「お茶」と世界の歴史の意外にも深すぎる関係(東洋経済オンライン)



8/12(日) 8:00配信

東洋経済オンライン

 私たちは人類の歴史について、よく知っている。少なくとも、そう思っている。しかし、本当にそうだろうか。私たちが知っている歴史の裏側で、植物が暗躍していたとしたら、どうだろう。

 人類の陰には、つねに植物の姿があった。

 人類は植物を栽培することによって、農耕をはじめ、その技術は文明を生みだした。植物は富を生みだし、人々は富を生みだす植物に翻弄された。人口が増えれば、大量の作物が必要となる。作物の栽培は、食糧と富を生みだし、やがては国を生みだし、そこから大国を作りだした。富を奪い合って人々は争い合い、植物は戦争の引き金にもなった。

 兵士たちが戦い続けるためにも食べ物がいる。植物を制したものが、世界の覇権を獲得していった。植物がなければ、人々は飢え、人々は植物を求め、植物を育てる土地を求めてさまよった。そして、国は栄え、国は亡び、植物によって、人々は幸福になり、植物によって人々は不幸になった。

 歴史は、人々の営みによって紡がれてきた。しかし、人々の営みには植物は欠くことができない。人類の歴史の陰には、つねに植物の存在があったのだ。

拙著『世界史を大きく動かした植物』でも詳しく解説しているが、一例がアヘン戦争やアメリカ独立戦争の要因にもなった「チャ」だ。

■不老不死の薬

 秦の始皇帝が「不老不死」の効果があると信じて飲んでいた薬がある。

 これは中国最古の薬とされていて、古代中国の農業の神「神農」は、身近な草木の薬効を自らの体を使って試した。そして、毒に当たるたびに、この薬草の力で何度もよみがえったという。

 なんというすごい薬効を持つ植物なのだろう。ところが、秦の始皇帝が憧れたこの薬を、現代の私たちは簡単に飲むことができる。 

 この霊草こそが「チャ」なのだ。

 今では、財布に残った小銭を出せばペットボトルのお茶が買えるし、食堂に入って「お茶をください」と頼めば、秦の始皇帝が憧れた霊草がタダで出てくる。

 チャは中国南部が原産の植物である。その昔、チャは持ち運びができるように、固形に固められた「餅茶(へいちゃ)」と呼ばれるものが作られていた。この固まりを削って、煎じて飲んだ。

 中国では、チャは仏教寺院で盛んに利用されるようになる。唐代になると禅が盛んになる。座禅のときの眠気覚ましの薬として、チャが用いられる。

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