スルガ銀処分 他行への支援要請「前向きに検討」(産経新聞)



 シェアハウス投資をめぐる不正融資問題で、金融庁がスルガ銀行に投資用不動産向けの新規融資について業務停止命令を出した。高収益を支えてきた事業が凍結となるだけでなく、今後は融資の焦げ付きに備えた貸し倒れ引当金の積み増しも迫られる見通しで、経営への打撃は大きい。スルガ銀は社内風土や企業統治の抜本的な見直しを進め、会社を根本から生まれ変わらせる必要があるが、業務継続には資本増強が求められそうだ。(万福博之)

 「確実に業務改善命令を実行する中で顧客との信頼関係をもう一度築き上げたい」。有国三知男社長は5日の記者会見で陳謝し、経営再建を誓った。

 スルガ銀の融資残高3・2兆円のうち個人向け融資は2・9兆円を占める。他の有力な地方銀行は法人向け融資が主体だが、投資用不動産融資など個人向けに特化したビジネスモデルで高成長を続けてきた。業務停止の範囲は残高ベースで1・9兆円程度と全体の3分の2に及ぶとみられる。

 スルガ銀は問題が表面化して以降、投資用不動産の新規募集を自主的に停止している状況で、今後についても「再開や撤退など明確な方針は定まっていない」(有国氏)。ただ、個人向け融資中心のビジネスモデルは変更しない意向だ。

 金融庁の行政処分が出たことで、次の焦点は「不良債権処理がどこまで膨らむか」(大手銀行幹部)に移る。スルガ銀はシェアハウス事業者が破綻し、多額の借金を背負った顧客が返済できなくなって融資が焦げ付くなどのリスクに備え、平成30年3月期決算で587億円の貸し倒れ引当金を積み増し、最終利益は前年同期比8割減だった。

 問題は返済不能になる顧客がさらに増える可能性がある点だ。スルガ銀の融資全体に対する貸し倒れ引当金は6月末で870億円と3月末からさらに88億円積み増した。投資用不動産融資については全件調査を進めており、必要なら引当金を積み増す考えだ。ただ、不正調査の第三者委員会による行員アンケートでは「不正が全くない案件は全体の1%あったかどうか」との声が上がるほどで、どこまで膨らむかは見当が付かない。

 銀行は総資産に対する自己資本の比率(自己資本比率)を一定以上に保つ規制が設けられており、スルガ銀であれば4%が最低限必要だ。6月末の比率は12・14%だが、不良債権が大きく膨らめば、自己資本で穴埋めしなければならず、業務の継続には資本の拡充が不可欠になる。

 自力での資本調達ができなければ、他社に頼らざるを得ない。有国氏も他社への支援要請について「企業価値が上がる話なら前向きに検討したい」と明かす。15%超の株式を保有して絶大な影響力のあった創業家が株を手放す方針となり、選択の幅も広がった。

 横浜銀行を傘下に持つコンコルディア・フィナンシャルグループや同じ静岡県を地盤とする静岡銀行などの名前が取り沙汰されるが、「大手行や有力地銀が火中のクリを拾うのは非現実的だ」(関係者)との見方も根強い。現金を使わない「キャッシュレス決済」に参入したIT企業など「銀行免許を取得したい異業種しかいないのでは」など憶測も入り乱れる。

 もっとも、スルガ銀の信用は失墜しており、顧客離れなどのダメージは計り知れない。また、不正の土壌を生んだ創業家との関係を本当に断ち切れるかなどまだ不透明な部分も多い。仮に他社の支援を受けることができたとしても、再生に向けていばらの道が待ち受けている。



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