ポルシェ356BカレラGTS 独伊合作の夢モデル あの時代を駆け抜けたクルマたち(日経トレンディネット)



7/22(日) 6:00配信

日経トレンディネット

日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2009年7月16日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

【関連画像】「カレラ」と名が付くだけあって、ただのポルシェ356とはまったく別物のDOHCエンジンが、リアに搭載されている

●当時はまれだったドイツとイタリアの合作

 このクルマは正しくは表題の通りポルシェ356B1600GSカレラGTLというが、クルマ好きの間では「カレラ・アバルト」が通り名になっている。

 古き佳き時代のクルマは、お国柄などが顕著に現われていて、ドイツ車といえば、いかにもメカニズム重視、生産クオリティ重視の、モノとしてはいい出来だけれど、スタイリングをはじめ感性に訴え掛ける部分ではいまひとつ、というような印象がベーシックなところであった。その対極にあるのがイタリア車で、スタイリングや走らせたときの官能的とさえいえる魅力はあるものの、いざ所有したら維持していくのに苦労させられる。時に耐久性だとかメンテナンス性などまったく考えてはいないのではないか、と思わされるような事態に遭遇するのだ。ドイツのクオリティを持ってイタリアン・テイストのクルマがあれば最高!クルマ好きはそんな夢物語を語り合ったりしたものだ。そんな魅力的な独伊合作のスポーツカーが「カレラ・アバルト」なのである。

 いまでこそ、別の意味でアウディがランボルギーニを所有する、といった独伊の関係があるのだが、古き佳き時代にドイツとイタリアが合作するというのはまれであった。特別の人間関係があって、初めて生まれた特別な例、と言ってもいいかも知れない。

レースカーを作ることで知名度を高めた

 言うまでもなく、ポルシェはポルシェ父子によって作り出された「小さくて速いクルマ」。ポルシェ自身はポルシェ車のことをスポーツカーとは呼ばなかったし、作り出すクルマは十分な高速性能と実用性とを備えていた。ただし、それはポルシェ量産モデルの話で、これとは別に早くからレースに勝つためのレースカーも作っていた。それによって知名度を全世界に向けて高めていたのだった。サーキットは最高の広告塔、という言葉を早くから実践していた、というわけである。

 さて、「カレラ・アバルト」はポルシェ356B1600GSカレラGTLの名の通り、ポルシェの量産モデルであるポルシェ356Bをベースにしている。つまり、ポルシェにとって最初の作品というべきポルシェ356シリーズの第三世代、1950年からのポルシェ356、1955年からのポルシェ356Aに続いて1959年に誕生したモデルだ。

 ポルシェ356Bは60~90PSにチューニングされた1582ccの空冷水平対向4気筒OHVエンジンをリアに搭載。クーペのほかカブリオレやロードスターなどの量産シリーズとは別に、高性能版エンジンを搭載した「カレラGS」がラインナップされていた。いかにもドイツらしいところでもあるのだが、その「カレラ」シリーズは同じ1.6L級とはいえ、まったく別物のエンジンが用意されていた。

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