バイオ燃料の「地産地消モデル」でCO2削減へ マツダやユーグレナなどが事業参画(SankeiBiz)



 二酸化炭素(CO2)で育つ小さな藻類の一種「ミドリムシ」由来の油や使用済みの天ぷら油などを原料にしたバイオ燃料で車を走らせる-。マツダはその可能性を広げる産学官連携の事業に参画した。バイオ燃料を製造し乗用車などで利用する実証実験を2020年をめどに開始し、CO2排出量の削減につなげていく。

 事業名は「ひろしま“ユア・グリーン・フューエル”プロジェクト」。マツダや広島県、広島大などで構成する「ひろしま自動車産学官連携推進会議(ひろ自連)」が、バイオベンチャーのユーグレナ(東京都港区)と連携し立ち上げた。

 この中でマツダは車づくりで培った技術や知見を生かし、広島県内にCO2の増減に影響を与えないバイオ燃料の「地産地消モデル」を構築する取り組みに協力していく考えだ。

 ◆廃てんぷら油活用も

 バイオ燃料の原料の一つとして注目するのが、体長0.1ミリ以下の「ミドリムシ」だ。植物と同じようにCO2を吸収し酸素を生み出す「光合成」で育つ藻類で、育て方を工夫することで体内に油を作らせることができる。

 ミドリムシなどの藻類から抽出した油は精製して自動車燃料に仕上げ、ディーゼルエンジンの搭載車で利用することを目指す。マツダは製造したバイオ燃料を既存燃料に混ぜ合わせ、その混入割合を段階的に高めるシナリオを描く。

 藻類の培養に必要なCO2や熱などは県内の企業から回収。火力発電所からの排出ガス中のCO2濃度は大気の約350倍に達するが、ミドリムシならそうした過酷な環境下でも成長できる。

 さらに県内の企業や家庭から回収した使用済み天ぷら油などを、10月末に完成するユーグレナのバイオ燃料製造プラント(横浜市鶴見区)に運び、精製されたバイオ燃料を使って車を走らせる構想も温めているという。

 そもそも藻類に着目した理由は、化石燃料のように枯渇の心配がなく、食糧と競合しないからだ。さらに森林伐採を必要とせず、コンパクトな面積で培養できる。自動車用の液体燃料としても魅力的で、一度の給油で走れる距離が長く、追加のインフラ投資が少なくて済む。ひろ自連などはこうした魅力を持つバイオ燃料をまず公用車の実証実験で利用。将来的には一般車両にも生かしたい考えだ。

 ◆EVだけが解ではない

 「自動車で温室効果ガスの削減に貢献する場合、電気自動車(EV)だけが唯一の解ではない」。マツダの工藤秀俊執行役員はこう指摘する。

 走行時にCO2を排出しないEVはクリーンなイメージが強いが、「ウェル・ツー・ホイール(燃料採掘から車両走行まで)」という観点からみると、環境負荷がガソリン車やディーゼル車と比べて圧倒的に少ないわけではないからだ。

 国際エネルギー機関(IEA)は2035時点でもハイブリッド車(HV)を含む内燃機関(エンジン)車が世界販売の約85%を占めると予測。工藤氏は、将来的にも大多数を占めるエンジン車にバイオ燃料を組み合わせ、トータルのCO2排出量を削減する必要性を説く。

 ただ、ガソリンや軽油に取って代わるほどの量を藻類で生成するハードルは高い。藻類の体内に蓄えられた油を増やすことと増殖の速度向上は相反する関係にあり、両立が難しいからだ。このためマツダと広島大は、生産性の高い品種を開発する課題も重視する。「CO2の輸送や藻類から油を取り出す工程も含めてトータルでCO2を削減したい」と工藤氏。マツダ発祥の地「広島」から新たな環境技術を創造する挑戦が始まった。(臼井慎太郎)



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