「ご近所限定SNS」人気の理由 子育て世代にヒット、自治体にも広がる輪(SankeiBiz)



 インターネットの登場で地球の裏側の情報を入手できる時代になった。しかし、世界のできごとを知っていても、案外、身近なことは知らない。こんなケースは多いのではないだろうか。情報過多の時代を反映して、いま注目を集めているのが「地域限定のSNS」である。そのひとつ「マチマチ」に取材をしてみた。

 マチマチは、自分が住むエリア(人口密度等に応じて半径1km~10km)に範囲を絞ったSNSである。地域にもよるが、通常、何丁目単位で区切られているので、文字通り「ご近所」の情報を知ることができる。

 閲覧するだけではなく、投稿や質問、相談と使い方は様々だ。2016年にスタートしたこのサービス、一気に全国へと拡大し、現在は全国60%のエリアをカバーしている。

◆コメントつけて質問もできる

 使い方は簡単だ。まず登録をする。郵便番号で自分の地域を検索したら、すぐに利用できる。電話番号で認証する実名制なので情報の信用性は高い。

 利用は無料である。子育て情報をはじめ、防災、防犯、病院、介護、住宅物件、求人、リサイクル、スポーツ、レジャー、習い事など、生活に密着した情報が分類されて掲載されている。気になった情報があれば、コメントをつけて質問したり、詳しい人に相談もできる。

 例えば、子育て中のお母さんはこんな投稿を。

 「○○クリニックは、待ち時間がないので子どもを受診させる際、とても助かります。院内はきれいに整理整頓されており、先生の診察はスムーズです」

 「来年の春から子どもを○○保育園に入れたいと思っています。いま通っているお子さんをお持ちの方、どんな保育園なのか、よろしければ教えてください」

 「近所で安心して診察してもらえる動物病院をご存知でしたら、教えてください。引っ越してきたばかりなので、どこへ行けば良いのかわからないんです」

◆利用者同士で交流の輪も

 SNSは他にも数多くあるが、なぜヒットしているのだろうか? このサービスを立ち上げた株式会社マチマチ代表取締役CEOの六人部生馬さんに聞いてみた。

 「インターネットは便利ですが、整理されずにバラバラの状態で情報が存在しているという弱点があります。ですので、狭いエリアの情報を探そうとすると、どうしても余計な情報が混在してしまう。欲しい情報を見つけるのに、手間と時間がかかってしまいます。例えば、保育園や病院などは、その地域に住んでいる人に聞くのが一番早いですし、信頼性も高いです」

 「また、これまで地域の情報に特化したメディアがなかったこともあり、マチマチを立ち上げました。『ひらかれた、つながりのある地域社会をつくる』というミッションで運営しています」

 利用者は女性が大半で、特に子育て世代のお母さんが多いという。

 「出産や育児、保育園探しなど子育て世代の女性が身近な情報を知るために利用するケースが多いです。また、引っ越してきたばかりの方が、地域の情報を知るために登録することもあります」(六人部さん)

 ダイレクトメッセージ機能がついているので、お母さん世代がSNSで交流を通して仲良くなり、実際に会ってランチやお茶を楽しむこともよくあるという。

◆地域コミュニティの維持に役立てる渋谷区

 このマチマチ、個人ではなく自治体単位で登録するケースも増えている。

 東京都渋谷区。都会の真ん中に位置する渋谷区だが、以前から町内会の加入率が低く、地域コミュニティの維持・継続に危機感を抱いていた。特に40代以下の加入率が低く、「防犯・防災時の情報伝達がスムーズにできないのでは?」という危惧があった。

 また、町内会を支えるスタッフの高齢化により、掲示板へのチラシ貼りや町内会費の回収が重い負担になっており、より効率的な広報が急務になっていた。ネットの利用を検討したが、自治体システムをつくるには、費用面での負担が課題となった。

 そこで、渋谷区が導入したのが、組織向けの地域限定SNS「マチマチfor自治体」である。自治体がマチマチの中に公式アカウントをつくって広報するサービスである。2017年6月の利用開始以来、区民の間に少しずつ広まり、20代後半から40代の登録率が増加している。

◆医師会などで導入するケースも

 マチマチはシステムが自動で情報を収集して、ユーザーの住所、性別、年齢に応じた地域の情報を発信できるので、必要な情報が的確に届くようになっている。

 「現在は渋谷区をはじめ、品川区、江戸川区、豊島区、文京区、千葉市、さいたま市、神戸市など全国で14の自治体に利用いただいています。住民同士が情報を交換することで、地域の課題解決を支援するプラットフォームになってほしいと考えています。将来的にはオンライン回覧板や、町内会費を回収できる機能も搭載して、地域団体の負担を軽減したいと考えています」(六人部さん)

 自治体での成功を受けて、医師会など他の組織でも導入するケースが増えているという。

 自然災害が多発している昨今、地域住民が情報を共有することで、互いに助け合っていくことは、大きな課題と言ってもよい。そういったコミュニティ作りを支える地域限定SNSの需要は、これからも高まっていくに違いない。(吉田由紀子/5時から作家塾(R))

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。



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