日欧EPA署名 農林水82%で関税撤廃(日本農業新聞)



 安倍晋三首相と欧州連合(EU)のトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長は17日、東京・永田町の首相官邸で、日欧経済連携協定(EPA)に署名した。これにより協定内容が確定。首脳間で早期発効へ協力していくことを確認した。日本は秋の臨時国会に協定の承認案と関連法案を提出する方針。来年初めにも発効する可能性がある。発効すれば、日本は最終的に農林水産物で環太平洋連携協定(TPP)と同水準の82%の品目で関税を撤廃する。国内農業への影響や自由貿易一辺倒の通商戦略の是非を含め、国会での徹底審議が求められる。

 3首脳は首相官邸での協議後、EPAに署名。「この経済連携協定は、自由貿易の旗を高く掲げ続け、自由貿易を力強く前進させていくとの日本とEUの揺るぎない政治的意思を世界に示すものだ」との共同声明を発表した。

 共同記者会見で、安倍首相は「わが国の安全でおいしい農林水産物の輸出拡大の新たなチャンスが生まれる」とメリットを強調。「残る不安や懸念については政府としてはしっかり向き合い、対応していく」と述べた。

 トゥスク大統領は「われわれはともに保護主義に立ち向かうという強いメッセージだ」とEPAの意義を強調。ユンケル欧州委員長は欧州産チーズやワインの関税が撤廃されるとして「(欧州の)農業従事者にもメリットがあり、これによってルートが開かれる」と対日輸出の拡大に期待感を示した。

 日欧EPAは2013年3月に交渉が開始し、昨年7月に大枠合意、同年12月に妥結した。交渉ではTPPの合意水準が事実上の前提とされ、結果的に日本は重要品目でも、米を除き、軒並みTPP並みの市場開放を余儀なくされた。

 特に、欧州が競争力を持つソフトチーズには、最大3万1000トンの低関税輸入枠(枠内税率は16年目に撤廃)を設け、TPPの合意水準を上回る市場開放を容認。ワインやパスタ、菓子といった加工品でもTPP以上に譲歩。牛肉は、EU加盟国の多くが関心が小さいにもかかわらず、TPP同様9%までの関税引き下げを認めた。

 日本は、既に米国を除く11カ国によるTPPの新協定(TPP11)の国内手続きを完了。来年前半までにTPP11、日欧EPAと大型協定が相次いで発効する可能性がある。

 日本農業はかつてない国際競争にさらされる上、今後予定される米国との新たな貿易協議(FFR)で、日本国内での懸念が大きい2国間の自由貿易協定(FTA)要求が強まる恐れがある。

 署名式は、11日にベルギー・ブリュッセルで行う予定だったが、安倍首相が西日本豪雨への対応を優先して急きょ訪欧を取りやめたため、延期されていた。今回はEPAの他、安全保障や地球規模の課題について、農業を含む幅広い分野での協力を約束する戦略的パートナーシップ協定(SPA)にも署名した。

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