リーマン・ショック10年 大手銀は海外展開拡大(SankeiBiz)



 2008年のリーマン・ショック以降、3メガバンクなど大手銀行は海外展開に大きくかじを切った。金融危機の傷が比較的浅かったメリットを生かし、経営が悪化した欧米勢や日本企業が多数進出する東南アジアの金融機関に対するM&A(企業の合併・買収)で事業を拡大。少子高齢化で国内市場が縮小する中、海外に収益源を確保した。

 「出資に加えて、1000億ドル(約11兆円)の融資枠を設定してほしい」

 リーマン破綻直後、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)やみずほFGに、米証券大手モルガン・スタンレーから前例のない要請が届いた。「一体、何が起きた?」。みずほの幹部は驚きを隠せなかった。

 当時、サブプライム住宅ローン商品の保有が少なくリーマン・ショックの直撃をかわせた日本の金融大手に、危機が迫ったモルガンが支援を求めた。海外事業の拡大を目指す邦銀にはまたとない好機。三菱UFJは08年10月にモルガンへ90億ドル出資し、約20%の株式を取得して資本提携した。

 みずほFGは米証券大手メリルリンチに12億ドルを出資。三井住友FGも英銀大手バークレイズに5億ポンド(約730億円)を出資した上、米金融大手シティグループ傘下の日興コーディアル証券を買収するなど欧米勢の受け皿となった。

                   ◇

 ■“遺産”に安住せず稼ぐ力が鍵

 あれから10年。三菱UFJはタイのアユタヤ銀行を買収するなど海外M&Aを積極的に展開し、海外事業は利益の4割を占める。18年3月期は最終利益のうちモルガンへの出資分が2割弱に上り、モルガンの情報網を生かしたM&Aの相談業務なども強みとなった。

 全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は「リーマン・ショックはそれまで課題だったグローバル展開に一つの礎を築いた節目だった。日本の金融機関がアジアを中心に存在感を増した」と評価する。

 ただ、国内では人口減少と日銀のマイナス金利政策による利ざや(貸出金利と預金金利の差)縮小のダブルパンチで金融機関の経営が圧迫され、店舗の統廃合や人員削減など大規模なリストラを迫られている。

 復調した欧米勢や中国など新興国勢が攻勢に出る中、邦銀はITと金融が融合したフィンテックへの取り組みなどで後手に回った感が否めない。世界の競争で生き残るにはリーマンの“遺産”に安住せず、構造改革で稼ぐ力をどこまで高められるかが鍵を握る。(田辺裕晶、万福博之)



Related Post



コメントを残す