「普通の金融機関ならクビ」レベル 商工中金の悪質不正ゾロゾロ(J-CASTニュース)



 政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)の不正が、文字通り全社的に蔓延していたことが明らかになった。経済産業省の事務次官から天下った安達健祐社長の辞任表明は当然として、建て直しを託すべき後任人事で、政府は民間出身者の登用を目指すが、人選は難航必至だ。

 商工中金は2017年10月25日、国の低利融資制度「危機対応融資」をめぐる不正の全容を公表した。支店・出張所などを含めた100営業店中97営業店を舞台に、444人の職員が計4609件、2646億円もの不正融資を行っていた。監督責任を含め、処分対象者は800人以上に達する。金融機関とは呼びがたい杜撰な経営実態が明るみに出た。

■コンプライアンス担当部署が率先してもみ消し

 「組織の信頼を根底から揺るがす重大な事態だ。心よりおわびする」。安達社長はこの日の記者会見で、深々と頭を下げ、辞意を表明した。

 公表された商工中金の自主調査結果は、まさに不正のオンパレードだった。金融危機や災害で業績が悪化した企業に国の予算を活用して低利融資する「危機対応融資」で、優良企業の書類を改ざんして業績を悪く見せかけ、融資を実行するのは日常茶飯事。商工中金は民間金融機関を補完する立場にもかかわらず、低利を武器に地銀などから優良顧客を奪った形だ。さらに、本来対象でない企業への公的融資は「税金の無駄遣い」との批判を免れない。

 ほかにも、統計調査で数字を自作したり、預金口座開設の際に申請者が反社会的勢力でないかの確認を怠っていたりと、「普通の金融機関ならクビになりかねない」(銀行関係者)レベルの不正がゾロゾロ出てきた。過去に内部監査で資料改ざんの不正が発覚したこともあったが、コンプライアンス担当部署が率先してもみ消したというのだから、あきれるしかない。

 これほどひどい不正が組織全体に蔓延した背景には、商工中金の存在意義が問い直されていたことがある。商工中金には「民業圧迫」との批判がつきまとい、いったんは完全民営化される方針が決まったが、2008年のリーマン・ショックや2011年の東日本大震災を受けて先延ばしされた経緯がある。景気が回復して「平時」となった今、せっせと危機対応融資の実績を積み上げなければ、存在意義を失い、いつ「不要な政府系金融機関」の烙印を押されるか分からない――との危機感があった。

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