からの資本流出は、ここ10年でみてもたいしたことはない。

 ここ10年で新興国からもっとも資本が流出した四半期は、2013年にFRB(米連邦準備制度理事会)のベン・バーナンキ議長が突然テーパリング(量的緩和の縮小)について言及して市場との対話を誤った、いわゆるバーナンキ・ショック直後だ。今年よりもそのときのほうが新興国から資本は流出しており、現時点の新興国の資本流出入は通常時のそれと特に変わらない。

 通貨の下落に関しては、インドネシアのように対外債務に占める外貨建て債務比率が高い国の市場がやや狙い撃ちされて、実質実効為替レートで見ると下落傾向にある。しかし、1997年にアジア危機が起きたときとは、ファンダメンタルズの頑健さが異なっており、現時点では、トルコやアルゼンチンのような通貨の「暴落」にまで発展する兆候は見られていない。

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