パリ協定 米中でせめぎ合い(産経新聞)



 ■米国…離脱は3年後、議論牽制 中国…内容を自国産業有利に

 COP23は、各国がパリ協定で約束する温室効果ガス排出の削減努力を検証できる透明性の高いルール作りが進むかどうかが焦点になる。日本は途上国の削減目標作成や正確な評価・検証体制の整備を支援し、着実な実施を後押しする方針。中国やインドが自国産業に有利なルールを主張する中、離脱表明した米国の思惑も絡んで“神経戦”が繰り広げられそうだ。

 パリ協定は、各国が自由に国別目標をつくる柔軟性が特徴だ。京都議定書は先進国のみに数値目標を義務付け、離脱が相次いだが、パリ協定は柔軟性を背景に世界169カ国(10月25日現在)が批准した。

 米環境シンクタンクによると、日中を含む57カ国の排出量は2030年までに減少に転じるとみられるが、今世紀後半に「実質排出ゼロ」という全体目標の実現には、各国の削減努力を共通のルールで検証して実効性を確保する必要がある。前提になるのが、各国で基準の異なる削減量など情報の「透明性」だ。

 日本はCOP23で、来年度から2~3カ国の途上国の評価・検証体制の整備を支援する事業のほか、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」のデータなどで透明性への貢献を打ち出す。国内の電力各社が排出量の多い石炭火力発電の新増設を打ち出す中、政府として「国際貢献をアピールする」(経済産業省幹部)。

 透明性や基準をめぐっては、主要国間の意見の隔たりが大きい。最も鋭く対立するのは世界の排出量1、2位を占める中国と米国だ。中国など一部途上国は「(排出量などの算定基準は)先進国と途上国で分けるべきだ」と主張。実際、中国は国内総生産(GDP)あたりの削減目標を掲げるが、経済成長が続けば30年まで総排出量は増える見込みだ。

 これに対し、トランプ米大統領は「中国は(30年まで)今後13年も望み通りのことをできるのに、米国はできない」と批判し、離脱表明に踏み切った。安価な石炭火力などへの規制でエネルギー価格が上昇すれば、米国産業は競争力を失いかねないからだ。

 ただ、米国の正式な離脱は早くても20年11月の大統領選後で、結果次第では政策転換の可能性も残る。そのため米国は「透明性」をテーマにした特別作業部会で中国と共同でリード役を務め、「ルール作りの議論で中国を牽制(けんせい)している」(交渉筋)。

 COP23は協定の「章立て」などから議論が始まるが、来年の運用ルール決定まで激しい交渉になりそうだ。(会田聡)

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