ゴーン流の功罪 業績追及、生産現場と距離(産経新聞)



 販売不振による経営危機に陥った日産自動車を「V字回復」させ、業績の拡大を追い続けた会長のカルロス・ゴーン容疑者。電気自動車(EV)に積極投資しブランドの象徴に育てる一方、ひずみが生産現場にたまり、新車製造の最終工程をめぐる不正などが噴き出した。これに続く金融商品取引法違反容疑による逮捕で、ゴーン流の負の側面が鮮明になっている。

 平成12年に日産の社長に就いたゴーン容疑者。同年3月期連結決算で6843億円という記録的な最終赤字を計上した日産の業績をV字回復に導いただけでなく、商品開発での先見性も発揮した。

 日産は競合他社が懐疑的だったEVを「次世代エコカーの本命」と位置づけて開発を加速し、22年末には「リーフ」を日本と米国で投入。仏ルノーや三菱自動車を合わせたEV全体の世界販売は今年1月末に累計54万台に達した。日産車の国内販売関係者は「ゴーン氏の嗅覚はすごい。『電動車なら日産』というイメージを広めた」とたたえる。

 しかし世界市場で利益を出すことができる車を重んじるゴーン流の弊害も現れた。国内では「日本は世界戦略の一端に成り下がった」(販売担当者)といった、国内向け商品ラインアップの少なさを指摘する声も浮上している。

 こうした実態の背景にはゴーン容疑者のトップダウン型の経営手法があるともみられる。ゴーン流経営は工場閉鎖や人員削減を断行した12年4月からの経営再建策「日産リバイバルプラン」などでは効果を上げたが、結果として、日本市場向けの商品を求める販売現場の声が経営陣に届かなくなっているとの指摘もある。

 トップダウン型経営の裏側では生産現場の緩みも進んだ。昨年9月には無資格者による完成検査問題が発覚し、今年に入っても燃費などの検査データ改(かい)竄(ざん)を公表するなど社内管理の甘さを露呈している。しかも一連の不正をめぐる記者会見にゴーン容疑者は姿を見せなかった。

 西川(さいかわ)広人社長は19日の記者会見で、「(社長就任の)初期に大きな改革をしたのは事実。その後は功罪両方がある」とゴーン容疑者の光と影を認めたが、責任のなすりつけ合いでは真相究明も信頼回復も進まない。日産の最高執行責任者(COO)として長くゴーン氏を支えた志賀俊之氏(現・日産取締役)も含めて経営陣の責任も問われそうだ。(臼井慎太郎)

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