静岡 コーヒーから需要奪還へ 緑茶進化形 選べる焙煎温度、エスプレッソ…(日本農業新聞)



 「喫茶」は日本茶で──。主流のコーヒーから茶の需要を奪還しようと、茶の本場、静岡県内の茶商らが新基軸の飲み方を打ち出している。茶葉の好みの焙煎(ばいせん)温度を選べたり、エスプレッソマシンで抽出した濃い味わいの茶を提供したりと、コーヒーのような多彩な楽しみ方を提案。「喫茶文化=コーヒー」のイメージが浸透した若い世代にも日本茶文化の懐の深さを知ってもらうとともに、気軽に飲んでもらい消費増につなげる考えだ。(吉本理子)

色、味 違い楽しむ

 コーヒーチェーン店がひしめく静岡市中心部の繁華街。今年、茶の焙煎温度を選んで飲めるカフェがオープンした。丸善製茶グループが運営する「Maruzen Tea Roastery」だ。茶葉を浅蒸しか深蒸しか、焙煎温度を80~200度の5段階から選べる。焙煎温度が高いと香ばしく、低いと爽やかな香りや甘味が楽しめる。店内に併設した工房で専任の担当者が焙煎するこだわりようだ。

 「本物の味を知ってほしい」との思いから、茶は注文を受けてから1杯ずつ入れる。県産の高価格帯の茶葉を使い、1杯500円。焙煎温度が異なる茶葉を使った数種類のジェラートも提供する。焙煎しない抹茶や荒茶も選べる。

 店舗デザインも斬新だ。茶を入れる様子を外から見えるようガラス張りにし、焙煎機を店内に展示する。自分が飲んでいる茶がどのよう入れられたのか、確認できるようにした。

 古橋克俊社長は「色と味の違いを比べて、茶の面白さを体験してほしい」と話す。

若者に浸透狙う

 同市の製茶問屋、マルモ森商店が運営する日本茶専門店「chagama」は、エスプレッソマシンで抽出した煎茶、ほうじ茶を提供する。一般的に、煎茶は1杯入れるのに茶葉を2、3グラム使うが、同店の「茶エスプレッソ」は1杯(30ミリリットル)で10グラム以上。甘味やうま味だけでなく、茶本来の苦味や渋味も凝縮し、インパクトの強い味わいを生み出す。

 同店は茶葉の販売の他、急須で入れた緑茶やラテなどのテイクアウト商品を販売する。日本茶のエスプレッソは1杯324円。ショットグラスについで手渡す。

 飲んだ男性客は「最初にガツンとくる。茶だと思って飲むと驚く」と話した。

 同店の仕事上のつながりで、県内外の一部ではエスプレッソ機を使った抽出のノウハウも共有。他地域でも同様の飲み方が広がりつつある。森詩緒里店長は「まずは、日常的に日本茶を飲む文化を若い世代中心に浸透させたい」と話す。

消費量 開き大きく

 全国茶生産団体連合会と全国茶主産府県農協連連絡協議会は、国の統計を基に緑茶の国内消費量を試算している。2016年は7万9710トンで、近年のピークだった04年の11万6823トンから減少傾向をたどる。

 一方、コーヒーの国内消費量は年々増えている。全日本コーヒー協会の統計によると、16年のコーヒーの国内消費量は生豆換算で47万2535トンと、11年以降、増加傾向にある。豆や缶飲料など既存商品に加え、コンビニエンスストアなどで入れたてを手軽に味わえる商品のヒットなどが好調の要因とみられる。

【関連記事】

Related Post



コメントを残す