AIと特許審査 発明の提案も可能、将来的には…(SankeiBiz)



 最近、人工知能(AI)に関する記事を目にすることが多いと思う。AIを使って新しいビジネスを始めたという記事はもちろんのこと、「AIで消える職業」なんていうテーマで論じている記事も多数存在する。それほどまでにAIを目にしない日はないというくらいである。さて、そんなAIができることといえば、分析や管理など多岐にわたるが、特許審査も例外ではないようだ。

 特許庁は、知財情報の活用を促進するために、特許庁で選定した民間の「知財インテリジェンスサービス(知財情報の分析サービス)」のリストを掲載している(https://www.jpo.go.jp/gijutu/ip-intelligence.html)。先日、その知財インテリジェンスサービスの中に、ゴールドアイピー(東京都千代田区、白坂一社長)が提供する特許審査シミュレーションシステム「IP Samurai」が掲載された(https://ipsamurai.jp/)と報じられた。

 従来にも特許の調査用のソフトウエアは数多くあった。その中には、自分・自社が取りたい発明の内容を入力フォームに入力すると、近い順からスコアリングして表示するというものもあった。

 このIP Samuraiが従来のソフトウエアと異なるところは、自分・自社が取りたい発明の内容を入力フォームに入力すると、特許取得可能性(新規性・進歩性)をAからDのランクで簡易に審査してくれる点、および、その発明の内容を自動で分解しどこに発明としての優位性があるのかを数字で示してくれる点にある。

 無料でもここまでできるようだが、有料となると、さらにその発明に近い技術が何かということを具体的に示してくれるようである。これまで企業が特許出願する際には、知財部がある大企業では、知財部が発明者(エンジニア)から発明の概要を聞いて、上記のような特許の調査用のソフトウエアを使って簡単に近い従来技術を探す。スタートアップや中小企業などの知財部がない企業では、弁理士に出願を依頼する際に簡易な調査を数万円程度で依頼することがある程度で、あまり調査せずに出願することも多い。

 これにはちゃんとした理由がある。つまり、特許庁に出願すると、特許庁の方でそれなりにしっかりと従来技術があるかないかを調査してくれる。このレベルの調査を出願前にやろうとすると、出願にかかるコストに近いコストがかかるのだ。それなら出願してしまった方が安上がりである。

 だから、出願前にあまり調査せずに出願するのである。しかし、当然のことであるが、調査をしていない以上、特許にならないこともある。要するに、出願前に、従来技術と比べたときの発明のポイントがどこにあるかということが客観的には分からないのである。

 他方、このIP Samuraiなら入力するだけで、審査をシミュレーションしてくれるし、従来技術と比べてその発明のポイントがどこにあるかをAIが事前に教えてくれる。もっとも、これはAIが発明の提案までできるということを示している。今のところ、特許法では、発明者は人間に限られているが、将来的にはどうなることやら。

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【プロフィル】溝田宗司

 みぞた・そうじ 弁護士・弁理士。阪大法科大学院修了。2002年日立製作所入社。知的財産部で知財業務全般に従事。11年に内田・鮫島法律事務所に入所し、数多くの知財訴訟を担当した。17年に溝田・関法律事務所を設立。知財関係のコラム・論文を多数執筆している。41歳。大阪府出身。



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