32歳、三井不動産マンが選んだ地方起業の道(東洋経済オンライン)



10/14(日) 6:20配信

東洋経済オンライン

 秋の夕暮れ、建物の窓から漏れた照明の光が水面に映り、幻想的な風景が広がる。この建物は、人口13万人弱、人口減少と高齢化に悩む典型的な地方都市である山形県鶴岡市に、今年9月オープンしたホテル「スイデンテラス」だ。

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 木造2階建て、客室数143室を備えたホテルを開発・運営するのは地元デベロッパーのYAMAGATA DESIGN(ヤマガタデザイン)。2014年創業のベンチャー企業だ。今年で33歳になる代表の山中大介氏は東京都出身で、鶴岡市とは縁もゆかりもない。「何をやっているのか、よくわからない会社と言われます」と語る通り、同社の事業は多岐にわたる。スイデンテラスのほかに農業支援やウェブメディア、求職者と地元企業とのマッチング、さらに11月にはホテルの隣に子ども向け遊戯施設もオープンする予定だ。

■慶応大の進出を機に一変

 ヤマガタデザインが本社を置く鶴岡市にとって一大転機となったのは、市が計画していた21.5ヘクタールの土地に、最先端のバイオテクノロジー研究拠点である慶應義塾大学先端生命科学研究所が2001年4月に進出したことだ。市が研究所の設置、運営費として毎年4億円弱を基金へ拠出していく。市議会からはこうした支出に対する費用対効果を問いただす声も挙がったが、新産業創出の重要性を説く当時の富塚陽一市長の主導で、バイオ産業の集積地である「鶴岡サイエンスパーク」がオープンした。

 その後、サイエンスパークでは人工合成クモ糸の量産化に成功した「スパイバー」のほか、2013年に東証マザーズに上場したメタボローム(代謝物)解析キット開発「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ」など、これまでに6社のバイオベンチャー企業が生まれた。

 ただ、サイエンスパークの用地21.5ヘクタールのうち、開発されたのは3分の1に過ぎなかった。既存の研究施設が手狭になってきたほか、研究者向けの生活環境の向上も求められていたが、市の厳しい財政事情がそれを許さない。どうにかならないものか。考えあぐねていた市の前に現れたのが、山中氏だった。

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