商業捕鯨再開へ高まる機運 IWC総会で議長国など3つの好機(SankeiBiz)



 日本悲願の商業捕鯨の再開に向けた機運が高まっている。9月に開かれる国際捕鯨委員会(IWC)の総会で、日本が47年ぶりに議長国を務めるなど、3つの好機が重なる「千載一遇のチャンス」だからだ。この総会で、日本は(1)一部鯨種の商業捕鯨再開(2)総会での決定手続きの要件の緩和-を提案する。商業捕鯨をめぐる国際的な議論は30年以上も膠着(こうちゃく)したままだが、日本は事態を打開したい考えだ。

 ◆「世界向けホエール」

 日本が商業捕鯨再開を提案するのは2014年以来。捕鯨容認国と反捕鯨国の対決構図は大きく変わらず、支持を集めるのは容易ではない。それでも、日本の捕鯨関係者は総会を前に、盛り上がっている。

 「世界に向かってホエール!」

 6月7日夕、東京・永田町の憲政記念館にちょっと変わった乾杯の発声が響き渡った。「ホエール(クジラ)」と「ほえる」を合わせた掛け声を上げたのは、「捕鯨の伝統と食文化を守る会」の参加者たちだ。捕鯨関係者や国会議員など約500人が参加。テーブルの上には、クジラの肉や皮を使ったさまざまな料理が並んだ。いずれも鯨料理専門店や鯨食文化を守る自治体などが用意したものだ。

 今年のIWC総会に対する出席者たちの思いはひとしおだ。森下丈二日本政府代表は「IWCの70年の歴史で初めて国際機関としてうまく機能を果たしているか評価を受ける年になる。今までの議論の延長線ではいけない」と気を引き締めた。自民党の二階俊博幹事長は「何も恐れることも遠慮することもない。堂々と日本の姿勢を示していこう」と激励した。

 IWCは1948年、クジラ資源の保存と捕鯨産業の秩序ある発展を目的に設立された。商業捕鯨の一時停止が可決されたのは82年。「クジラ資源の科学的知見に不確実性がある」ことが理由だった。

 ◆調査で実態解明

 日本はIWCが管理対象としているナガスクジラやミンククジラの商業捕鯨を中断する一方、クジラ資源評価の裏付けとなるデータを収集する目的で調査捕鯨を行ってきた。胃の内容物や排泄(はいせつ)物を分析してクジラが食べているものを把握したり、内臓組織から環境汚染の影響を調べてきたりした。

 その結果、南極海でのクロミンククジラの繁殖集団の分布やナガスクジラの資源回復、北西太平洋では日本人がよく食べるサバやサンマ、カツオをクジラが大量に消費している実態が分かってきた。

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 ■科学的・法的議論で総会主導へ

 日本は2014年、調査で得られたデータを示し、北西太平洋のミンククジラについて商業捕鯨17頭の漁獲枠設定を提案したが、否決された。反対した国々に公開質問状を送ったものの、明確な反対理由が示されることはなかった。

 前回16年の総会では、反対の根本的理由が科学的な根拠ではなく、クジラや捕鯨に対する政策的立場の違いにあると指摘した。今年の総会でも科学的・法的な議論を主導していきたい考えだ。

 IWCは商業捕鯨の一時停止後もイヌイット(米国)やチュクチ原住民(ロシア)に例外的に捕獲枠を認めてきた。今年は、これら先住民の生存に必要な捕獲枠も議論される。宮城・鮎川や和歌山・太地の沿岸などで小型捕鯨を続けてきた日本にとって、これが2つ目の好機となる可能性がある。

 3つ目の好機は、国内の法整備が進んだことだ。昨年6月に施行された鯨類科学調査実施法には、調査捕鯨の継続的な実施を国の責務と定め、実施体制の整備や妨害行為への対応、財政上の措置が明記された。

 近年はグリーンピースやシー・シェパードなど、反捕鯨団体による日本の調査捕鯨への過激な妨害活動が問題になっている。鯨類科学調査実施法はこうした妨害に屈せず、クジラ資源の持続的な利用に向けた調査を続けるために施行された。

 3つの好機が重なる今年のIWC総会に向け、斎藤健農林水産相もこう強調する。

 「IWCの資源管理機関としての本来の機能を回復させるための提案を行う」(米沢文)



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