スピルリナ、将来のタンパク不足救世主に 食品開発のタベルモ、ブルネイで量産化(SankeiBiz)



 藻の一種の「スピルリナ」を使った食品開発のタベルモ(川崎市高津区)は、来夏にもブルネイでスピルリナの量産工場を稼働、年間生産量を現在の10倍となる、1000万トンに引き上げる。スピルリナは、新興国の経済発展や人口増加を背景としたタンパク質不足の救世主として期待されており、同社は味の向上と社会課題解決に挑む。

 同社は5月に三菱商事や産業革新機構から17億円の資金を調達し、7月には、ブルネイに現地法人「タベルモバイオファーム」を設立した。現在は静岡県掛川市の培養工場で年間約100万トンを生産している。

 ◆豊富な栄養素含む

 スピルリナはタンパク質含有量が圧倒的に高く、抗酸化物質やビタミン、ミネラルなど豊富な栄養素を含むのが特徴。粉末や錠剤を中心に世界で約3000億円の市場規模がある。

 バイオベンチャーであるちとせグループ傘下のタベルモは、まだ知名度が高くない。佐々木俊弥社長は「食材としてのおいしさを追求し、まず日本で知名度を上げていきたい」と話す。フローズンヨーグルトや飲料、パンなどに練り込むペーストなどを販売している。

 量産化を機に、提携する三菱商事グループのローソンなどと協力の可能性を探るほか、米国や中国など海外市場も開拓したい考えだ。

 ビジョンは「食品や培養の開発を通じて将来の食糧問題という社会課題の解決」にある。

 2050年の世界人口は90億人を突破すると予想されている。新興国の経済成長を背景に、「世界のタンパク質需要は05年に比べ2倍の供給量が必要となるが、30年頃には需給が逼迫(ひっぱく)し、不足が顕在化するとの予想もある」。米国で肉の代替としてエンドウ豆など植物由来の人工肉も相次ぎ登場しているが、タベルモは、日本発の生スピルリナ生産技術でタンパク質不足の課題解決に貢献する。

 これまで一般的に販売されてきた乾燥粉末や錠剤は、えぐみや苦みといった味がネックとなって普及が進んでいない。

 ◆透明フィルムで保護

 農業生産法人と藻を生産するプロジェクトに参加したところ、農家の人が偶然生で食べてみるとえぐみがないと気づき、佐々木氏も試したところ無味無臭だった。殺菌工程で熱を加えるときに、細胞が変化することによって、えぐみや苦みが加わることが分かった。

 他社は屋外プール方式で鳥の侵入や雨水の混入もあるため、熱処理による殺菌工程が必要だが「工夫次第では加熱工程がいらなくなる」と発想を変えた。

 そこで培養システムとして、透明フィルムでカバーした閉鎖式のフォトバイオリアクター(PBR)を独自開発した。藻は光合成だけで増殖するため日照量は必要だが、「夏場は光が当たりすぎても藻は弱りかねない。フィルムで保護すれば異物の混入を防ぎ、強すぎる光を分散できる」と利点を強調する。

 今年5月の増資で、第2の創業にかじを切った。藻生産には豊富な太陽光が必要で、赤道直下に近いブルネイは有望だった。三菱商事は1970年代からブルネイの液化天然ガス(LNG)開発事業に参画。産業多角化と雇用創出を目指すブルネイ政府のニーズに応え、藻から食品添加物などの原料になる「アスタキサンチン」の生産事業にも参画してきた。スピルリナの新工場は、既存施設の有効活用にもつながることから、ブルネイに建設が決まった。今年度中の着工を目指す。



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