今年の東京モーターショーは「物足りない」 期待はずれだった独りよがりな提案(SankeiBiz)



 □日本電動化研究所 代表取締役・和田憲一郎

 第45回東京モーターショー2017が開幕し、10月28日より一般公開が始まった。既にメディアでは「日本車もEVシフト!」などの見出しが躍っている。しかし、筆者がプレスデーなどを通して見た印象はかなり違っている。率直に言うと「何だか物足りない」のである。東京に限らず、過去に盛大であったモーターショーは次第に人気低下傾向にあるといわれている。今回の東京モーターショーを見て、感じたことを述べてみたい。

 ◆3つの不満要因

 今回、筆者が物足りないと思った理由は主に3つある。まずは参加企業が少ないことである。今回の参加企業は自動車メーカー、部品メーカーなどを入れて約150社。上海モーターショーの2000社には遠く及ばない。自動車メーカーは日本、ドイツ、フランスだけであり、米国ビッグ3やテスラの出展もなく、イタリア、中国、韓国などもない。部品メーカーも同様であり、日本以外ではドイツだけであろうか。ある意味、ローカルモーターショーに近くなっている。

 2番目の要因は、せっかく日本で開催しているにもかかわらず、日本の自動車メーカーの方針や方向性に関する提案があまり打ち出されていないことである。先般開催されたフランクフルトモーターショーでは、ドイツ企業が将来戦略を次々と発表し、フォルクス・ワーゲン(VW)は2025年までにEV50車種以上を開発し、年間300万台の販売、特に中国では150万台以上を販売することを表明して話題をさらった。今回、日本の自動車メーカーでそのような戦略の表明があるのかと期待したが、残念ながら期待はずれに終わった。クルマは自動車メーカーのみが作るのではなく、多くの部品メーカーによって成り立っている。世の中でEV大反転といわれている中、何ら方針を明らかにしないことは、多くの中小企業にとって、どのようにしたらよいのか、不信感を感じてしまうのではないだろうか。

 3番目は、話題となっているモノのインターネット(IoT)や自動運転、さらには配車サービスとの関連性が見えないことである。自動車メーカーのみが考えたIoTの将来像を映像で見せられても、なんとなく絵空事のようにみえてしまう。自社のみでできないのであれば、IT、通信、住宅、電力など関連する企業とタイアップし、将来起こるべき事象に対しての提案が欲しいところである。これも、クルマだけの提案に終わっており、物足りなさが残る要因となった。

 このように考えてくると、日本独自の縦割りの弊害がこのモーターショーにも表れているのではないだろうか。逆に、ちょうど1カ月前に開催されたデジタル家電・IT見本市「CEATEC JAPAN(シーテック・ジャパン)2017」では、家電、通信メーカーなどが将来の技術やビジョンを表明していた。しかし、クルマと直接関連するものはほとんどなかった。シーテックはクルマを直接ターゲットにした展示会ではないが、ここまでクルマとIoTが近接してくると、相乗りしてもいいように思える。

 歴史をひもとくと、東京モーターショーは1954年に第1回が開催され、その後、毎年開催されていたが、75年の第21回から2年に1度開催されるように変更された。入場者数は、ピークが91年の約202万人であったが、最近は前回82万人と長期減少傾向にある。

 ◆和製CES開催を

 一方、海の向こうでは、毎年1月にラスベガスで開催される「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」が、従来の家電見本市から脱却し、自動車メーカーの参加が相次ぎ、カー&エレクトロニクスショーの様相を見せている。

 筆者の勝手な意見かもしれないが、日本でもCESのようなイベントを開催してはいかがであろうか。幸いなことにCESはまだそれほど大きな展示会ではなく、日本では、従来のモーターショーとシーテックの参加企業を集めて同時開催し、モビリティとサービスがIoTを通じてどのように変わっていくのかを提案することは、新しいモーターショーのあり方のように思える。今年で63年目を迎える東京モーターショー、地盤沈下を嘆くのではなく、マンネリを打破し、新しい提案していくことが関係するマネジメントの責務のように思える。

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【プロフィル】和田憲一郎

 わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。61歳。福井県出身。



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