大阪市長「学力テスト発言」が危険である根拠(東洋経済オンライン)



8/15(水) 6:00配信

東洋経済オンライン

 大阪市長の発言が波紋を呼んでいます。吉村洋文市長が、来年度から「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の結果を校長や教員の人事評価とボーナスの額に反映させると発言したのです。

■絶対にやってはいけない禁じ手

 小学6年生と中学3年生を対象とするこのテストで今回、大阪市が政令指定市20市の中で平均正答率が2年連続で最下位だったのを受けての発言です。市政を預かる身として「なんとかしなければ」という思いからなのでしょうが、長年教育に携わってきた経験で言わせていただければ、これは絶対やってはいけない禁じ手です。なぜなら、学力をつけるうえで役に立たないだけでなく、あまりにも弊害が多いからです。

 過去にも同じようなことが何度も行われ、失敗に終わっています。たとえば、1961年から行われた全国一斉学力テストでは、テストの結果が全国の公立小中学校の教員の勤務評定に結び付けられるようになりました。つまり、子どもたちに高い点を取らせる教員は、人事その他の待遇において優遇されたのです。その結果、次のようなことが実際に行われるようになりました。

・学力テストの傾向と対策が分析され、徹底的にテストの練習が行われた。その結果、本来の授業は猛スピードで進み、ついてこられない子が続出した

・テスト練習の時間に充てるため、図工、体育、音楽、技術・家庭などの授業が削られた
・休み時間や放課後にもテスト勉強が強いられた
・テスト練習のためのプリントが宿題として大量に出された

 そして、さらに加熱した結果、次のような驚くべき不正も横行しました。

・成績下位の子をテスト当日に欠席させた
・成績下位の子をテスト時間に保健室で休ませた
・テスト中に教師が机の間を回って正しい選択肢を指で押さえて教えた
・教師が高得点の答案を作成し、欠席した児童・生徒の答案として提出した

・成績上位の子と下位の子を隣同士で座らせ、下位の子がわからないところは上位の子の答えを見て書くように指示した
 この結果、学力テストは社会問題と化し、世論の大いなる批判を浴びて1966年に中止になりました。

■足立区が独自に行っていた学力テストにおける不正

 ところが、歴史は繰り返すといいますが、その40年後に同じようなことが起こりました。それは、東京都足立区が独自に行っていた学力テストにおける不正です。足立区では、小学2年生から中学3年生までの全児童・生徒対象の学力テストを2005年から行っていましたが、ある小学校で試験中に校長や教師が机の間を回って間違った答えを見つけ、それを指差しして教えていたことが発覚しました。

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