スルガ銀不正融資問題 金融庁、事態悪化で監督責任も免れず(SankeiBiz)



 スルガ銀行の不正融資問題で投資用不動産融資の6カ月間停止という厳しい処分を下した金融庁だが、問題が発覚するまでは同行を、低金利環境でも収益を上げ続ける「地銀の優等生」と持ち上げていた。ただ、実態は嘘で塗り固められた砂上の楼閣だった。有効な措置を講じることができず、事態を悪化させた金融庁の監督官庁としての責任も免れない。

 金融庁は5日、シェアハウス向け融資などで組織的な不正が横行していたスルガ銀行に対し、投資用不動産向けの融資と一部の住宅ローンの新規受け付けを今月12日から6カ月間停止するよう命令した。執行役員を含む多数の行員が審査書類の改竄(かいざん)などの行為に関与し、経営陣も不正を見抜けなかったことを問題視し、法令順守や経営管理体制に重大な欠陥があると判断した。

 「不正を早期発見できなかったことは事実で、反省しなければならない」。処分を発表した同庁幹部は、不正を防げなかったことを追及されるとそう述べて唇をかんだ。スルガ銀の不正行為は営業部門を中心に会社の上層部から末端まで蔓延(まんえん)。それにもかかわらず、金融庁は何年も事態を見過ごしていた。

 同庁によると毎年立ち入り検査を行うメガバンクと違い、数が多い地銀は事前に決算の数字などを見た上で、立ち入り検査の必要性を判断しているという。スルガ銀へも2012、13、17年に立ち入り検査を行っているが、検査対象が投資用不動産融資ではなかったため不正は見抜けなかった。

 金融業界に詳しい帝京大の宿輪純一教授は「監督官庁として求められている、顧客保護の役割が十分に果たせていないのではないか」と金融庁の検査能力を危惧する。スルガ銀については森信親前長官が、同行のビジネスモデルを称賛していたことから「長官への忖度(そんたく)で、スルガ銀については多少のお目こぼしもあったのではないか」(メガバンク関係者)といぶかる声も上がっている。

 金融庁は7月、検査局を廃止し一部を監督局に統合する大幅な組織再編を実施。金融機関の「処分」から「育成」へと行政目標も転換させた。ただ、金融庁が「育成」に傾注できるのは公正な金融市場が維持されていることが大前提だ。不正を見抜ける体制の早期構築が求められている。(蕎麦谷里志)

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