大手銀決算 海外事業が牽引 TPP追い風に(産経新聞)



 大手銀行の平成30年9月中間連結決算は超低金利で国内事業が逆風を受ける中、海外事業が牽引(けんいん)した。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が12月30日に発効することでアジア新興国の外資規制が緩和され、邦銀の海外進出はさらに進みそうだ。ただ、米国の利上げによる資金調達コストの増加など課題にも直面し、対応を迫られている。

 「アジアや欧州で貸し出しが伸びている。経済状況を反映して資金需要が強い」

 みずほフィナンシャルグループの坂井辰史(たつふみ)社長は14日の記者会見でこう指摘した。海外の貸出残高が前年同期比240億ドル(約2兆7千億円)増加したことなどを受け、海外部門は467億円の増益を計上した。

 三菱UFJフィナンシャル・グループも米国やアジアの堅調な経済に支えられ個人向けローンが好調だったほか、M&Aなど大型案件も取り込み、海外部門は217億円の増益だった。

 日本銀行によると、邦銀の海外向け投融資残高は今年3月末時点で2・2兆ドルに上り、世界シェアは英国、米国、フランスに次ぎ4位。総資産に占める割合は主要先進国銀行の2~5割に比べ邦銀は17%にとどまり拡大余地がありそうだ。

 今後追い風となるのがTPPの発効。ベトナムが現地銀行への外資の出資規制を緩和するなど先進的な貿易ルールの恩恵が見込まれる。政府も中小企業の海外展開を支援するため邦銀の海外進出を促進する構え。

 国内事業は利ざや縮小で好転の兆しがみえず、三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長が現金自動預払機(ATM)を「将来的に日本の金融機関が共同出資して運営会社をつくる形もある」と呼びかけるなど、コスト削減が関心事だ。海外市場を開拓しなければ成長を見込めない苦しい時期は当面続く。

 ただ、リーマン・ショック以降、大型M&A(企業の合併・買収)を繰り返してきた大手銀の海外戦略は曲がり角を迎えている。米利上げでドル調達コストが増えた上、欧米勢の復調で大口案件の競争が激化して収益性は低下。資金調達手段の多様化に加え、貸し出しだけでなく証券ビジネスの手数料収入など新たな収益源の確保を求められる。(田辺裕晶)



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