生乳需給に逼迫感 北海道=牧草が不作 都府県=猛暑で減産(日本農業新聞)



 全国的な異常気象で、生乳生産に深刻な影響が出てきた。都府県では記録的な暑さから生産量の落ち込みに拍車が掛かり、主産地の北海道も夏場の長雨による牧草の不作で不安材料を抱える。一方、需要は高温続きで旺盛。9月から学校給食が始まると需給の逼迫(ひっぱく)感が強まる可能性があり、飲用不足につながるとの懸念が広がる。

 「牛の食欲や乳量が減っている」。前橋市で約120頭を飼育する須藤晃さん(48)は、そう実感する。猛暑の中、今夏の搾乳量は例年と比べ1割ほど下回るが、乳牛に搾乳前や日中にシャワーを浴びさせるなどの工夫を凝らし、搾乳量の確保に努めている。

 都府県では猛暑などの影響で「死亡牛も増えている」(東日本の指定団体)。高齢酪農家の離農なども重なり、都府県の生乳生産量の落ち込みが続く。関東生乳販売農業協同組合連合会(関東生乳販連)によると、7月の生乳生産量は前年同月比で約4%(速報値)落ち込んだ。暑さが長引けばさらに減産が進む見通しだ。

 生乳最大供給地の北海道でも懸念が広がる。6月中旬の長雨で牧草の一番草が不作となり、乳量に影響を与える可能性が出てきた。牧草の栄養価低下などによって、ホクレンは「餌を使う10月ごろから生乳が減産する恐れがある」と見込み、輸入で牧草を確保するなどの対応策を取る構えだ。

 道産生乳は飲料需要の高まりを見据え、今後、北海道からの道外移出量を増やす計画だ。しかし一番草の不作などで移出量がどこまで確保できるかは不透明だ。関東生乳販連は「10月以降はバターとの引っ張り合いになる。どこまで移出されるのか」と懸念する。

 一方、暑さで牛乳の売れ行きは好調だ。首都圏で「コープみらい」を展開するコープデリ連合会によると、成分無調整牛乳の7月30日の週の売り上げは前年同期比5%増だ。大手乳業メーカーは「テレビ番組の効果で需要は伸びている。暑さが続けば飲用の需給はさらに逼迫する」と話す。

 Jミルクは「都府県の予想を超える暑さが9月以降の飲用不足につながる」と指摘。不足をできる限り緩和しようと、乳業業界は、スーパーなどに特売を控えるよう要望する方向。ただ「生産量が回復しない限り、需給逼迫の恐れは拭えない」(都府県の生乳関連団体)との声も多い。

日本農業新聞



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