スタバが鎌倉から始めた「街に合う店」の正体(東洋経済オンライン)



10/13(土) 6:00配信

東洋経済オンライン

 国内各地に出張すると、その町の景観にそぐわないチェーン店を時々見かける。

 山形県で地元の取材先に案内された歴史的建造物に入り、中から風情ある庭園を見たら、大型スーパーの店舗が目に飛び込んできた。兵庫県では、伝統的な酒造の町に似合わない大型量販店が、ひときわ存在感を示していた。進出した店側にも言い分はあるだろうが、地域との一体化という視点では違和感を抱く。

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 一方、ニュースでは「周囲の景観に合ったスターバックスの店」が時々報じられる。調べてみると、意識して店づくりを行っているようだ。どんな意識で取り組むのか、その活動を探った。

■横山隆一氏の旧宅跡に出店

 人口約17万人に対して、年間2000万人以上もの観光客が訪れる古都・鎌倉――。鶴岡八幡宮の玄関口としてにぎわうJR鎌倉駅東口とは違い、人の少ない西口駅前を歩くこと5分。焦げ茶色の外観の建物に着いた。「スターバックス コーヒー 鎌倉御成町店」だ。

 「この店ができたのは2005年で、もともとは『フクちゃん』で有名な漫画家・横山隆一氏の旧宅でした。駅からも近く、横山氏の生前は、鎌倉文化人が集まるサロンのような存在だったそうです。そんな歴史を踏まえ、故人が愛した桜の木、藤棚、プールなどを残しました。ご遺族の方の要望に寄り添いながら、新たなサロンを実現する思いで建築したのです」

 こう話すのは髙島真由さんだ。スターバックス コーヒー ジャパンで店舗開発本部・店舗設計部部長を務める髙島さんは、一級建築士で、建築にかかわる実務に精通する。大学で都市計画や建築を学び、歴史的な建造物の大切さ、地域の人の愛着も認識していた。

 取材を行った場所は、プールに近いテラス席だ。少し涼しい日だったが、木の葉の緑とプール水面の水色が目に心地よい。特に人気の時季は、藤の花が咲く4月末から5月初めだという。

 「店の前の道路の先には鎌倉山があります。それを背景にして溶け込むよう、落ち着いた外観にしました。店内は季節や時のうつろいを楽しめるように自然光が入るデザインにし、店内と庭を連続的につなぐ縁側も設えた。イスも特注で、今でも活躍しています」(髙島さん)

 この店に向かう途中で出会った、近くに住む女性に聞いてみた。「私は最近あまり行かないけど、地元の人もよく利用しますよ。週末はいつも混んでいますね」と話していた。

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